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【安価】やる夫は誰かのために戦うようです【R-18】 第61回

2581 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:04:06 ID:5dmKKaoA0 [3/52]

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     /ユ¨‐‐- 、_     l !
  _ /   ` ヽ__  `-   {し|
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            / //
  ,,, __ ___ _/ /_/

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PDAに仕込んだ目覚ましのバイブレーションを止め、
頭まで被っていた布団を放り投げる。
画面に表示された時刻は午前六時ちょうどだった。

簡素な白い壁紙に簡素な鉄フレームの二段ベッドが並べられた仮眠室での目覚めは
それほど不快ではなかった。人のいびき程度は気にならない。
自分以外にもスタッフが寝ていたが、大半は顔見知りの整備班だった。

整備の人達とは何かと顔を合わせるため、知り合いといってもよかった。
マーシフルの整備スタッフは老若男女様々で、若い女の子もいる。
自分のすぐ上で豪快にいびきを立てている初老の男性は整備班長だ。

誰もかれも疲れ果てているのか、自分が起きた音を聞いても、
どのベッドからも反応はなかった。こっそりとその場を後にし、自分の部屋に向かう。

はやての様子が気になった。彼女自身も心配ではあるが、部屋も心配だ。
ベッドで吐かれでもしていたら後処理せねばなるまい。
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2582 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:05:28 ID:5dmKKaoA0 [4/52]

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              |: : / : / {/""゙゙}: {: : : \: V/∧//ハ: :.
              {/::': : :': :{    }: :、: : : : :\V/ハ: : :}: :i
              {/:i: : :i: 八⌒八 : {\⌒: }⌒: : }: : }: :|
                  /: :{: : :{: iィぅ灯^ ヽ{ 灯うぅ: :} : }: : }: :|      あ……やる夫君。おはよ……。
              ': : 八: :Ⅳ、Vツ    乂ツⅥ: :,^Y : :| 
             : : : i: ::\乂:.:.  ,    .:.:.:.ノ : /ノ: :∨      昨日は、その、堪忍やで……ほんま。
             i: l: {: {: ::込 u          ⌒7イ:/: \{
             |:八{: {:、: :.:}: ::..   r__,  ..: :/V: :. : ::}
             |'  {:八{\}: : i :::.. __ イ_//  }/: : 八__
               八/ニ7: : ノ: //ハニニニ/   /: : 'ニニ=- _
               r{ニニ,: : ://  /〉ニrく   ': ::ハニニニニ=-_
               {∧ニ{乂:/___  /、ニニ{⌒\八(.:.Vニニ/-=∧
               八ニニ// / У-=ニニ〉   ∨.:.:.:.:Vニ'-=ニニニ}
               ' {ニ<.:.://〉/-=ニニ/ {: .: |.:.:.:/ニ/ニニニニ

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部屋に戻ると、カーペットの上で正座しているはやてがいた。
いつもの明朗快活な姿とは打って変わってしおらしく、
目じりを下げてこちらの顔を窺っている。

酒は抜けきっているようだが、話し方もぎこちない。
昨日の記憶は残っているようだ。

小さな体はさらに縮こまり、くしゃくしゃのシャツとジャケットがなんとなく背徳的だ。
妙な色気を纏った姿に、昨日の感覚が微かに蘇る。

いくら何でも無防備に過ぎる。
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2583 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:06:58 ID:5dmKKaoA0 [5/52]

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         l:::八::::∧::ヽ:ゞヾ lイ゚ハ  /'   lイ゚ルl} Уi::/' /:::|i:::::::.
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     /⌒ヽ /////l/////|ハ:::| ヾl∧〈〉/===、 〈〉/ l:|l:::::l:::/l/ /////////厶
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   '{   // //////∧l}   ヾ|   ∧  / |∧ /   ヾl    ハ/////////⌒ヽ
  ハ辷_///////ノ   }/ _     l   ∧/  ∧/    /     Y  Y///////l    ‘,
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気にしないでほしいと伝えるが、はやては余計にしょぼくれてしまった。
態度とは裏腹に、かなり責任を感じる人柄なのかもしれない。

「なんか、久々に気が抜けてもうて……なんやろなぁ、情けないわぁ」

申し訳なさそうに俯く彼女の姿は、正直、見るに堪えなかった。
感謝こそすれど、怒ることのほどはない。

はやてはなのは同様、自分を気にかけてくれている。
水族館でも沢山相手してくれたし、ああやって楽しそうに振る舞う彼女を見ていると、
なんだかこちらまで気持ちがふっと軽くなる。

彼女には感謝している。この程度は迷惑の内にも入らない。

ふと手元を見やると、メモ用紙が右手の中で握り込まれていた。
なのはからの置手紙だろう。結構きつめの言葉が書かれていたのだろうか。

首を振って見せ、気にしないでほしいと懇願する。
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2584 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:09:23 ID:5dmKKaoA0 [6/52]

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       !: i!: i: :i : : : ',: : : !   ',: 、: : : : i!: ', :_:_:_:',: ',イ/! : : : !: :i        ……おおきに、ありがとう。
       i: !i: :i : !: : : :.',: ,ィ示≧、:ヽ: : : : i:',彳ん示気: !: :i: : : : ! : :!
         ',i !: ',: :',: : : : ',` iし::心ヾ!ヽ: : :!i:! iっ::::刈 i!: :,': : : :,': : : ',       やる夫君はええ子やなぁ。いつかええ男になるで。
        ', ',: ヽ:ヽ: : : ヽ 弋Zツ   ヽ:.!i! 弋Z:汐 /:./: : : /: : : : :'、
         ヽヽ!ヾ、:,.-、 : ヽ、    、  ヾ     / : /: : : /、:.!: : : : :',      ああ、そうそう。もひとつ伝言頼まれてんねん。
           /:./ / /リヾィヽ、 、    ,    ,イ : /: : : /  ヽ、: : :ヽヽ、
         /イ / /  /  ,. ヽ  ̄ ̄    彡/: /: : : /   /ヽ : : ヽ     仕事の話みたいやったで。依頼が来たんとちゃう?
   、     /イ  i     '   、i!_ ノ     , イ .,': /: : : /ヽ /   ヽ: : : ',
    ヾ、彡: ,'    ゝ、        リ> -- "   ,': /: : : /  ',     ヽ: : ',    あとで連絡してほしいちうてたで。
       i: !   、  > 、     i!i:.!ヽ     i: i!: : : /   ',        ', : ',
      /ヾ',    \  ',  \    リ !     .!:i: : : ,′   ',        ', : !
      ,': : i"     ヽ、i!   )     ∧    レ!: : :,' 、----.ゝ       !: :!
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            ⌒7.:/.:.ハ      ' ' /.: .:/ノ .: : .: |.: .: .:|
         _    {:/\八 _/)>'.: .:.:/.: .:/.: .: .: .:|.: .: .:|       ここいらで失礼するわ。
        __/ ) __     /  ̄ 7 : : / ̄:/ : .: /.: 八 : 八
     「{ { し' }  r/     /.: .: /_/ ⌒∨ .:/.: :)/⌒\      その内埋め合わせするさかい。
.      {       ノ  //   人.:.:/  \ ̄ ̄Y ̄/\_
.     人     /   /      ∨    \ \ /    \_       ほな、またね。昨日は楽しかったで。
      }    {  / ̄ ̄ ̄\   〉_     \ {    /  ∧
      }      '  /     /}       \  /   / }
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2585 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:09:33 ID:5dmKKaoA0 [7/52]

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2586 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:10:01 ID:5dmKKaoA0 [8/52]

                     _  ―
                r=ニ二二____
                〈
                |
                 '
                  /    ,ィ彡三三三三
              /ィ´ィ'"三彡'"´
           __, ィニ二_______
.       ,ィ'"´:.:.:.:.:.:.:.:.:.: 7/ィゞ´_ニ二ィ-く
.    〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : 〈〈ゞr'"´rぇr‐ァ  ヽ ミ        さて、依頼の説明をするとしようかの。
     ' ;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:: : ゝ/   .:`7ー'  ヽ  ミ
.        ヽ、:.:.:.:.:.:.:.: : /ノ   r'::l,   ,r〃 ミ        雇い主はいつものSI。
         `ー ::_:_:ヽ ゝ'´   `ー‐イ'"´ ミ
             /ミミミミミ、ヽ   /   ミミ
             ',7'"´ `ヽミ;`ヽ/  ,ィミミ
.                ゞ'"´ミ、  'ヽイミミミミミ
                 ,'::: ::: :::::ミ::::彡ミミミミミ
                  l:::: ::: ::::: ::ミ::: ::ミミミィ
              \三ミェェュミノ} ̄ ̄ ̄
               __二ニ>'"´ ,'./|
             / r―‐'7::::ィ´// :|
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     \     /  /   /三二ニ{
       ,   /  /   /_, \ニニ 、
        ∨  /    /》 jリノ,.  ̄}ニニ
         ‘/    ,ィ攵ノ  `ヾ   \       目標はアヴィアコル所有の巨大兵器、
          ノ   /ノハ'´i{    ノ
        / /{iじ゙´/⌒ ー‐‐く            これを破壊することじゃ。
.      / /: : :`|    /    ヽ
       /: : : : : :.ト、   /       {           
        : : : : : : : }__ ‐ヲ、xijリ斗i{トトN/
      -----── Τi{ j}/二二)川}\
             ヾf´/    ,i川川}
               八_r‐一if{〔ト从ソ
                  } |j川{ jリf'´: :
                     乂j川ソ´: : :/
                   | ̄`¬冖¨ ̄\
                   | |ト、         ヽ

2587 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:10:17 ID:5dmKKaoA0 [9/52]

    厂 ̄ ̄ ̄ ̄`刀}
  _/,,,,r───<ニニl|
  {三三三三⌒ } }r一'|  
  {ニニニ    人{⌒   }  
  {ニニニイニニニニユレ                   とはいっても、安心せい。
  }ニニr‐v∧   rtッテ \   
  }/ l|{ハV∧ ー一'  イ                  襲撃するのは奴らの工場、つまり巨大兵器は開発中じゃ。
/ //\_V∧  r 、_ツ  } }        /⌒}
{////⌒V∧{li{ ̄__ノ ノノ     へ{  /‐┐      相手することになるのは精々ノーマル部隊程度じゃろう。
.\//    ><{{_{_{il)       /_(_)ー/  /__
   ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄} ̄}==ミ冂 {  {\└r ' / }
   _|        |l| 人___\八_   └く_ノ
 / 人_r────┘      \二二≧x.ノ
人/     三/´ ̄ ̄ ̄`\   .\ ̄ ̄ ̄`\
  \     /         \  _}__    ‘,
   ∨  //           }      `\   \





                        _,,. .,_
                   ∠、: :__`\
                       | i 下川ノノフl
                      ト/《`丁フハノl
             二      rNrtト、、r≦Vi)
              力    トli ̄〈ljノー lミ!
                ッ  _l |lli「f三ヲリlミ!
                 _/ \_l\li⌒リノlミ!____          報酬も高めに設定してあるそうじゃ。
        ∠二>'´ ̄ ノヽ  /∧:: ̄´ l  //l |
      , '´‐─- 、 \ ̄   \/ :\___l//::Lト、         どうじゃ、やるか?
     / / ̄ ̄\ \ ヽ   -─== /./__ \ヘ-、
      | l:|    / \.\ 、    ´ ̄ ̄ ̄.:::::::::´ ̄ `ヽ \
   \l// ,.イフヌヽ  ハ ヽ\        :::::::::::.     \ ヽ
    \ヽ / // /∧.ノ }  |: : ヽ.,  __.:::::-‐-:::::..,,__    !人
    / ヽ|‐i---'一ァ  | ./∧ : :  ̄: :_: --──--<: :`ヽ }  |
.   | ./寸¨丁 ̄ノ-、 / / ̄¨二¨´     ..:::::: : : : :丶-イ ∧
   /  ∧ト-L./ヽ={ーr'      ̄ヽ __ .: : : : : : : : : :| У }
    / ´lへ\ (  |│ ヽ      / |_ }: : : : : : : : :\ノ .{ ヽi
    \ / ハ \>=r'‐‐、 V        r‐l |--、: : : : : : : :'; |   ハ
    -//l l`ー‐一'  /::丶、     fソ  ` _〉: : : : : : : l | /i│
   <{_i l /し'^} /   |::::::::::::::::>‐--l´    ノ: : : : : : : リ/丁`ヽ
     `l/`ー- レ'._  l:::::::::::::::::::::::::::::::|}    ノ: : : : : : /r‐r⌒)o、|
            ¨´ ー<::::::::::::::::::::;リ,. <´ー-ニ二´__ノ`(二()/ }
                 `>--<二  \  |「  」|_ノ}‐-8\ノ
                 / \ヽ     ̄  ̄` ̄ )_ `>‐‐'
                 >、 `}\  二二二  ̄ }   /〉

2588 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:10:28 ID:5dmKKaoA0 [10/52]

                         ____._ _
                      └‐ォ |UU  `
                           くノ     \ ,,_人、ノヽ
                               )ヽ    (  ___________________
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - <       >━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   )     て
                              /^⌒`Y´^\     ._ _
                                             UU/7
                                                 くノ

2589 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:10:39 ID:5dmKKaoA0 [11/52]

┌──────────────────────────────┐
│                                          ......│
│巨大兵器破壊 依頼主:SI                           ..│
│ アヴィアコル所有の工場を襲撃し、開発中の巨大兵器を破壊せよ  ....│
│                                          ......│
└──────────────────────────────┘

2590 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:10:50 ID:5dmKKaoA0 [12/52]

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘


                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

2591 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:11:00 ID:5dmKKaoA0 [13/52]


