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短編 ジーキル博士とハイド氏 後編
3069 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:11:43 ID:S4b0V18w0 [285/511]
ラニョン博士の手記
|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
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ラニョン博士の手記
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3070 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:12:03 ID:S4b0V18w0 [286/511]
┏──────────────────────────────┓
│四日前の一月九日、俺は夕方の配達で一通の書類郵便を受け取った。 │
┗──────────────────────────────┛
V _＞'':::＞'"＞ ｀ヽ
. Ｖ _＞'':::::＞ ,.ィへ_.､､＼..__ ミ､._
Ｖ_＞'':::::＞ ,.ィ-‐ ニ::::ハ｀トヽ、 ヽ=-
,.. -‐＝V＞''":;.ィ ｉ/ｧｒ ¨ｔｱノ ﾐソ }ミヽ､ ヽ -
ｉ -‐''"_,.:ィ:,.ィｔ:ﾑ '¨ヽ￣ ｒ ﾉし'^V ＼
ﾞ¨¨ ￣/ ﾞﾍ｀ ¨´ l i ', ＼､ i. !:: ヽ.＼-､. ジーキルの手紙だって？
. ﾘ .ﾊ、 ｰ'¨ﾌ ＼. ';:: ﾞ､ ヽ＼
∠ / ∧ ｀_,. ‐ﾆヽ ヽ !::. ヽﾉ ｌ: 昨日、晩餐会で会ったばかりなのに、なんでわざわざ手紙を寄こすんだ？
-イィ ', .V´ / /::: / ;:
,.ｨ'¨=-､ ∧ ｀ご. /:::: ./ ./:
,斗- ､ ﾉY'¨ヽ. ＼ i ./:::: ! ,.' ./::::
.（ ,⊥..__ ｀/ ヽ,ｲ >、__..ｨ:::: i ／ /::::::
/ L、 ｀ト -' l / ,.ィ、::::::::....／ ./::::::::
v'´￣¨ﾞト!、 / / i´‐､ ＼:::／ /::::::::::
i ＼,.ィ ﾉヽ＼ / l |::く＼ ::| /＼. /::::::::::::
3071 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:12:23 ID:S4b0V18w0 [287/511]
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
| 長いな…。
| えーと、省略してまとめると……。
ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂_
親愛なるラニョン。
お前は俺の最も古い友人の一人だ。
そして、俺達は学問上の問題で意見を対立したこともあったが、それでもお互いの友情が壊れたことは一度もなかった。
もしも、お前が「ジーキルッ！俺の生命、俺の名誉、俺の理性の一切がお前にかかっているんだッ！！」と言われたら、俺は喜んでお前を救おうとするだろう。
ところが、ラニョン、今こそが俺の生命、俺の名誉、俺の理性の全てがお前の慈悲にかかっている。
今夜、お前に見放されたら、俺は破滅してしまうんだ。
こんな前置きを読めば、お前は嫌なことを頼まれると想像するかもしれないが、それはお前自身の判断で決めてくれ。
まず第一に、今夜のあらゆる用事は全て延期にしてもらいたい。
たとえ、国王の病床に呼び出されたとしても断ってほしいんだ。
そして、馬車か辻馬車を用意して、俺の家に行ってくれ。
執事のプールにも指示を言いつけているから、錠前師と共にお前の到着を待っている筈だ。
錠前師に実験室の書斎のドアの鍵を開けさせ、お前一人が中に入り、大文字でＥと記した左手のガラスの陳列棚を開けてくれ。
ガラス戸に鍵がかかっているのなら、壊してしまっても構わない。
そして、上から四番目、または下から三番目の引き出しを『その中身を全てそのままに』、抜き出してもらいたい。
俺は酷い心痛の為に、お前に指示を誤りはしないかと病的な不安を感じている。
だが、たとえ俺の言葉が誤っていたとしても、中身を見れば必要な引き出しが分かる筈だ。
そこには、散薬の包みと薬瓶が一つとノートが一冊入っている。
その引き出しをそっくりそのまま、キャヴェンディッシュ・スクウェアのお前の病院まで持ち帰ってほしいんだ。
第二の頼みは、夜十二時の皆が寝静まった頃に、お前は一人で自分の診察室にいてもらいたい。
そして、俺の代理で訪れる男をお前自身の手で室内に通し、お前が俺の家から持ち帰った引き出しを彼に渡してやってほしい。
それだけをすれば、お前は自分の役割を果たし終えたことになり、俺は心から感謝したいと思う。
この依頼の理由をどうしても知りたければ、五分後に知ることができる。
これらの手続きが重大であり、その手続きがいかにも奇異に見えるだろうが、