     : . : . : :|:|:|:::::| ヽ' へ.| | |:::| |\\\     ヽ\   \.         l l      ||      ||       ||
      三ヽ、 |:|:|:::::|    ヽ',| | |:::| |:i:.:.\\\     ヽ\   \      l l      ||      ||       ||
      \三ヽ|:|:|:::::|  ,ィ三i::H:: | |:|:.:.:.:. \\ヽ.    ヽ\   /ヽ ____,l l、___jj,____jj____jj______
      : :\ノ 从__j_/三三i::H:: | |:|:.:.:.:.:.:.:.i∨iii \.    ヽ\/  i´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      : : : :iY.: :.:|ミ||\三三i____;;j_j゙ト、:.:.:.:.: | |iiii|  \.    /   :|       ┌―┬─┬─┬─┐
      : : : :|:i: : :.|ミ||\\三l:| !::::::|7: :ヽ :.: | |iiii|    ヽ ∠..._____:|____,,|!__,|!__,|!__,|!__,|________
      : : : :|:i: : :.|ミ||:. \\i:| !::::::|!: :/ ヽ:j::iiiii|   /     |    || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      : : : :|:i: : :.|ミ||へ.  \!| !::::::| :/   LViiii|__ /     |    ||         <! || i>
      : : : :|:i: : :.|ミ||ヽ′へ | !::::::|/   :Li:i:i:ij__j____   __!  __||              ||
      : : : :|:i: : :.|ミ||   ヽ' 〔士〕〔:\    YiiY /___     __!  __||              ||
      : : : :|:i: : :.|ミ||___     || :||::|!ヽ::ヽ  .:|i:i| :/____  ___|    ||              ||
      : : : :|:i: : :.|ミ||:::::|   || :||::|!:.:.: \\|i:i|/____   __,|    ||              ||
      : : : :|:i: : :.|ミ||:::::|   |L」! |! :.:.:.:.: Υ:.:.i|         |    ||              ||
      : : : :|:i: : :.|ミ||:T 、_∠三K!i :.:.:.:.:.:.:|:.:.:.i|:ニニニニニニ|    ||              ||
      : : : :|:i: : :.|ミ||⊥. ヽ 「 ̄! l:i :.:.:.:.:.:.:|:.:.:.i| ̄|| ̄ ̄ ̄/ |    ||              ||
      ヽ : : |:i: : :.|ミ|| | \\...」 l\ :.:.:.:. |:.:.:.i|_|| ___/  |    ||              ||
      :\:!:i : : |ミ|| |  ヽ ヽ. ||ト ヽ:.:.:.:|:.:.:.i|       ┌┤    ||              ||
      ヽ   \: : |ミ|| |   |:.\\||:.:\\i:.:.:.i|ヽ       |│┌┐||              ||
     : :.\  ヽjミ|| |   |   ヽ ヽ:.:.:.:ヽ ヽ:.:i|ヽ \    ||└┘||              ||    _   _
     二二ニニ仍j j  .:|     \\:.:.:.:\\ \\  ||┌┐||              ||   |_|ニ|_|
        l 「 ̄ヘ ̄ ̄ ̄VヘニⅥ、 \\:.:.:.:ヽ \ \\ ||└┘||              ||  ヽ二云二ゝ
        | j三ニヘ___Vヘ Ⅵ ̄ ̄ ̄iiー-r‐ュ...._ヽ \.. !ー―::||              ||      Vヘ
         :Y・ ̄ ̄・Y ̄ ̄iVヘ Ⅵ ̄ヽ. ||  V::ヘ  「丕」≧ュ_,,,||              ||    __/ /_
         | == |   |! Vヘ Ⅵ   ヽ||   ∨:ヘ |羽X羽:ヘ__,,,||              ||  /7 ム7 /7!
         |      |   |!丁j:ヘニⅥ   ||:    ∨:ヘ,|厂i ̄i ̄ヘ__||              ||  {{_..以.._}}_j
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
兵器工場への侵入は容易かった。
トウキョウのドックにも似た空間をブーストして突き進みながら、
片手間に行く手を阻むノーマルたちを爆散させていく。
舞い散る残骸と爆炎の中を行く途中で、なのはに尋ねた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

2592 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:11:10 ID:5dmKKaoA0 [14/52]

      ____
    /     \
   /  ─     \
    ' (●)       \     珍しいですお、アヴィアコルへの攻撃を受託してくるなんて。
  (l、__)          |
    ⌒´         /
   `l          \
    l           \





┌─────────────────────────┐
│                 ___                ..│
│             ,x ≦:.:.:.:.:.:.:.:.:≧ュ、            ......│
│          /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:--――-:、ヽ /`ヽ       ...│
│      ,x ≦:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.//:.:.:.:.:.:.‘,     .....│
│     /:.:./:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\:.:.:.:.:.:.:.:.:. /{{i:.:.:.:.:.:.:.:.:‘,      │
│.    /:.〃:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:/:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:. /:.:.',      │
│   /:.//:.:.!/:.:.:.:l:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:./:!:l:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.}     .│
│    i:./ {:.:.l{:.:.:.:.:.:l:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:‘,:.:/:.:l:.l:.:.:.:.:/:.:.:.:./     ..│
│   リ i:.:.{ i:.:.:.|:.⊥:.‐‐:.:、:.:.:.:.:.:.:.:.:. ‘,:.:.:i:.i:.:.:./.:.:.:.:.,′    ....│
│      l:.:.l l:.:.:.l:.:.:{ ,斧ミx`:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.: i:.:./l:.l:.:./:.:.:.:.:/      ...│
│     i:.:l l:.:.ヽ:マヽ マ:: ',ヽ:.}:.:.:.:.:.}:.:./:./:.|:.: /:.:.:.:.:/       ..│
│     l:.:l ヽ:.{::!ヾ、 乂リ }:!:.:.:.:.: !/ミ}/_:.|:./:.:.:.:.:/         .│      まあ、ね。
│     Ⅳ  {:./     ̄ }:!:.:.:.:.: l    l.l./:.:.:.:.:/:|         .│
│         |:.:ヘ    ,  〃}|:.:.:.:l   il |:.:.:,′: |         .│
│         |:. : l\ ̄  /、 /:.:./  //|:.:.{:.:. : |         .│
│        マ:.:.l __ヽ-,r´ヽ:.:/-‐ ´/ !:.:.!:.:.:.:.:l        │
│         ゝ:.{::::::: ///}/  /  人:.l:.:.:.:.:.l         │
│        /::::ヽ::/ //>〃 /   /:::::‘,:.:.:. l       ..│
│        l::::r== /// l/ L__/:::::::::::::::ヽ:::::‘,       .│
│       , l::::ll  /ヽ/,イ´  <   \:::::::::::::::::‘,::',      .│
│       / li  /::/    ≧´    /::-―:: ̄:‘,:.ヽ     │
│     〃   | 〃 ≧ ´    l li /:::::::::::::::::::::::::::}:.:.:.‘,    │
│    /     l イ        li /::::::::::::::::::::::::::::::::}:.:.:.:.    .│
│     {     //             /:::::::::::x≦ ヽ、:::::/:.:.:.:.     .│
│     ヽ_  { {          /:::::::::://   ヽ}::/:.:.:.:.:.      │
│      i   | ‘,        i::::::::::::i ',    }〃}:.:.:.:.     │
│      |   |  ヽ      /  /:::::::::《 r===/  i:.:.:.:    .....│
│      l  /     ー‐/  <:::::::::::::`:r 〃    l:.:.:.:     .│
│      l  /       /    \::::://    l:.:.:.:.    ....│
└─────────────────────────┘

2593 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:11:26 ID:5dmKKaoA0 [15/52]

         _
        /: : :`ヽ      ___         __
      /: : : : : : : \, ´: : : : : : : : : : :‐-、  ,ィ彡'´
.     /:/⌒\ : : /: : : : : : : : : : : : : : : : :Y:ノ__
      ′: : : : : : 〉'ミz: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ
    i: : : : : : : / z‐- : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :‘,
    |: : : : : : :′:.: : : :.‐-/: : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : :|
    |: : : : : : i: : i: \: : : |: : /: : : / : /: : /| : : : ,: : :|: |ヽ: :|
    |: : : : : : i: : i: : : ヽ:.:.|: /|: : : :|: :/卞/、|,ィ|: / : /|: | ∨
    |: : : : : : :∨:、: : : : : {vヘ!: : : :!v {チ抃.` レ'|: / .レ'
    |: : : : : : :八: :\: : : ヽ ,'\: ハ 弋ツ   / |/     (たまたまIGIO系の依頼が多く舞い込んできてたけど……
    |: : : : : : :| \: : ヽ: : : |: : |\|.      {
    |: : : : : i :|   \:.:., -‐|: : |         〉       あまりそちらに傾くと、後々敵対しにくくなる。
    |: : : : : i :|    ./   ヘ : |      ‐-/
    |: : : : : i :|  .r―──‐ 、| \ _/:|          こうやって中立性を企業連にアピールしておかないと)
    |: : : : : i :|  ./         \__|ハ/__
    | : : : :, -─' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄::::::::::::::::::::::::`>x
    |: i : t' :::::::::: ,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::, -‐:::::::::::::i
    |: i : |:::::::::::::,':::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ::: i:::::::::::::::::::: |
    |: i : |::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨| :::::::::::::::::: |
    |: i : |::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヘ|::::::::::::::::Y⌒Y






.     /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.、:.:.:.:.:.:\
     /:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:/:.:/:.:.:.:.:/:.:.:.:.:. |:.:. | : l:.:.:.:.i:.:.:.:ヽヽ:ヽ
.    i\:.:.:.:.:.:.:.:./:.:./:.:.:.:./:.:.:/:.:.: |:.:.:.|:.:.|:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:i ヽ:.:',
      |:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.i:.:./:.:.:.:. i:.:.:,':.:.:.:..|:.:./|:. |:.:.|: |:.: |: : |  ヽ:i
     |:.:.:.:.:.\:.:.|:.:/|:.:.|:.: |:.: i:.;:‐7|‐二|メ|:.:|:.:|:.:.||:.:.|   ヽ
.     、\:.:.: ヽ|:/-|:. ! : |:.: |:.: /x 斥 |/ {:/|: !:.: ||:.:|
     ゝ:.:.\:.:. |{´`l:.:|:.:.:|:.:.|:./ヘ {::リ/ 〈/ lイ:.:./l:./
      |\:.:.:\:|\ ゝl:.:.:|:.:.|/   ゝ'  \ |:./ レ′
      |:.:.:.:.ヽ、ヽ:| `!:ヽ:|、|       / レ′     (やる夫君には、そのIGIOの最高戦力を、殺してもらわなきゃいけないんだから)
      |:.:.:.:.:.:.:.\/  ‘, \\    ― ´
      |:.:.:.:.:.:.:.:. |   ヘ:.:.:.ヘ    /
      |:.:.:.:.:.:.:.≠__   ヘ:.:.:ヘ ―‐´
      |:.:.:.:.:. / `ヽ、≧ュ、_ヽ :.{
      |:.:.:.:.:.:|::\   ≧ュ、`ヽヽ
      |:.:.:.:.:./::::::::\     \l┤
      |:.:.:.:/:::::::::::::::::\    ヘ{ ヽ、
      |:.:.:/:::::::::::::::::::::::::\   |\ ゝ
      |:.:/:::::::::::::::::::::::::::::::::l` ̄ 7  ヘ´ヽ
      |: i::::::::::______|  ,′   ヘ::::i
      |: |:::::l´::::::::::::::::::::::::::\ \   ヘ:|

2594 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:11:36 ID:5dmKKaoA0 [16/52]

    //   ,ゝ-{≧s。、  Vム   |  { .!    ,′.}/ヽ         ,。s≦}ヽ > 。
. / /  ! ,′   / `ト.  Vム   |  マV  ,′V!   V/     /¨{ ̄  ̄ } \  `ヽ、
, '  /, <,'! !   /   ! ヽ、Vム. |   .マV .,′ .〉、   V/   /  .V   /  /-\.   \
  /   {i ! i__/  /\ } ヽム,|    マV  ./  V/ /   〉,  V /  /i!   \.   \
../      V!    /   ヽ{≧s{          /  /ー‐‐, <  V/ ¨゚  / i{     `ヽ.、 V/
i{,       '!___/、__   }!  {!        /  /   ,/    .Vi/   / i{      _,. -マ V/
i{ ≧s。., __\ \ \  \ }!  {!      /  /   ,/  >ー‐<ヽ--.'V/i{、 > ゚´    ヽ, V/
,}        ヽ--ヽ-' ヽ--ヽ!  {!.      /  /   ,/ / \__\∧_V/ V            V}!
{       /            }!>゚ヽ----- ' `ヽ'    /イ  /         ヽ、        }V/
.',     /          /\         \ ./`ヽ_/               \       }! ヽ、
 ヽ--- 〈           /  ヾ\         ヽ\/                   `ヽ、    }!   \
  ,s≦ミy}!          /.    ヾ\__     / }! \                      ヽ,   }!    {> 、
 {三{ilililil}}!           V/      ̄ヾ\  ./   }!  i}                  r≦.、 }!    {  {_!\
 `ー― ' }!          V/         .\/   / \__i}                  {ilil三}.i{;   {   \ \
    r-{,'            V/        /ヾ\/   /                   {ilil三} .i{;   {i     \ \
_    i /              V/.     /   /____./                    `ー、'  i{;  {i      \ \
. ヽ___ノ,'            V/  /   /___>゚´                        \ .i{;.  {i         \ \
.    ,′            `ヽ'.___/  Vム    ',                         {! .ヽ、{i          \ ヽ, .∧ ̄ ̄
.   ,′             r< __  .Vム    ',                            V  Y\.         マ i/  V/
.   ,′            , { //   /!  .Vム  /ー‐ァ                          V /  \          i/   .V_
  /{           。< {,_'__./  |    Vム_./  / ∧                       Y.      \        ∧   /
>゚´.{        ,<___  |ヽ/|    |   /   /   /                       !         \    /  V//
_ >゚ ',       ,′  /`ヽ,| | .!    ! ./____/   /                         V          \ /    V___
  /≧、      />。._/   .|.___!   .i/  |    |  />-<                   {≧s、,         /    /
>'ニニ{__}    / / / \/  ./   |    !___|_./ /il{ { ヽ                  \:\:.ヽ、       /     /
二}>'`ヽ }ヽ   V/__/  ./  ./      .!  / ',  /   {ilil{ {  }               <二二>:-:-:\    ./     /