それらの手続きの一つでも怠れば、俺は死、もしくは理性が破滅し、お前の良心が苦しめられることになる。
お前がこの願いを軽んずるようなことはしないと確信しているが、万が一にそのようなことがあるかもしれないと思っただけでも、俺の心は沈み、手が震える。
どうか今の俺のことを考えてくれ。ある妙な場所にいて、想像できない程の暗い苦痛に悩んでいるのだと。
しかし、お前が俺の願いをちゃんと果たしてくれるのなら、俺の苦しみは一息のように過ぎ去るんだ。
どうか俺の頼みを聞いてくれ。親愛なるラニョン、俺を救ってくれ。
お前の友 H・J
追伸
手紙に封をした後、俺の心は新たな恐怖に襲われた。
郵便局が何かのトラブルで遅くなり、この手紙が明朝までお前の手に届かないことがあるかもしれない。
その場合は、明日中の一番都合が良い時に俺の頼みを実行してほしい。
そして、やはり夜十二時にもう一度俺の使いを待ってくれ。
だが、そのときはもう遅過ぎるかもしれない。
そして、その夜が何事もなく過ぎれば、お前は二度とヘンリー・ジーキルに会えないと思ってくれ。
3072 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:12:47 ID:S4b0V18w0 [288/511]
__ /＼/＼/＼/＼/＼/＼/
i´ ｀ヽ /＼/＼/＼/＼/＼/＼/＼
＼ ＼ ﾞソ'´::￣￣¨:::ｰ- /_ /＼/＼/
入 ＞ .._:::::::::::::::::::::::::::::::¨丶､'＼/＼
i､ テ..,,_ ＞- ::;;_::::::::::::::::::::::::＼ ／
ヽトｒｔｫ-､ﾝ¨Tキ= ¨ ｰ-- ::;;___l ジーキルが凄くやべー状況で、
/ ¨￣ ｀ヽミジ'´ヽー-- ..__ ￣ 俺は夜になったら馬車でジーキルの家まで行って、
ｒ.' ､/ヽ ヒ/,.ｲリ/ ヽl ＼ 実験室の書斎に入って、指定する物を取り出し、俺の病院まで持ち運び、
ヽ ﾉ ', ｒ__ノ l l ',＼ ､ 夜十二時に診察室でジーキルの使いに会い、ソイツに指定した物を渡せ…ってことか？
ヽ-､ ｉ / / / l. l V ＼ヽ
,Ｆ-' l / i i / ｌ l ', ＼＼ わけがわかんねぇ手紙だな。
ｿ / ヾl 、 i ヽ ＼
人_,.. -‐ ｴ --===＝ヽﾘ / ヽ.＼
,. -─＝＝‐-==ニ二￣::::::::::::::::::::::::::l ﾊ ､、 i ヽ
:::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾヽ ｌ} iヽ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::リ＼
／::::::::::::::| ＼::::::::::＼
/::::::::::::::::::::l ,. -──┴──---- ､
|::::::::::::::::::::::__r─／ ＼
|:::::::::::::; イO }／ ＿＿__ }
V::::／ ／ ｘ＜￣::::::＿＿＞､＿,.--､ ／
∨O o /／::::／ヽ＼＼{、 ＼ '⌒ｿ--､
. ／￣￣￣¨¨二二二ﾆﾆフ＿＿レ＜:＼l } ｆ⌒ヽ 昔から非現実なことばかり夢想する野郎だったが、
. | /´￣￣ ＿／/:::ィ─ｔ:ﾃﾃぐ´У/八{＾} | ジーキルは大丈夫なのか？
乂 { ,. -─ ､_,.ィ7ｆ/::}ﾊ ￣ ´￣￣ ＼/ ｿ 人
｀7 ／//ｒ':ィ_ｆﾂ }│ ＼＿ （ノl ……仕方ねぇ。
. ／＼_／ 人{ﾄﾐﾊ 〈_ﾉ｀ヽ ｀ﾏ{__ | ヽ ほっとくわけにもいかねーか。
／{￣￣￣ｊ＼/ （_ ｀￣∧ ヾ' ⌒＼、 | ＼
/──‐く /ヽ 人 ,ﾊ、 r=-一 ト､ / ／ ＼
＿＿,ﾉ ＼__,ﾉ（ ﾊ. ､_,.ｨﾆﾆ l / ／ ／
／{ ｊ＼__,ﾉ__（ _ノ ‘， , ' ／ ／
,. ー一く /＼::::::≧､＿ _ノl＼ ,. ----／／ ／
} } ＼__ﾉ:::::::／::::::::￣::::/::| ヽ: : : _／／ ／::::::::
ブ¨¨￣ヽ__ﾉ::::::::/:::::::::::::::::::::/:::::|＼ ￣ ／ /
3073 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:13:12 ID:S4b0V18w0 [289/511]
┏─────────────────────────────────┓
│日が沈む時刻になり、ジーキルの邸宅に到着するとプールが出迎えてくれた。 │
│プールもなぜこんなことするのか、不思議がっていた。 │
┗─────────────────────────────────┛
＿＿＿＿＿＿＿
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/::::::::, -- ─ ､::::, ─ --､:::::::::::ヽ
|:::::::/ Ｖ ＼:::::::::!