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前哨戦にすらならないノーマルとMTたちを蹴散らしていく。
勝てないのなら出てこなければいいのに、なぜこうも立ち向かってくるのか。

いかに任務といえど、気分がいいものではない。
流石にだいぶ慣れたが、最初は食欲も失せて中々寝付けなかった。

スラムでの暮らしでも、暴力に頼ることはあっても、殺しまではしなかった。
先住の大人たちとは対格差もあったし、基本的には逃げに徹していた。
生存競争ではあったが、殺し合いではなかった。

これは違う。戦争だ。
撃たれぬために撃つ。殺されぬために殺す。やるか、やられるか。
それはとてもシンプルで、それゆえに全容が見えず、密かに怯えていた。
爆炎に呑まれる敵機を見る度、おぼろげな憤りと恐怖を感じていた。

確かなことは、それがどうしようもないということだけだ。
奥底で燻ぶる感傷に蓋をし、戦闘に意識を集中させる。

逃げるのなら追いはしない。だが、目の前に出てきたならば、それは敵だ。
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2595 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:13:11 ID:5dmKKaoA0 [17/52]

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 |!         i!:..    i.: : :.',                         / : : : !       .i!::..         i}
 |!      i!:..    /i: : : :.ヽ、                   >': : : : :i\    .i!::..      ,i}    目標確認。
 |!        i!::..   \', : : : : : .` <             >. :´: : : : : : ://     .i!::..      ,j}
 |!.       i!:..      ', : : : : : : : : : :`: .<     >. :´: : : : : : : : : : : /i      .i!::..      ,j}     破壊する。
 |i      i!::..       ∧ : : : : : : : : : : : : : : :`¨¨´ : : : : : : : : : : : : : : : / .!       i!::..      ,j}
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ドックの奥底へとたどり着くと、そこにはブリーフィングで聞かされていた
巨大戦艦が鎮座していた。鉛色の船体には様々な機器や武装が取り付けられ、
いかにも兵器らしい無骨な外観となっていた。

アヴィアコルの技術により作られた、コジマ粒子を動力源とする戦艦。
要はコジマ汚染をまき散らし敵を塵に変える破壊兵器だ。
よく見れば、砲塔の他にPA発生装置やブースターまで装備している。

微動だにしない巨体を前に、レーザーブレードを構える。
これを破壊してさっさと帰投しよう。
必要以上の殺生はする気もないし、したくもない。

なのはが船体を解析後、コジマタンクの位置を割り出してマーカーをセットした。
撃ち抜けば一撃で破壊できる計算だという。

言われた通りにターゲットサイトを合わせ、トリガーを引く。
電流が刀身を奔り、青白い熱戦が槍の如く放たれ、戦艦に風穴を開ける。
すると間もなくして、船体がひしゃげると、見慣れた緑色の粒子を舞い散らせて
大爆発を起こした。爆風に機体を呷られ、たまらず膝を突く。

ドック全体が揺られ、周囲のブリッジが悲鳴を上げるように軋む。
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2596 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:13:22 ID:5dmKKaoA0 [18/52]

..     ____
    / ―  -\
..  /  (●)  (●)      終わりかお。今回は楽な任務だったお。
 /     (__人__) \
 |       ` ⌒´   |
. \           /
.  ノ         \
/´            ヽ





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│    ∧jハ.:′.:.:.:.:.′〃xfz左z,;,X, .j:/ !:;|:.:.:l.:.:.:.l.:ヘ.:.\.:.::.':;.:.';   ......│
│    l.l.ヽ.:.:|.::::.:.:.:|{:.:.,仆乞芸て卞 >′l./j.:,リ.:./.:l.:.ヘ.:.::.ヽ.:.:.';.'|    ..│
│    '.:.:.:;:升∧::.:.|.:.:{イ ,伐::::::斥′  ノクサトxj:.:.li.:l.:.ハヽ.:.';.:.:;.!    ..│
│    ∨  !′l:.:.:|:.:.! 、辷ークノ     ケ云x.:ノメi.:/.:.:.:.:l.:.:.:.:.l:.!   ......│     とは、いかなさそうだよ。
│.     ゞ、)l::.:.:ゝ:ヘ、:! `¨¨゙`     /.::ヌリケ;´.:;リ..:.:.:.∧:l.:.:ハ!     .│
│      'iーl;:.:.:.::.个`         匕゙.ノ_ノノ/!:.:.:.;/ レノ !     .│     高速で接近してくるネクスト反応をキャッチ。
│        l.:人::.:.:.゙l             ¨`て.._`V.ハ.:::/   !′     ...│
│     _,、n<  '.:.、∧       c。   人__,¨\:l/         .....│      機体IDを照合……
│  イ´.:::.ハヘ '、l?∧          .,/: :.j  /}′           │
│/ l:::::::.,  \ ´、?「>、     , イ´.  .:.イ´.:l.:.|           ...│
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│/¨ ヘ:::::..∧ /\` >ー<cハ. . . . . . .fヽ,¨ -ナヘ.';.:.:|.|            │
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│j∧V//∧:::...∧  jメヘ__ -イ.::::::::::::.∧//j.:.:.:.';.|           ..│
│j:iV∧//∧:::::::..\ ヽ´.:::::::::::::::::::::::::::::::::人/j.:.:.:.:';|            │
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2597 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:13:32 ID:5dmKKaoA0 [19/52]

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          /  /;;{;;;;|爪;;∩;/;;;〉;;;/_/77 |Τ |::::::}[[圦/ゝ寸ゝ三三三三三三二ニ=-
              / ̄`ヽノ//};|ノ/;;;/ノ/;;/∧//,| 乂|::::/=○///寸//≧s。//三三三三三≧s。
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なのはの答えを待つまでもなく、それはやってきた。
背後から轟音を轟かせ、退路を断つ形で迫ってきていた。

その音と気配には少なからず馴染みがあった。
形ある死刑宣告のような振動を感じ、臓物が縮みあがる。
レーダーに映る赤い点が、更新間隔の間を飛ぶように距離を詰めてきている。

まさかと思いつつも振り返ると、自分が入ってきたドックの入り口を吹き飛ばし、
漆黒の装甲を纏った巨体が躍り出てきた。

鈍く煌めく二問のハイレーザーキャノンを携え、超高出力のPAが空気を震わす。
かつて僚機として守ってくれたリンドヴルムが、そこにいた。
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2598 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:13:48 ID:5dmKKaoA0 [20/52]

                  -== x--,_
               , ´        ヽ\ト,
             ,       \     、\y
             ,'      ',   ,    、 .}フ
            ,     ハ  ',   j    ヽ }フ
           .; ! |  ', ヽ、xー ナ、  ` ∨)
            ,.i .ト、 ' ,  》チテ弌八  乂
            } 人 从≧ …  乂jノ<;;;| \ {
           .|ノ .}  "叭)    ´ /;;;;|   ヽ          誰かと思えば……ヤルオ、あなたか。
.           ′ | ∧´  '    〉;;;,リ   }
.            ノ  ノ》x:. ´` /^:ネ !!|j   ,'
         /¨, ===ヽ< (\);;;;;;=¨”;;;;;|{  ノ
        ./ ノ/;,;,;,;,;,;,;,;,;,\\\r--===ノ .ノz
.        ´ /;,;,;,;,;,;,;,;/\;,;,;ヽ ̄|    ̄   |l
         /;,;,;,;,;,;,;,;,;,l l;,;,,\,;,} .|  《    : ヘ==´`ヽ
        };,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;l l;,;,;,;,;,;,;,ヽノ、,-= ⌒ ヽ,l;,;,;,;,;,;,;,;,;}
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      ノ,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;ノノ;,;,;,;,;,;,;,;,;ソノ   -… ´ ̄:` - ',;,;,;,;}
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      ____
..    /   u \
   /  /    \\
.. /  し (○)  (○) \    あ、アルトリアさん……。
  | ∪    (__人__)  J |
.. \  u   `⌒´   /

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深紅のカメラアイは真っ直ぐにこちらを射竦めて動かない。
眼前のリンドヴルムはすぐさま襲い掛かることはせず、その場に着地した。
あまりの重量に、それだけで衝撃と音が響く。

「やる夫君、分かってると思うけど」

なのはが鋭く忠告してくる。
そうだ、IGIO系列のノルドルムに所属するアルトリアがここに来たということは、
少なくとも援軍ではない。

十中八九、自分の撃破を依頼されてきたのだ。
アヴィアコルとの関係は分からないが、それしか考えつかない。
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2599 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:13:59 ID:5dmKKaoA0 [21/52]

                 ,. -―‐=-   _ ヽ 、    ヽ 、
               /_/ '´       ̄` 、 ヽ  ノ .)
               ,.' l´./ -‐ ア'"      ー-  <
                /./'"   ,∠     '"          `
             V/ 、 -‐ /   ,.  ´   .  ハ  ヽ
             , '/ヾ 、,.' /  /  _,. ‐ / .'   !   '
               〈 !、 ヽ'  , / '/ ./ー-'"/ ,. '   / ! ト. '
              ゝl./   l/, //ハf:;テ<"/  / /  ! ソ
          ,. ´ i/   / /!( ´   `ー  / / ,イ/ イ,ノ      ――私があなたを? まさか。
            {' ,.'/'  ,.'/./.ヽ!二7       '"  (ソ!  ト、
           ( / /_,'/ 、T マ二二ア        冫!  .l ヽ      私があなたを傷つけるものか。
             {./  l'_ヽ_|_マニニ(_,.ィ  ‐=   イ  .! ) 
            l'   /二二二二ニ=-、(     / .ノ  ,.!ノ     
    ,ィ77777777777777>マ二二二二二}\ / ,.'./ .ノノ
   ////////////////////,ハ‐マニニニl三ヽー-( ' /
.  {/////////////////////∧ニ="マ_!二二=-、!.l'
   !'/////////////////////,∧",.ィニ-_ 二二l






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      /   u \
     /  \    /\
   /  し (○)  (○) \     えっ。
    | ∪    (__人__)  J |
   \  u   `⌒´   /

2600 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:14:11 ID:5dmKKaoA0 [22/52]

          _,. -r‐、
        ,∠ ― ,rヽ)ノ   ‐ 、
       / 7 ‐-,. ( )'ノ        、
.      i ;   ,‐!ノ'ノ  `/    ,. -
.      ' :,_/〉-,ノ   ./    /"    ヽ
.     r/_.'-‐'   \ .'   / /    ! 、
       `! !.    、,.ヽ!  _.//' ,. ィ  i ! }
      ', !    /、ノ|   .た!ヽヽ/ ノ' ;.ノ
       、 、 ,ヘヽ.l   l l   ´ ,/,イ/
         V/>/∧ l  !l.     {.' .l
.         _l'/////∧l  l|  、 ,.ゝ l      確かに、私は侵入者の排除を依頼され、ここに来た。
      ,ィニ二二ニ_<,.――--<!  l.|
     /二二二二/::::::::::::::::::::::::::::>、i|      だが、あなたが相手とあれば話は別だ。
   _,./>''" -=/::::::::::::__:::::::::::::::::/}
― /ニi.lニニニニ{::::::-::: ̄::::::::::::::::ヽ:::::://
::::::i=ニ!.!二二ニ/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::; '
:::::l=ニl l二二/:::::::::::::::::::::::::::::::;::::::::::;:〉
::::lニニl lニニ〈::::::::;:ィ二ニ=_、,、::;:::::::jム
::::!ニニ!.l-=二';:::://:::::::::::;::ニ//ヽ::::/ヽ!ム
::::!/ ,イニ=-__ヽ/:::;ィ////////\ニl.!ニ!
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:::::マニ二二ニニ!>_、///////>,/`マ
:::::::マニ二二二ニム<///////>'"////\、





                        /  i !| ,′ ,′   ',
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    `¨¨´\.  \ \/   `¨゚´`ヽ,| }---V...__,.. --='"- ,,.ソソj'"    ':.,   -='_'"-= 毛''"  "
         `{\.  \ \        ヽ/ ̄.._,.. - ='''"匕二幵f'"(    ', ソ  r''" r'"ヽ--==<   .:
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         /{ilililili} / . \.  \ \   ! {_}/ヽ ." ,.. シ'",. -'" 7,r'''" t,.._-='ゞ-''"t  )`ヽ、r`ヾヽ._ ゙ :.
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      V_____}/     \.  \ \         ,:'" ,.:;.r-'-'r'/,.; .:' ヾr'ゞv'ヽ.'.:.`ヽ`ヽヽ、 `゙ ,

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アルトリアの穏やかな声色に安堵していると、突如として衝撃が機体を襲った。
ダメージアラートが鳴り響き、スクリーンに左腕部のロストがでかでかと通知される。
あまりの唐突さに鼓動が止まるかと思った。
今にも心臓が破裂しそうなほどに早鐘を打っている。

なのはも絶句しているのか、言葉を失っているようだった。
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2601 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:14:21 ID:5dmKKaoA0 [23/52]

              _ r―ァ-、―- ミ
             />''"~"''<⌒l   ` <
               7//ヽヽヽヤ⌒〉     \
                ψ/// ソノ }-〈     .|  ヽ ∨
              r{ゞ、>''´/ / Y′   .||  ハ ∨
             }ヘゞ`''<彡‰ソ  ! !  !\ / l| トゝ
                V乂三∠⌒)´ !∧| | .」ノレ' | リ |
              廴乂_)ノl l 八(l ヘ八ソ`メ|/ /
           >''⌒7^Y⌒ ヽ、,人|   ヘ{`¨乂レ′
           /===/`nヘ=====\ilN  |.、_ /              私も手ぶらでは帰れんのでな。片腕は貰っていく。
            \=/===l.l= \===/ |  | /
              ´/====|.!==== <´≧〈从 |´                 そら、去るがいい。ここでのことは他言無用だ。
              _≧s、_ノハ_==== マニニゝ-`‐…¬冖ニニアl
       _ <ニ/ニ二二Y  ̄ ̄ ニニニr'ニニニニ>''´ =|         「あ、ええと、その……あ、ありがとうございます」
     r<ニニ/ニニニニ/二二二ニニニ|ニニニ/二二ニ|-「ヽ∧
     ∨=ニニニニニ二/二二ニニニニニニニニニニニニ上′ニニ\    礼の続きは、また会ったときにしてくれ。
       Vニニニニニ/:⌒"''<ニニニニニニニニニニニニ乂ニニニ
        {/ニニニニ/  :     ` マニニニミニニニニニニニニ\ニニ
       <=/ニヘ二/  :        `'マニニニミニニニニニニニニ>
       〈´ニニ二∀     ':,         `'マニニ/冫、ニニニニニニニ
      }/二二{   ,'    ':,       : : ̄i .イニ=}`''<ニニニニニ
       /ニニニニΚ ,'      '       : : /ニニ=/     `''<ニニ
.      /ニニニニ∧\   ',        _ イ二二ア        `''<
     /二ニニニ/ ∨_\  ',    _ <ニニニ/
.    /ニニニニψ  V二`‐┴―≦ニニニニニリ
.   Yニニニ=/|     VニニГニニニニニニ彡〈
   {ニニニニニ/ヽ.   {ニニヘ二二二ニニニニ/
   ∨二二ニニニ\ /二二/二二ニニニニニ|

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弾け飛んだマーシフルの左腕部を蹴り上げて拾い、器用に脇へ挟むと、
リンドヴルムは銃口を下げた。やはり戦闘の意思はないらしい。

アルトリアの言いたいことも分かる。
この状況で無傷のままマーシフルを帰せば、戦闘放棄を疑われかねない。
それを防ぐためにマーシフルの左腕を奪ったといったところだろう。

なんにせよ、感謝するほかない。
まともにアルトリアと戦った日には命はないだろう。
それを考えれば、左腕だけで済ませてもらえるのだ。

礼を述べ、メインブースターを吹かせて機体を浮かせる。
とりあえず、帰投するとしよう。目的は達している。

「なんだかしまらないけど、正面戦闘で勝ち目はないし、有難いか。
帰投して、やる夫君。なんだかんだで運がいいね、君は」
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2602 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:14:35 ID:5dmKKaoA0 [24/52]

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         └──────┘


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                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

2603 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:27:23 ID:5dmKKaoA0 [25/52]

               ____
             /      \
           /  /   \  \
          /   (●)  (●)  \      なんか、マーシフルが毎回ボロボロにされてる気がするお……
            |      (__人__)     |
          \     `⌒´    ,/      今回は黒字だったらしいけど。
          /     ー‐    \

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任務終了から一夜が明けた。
軋む身体を起こし、伸びをして骨を鳴らす。
長時間同じ姿勢で固定されるパイロットシートは身体が強張っていけない。

いつもの如くコックピットから引っ張り出されて、マーシフルは即修理に回された。
整備班の人達にはいつも渋面をさせてしまっている。

その後には「ま、中身が生きてんだから良しとしてやるよ」と口角を上げて
見せてくれるので、こちらの気持ちは幾分か楽だが。

今回の稼ぎは上々だったらしく、なのはも心底安心した様子で電卓を叩いていた。
自分の生活費や雑費だけでなく、企業連への納税やマーシフルの整備費を
考えると馬鹿にならない額が動いている。

あれこれ理由を付けたりしても、結局は金が必要なのだ。

稼いだ報酬は赤字にならない限り、二割ほどをなのはが貯蓄用の口座に
回してくれているとのことだった。

二割と言えど侮れない。はやても言った通り、上級市民IDで一生暮らせるだけの
額は溜まっているはずだ。今はリンクスなので特等市民IDとなっているので、
一応は格下げとなるわけだが、それでも後生は安泰というものである。

生き残れれば、の話だが。
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2604 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:27:33 ID:5dmKKaoA0 [26/52]

                 _,. -- 、_
            _ -‐: : : : : : : : : :`丶、
          , . : .:.:.: : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ、
       , : : .:.:.: .:. : : : .: : : : : : : : : : : : : : : :\
      /: .:./:./:.:.///: / : : : : : : : : : : :ハ
     /:.:./:./:.:./:.:.///: ://: :.: : : : : : : :. : :. い
   /フ://:.:.':.:./:.;.:.:.;.:/: .:.:.//: : :.: :. : : : : :.: :.:.:. i: '、
  ´/:.//:.://:/:./:.:/:, : .:.:/ィ:| |:.:.:.:.:i: : : .:.:. :i:.:.: ト、ト\
  l/〃:.:.l:.l:/:./:〃/: :.ィ:/ l/!:|l:.:.:.:.|: : :.:./:/:.:.:. | 丶
  { |l|:.l:.l:.l|:メl:///:.:/ナ=┼l小:.:.://: .:/:/:.:.:.:.!:!
    lハ:.!:.!:|i小以!:./ノ‐ラ云=ミヘ//: .:/:/:.:.:.:.!:い        ほう、なのはは手が空いていなくて一人で来た、と。
    { ぃl:.い.:.l`Ⅳ  ノ匕zj_ ン//:.:.ィ ィ:.:.:.:.:.:|:.l、ヽ
       ゝヘトV         //// //:{:.:.:.:、ヽミ 、
       rf: : : : ヽ' _    ‐彡' / /イl:小:.、:.ヾ\:\
      l:{: : : : : ノヘ` =‐- .イ  /|'! j八{:¬i : : : : \
      ハ: : : : : ノィへ.. ィ入二二 く r=ノ气_): /: : : : : : : \
      {: : : 、: : : : : : : : : ノヘ: \: : ヽヽ ⌒)、( /: : : : : : : : : : ヽ
    _儿: : : \: : : 、: : : : : :\《: __〉〉彡: :〃: : : : : : : : : : : ‘.
   〈: : : : __ ニニヽ: : : :\〃ー: )): : : /: : ; :-‐……‐-:、: :',
   ノ: : : : : : : : : : :, -‐ャ^\: :{{: : : 〃 : : /: / : : : : : : : : : : : : i
   }: : : -‐: : : _/   Ⅵ\ヽ}}: : : {{: : : レ: : : : : : : : : : : : : : : :{
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          /              `ヽ
         , '   /  /         i   `ヽ ヽ
       /    /   /     i    }       ヽ '.
        .′  .′ ,イ    l    | i       ' }
      fi   l  { |  . ′ }    | l  |     }i
      |i   {  | { / / /   | | l  }     ||
      |i   |  | !{ イ |イ {   | } } ム」   ||
      |i   |  | !|斗l┤ i|-  レ'}/]厶斗 }   }l      「相手してやりたいところだが、俺は今からラケル博士の手伝いでな。
      |i   {  {从=≠ミ、ト、  ! ィ爪_刋/  / |
      |i   ∧  V代丞外   ヽ|  ` ア .イi |       C.Cなら貸すぞ。どうだ?」
      |  /  ヽ、ヽ        :::.   /  l」 |
      l  ,'     ト-ト             /l  爪 |       いつから私はおまえの所有物になった。逆だろう。
      | '     i  \     -‐   .イ | 小、ヾ、
      |/     |    i个  .   /| | i|// } ヽ '.      ……というわけだ。私なら相手になろう。
      {   i   |   | l   `   { { i|/ 小、   i
      l   |   }   } }      比7   },rヘi }
       l   ,    , i   //         /  /厶 }_」
        ,  /   /厶イ´        -‐ァ'  / {{    `ヽ

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部屋で腐っているよりはシミュレータールームで訓練しつつ時間を潰そうと思い立ち、
軽く身支度を整えて部屋を出たところでランペルージ夫妻に遭遇した。
二人とも黒いジャケットをシャツの上に羽織り、C.Cの方はタイトスカートとビジネスルックで、
いかにも仕事着といった風貌をしていた。

挨拶を交わしてからシミュレーターに行くことを伝えると、C.Cが相手をしてくれる
こととなった。この夫妻は謎が多いが、施設に来てからというものの、
色々と世話になっている。

年齢は自分より一回り上らしいが、あまり老けて見えなかった。
青年と少女といっても違和感がないくらいには若々しい。
夫婦というよりは十代のカップルを見ているような気持ちにさせられる。
ルルーシュも三十代らしいが、艶のある黒髪の中には白髪の一本も見当たらなかった。

妻が粗相をしても笑って許してやってくれ、と冗談を飛ばすルルーシュと別れ、
夫にへそを曲げるC.Cを連れ立ってシミュレータールームを訪れた。
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2605 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:27:49 ID:5dmKKaoA0 [27/52]

    _.    _
    \\__//       __   ___.  く ̄|        __
      \ /  /⌒ヽ. | |  | |   | |  /⌒ヽ ( 、-_ヽ /三ヽ
      | |   ( ○ ) | |_| |   | |  ( ○ ). __ヽヽ、 ( 、―┘
      | |.    ヽ___ノ   ヽ.__|.  [_]   ヽ___ノ  ヽ二ノ  ヽ二7  o o o
       ̄

                          ____
                        /      \
                       / ─    ─ \
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                |      (__人__)    |
                 \    ` ⌒´    /
                   ヽ、       /        
                       \     /
                     ノ _.ノ
                     ( .(
                      )ノ
                        ((
                         ノ
              / ̄ ̄\/ ̄\
                / ̄ ̄ ̄`.  \    \
             /           、    、 ピーピーピーボボボボ
           /           i     l
        _/ 、  ,イ            /
       (     )_/______ノ__ノ

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結果は言うまでもなく惨敗だ。
なぜだろうか。この施設には現役でないのに、恐らく自分の何倍も強い
リンクスたちがわんさかいるように思えてならない。

多少はブランクがあるだろうに、やはり一発も弾丸を当てられなかった。
C.Cが選んだのはオルデンブルクとアヴィアコルの標準パーツを用いた
混成軽量二脚だったが、機動力では圧倒的にマーシフルが上回っている
はずなのに、頻繁に視界から消えたと思えば背後にガトリングを浴びせられた。

ハッチが開いた途端、ダミーコックピットからずるりと崩れ落ちた。
AMS適性の差と言えばそれまでだが、クーガーの例がある。
彼の適性は自分よりも低いのに、戦果は倍以上だ。

強さと才は別だということを、シュクヴァールの築き上げた屍たちが語っている。
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2606 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:28:02 ID:5dmKKaoA0 [28/52]


           ´                    \
       / /  /                   ヽ
       /   /  '                       ',
     〃   ′ /  /   /                 '
    | |   |  l  /   , '            }      |
    ! |   | ∥;′  /   / /     /  ,′      |
     ヽ ヽ  ト、|| |  / // _ ‐''´ /  /        |
      \{\{ 八l  /l // </ _,,.ィ  /        |   l
         | 扞パV 〃 斗≦三∠ イ     |    |  |
         | |弋_ソ     イ_ノ;バ`)〉|       |      |   |
         | | ^¨       弋辷ソ〝 |       |   |   |   |        そうだな。おまえ、別のリンクスに教えを乞え。
          | |  〈        ̄¨´  l      / |  |     l
          |∧               |     /  |  |   |   |        「へっ」
.        |  ヽ  ヽゝ        |    ,′/l|   |     |  
       |   \      ,    |     ′/ l|  |     |  |        なのはとおまえは根本的にスタイルが違う。
        |  | /ヽ_  <     |   l  ′l|  |    |  |
         |  |.′ |l 〈Y ニニニ|   | l|  l|  |    |  |        なのははいわば、達人的な戦い方をする。
       l|  |l   || __|| |::::::::::::: |    | l |  |l   |    |  |
        ||  ||¬7´::::|| |::::::::::::::|    | || l|   |    |  |        敵の動きや性質を読み、超絶技巧でその先を行く。
        !|  ||// .:::::::|| |:::::::::::::|    | ト、!  l|  |    |  |
      /|  ||/ .:::::::: || |::::::::::: |    | |::..\ l|  |    |  |        それがなのはだ。ある意味機械的な戦い方だな。
-‐     ̄ ̄ ̄ ¬- :::::::::::川:::::::::::::|    | |:::: -‐\ |   |  |
                ` く/{:::::::::::::|    | |'´/⌒ \ |   |  |
                    \`ヽ:::::|    | |/     ヽ   |  |
                  ヽノ.:::::|    | |       }   | |





: : : : : : : : : : :/: : : : : : : :/: :/  /: : :/  /: : : : : : : : /: : : :/: : : : : : : : :./: : : : :}
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ハ: : : : : :/  : : : : ://   /: :/  /`: : : : : :/: : : : ': : : : : : : : : : ': : : : : :./
 }: : : /  ': : : /---- //   /: : : : : //: : :./: :: : : : : : :,.. : : : : : :/     おまえ、そんな戦い方できるか?
. j, '´ :  /.:/≡ニ二三二≧zx/_....'  /: :/: : : : : : :_. ´: : : : : : .. '
/     : /'^ ≧ュ{:::::::::::::人   ¨^ヽ`¨^ヽヘ´_.... '^´/: : : : : : : : /       「で、できる気がしませんお」
    :.       ≧ュ (厶)ゝ........ノ}   }:::::〉    . : : : : : : :.: ´
     :.          ≧ュ:::::::::::ノ  /イソ    '.:.:.: : ´: :|: : |           そうだろう。おまえは直情的だ。だが、勢いがあるのは
    八                ≧ュ-   _....'´イ: : : : : : : :|: : .
      /                      / |.: : : : : : : :|: : :|           決して悪いことではない。勘も鋭いし機転も効く。
.    /                     , : :|.: : : : : : : :|: : :.
.     /                          .': : :|.: : : : : : : :|: : ::           別のタイプの人間に教えを乞うても、基礎は覚えられても
   /                        /.: : :|.: : : : : : : :|: : : i
                           /.: : : :|.: : : : : : : :|: : : :           歪みが出る。合わない型に押し込めばな。
                             /.: : : : :|.: : : : : : : :|: : : :.l