|::::/ ヽ:::::|
|::::| ￣￣ ￣￣ |:::::|
|::::| （ ● ） （ ● ） |:::::!
|::::〉 ⌒ ⌒ 〈:::::|
（@ ., ､ u .@）
| （＿＿_人＿＿_） .|
| ｀ ⌒ ´ |
! |
ヽ /
ヽ、 ＿_,ｲ
／ ＼
┏─────────────────────────────────────────────┓
│プールも俺と同じように郵便の配達で手紙を受け取ったらしく、急いで錠前師と大工を呼びせていたらしい。 │
┗─────────────────────────────────────────────┛
3074 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:13:38 ID:S4b0V18w0 [290/511]
┏────────────────────────────────────┓
│俺達は実験室に入り、時間はかかったが、二人の職人達に書斎のドアを開けさせた。 │
┗────────────────────────────────────┛
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┏────────────────────────────────────────────┓
│Eの印が入った陳列棚には鍵はかかっていなかった。 │
│俺は引き出しを抜き取り、それに藁を詰め、敷布で包んでキャヴェンディッシュ・スクウェアに持ち帰った。 │
┗────────────────────────────────────────────┛
_. -‐'≦￣￣|:￣￣￣￣￣￣￣￣::|
／二ﾆ ＿＿ :| |
ハ .{ |´.__ :| | | :l: | {二二二二二} |
{丁j | | {__} | | |_ノ....:| |
v_|_j |..|: :| ￣ ::| |
,､__, .＿j!￢!.! | | |
ｨﾊﾐﾐ､ .＿ィ |l .| .:| _...._ | rﾆ; rﾆ;
,ﾄj∠=ゝ＜::¨::｀丶 { ￣￣￣| r;.| ／V｀ﾌヽﾉ r---イﾉ r――'-ク丁7ヽ
jl=!//::::':::::::::::ﾊ:::::} l､＿＿_...| |ﾊ〈ﾍ|| '}〉ﾊ ￣＼￣￣￣￣ ￢7､¨ﾍl:l| / ﾊ
k'::!:::::{::::::::::::jlll!::ィ⌒vj!聿__! !'/ヽj:|'/ｲﾊ', 〉〉 / ﾗﾍ|| ｿ:ｲﾊ
l::ヽ!:::::',:::::: r'-V v!{ｿﾊ|二ﾆ| { !ヾﾍ|/／} }､z_イ＿＿＿＿≧{∠ド､ﾞｗ'/ぐ !