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「なんなら動きを見て盗むのもいい。しっくりくる戦い方をしろ。
なのはの動きを真似たところで、おまえではなのはの劣化版にしかならん」

冷たく言い放つC.Cだったが、意見は的確だった。
自分はなのはとは違う。それは当たり前だが、戦闘のスタイルも違う。
偏に自分の未熟さ故だとは思うが、なのはのように落ち着き払って
一手一手を打つような戦い方はできそうにない。

それなら、どんな戦い方をすればいいのだろうか。
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2607 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:28:21 ID:5dmKKaoA0 [29/52]

        ,.  '"                `丶、
        /           `ヽ         \
.     /             |              ヽ
.    /       /     }  ' |   |         '.
    ′ /   /  /   '   } |   |             '.
   i   /   /  /   .イ   ノ '  |
   |i ; / ,' ,‐/-/_/_ /i/    |
   l| { i{ i|厶Tニヽ厶イ  ノ    |
.   八 ⅥV八 ィ .:テア |       |            私見だが、今のおまえの戦い方なら独立傭兵のランク15、
     ヽ{ヽУー'゙ jシ'′ |      |
        . '   ′  |      |             アリー・アル・サーシェスが近いな。
     く     ''   |      |
        、 。        |      ト、             「あの赤髪の傭兵ですかお」
       ヽ       |      | i\
         ∧        |      | |: . \           ああ。奴にはそれに熟練度が上乗せされているが。
.       / 个ー―‐‐ 、|      | |: :   \
      /( `¨¨  ー-=ミ|       l 从 : . ⊇)\        だが、奴がおまえを訓練する義理もないだろう。
.     /  >x、      |        | ̄ ̄ ̄   }\
    _/_/_,/_乂う≧=|        |-‐=ニ二三/:.\\
  /        [o`ヽ |        l       ∧: : : \\





             ___
          , -‐'¨´       `ヽ
      /             \
     /:/ ::,     ヽ       ヘ
    ′/ ::/  :/ /  i :}  ::i      ∧
    | ::i  :i ::/ / ノ :リ  :リ     ∧
    ヘ ::', レ'7/,イ /   :/      ∧
     ヽ ヽi  rセト, i  ::i'         ,ハ
       `7  i斗'  |   ::|      i::   i       一度、奴と共闘したことがあるのだろう?
.       ノ       .|   ::|     |::   |
        ヘ _      .|   ::ハ.    .|::   |       奴は悪党だが小物ではない。
        ヽ`    ,ィ|   ::! ',     .|::   |
        iー‐<___j  :|イ゙.,     |::   |       幾多の戦場を駆け抜け生き残ってきた歴戦の傭兵だ。
        |   | ヘ:::|  :l::::::::',    |::   |
        |   i  i::|   :|::::::::::'.、  |::   |       人格云々はさておき、な。
        | .:リ_ノ:::!   l::::::::::::::::ゝ、|::   |
         ,ィ| / ::::::: |  :|:::::::::::::::::7⌒ヽ  .|       参考にするべきところはすればいい。
        /  |./::::r─::| ::lー┐::::::/     ',  .|
      i  /:::::ノ/i: | .:!:::::l__,ノi      .i .|
      | /ー‐':: 〉ノ:::| :|:::::::::::::::|     .| |
      ,/::::::::::::::/:::::::: | :|::::::::::: ∧     .| |
    /レゝ:::::::::::/:::::::::::::| :|ィ7::::::::::::i    | |
    .{ 〈:::::::::::::i::::::::::::::::| :|〈::::::::::::::|    | |
    ',  ゙マ::::: |:::::::::::/ | :|._〉::::::::::;ハ.______,.| |
    ',:\ ヽ:::ヘ ___ノ /| :|:::::::::::::/ i::::::::::::| l
     ゙i::::`'ー┐ r=イ::::| :!::::::::::/  .|:ーrニィ| |
      |::::::::::: |丿:::::::::: | |::::::::/   |::::::::::::| |

2608 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:28:31 ID:5dmKKaoA0 [30/52]


   /: : : : : : :/: : : : : /: : : : {: : : : : : : : : :/ ///´     フ// ./∧  ∧
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 {: : : : : : :.|: : : : : :| /厶云 ∧: : : : :イ    レイ        /: : : : : : ∧ _」
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 ト、: : : : :..:|: : : : : :| {  ∩  冫 ヘミ≧=ー'         |/     {/´    ∧
 | \: : : :|: : : : : :|     ///      \       {   /⌒       \
 {i  ゝ─ト: : : : :∧ ゝ-< イ/           /⌒ヽ  /            \     ちょいさァ!
\|     ∨: : : :ゝミ三彡 /    ‐-       ィ⌒ヘ  /   ∨
.  \      ∨ト: : : :≧=ー' /         _    /  j ∨     ∨
   ∨    \\∧   ゝ    ‐    、` //^.ノ /      ∨
.    ∨      ≧=ー    \   、 `、 //    /        .}
     ∨       ∧    ノ j `ィ彡-¬´     /          |
.      ∨           ヽ    r彡ィユ´      / }           |
        \        \  \⌒´    >‐´  / {    Y⌒Y
        \        \  ∨   /      |  ト、    ゝ ノ
             \        ヽ  ∨ イ        |    \
            \        、 ∨ /      |     \





                 |l州/川/////
             州/川////
           _^衫=ミv//厶
           _彡ク⌒ヾー彡イ\
            r彡/   ― V/―\
          /   ( ●) ( ●) ヽ      はいだらー!
            l        (__人__)   |
          \     ` ⌒´   /
          /             ヽ

⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ
                        ○
                      о
                     。
     _____     
   / ―   \   
 /ノ  ( ●)   \ 
.| ( ●)   ⌒)   |      色々考えてみますお。
.|   (__ノ ̄    /
.|             /       今日はありがとうございました。
 \_    ⊂ヽ∩\
   /´     (,_ \.\
.   |  /     \_ノ

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カタストロフィのアリー・アル・サーシェス。
前回協働した時は、あまり良い印象こそなかったものの、
その機転と洞察力の鋭さ、そしてそれらを反映させた操縦技術は
類稀なものがあったようにも感じる。

長い時を生き抜いてきた荒野の野獣とでも言おうか。
勝ち負けはともかく、敵を倒し自分は生き残るという執念のようなものがある。
なのはとは全く違うタイプだが、C.Cも言うように、自分は彼に近いのかもしれない。

別段、マーシフルに関してもマニュアルには大して興味が湧かなかった。
起動テストやなのはとの教練の際には機体特性や武装のスペックなどを
叩き込まれたが、これにこだわりがあるわけではない。

なのはと同じ戦い方、なのはと同じマーシフルの使い方をする必要もない、
ということをC.Cも言いたいのだろう。多分。
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2609 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:29:04 ID:5dmKKaoA0 [31/52]


  { {      i  i`、   |!_:l_斗 ´  // |l   :::/ /:/` ー/    .:/ /  / ::/
  、`、     i   i 丶 | ', i 丶  Ⅳ :|l   ::/ /:/  ,/   .:/ ̄/  / ::/
    、 、    Ⅵ li  _Ⅵ__{{ニ=厶 {  |l ::/ /:/  /  _ ≦--/   ..::/
    ヽヽ   \ f ⌒//⌒ィァ气 i  |l :i /:/ /-=≦ニ_/_,ィf㌣≦ /
    |  rs。   \ / ん_ノ::::::::;ヘi  λ :i[{ {      /⌒ィ三ニ=㍉/ .::
    |  |  T―r 《  {fj:::::rィ::::fj ㍉  \{ {{    /ん_ノ::::::::::::::} ヾ_,.イ
    |  |  :|l  i   ヽゞ三彡cノ_       `       {fj::::::rィ::::::::fj  】|.:|
    |  |  :|l  li   "⌒^¨ ̄                  ゞ三_彡ctノ ノ |.:|      ……ふっ、私も世話好きになったものだ。
    |  |  :ll   li           ::i           ¨^⌒'゛  |i
    |  |  :|l  li             .::ノ                  ,′      昔はこうではなかったのだが。
    |  |  :l!| i ∧            ::}                   ,′
    |  |  :i l l / /〉                            ,′        ボウヤの世話でクセになってしまったのかもな。
    |  |   l l // f\       t‐-   __               /
    |  |   l l,// /|/ /: .       `こ¨            </
    |  |   l l,/ / l|,/  i丶                <   /   .::/
    |  |   l l /  lL_  i:_` 、         <   //   .::/.:
     j/⌒ヽ ヾヽ  〕 / ̄   〕i`   __  ≦      / /    .::/.::

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「あまり勘違いするなよ、坊主。おまえは真っ直ぐだ、危ないくらいにな。
おまえを放っておけないお人好しも集まるが、おまえを利用とする奴らも集まる。
お人良しが集まるものだから人は善いものだと思うかもしれんが、たまたまだ。
おまえが思っているほど、人はおまえに、他人に興味はない」

「それはつまり、C.Cさんはお人好しってことですかお?」

「そうだな、そうなってしまうな。全く、我ながら惚れた男に合わせるのも考え物だ。
あいつも昔は必要以上の情は振りまかなかったんだが、最近では随分角が取れた。
腑抜けたともいえるが、私には今のあいつの方が好みだ。人間らしい」

金色の瞳を悩ましげに明後日の方向へと向けるC.Cを見ていると、
なぜか溜息が出た。理由は分からないが、条件反射的に深く長い溜め息を吐いた。
面白くなさそうにC.Cが腕を組んで首を傾げる。

「おまえには分からんだろうがな、あいつはそれまでの全部を放り投げて
私を選んだんだ。そこまでされて嬉しく思わん女もそういないだろうさ」

「分かりました、分かりましたお」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

2610 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:31:33 ID:5dmKKaoA0 [32/52]

        ____
      /      \
     /  ─    ─\
   /    (●) (●) \      リンクスってコジマ汚染やAMS負荷のせいで、意外と非番が多いお。
   |       (__人__)    |
    \      ` ⌒´   ,/       まあ、連日ネクスト戦闘が勃発してたら、世界が持たないってものかお。
    /         ::::i \
   /  /       ::::|_/       非番の過ごし方も少し考えた方がよさそうだお。
   \/          ::|
      |        ::::|  キュム
      i     \ ::::/ キュム
      \     |::/
        |\_//
        \_/

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
C.Cに礼を言って別れ、自室へと足を運ぶ。
朝方に胃に入れたスクランブルエッグが跡形もなくなったのか、
景気のいい音が腹から鳴っていた。時間を確認したら昼近くだ。

最近、非番の時は誰かに誘ってもらわない限りは部屋で腐っている。
それも、あまり良くない。らしい。
常に誰かを当てにしながら生活するのも考え物だ。

何か、自分一人で非番の時にするものでも見つけた方が良いかもしれない。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

2611 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:40:58 ID:5dmKKaoA0 [33/52]

                  _ -――――- _ __
               ∠            ` 、_}_
               /             、 ` 、⌒ヽ
               /        /           \  ', /
             /   /     '           |   '/\
           '   ′   /           |    |   、ノ}
            l{   /  {   /{   {  |    |    | ̄ア}ノ\
          八  |  ',  l  、  {  l 、 |    |/ ハ___ノ
            \|', ∧| |  \_{\|\\|    |  / /⌒}       邪魔しているぞ。
              | ∨ャ竿ミ      斗竿ミ|    |/ /__ ノ
              | ∧  Lソ      Lソ |    |ヽ/⌒\        「わっ……来てたんですかお。連絡くれればいいのに」
              | ハ            |    |ノi:i:i:i:i:i:i:\
              l  込、  '          |    |\i:i:i:i:i:i:i:i:i:',      む、すまんな。そういう習慣もすっかり抜けているようだ。
              |   | \   r_、     ,|    |、i:i\i:i:i:i:i:i:i:}
              |   |    、      イl|    '{i\i:i:)_i:i:/       次からはそうさせてもらう。
              人   |     l` ‐  ´   l|  /i:V⌒i: ̄{
                    、|    f≧======≦_|  ,'⌒i{i:i:i:i:i厂
          _-=ニニ=- __ノvニニニOニニニ=|/二⌒⌒^
            _-=ニニニ/ニニ\ニOニニニニニノニニニニ≧ァ≦⌒\
           _-==ニニ {ニニニニニ/\ニニニニニニニニニニニ/ニニニニニ',
         _-=ニニニニ〉二二ニ\/二二二ニニニニニ/ニニニニニニニ',
           _-=ニニニ/ニニニニニ/二二二ニニニニニニ/ニニニニニニニニ',

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
部屋に戻ると、物音一つ立てずにアルトリアが佇んでいた。
いつもの黒いドレスに微かに皺を作りながら、正座を横に崩す形で座っている。
やはり、その姿はどことなく異質だ。高級な洋館の片隅にでもいそうな風貌の
女性が、自室のカーペットの上で座り込んでいるというのは。

自分を出迎えると、アルトリアは床に手を突いて立ち上がった。
スカートがふわりと揺れ、落ち着かない。
皆は彼女を不気味だ異様だと言うが、自分には淑女のそれにしか見えない。

佇まいや所作も気品があるし、口調も堅く軍人のようだが声の出し方から
貞淑さが感じられる。皆、彼女の経歴に気を取られすぎではないだろうか。

そんなことを思っていると、アルトリアは背後に置いていた何かを拾い上げた。
小麦色のバスケットに、そこそこ大きめの紙包みが入っている。

「サンドイッチだ。簡単なもので悪いがな」
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2612 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:41:08 ID:5dmKKaoA0 [34/52]

               ____
             /      \
           / ─    ─ \
          /   (●)  (●)  \    お、おお、サンドイッチですお。
            |  u.   (__人__)     |
          \     `⌒´    ,/    でも、量が多くないですかお?
          /     ー‐    \





              _ r―ァ-、―- ミ
             />''"~"''<⌒l   ` <
               7//ヽヽヽヤ⌒〉     \
                ψ/// ソノ }-〈     .|  ヽ ∨
              r{ゞ、>''´/ / Y′   .||  ハ ∨
             }ヘゞ`''<彡‰ソ  ! !  !\ / l| トゝ
                V乂三∠⌒)´ !∧| | .」ノレ' | リ |
              廴乂_)ノl l 八(l ヘ八ソ`メ|/ /
           >''⌒7^Y⌒ ヽ、,人|   ヘ{`¨乂レ′          男の子は沢山食べるもの、おかわりはあった方が良い。
           /===/`nヘ=====\ilN  | __ /
            \=/===l.l= \===/ |  | /              では、ないのか?
              ´/====|.!==== <´≧〈从 |´
              _≧s、_ノハ_==== マニニゝ-`‐…¬冖ニニアl        「いや、小食な男もいますお……」
       _ <ニ/ニ二二Y  ̄ ̄ ニニニr'ニニニニ>''´ =|
     r<ニニ/ニニニニ/二二二ニニニ|ニニニ/二二ニ|-「ヽ∧     そうか……
     ∨=ニニニニニ二/二二ニニニニニニニニニニニニ上′ニニ\
       Vニニニニニ/:⌒"''<ニニニニニニニニニニニニ乂ニニニ    「だ、大丈夫ですお、食べられますお。
        {/ニニニニ/  :     ` マニニニミニニニニニニニニ\ニニ
       <=/ニヘ二/  :        `'マニニニミニニニニニニニニ>     ただ、ちょっと手伝ってくれると嬉しいですお」
       〈´ニニ二∀     ':,         `'マニニ/冫、ニニニニニニニ 
      }/二二{   ,'    ':,       : : ̄i .イニ=}`''<ニニニニニ     ああ、構わん。自分で作ったのだ、責任は持つ。
       /ニニニニΚ ,'      '       : : /ニニ=/     `''<ニニ
.      /ニニニニ∧\   ',        _ イ二二ア        `''<
     /二ニニニ/ ∨_\  ',    _ <ニニニ/

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
白くしなやかな手から差し出されたバスケットを受け取る。
ほんの少し肌と肌が触れ、心臓が軽く跳ねた。

恐る恐る紙包みを開けると、言われた通り、そこには大量のサンドイッチがあった。
十は軽くあるだろう。均等に切り分けられた焦げ茶色の麦パンでベーコン、
レタス、トマトを挟んだものがこれでもかとばかりに詰め込まれている。

よく見てみると、パンに変な切れ目が入っていたり、
トマトが潰れて身がこぼれていたりしている。
最近は上級ID持ちの金持ち連中が食べるようなものばかり口にしていたから、
自分でもわかる。アルトリアが自分で作ってきたのだ。

ただ、この量はさすがに、一人で食べるものではない。
そう言おうとすると、アルトリアの表情が微かに曇ったように見えた。
普段から動きの少ない彼女の表情だったが、よくよく見ると小さな動きがある。
眉がぴくりと動いたり、ほんの少し目を伏せたり、ふっと唇を緩めたり。
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2613 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:50:53 ID:5dmKKaoA0 [35/52]

               ____
             /      \       いただきます。
           /   ⌒   ⌒\
          /   ( ●) ( ●)ヽ     お、美味い……。
            l      ⌒(__人__)⌒ |
          \     ` ⌒´   /
          /             ヽ






  /            i      \    } >
  /             i       .| / レヘ、
 ,         ヽ   i  .|       |、 / } ノ
 i      .l    i  .ハ. ∧.i      .| l /  |' ゙;
 |    .|  i    .| /! }/ }ハ     .|,ノ / ./"         ――そうか。茶でも淹れよう。
 | .i  .|  ト   1. ,ム斗:r7 }      |  / ./:.:.:.:.:ヽ
. i l  .|  「\  .ハ/ Vツ  ':/     .| / /|.:.:.:.:.:.:.:.:.ゝ     それくらいは作法の延長線上で覚えたからな。
. 八ハ  ト |'芯\{  ´   ハ |    ハ /:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:/
.  { `:.ハ .ト.}7          }/|   .j y:.:.:.|:.:.:.:.:.:./        キッチンの物を使っても?
      | ヾ. :,ヽ         / }   j ∩こ)゙,:-イ~
      l   |\  _ -,ァ    イ  .,v⌒/: :ヽ:.:.}     _____,,    確かそこの引き出しに茶葉があったはずだ。
 .     l   .|.   、 ´   /ノ-マ`/: : : : : :’、_ . : : : : : : : :
      丶  i     `ー ' >r"f ゙/: : : : : : : : /: : : : : : : : : : :     ナノハがあなたのために用意したものだろう。
        丶 ,      ⊂゙_/: : : : : : : : /: : : : : : : : : : : :
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とりあえず紙袋を机に置き、テーブルクロス代わりに広げると、
積み重なったサンドイッチの中から一つ抜き取り、齧りついてみた。
見た目こそ若干歪なところがあるが、美味しかった。
厚めのベーコンは少し焦げていたが、香ばしくて脂の甘味が感じられる。
輪切りにされたトマトのさっぱりとした酸味がよく合っていた。
レタスも食感が良い。なんだか、店で食べるよりもおいしく感じた。

切り方自体は綺麗で、カッティングボード相手に真剣な顔をしながら
丁寧にパンを切るアルトリアの姿が脳裏に浮かんだ。

夢中でもう一つ、もう一つと頬張っていると、不思議な匂いが湯気と共に漂ってきた。
簡素なカップがソーサーに乗せられて脇から差し出される。

見上げると、ステンレスのティーポットを片手に目を細めるアルトリアの姿があった。
彼女に見つめられていると、どうにも落ち着かない。
不安や苛立ちというわけではないが、むず痒いような、そんな具合だ。

なのはやはやてにはない微妙な距離感がそうさせるのだろうか。
あまり近づいてこないと思えば、急に身を寄せてきたり、手を取ったりしてくる。
この様子だと、彼女自身も自覚していないのかもしれない。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

2614 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:51:45 ID:5dmKKaoA0 [36/52]

     ____
   /      \
  /  ─    ─\
/    (●)  (●) \
|       (__人__)    |
./     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

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しばらく二人でサンドイッチの山を崩していた。
特にこれといった会話があったわけではなかったが、嫌な沈黙ではなかった。

自分としては、アルトリアに気を遣っているところがあったが、
当のアルトリアはそうでもなさそうだった。

普段は沈黙と無表情を貫いている彼女だったが、こうやって過ごしていると、
視線から力が抜け、穏やかな様子だった。
傍目からは分かりにくいが、リラックスしている、のだと思いたい。

食べ終わる頃には、腹が膨れ上がっていた。こんなに食べたのは初めてだ。
スラムにいた頃は腹がはち切れんばかりの食事を夢見たこともあったが、
こうもあっけなくそれが叶うと拍子抜けだ。

ご馳走様でした、と頭を下げると、アルトリアはこくりと頷いた。
ほんの一瞬、満足げに唇の端を上げ、てきぱきとバスケットや食器を片しに
かかる彼女を手伝って一緒にシンクまで行く。

大した量ではなかったが、彼女だけにやらせるというのも性に合わない。

濡れた手をタオルで拭いながら、世間話程度に思っていたことを口にした。

「アルトリアさんが来てくれて、正直助かりましたお。
非番の時って、何をしていればいいか分からなくて、ちょっと考えてたんですお」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

2615 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 20:59:31 ID:5dmKKaoA0 [37/52]

                  _ -――――- _ __
               ∠            ` 、_}_
               /             、 ` 、⌒ヽ
               /        /           \  ', /
             /   /     '           |   '/\
           '   ′   /           |    |   、ノ}
            l{   /  {   /{   {  |    |    | ̄ア}ノ\
          八  |  ',  l  、  {  l 、 |    |/ ハ___ノ
            \|', ∧| |  \_{\|\\|    |  / /⌒}      身体を動かすべきだな。トレーニング、運動、趣味、なんでもいい。
              | ∨ャ竿ミ      斗竿ミ|    |/ /__ ノ
              | ∧  Lソ      Lソ |    |ヽ/⌒\       暇な時は身体を動かすに限る。
              | ハ            |    |ノi:i:i:i:i:i:i:\
              l  込、  '          |    |\i:i:i:i:i:i:i:i:i:',    というか、何もしたいことが思いつかないのか?
              |   | \   r_、     ,|    |、i:i\i:i:i:i:i:i:i:}
              |   |    、      イl|    '{i\i:i:)_i:i:/     「特に……欲しいものとか、買いたいものとかも」
              人   |     l` ‐  ´   l|  /i:V⌒i: ̄{
                    、|    f≧======≦_|  ,'⌒i{i:i:i:i:i厂        少しは持て、そういうのを。
          _-=ニニ=- __ノvニニニOニニニ=|/二⌒⌒^
            _-=ニニニ/ニニ\ニOニニニニニノニニニニ≧ァ≦⌒\
           _-==ニニ {ニニニニニ/\ニニニニニニニニニニニ/ニニニニニ',
         _-=ニニニニ〉二二ニ\/二二二ニニニニニ/ニニニニニニニ',
           _-=ニニニ/ニニニニニ/二二二ニニニニニニ/ニニニニニニニニ',





                  -== x--,_
               , ´        ヽ\ト,
             ,       \     、\y
             ,'      ',   ,    、 .}フ
            ,     ハ  ',   j    ヽ }フ
           .; ! |  ', ヽ、xー ナ、  ` ∨)
            ,.i .ト、 ' ,  》チテ弌八  乂
            } 人 从≧ …  乂jノ<;;;| \ {       人間を動かす全ての根底は欲望だ。どれだけ綺麗に取り繕ってもな。
           .|ノ .}  "叭)    ´ /;;;;|   ヽ
.           ′ | ∧´  '    〉;;;,リ   }       したい、なりたい、ほしい、といった具合にな。
.            ノ  ノ》x:. ´` /^:ネ !!|j   ,'
         /¨, ===ヽ< (\);;;;;;=¨”;;;;;|{  ノ        それがなければ人は生きていけん。
        ./ ノ/;,;,;,;,;,;,;,;,;,\\\r--===ノ .ノz
.        ´ /;,;,;,;,;,;,;,;/\;,;,;ヽ ̄|    ̄   |l
         /;,;,;,;,;,;,;,;,;,l l;,;,,\,;,} .|  《    : ヘ==´`ヽ
        };,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;l l;,;,;,;,;,;,;,ヽノ、,-= ⌒ ヽ,l;,;,;,;,;,;,;,;,;}

2616 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2020/06/08(月) 21:00:54 ID:3.UlU4Zg0
一応、先日殺し合いをしたということになってるはずなんですけどねこの人達。八百長がバレそう。(小並)

2617 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 21:02:34 ID:5dmKKaoA0 [38/52]
>>2616
密会の一回くらい、バレへんか……(迫真)

2618 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 21:07:47 ID:5dmKKaoA0 [39/52]

                  ___
       ,r'"´「jヽ     /     \
        /   | | ゙,   / ─    ─ \
        l l | || |  ! ./   (●)  (●)  \
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         | |   \     ` ⌒´     /
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          !   ∨  イ        ヽ  i
          \    /.|           |   l
           ` ‐´ l         l   |
               !        ,rrソ_ノノ
               i     y  //  Tト、ヽ
               |      i   」_L _丿 Lll
               |     |  |U ̄^i  .:j|
                   l     l  |   | _ __.,!
               ,!    ,!   `ー┬‐─ '
              (____(_____)

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
それから、二人して何か言ったわけではないが、部屋の掃除をした。
前回アルトリアが訪れて以来、大した掃除もしていなかったので、
やはりというべきか埃やらなにやらがたまりにたまっていた。

自分としては大して気にならないのだが、あまりに放っておくと健康に害が出る、
とのことなので一緒に掃除することにした。

カーペットをひっくり返して四つん這いになり雑巾がけをしていると、
クローゼットの前でアルトリアが小さく「ふむ」と漏らすのが聞こえて振り返った。

見れば、クローゼットの奥で眠っていたフォーマルスーツを引っ張り出している。
確か、なのはがこの部屋を用意してくれた時に、一着あったのだ。

そういった場所に出ることもあるかもしれない、一着はあった方がいい、と。

「着ていないのか」

「着る場面もないし、動きにくそうだから」

「そうか。しかし、大分服のレパートリーが増えているではないか」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

2619 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 21:16:48 ID:5dmKKaoA0 [40/52]

                  _ -――――- _ __
               ∠            ` 、_}_
               /             、 ` 、⌒ヽ
               /        /           \  ', /
             /   /     '           |   '/\
           '   ′   /           |    |   、ノ}
            l{   /  {   /{   {  |    |    | ̄ア}ノ\
          八  |  ',  l  、  {  l 、 |    |/ ハ___ノ
            \|', ∧| |  \_{\|\\|    |  / /⌒}
              | ∨ャ竿ミ      斗竿ミ|    |/ /__ ノ        「あ、アルトリアさん。汚いとか思わないんですかお?
              | ∧  Lソ      Lソ |    |ヽ/⌒\
              | ハ            |    |ノi:i:i:i:i:i:i:\       人並みには臭いと思うんですけど」
              l  込、  '          |    |\i:i:i:i:i:i:i:i:i:',
              |   | \   r_、     ,|    |、i:i\i:i:i:i:i:i:i:}      構わん。それに、あなたの匂いはそこまで不快ではない。
              |   |    、      イl|    '{i\i:i:)_i:i:/
              人   |     l` ‐  ´   l|  /i:V⌒i: ̄{         「そういう問題じゃ……うーん」
                    、|    f≧======≦_|  ,'⌒i{i:i:i:i:i厂
          _-=ニニ=- __ノvニニニOニニニ=|/二⌒⌒^
            _-=ニニニ/ニニ\ニOニニニニニノニニニニ≧ァ≦⌒\
           _-==ニニ {ニニニニニ/\ニニニニニニニニニニニ/ニニニニニ',
         _-=ニニニニ〉二二ニ\/二二二ニニニニニ/ニニニニニニニ',
           _-=ニニニ/ニニニニニ/二二二ニニニニニニ/ニニニニニニニニ',

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
洗濯機に自分が着た後の衣類やタオルを投げ込みながら、
時折手を止めて、まじまじと服を見つめるアルトリアに声をかける。

自分だって汗は人並みにかく。
それを下着すら躊躇なく鷲掴みにして、今もシャツを持って視線を巡らす
彼女に対して気恥ずかしさを覚えないわけでもない。

そう思っての言葉だったのだが、アルトリアはどういうわけか、
確認するようにシャツを顔に近づけるように持っていったので焦った。
眉一つ顰めず、そのまま洗濯機へと放り込まれるシャツを見送る。

やはり、落ち着かない。

そんな中で、アルトリアがシーツに手を掛けた、その時だった。
手際よく掃除や洗濯をこなしていた彼女が、ぴたりと動きを止めて、
ぼそりと呟くのが聞こえる。細い背中から、漏れ出るように。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

2620 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 21:18:37 ID:5dmKKaoA0 [41/52]

                          _ .... _
                       .   ´  _   `  、
                     /  ,.ィ >―-`>‐、- \
                        /   r'"/ / '/ヽト、  ヽ
                      ; / /´/ ,/  /、ヽ ', 〉  !
                   , ./ ,{ l___,/  -‐ !/ ; !
                    ノ;  〃ゝ{   --―   彡! 〉 .i !
                  / V / 廴ヽ、   =‐ ,.イ'" .!,リ
               ,. ,.イ r ', // i、,.ィマヽ、-イ l! ; i{            女の匂いが、するな。
               / ,  '. ヽ 〃///イ'l!ヽ'/ヽ }.,ハノ: !',
             ,. '  / / .lヽ \マ////l.!'∧/∧/./i : ヽ、
            ,    ,   ,: :  マゝヽ.///,l !/∧/7' ! 、ゝ
           /,...::::::::..、   ハ!  ヾ‐=!'//,l=!//,l/ } l  ; ,ヽ、,...::::::::::..、
             /:::::::::::::::::::\ __r== !'//,l=|'//,!ニ=-、__ /:::::::::::::::::::\
.          /::::::::::::::::::::::::::::::::l二ニニ\ニ|_//lニ|//,!二/ニニ二l::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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          ':::::::::::::::\::::::::::::::::!ニニニニニ>''''<ニニニニニl:::::::::::::::::::::/::::::'
         ,ゝ::::::::::::::::ヽ::::::::::::!二ニニ>‐'"二二ニ`''-<ニニニl::::::::::::::/::::::::::::i
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.          }::::::::::::::::ー-::::::::;'_/ニニニニ二二ニニニニニヽニ!::::::::::::::::::::::::::::/
         i:::::::::::::::::::::::::::::::;ニlニニニ二二二二二ニニニニ〉_!::::::::::::::::::::::::::::i
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/ ,:'/,: |::Y    ::::∪;;;;;;;|;;;;;|/ ,:'/,:
     ||∪ :::::::;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;|

2621 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 21:26:33 ID:5dmKKaoA0 [42/52]

              _ r―ァ-、―- ミ
             />''"~"''<⌒l   ` <
               7//ヽヽヽヤ⌒〉     \
                ψ/// ソノ }-〈     .|  ヽ ∨
              r{ゞ、>''´/ / Y′   .||  ハ ∨
             }ヘゞ`''<彡‰ソ  ! !  !\ / l| トゝ
                V乂三∠⌒)´ !∧| | .」ノレ' | リ |
              廴乂_)ノl l 八(l ヘ八ソ`メ|/ /
           >''⌒7^Y⌒ ヽ、,人|   ヘ{`¨乂レ′           深くは聞くまい。ただ、思うところはある。
           /===/`nヘ=====\ilN  | __ /
            \=/===l.l= \===/ |  | /               私に食事の誘いをかけておいて放っておきながら、
              ´/====|.!==== <´≧〈从 |´
              _≧s、_ノハ_==== マニニゝ-`‐…¬冖ニニアl        随分と気の多いことだな? 私も一応は女性なのだが。
       _ <ニ/ニ二二Y  ̄ ̄ ニニニr'ニニニニ>''´ =|
     r<ニニ/ニニニニ/二二二ニニニ|ニニニ/二二ニ|-「ヽ∧     一人の紳士としていかがなものか。
     ∨=ニニニニニ二/二二ニニニニニニニニニニニニ上′ニニ\
       Vニニニニニ/:⌒"''<ニニニニニニニニニニニニ乂ニニニ    「いや、別に、一緒に寝たとか」
        {/ニニニニ/  :     ` マニニニミニニニニニニニニ\ニニ
       <=/ニヘ二/  :        `'マニニニミニニニニニニニニ>    ……その言葉は信じよう。
       〈´ニニ二∀     ':,         `'マニニ/冫、ニニニニニニニ
      }/二二{   ,'    ':,       : : ̄i .イニ=}`''<ニニニニニ     だが、関心はせんな。女に誘いをかけておいて、
       /ニニニニΚ ,'      '       : : /ニニ=/     `''<ニニ
.      /ニニニニ∧\   ',        _ イ二二ア        `''<     寝床から別の女の匂いをさせるなどとは。
     /二ニニニ/ ∨_\  ',    _ <ニニニ/
.    /ニニニニψ  V二`‐┴―≦ニニニニニリ
.   Yニニニ=/|     VニニГニニニニニニ彡〈
   {ニニニニニ/ヽ.   {ニニヘ二二二ニニニニ/
   ∨二二ニニニ\ /二二/二二ニニニニニ|

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
初めて、アルトリアを怒らせたかもしれない。
背筋が凍り付き、心臓を鷲掴みにされる。

おっしゃるとおりだ。
そのベッドには、つい昨日はやてが眠っていた。
アルコールと汗と香水の匂いを漂わせながら、それはもうすやすやと。

そこに関しては反論のしようがない。
アルトリアに食事の誘いをかけて放置したのも事実だ。

アルトリアは不機嫌そうに鼻を鳴らし、眉間に皺を寄せていたかと思うと、
急に力の抜けた虚無感の漂う表情となった。

「……何を言っているのだろうな、私は。私はあなたの何でもないのに。
すまなかった、忘れてくれ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

2622 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 21:36:08 ID:5dmKKaoA0 [43/52]

     ____
   /      \
  /         \
/           \     う、埋め合わせは必ず……
|     \   ,_   |
/  u  ∩ノ ⊃―)/      あ、アルトリアさん、どっか、行きたいところとか食べたいものとか……
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |       可能な範囲で付き合いますお。
  \ /___ /





                     __  __
                  __,.r'' _≧´--`≦`ヽ
                     ノ> ´       ` <}
                /  /         .、 ヽ
            __.. -‐  /  /  i    i   ヽ  ,
                 ̄ 7   /   ,:   ハ.    |  ヽ  \!
             /  .,  / ,:  i ',   i!   \. \
                 ,    i , /!.ハ. |  ',    !、  、  ',   ,
             i ,  j/ /ーi'- ', !  ヽ  { ヽ ヽ ',  ',
             レ'  / /r=芋ミヾ     `ィr弍=ァヽ :,  i
             /  ' ∧ ゙ ゞソ ゙   " ゞン " ハヾミー- .._      …………。
       ジーッ   /   ハ._,      ,      ム/::::i `丁
           / ィ   {ヽ:::ハ            ハ:::::::! . ',
             〃 i :  | ヾ彡:.、    - -    .イ}}:::/ | .ト、 ヽ
         /   | i  | /::::::::::::>      <::::::::::::} !/ ヽ 、
        __    ', ! | {:::::::::::::::ハ、>.=.< _ハ::::::/ /    \
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神秘的な金色の瞳が真っ直ぐにこちらへと向けられる。
睨まれているでもなく、ただじっと、カメラのレンズを向けるかのように。

不思議な人だ。薄っすらと微笑んだり腹を立てたりするのは分かってきたが、
彼女が自分に何を求めているのか、未だによく分からない。
話されていないから当たり前ではあるが。

人間、未知なものには二通りの反応を示すという。
一つは恐怖。未知というのは恐怖の親戚であり、それは争いの元にもなる。
闇を恐れるのは、そこに何があるか分からないから。
初めて遭遇した人種を警戒するのも、分からないから。
恐怖とは未知であり、未知とは即ち恐怖なのだと。

一方は、好奇だ。恐らく、自分は今、彼女にこれを感じている。
不思議なものや初めて見るもの、新鮮なものには、人は惹かれるという。
未知なるもの、新しいものというのは、それだけで刺激的なのだと。

彼女を見ていると、どんな人なのだろうと思いを馳せることがある。
そのミステリアスさが、自分の好奇を駆り立てるのだろう。
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2623 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 21:41:00 ID:5dmKKaoA0 [44/52]

                  _ -――――- _ __
               ∠            ` 、_}_
               /             、 ` 、⌒ヽ
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           '   ′   /           |    |   、ノ}
            l{   /  {   /{   {  |    |    | ̄ア}ノ\
          八  |  ',  l  、  {  l 、 |    |/ ハ___ノ
            \|', ∧| |  \_{\|\\|    |  / /⌒}      では、付き合ってもらおうか。
              | ∨ャ竿ミ      斗竿ミ|    |/ /__ ノ
              | ∧  Lソ      Lソ |    |ヽ/⌒\       今日の午後九時、さっきのスーツを着てブライドル地下
              | ハ            |    |ノi:i:i:i:i:i:i:\
              l  込、  '          |    |\i:i:i:i:i:i:i:i:i:',     北方2番エリアのロータリーに大時計がある。そこで待て。
              |   | \   r_、     ,|    |、i:i\i:i:i:i:i:i:i:}
              |   |    、      イl|    '{i\i:i:)_i:i:/      「えっ。一緒に行けば」
              人   |     l` ‐  ´   l|  /i:V⌒i: ̄{
                    、|    f≧======≦_|  ,'⌒i{i:i:i:i:i厂         ダメだ。分かったら、さっさと残りを済ませるぞ。
          _-=ニニ=- __ノvニニニOニニニ=|/二⌒⌒^
            _-=ニニニ/ニニ\ニOニニニニニノニニニニ≧ァ≦⌒\       私も一度、準備をしに戻る。
           _-==ニニ {ニニニニニ/\ニニニニニニニニニニニ/ニニニニニ',
         _-=ニニニニ〉二二ニ\/二二二ニニニニニ/ニニニニニニニ',
           _-=ニニニ/ニニニニニ/二二二ニニニニニニ/ニニニニニニニニ',

2624 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 21:41:32 ID:5dmKKaoA0 [45/52]

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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2625 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 21:50:18 ID:5dmKKaoA0 [46/52]

     \ \                    /      / /
   \  \ \      -──-              / /
     \    > ´         `   、             /     /
  \       /       \     /   ヽ              /
         /:      ( ●)   (● )       \人人人人人人人人/
       ': :           (_,人_,)       ',  < 恥ずかしいお!! >
  _     {: :           |!   i|         }  /Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y\
       ': : : .          lL_jl        /            ──
        丶: : : : . .      ̄        /        ───
    _    > : :_: : : . . . . . .  _  <            ニ二
   ̄         >‐ヘ ̄芥、 下、
    -‐  ´    /    ∨ |::|V_ハ           ‐-   _
   -‐       /   /    |::| |や!人           ‐-   _ ̄
          r' n  /    /:::| l.る! ,ヘ        ノ )        ̄
   /    ,.イr'└--っ  l::::::| |く|  ∧    _ f´  -っ    \
     / / 7 {  ニつ  ヽ:/ |ん|  〃 ̄ ̄/ {´   三フ  \ \
    /   { 人丶._‐う      ̄ ト、      {   マ´  ̄ ´      ヽ  \

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無風のロータリーにはタクシーや自家用車が列を成していた。
夜の街らしく、建ち並ぶビルの窓から漏れ出る光と、ネオンサインに彩られた
暗い街並みに、身なりのいい男女が入り乱れている。

男を待つ女。女を待つ男。誰もが享楽的な表情を浮かべ、車に乗り込み、
もしくは腕を組んで、人口の夜闇の中へと消えていく。

つまるところ、ここは歓楽街エリアだった。
それもただの歓楽街ではない。少し大人の歓楽街だと、自分でもわかった。
既に若干、頬を赤らめながら怪しい足取りで歩いている人もいる。

エンジン音と男女の喧騒を聞きながら、棒立ちでロータリーの中央に鎮座する
板状の大時計を眺め続けるのは中々に堪えた。
せせら笑いが自分に向けたものに思えてくる。

なんせ、今の自分は身に着けたこともない正装だ。
鑑の前に立っても、着られている感覚が拭えなかった。

一体なぜ、アルトリアは自分をこんなところに、こんな服装で呼んだのか。
第一、アルトリアとてこういった場所に縁が深いとも思えない。
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2626 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2020/06/08(月) 22:06:12 ID:qDT/Hd8c0 [1/4]
っぱアルトリアさんよ

2627 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 22:08:57 ID:5dmKKaoA0 [47/52]

                      ><_>ーi、彡イ三三三ミiiッ、
                      |///////////i、三三iiゞミ三三ミii、  __  ___
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        ェ≦´_____     `"''<ミii、`"''<三三三三三三三≦三i    .|マ  `''<
 _,,。ッ‐''"´ ̄ ̄""'''≧ニニニ==ー 。,,_ーー''/ミii<`ヽ,   .\''ーー-====};;;;;;;i三三}iミiiッ、,, }ミ}`"''ー-===---=、,,`"''<,
i{''ー-=、、,,。=ー''" ̄   `ヽ、'ヾiiヽ,ヽ,ッv./三i}  .`<`ゝ、,, .ヽ   /ヽ_ノi三三}iゞッ、ニi`ヽヽイ`ゝッーi}'''''''ー.》、''''ーー-=≧
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  `'<`'<,,_: : : : : : : : : : : : :>ニニニニィー《''<       `<''ー-=。_i  ヾi三三ミiミッ、;;;}、ノイヽ、\\''"´ ̄ミ;;\\イ
   . .\  `"''<,,__>≦ミ>≦/../三ii   `''<,,     `<ニニ/三.イ三三ミi、ミi,ィ'ヾ} //}iマヾi\\==i、__,,。ィ.,ィ'
       .\    /三三イ/ ././三ミ/      `ゞッ。    ヽi{三iiゞ≦彡ゞッ、ゝ,;;;;;;iヽ=i.ii ', {;;;;;}i ( ○) ,,ィッ}i
        .\ /三三マ/ i  {、{、_シ          `"ゝッ、  .ヽ__)三乂:::::::::::::ゝ==、iii}、|i}i ',_。イゝ、=イノi} } }ニ}
         ヾ´i三三ミ ii  i .i{{ ̄i"''ー-=。,,_         ゞッ、 ヽ三三i}__}ノノゝェェェ}i /\'´''"´ミッェェシ///ニ}
           i三三ミi.{{  i マi、ゞッ、ゝ─イノ"i''''iーi--=。,,___ヾ、 .ヾミニ__ゝニニ/ゞ彡i_//ミii、ゝ、__,ィ'.,ィニシ
           i三三三 ',  乂ヽヽ,ゞミッi、イ /// }i }i三ミiミミミミ≧ッ、ヽ ゝ─ii'''''''ニニニィ''´`'<三≧ッェェェ≦ミシ
           .i三三三i、',  ゝ、ゝ,,__,,、イイ ///三マ===ゞ三三三>''"´_,,。イ        `''ーーーーー''´
           マ三三三ii、ゝ===>    / ,イ ,イ三ミノ  `'<二ニ≡=ー''"´
            .マ三三三ミiii、ゝィ==ー''"´ ィ'_,ィ'三三シ
             \三三三三≧iiッェェェェ≦三三ミシ
              .\三三三三三三三三三/
                `'<三三三三三>´
                     ̄ ̄ ̄

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約束の時間まであと二十分といったところで、それは聞こえてきた。
ネクストのブースターよりは劣るが、生身で聞いていると、
それは怪獣の唸り声にも等しかった。

一つ目のライトが街の暗闇に差し込み、内臓を揺さぶられるような
エンジン音を轟かせながら、一台の大型バイクがロータリーへ突入してきた。
タクシーが並ぶ中に火花を散らしながら、黒い車体を滑り込ませてくる。
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2628 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 22:13:48 ID:5dmKKaoA0 [48/52]

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             -―-ミ/:/ /  :i伐_ツヽ八:: | ::|__:|  .::i:::: ::.\
      / /_、‐゛ .:::::::::/ノ/  从     从|x=ミ从 ::|::|、 .::|`¨⌒
     / i:  /: /  /.:::::::::{人{.:|   | :     ノゞシ / | ::|::|::)ハ|
     { 八 :{ ,  /::: /r---/从 .:| i      '   イ:::リ |:リ:::::ヽ_
      、  \:{∨,.彡イ//``~ 、ヽ:| l `  '   イ_彡'   |/二二ニ{          待たせたな。
     \    ̄ ̄_/ミ \二=|从|ヽ__ ,. <_/ フ / 人三二==-_
     /⌒_  -<////∧二ニ∧__ <_二二}/{ /{. / /  }二二ニ=-          あなたのことだ、少し早めに着いていると思った。
   \人_/二二二∨// ∧_/::::::::} ヽニ=|/{二人{ニ\ 人二二二人
     `¨7二二二ニ V///∧=\:::::廴ノ::}ニ|/|ニ|ニ}ニ八  ト 二二二}
      i二二二ニ=∨////,、ニ''⌒{:::::::}ニ|/ ヽ{ニ/ニ/二\__}二=- __{
      |二二二二ニ∨ /// \ニY⌒ヽニV/ハ//二二二 }二\ニ \
       〈二二二ニヲ=ノ////////\{::::::::::∨ //∧‐=二二 /二二 =---{
      /二二ニ/=//////////// \:::::::' ////∧ _二二二二\二二二',
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 {二二二二二 /二二二ニニ:| |/::::``~、、\∧ニ=\ニ\ニ\ニ\二\
. \二二二 /二二二二二ニ:|ノ⌒≧- __ソ/∧二二二二\二二 \ノ \
    ―― '" ̄ ̄ /////////////{_}``~、 \二二二二二二 /二二:\
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           ///////////////////\/)ニ\二ニ:\二二二二二二二二二ニニ:\

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自分を含めた周囲が呆気にとられ、そのバイクと持ち主を見つめる。
シートに跨ったままの持ち主は黒づくめのスーツ姿だったが、
一目で女性と分かった。顔こそ黒いフルフェイスヘルメットで隠れているが、
その肢体の細さとしなやかさ、腰つきなどは紛れもなく女性のものだ。

グローブを嵌めた手で艶のあるヘルメットを持ち上げるようにして脱ぎ、
ばさばさと色素の薄い髪が露わになり、肩へと舞い落ちる。

全身を黒で統一し、ネクタイを締めてベストを着こんだスーツ姿のアルトリアが、
自分の身の丈を優に超すようなバイクに跨って、そこにいた。

周囲の誰もが連れの存在を忘れ、視線を奪われているようだった。

すらりとしたシルエットは凛々しく、美少年のような佇まいですらある。
余裕のある笑みをふっと浮かべ、彼女はヘルメットを脇に抱えて
こちらに手招きをした。
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2629 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 22:14:17 ID:5dmKKaoA0 [49/52]

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      |:|: .:|: .:|.: .:|八:. :|   ゞシ从  .:i/:..:/_〉、
        从: :|: .:| :斗ミ\|       i  .:|ヽ/^ヽ: \        何を呆けている?
         ヽ\ト ` v)      | :. :.| {   :. :.\
           | .: :心 :}    -   |:. :. |-=7=-_}:.:. :. :\     早く後ろに乗れ。ああ、ヘルメットも忘れるな。
           |i .: .: 个  .,_'    |:. : 从/=/二二二ニヽ
           .从 :. :. |     ア´:|:. / 二/二二二二二=i    ちゃんと、あなたの分もある。
.             \:. |    {二ニ|:/ 二/二二二二二二=|
                ヽ  _ -/ニ{::::7ニニ{二二二二二ニ /|
               r‐{二=/ニ/ヘ/二二ノ二二二=--=ニ:/:.|
               |ニ|二/ニ/:::/二=-/二二二二二二:' 从
             /|ニlニ/ {:ノイ二二/=- 二二二二=
           {二|_/ /二ニ:r=つ 二二二二二
            _/|二|=/=- -= ノミ_::)二二二二二二
         /:::::>――----个.、::)二二二二二二/
           _{:::/二二二二二z从二二二二二二二

2630 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2020/06/08(月) 22:26:05 ID:qDT/Hd8c0 [2/4]
やる夫よりかっこいいんじゃないかw

2631 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 22:26:27 ID:5dmKKaoA0 [50/52]

                 .  ‐=ヽ  ̄ ̄ ̄``丶、
             _、‐゛      :.         \
          / /  .:|  :|  :.      :. :.   ヽ
           '     .:.:| .: :|:. ハ     i:. :.\   ',
         / .: : i.:.:|.: :/|:/∨/ i     |:. :.     :.
          ':. :. i :.|:.:.|:.:/,ィ芍7 |:|  .:   |^ヽ:. .   :. :i
       i:.|:. :|i:.|:i:.|/  vソ  |:|    .: .:|) } : : : : : :|
       |:.|:. :||::|_V         |  .: .: .: | ノ:. :.\:. : |
       人|:. 八v心       | .: .: .: .: |' トミ_.: .: .:人
        ∨ |: V        | .: .: .: .: |    >彡へ~、、           この私が、夜遊びに連れ出してやろうというのだ。
           |: 八  、 '   | .: .: .: .: |__/二二二 \:. ``~、、
           |:. :. ヽ      | :. :./二二二=- ―=二二 \:. :. :. `` . .     今日は無礼講、というものだと思うがいい。
           |i :. :. :. \     |:. :/二二二二二:.\二二二 \:. :. :. :. :. \
              八 :. : : |   ー个:,二二二二二二二}二二二二:\:. :. :. :.  ヽ
               \:.:.:|      l:/三三三三三ニ=-:|二二二二二 \:. :. :. :.  :.
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                      _/三ニ=- 二二二二二.:|二二二二二二ニ: \ :.  |
                 {二二二二二二二二二 |二二二二二二二二: \:.ノ
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                   /三=-=二二二二二 -=三三三三三=- 二二二二二ニ:\
               , =-二二二二二 -=/三三三三三二二ニ=- 二二二二二ニ\
                 /二二三=-=二二:/三三三三三三二二二二二二二二二二=-_
             /三ニ=-=二二三:/三三三三三三三三二二二二二二二二二ニ=-_
          _/-=ニニニニ三三/三三三三三三三三二二二二二二二二二二ニ=-_
         /-―━━━‐-三三三/\三三三三三三三三二二二二二二二二二二ニ=-_
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何も言えず、ただ無言で頷いて歩み寄る。
バイクはまるで生きているかのように律動を繰り返し、その体を震わせていた。
冷たい機械のはずなのに、生命の息吹にも似たものを感じる。

アルトリアは一度、長い脚を上げてバイクから降りると、
シート下のトランクを開けて、彼女のものと似たようなヘルメットを取り出し、
こちらへと差し出してきた。

窮屈なそれは対汚染スーツのヘルメットにも似た閉塞感がある。
たまらずバイザーを上げ、彼女を見ると、既にバイクへ再び跨っていた。
その姿勢のまま、まるで西洋騎士のように手を差し出してくる。

黙ってその手を取り、彼女の背後、何とか人一人が座れるスペースへと飛び乗った。
初めての乗り物に高揚感が湧いてくる。浮つきながら車体を見下ろしていると、
おもむろに右手を掴まれ、「放すんじゃないぞ」と呟かれた。

腕を背中から回すように誘導され、息を呑む。

「まあ、たまには、こういうのも悪くはない。
今夜は全てを忘れさせてやる。あなたにはこれくらい強い刺激の方がいいだろう」

アルトリアは独り言ちると、ヘルメットを被ってハンドルへ手を伸ばした。
前傾姿勢となった彼女に釣られるように、自分も姿勢を傾ける。
体重が乗りそうになり、焦って腰へ力を入れた。

下敷きになるばかりだったバイクが唸り声を上げ、
突如としてタイヤが回り始めると、アスファルトを切りつけながら
ロータリーから飛び出した。

風のなかった街で、自分たちが空を切り、それが風となっていく。
どこへ行くのかも聞けず、ただ回した腕から伝わる感触と流れる景色、
ヘルメットの後部から垂れてたなびく彼女の髪に意識を取られていた。
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2632 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 22:26:53 ID:5dmKKaoA0 [51/52]

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                               ┌┐
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2633 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/06/08(月) 22:30:16 ID:5dmKKaoA0 [52/52]

         ,- ‐‐ - 、
       r‐イ: : : : : : : : :`,
      i /○ ○: : : : /   /` 、
       i_ _ _ : : : : : : :{    / : : /
       `,_ _`=-: : : :|   ノ : : /      今回の投下はここまでだ。書き溜めがたくさんできてた分、3シーンもできたね。
       i: : : : :_: : : : :'y´ : : : /  
       `-‐、´: : : : : : : : : /        アルトリアとはもう一度安価を挟むつもりだったが、やる夫君も約束を破るような子でもないし、
            ノ : : : : : : : : i´
          / : : : : : : : : : :|          このような形を取らせてもらった。騎士面感じちゃう……やる夫君女の子になっちゃうねぇ。
           i: : : : : : : : : : : !
.          (`ー‐-  -‐ _}





       , -‐   ‐- 、
     /: : : : : : : : : : ::',
    , ': : : : : : : : : : : : : : :',
  /: : : : : : : : : : : : : : :○:',
  ヽ : : : : : : ○: : : : : : : : :',        次回は来週の月曜日、6/15午後八時からとしよう。
 .  `ト : : : : : : : : : : : _,-‐'`iヽ _
    i: 丶: : : : : :,-‐'´__,-‐'´: : : `ヽ    しかし、クーガーの時もそうだが、一周目であんなに激しく殺し合った相手と
    | : : :ト: : : : `-‐´ : : : : : : 、: : : 丶
    | : : :'、j`-‐ : : : : : : : : : : : \: : : ヽ  イチャコラするってのは不思議な感じがするね。
    丶,,:_:_:_: : : : : : : : : : : : : : : : | : : : i
          `ヽ: : : : : : : : : : : : `ー‐'   それじゃ、来週までシーユーアゲイン。
             ヽ: : : : : : : : : : : : : ヽ

2634 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2020/06/08(月) 22:32:01 ID:0MDFvfGI0


2635 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2020/06/08(月) 22:34:55 ID:okqihIas0 [2/2]
乙でした

2636 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2020/06/08(月) 22:39:23 ID:qDT/Hd8c0 [3/4]
乙です!

2637 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2020/06/08(月) 22:39:45 ID:qDT/Hd8c0 [4/4]
今回はアルトリアさん回で嬉しかった

2638 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2020/06/09(火) 00:00:57 ID:blVkstlo0
お疲れさまでしたー

なのはとはやてが「やる夫君」呼びなのに対して、アルトリアだけ「あなた」呼びなのが、立ち位置の違い感じます


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