ﾊ:::::ヽ＼}:::ｨ￣{≧o≦}l≧≧|―-{ {==(.)===}l l―┬――――┬┬―‐'≦ニ_j}
3075 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:13:56 ID:S4b0V18w0 [291/511]
┏────────────────────────────┓
│病院に帰ってから、俺はすぐに引き出しの中身を調べにかかった。 │
┗────────────────────────────┛
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〕 ￣￣￣￣￣ 〔
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/ ヽ
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| |､ ﾄ､ ';:::::::::: | l／::::::/ミ
'. V::::∧ V::::::::l／:::::::::/ミ__,ﾉ
（__V ∨:::∧ V{::/::::::::::::/ミ_ﾉﾆヽ彡,__人
（ ∨ ∨:::∧_／个l:::::::::::/＼ミ{〈ヽ}|､_ﾉ ﾉ 白い塩の結晶のような散薬と、
＼_∨＿_∨／|{ リ :::::::,ィ rｸ ｀ｰｒ'⌒´::::: 強い匂いがする赤い液体が入った薬瓶？
/ ∧ { ヾ／/::::,ｨｆｯ ', |::::::::::::::
. { {:::::｀:ーー:::´::／／冖´ { ', l:::::::::::::: 何かの研究でもするのか？
＼_ヽ:-:-:-:-r rｔｯ} ＼＿ ヽ } │::::::::::::
￣ Τi´ ＼ ', ､__､ ￣￣｀ヽ/ /|::::::::::::::
￣ヾ--ヽ 弋ノ＿_ノ / /｡,|::::::::::::: （と言っても、ジーキルの研究は役に立たねーものばかりだがよ。）
＼. ｀こ´ / /l ノ|:::::::::::::
／＼ / / l|｡/|:::::::::::::
／l::::::::::::ヽ---く__／ l|｡∧::::::::::::
/::::::|:::::::::::::::|＼_（ l r｡ ＼__∨::::::
. /::::::::l::::::::::::::::|:::::::::乂 ｡, ﾉ ∨::::
. ,'::::::::::l::::::／::::::＼::::::::::＼___／ ｡, ∨::
3076 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:14:24 ID:S4b0V18w0 [292/511]
,. --､ ,.､,z,ァx､__
r='ｪ､, __／ t-､ヽﾌy'//,ｨ災彡''７
.乍ﾆ三三三ミﾐヽゝﾍ_〉'/ｲ尨r'´ /
ｌ r- ｀`ﾐヾヽｬ'ｨ少" / ノートは普通の手習い帳だな。
l i ｀丁￣! ,'
! | ｰ '! ,' ……日付しか書かれていないが、
', r 、! i! ,! ! たまに「×月×日 全面失敗」「×月×日 倍量」と短いコメントがあるぜ。
', i^!. ',! ,ﾄ、 ﾄ､
', ! ヽ ＼_,! ', ,.r''´ ヽ、
L＿＿＿___{ヽ ` ,､i´ !
ゝ _ ,､! ,!
ヽ . -'
＿_r‐ ｧ'⌒ ＿
ノ⌒厂j冂 ／ ／ ／ ´ ｀ヽ
く_ / ( {{ jﾚ'´ / / ミ=ミ
_{ ｌ{ ＼∨ / , { / ／／ ￣｀ヽ
ノ（ 人 l| l/{ / / / -‐== ￣
人＿ミ=＼＿__l{ l{ ＼ （ l{ -―
､＿_＼＿__ﾉノｰ==ミ､） }} ／ -‐==ミ
､＿,ノ ｰ==彳___／ ／'⌒＾^ﾞ'ト〔 ＼ __
￣人____,ノ___ { l{/ } ／ / jﾊ ｌ | ﾆミ、
〈_:::::::｀.＜ / / } l | '⌒ヽ
ﾐ-==彡ﾉ/｀代ｔぅ､{ / , ィ__ ノ ﾉ リ{ ﾄ=‐く
. ｰ=彡/ ートV彡,ノ::::｀..＜__ 乂_ ＼ 要は、何かの実験の記録ってことか。
＿_,人 ／/ ﾉ{￣｢ 弋ｔぅ､::≧ﾄ=ﾆミ
. } / / / {{ ー一 ¨¨斤ﾃミ ただ研究をするだけなのに、なぜジーキルの名誉と生命にかかわるんだ？
ｰ=彡j ｀て ノ) ノ＼ ノリ人 } なぜ、ジーキル自分で持ってこようとしないんだ？
､＿| ‘'┴‐ヘ }! ／ ﾊ／ ノ )ﾉ
=-‐ | ＼ |l / /ノし'／（{N、 ……なぜ、使いの人間とコソコソと会わなきゃいけねーんだ？
=彡| ⌒ヽ ＼ ｌ| ' / ｀Ｔi l{ ＼
＿,ノ│ ﾘ / | ヾ=ー
＿／| __ノ ／ ´ l |＼＿
___／ │-- イ ｌ ﾄ､
|｀ﾄ､___)_ ≦ / / ,ノ_｣ ﾄ､＼
r──l } / /_ .. -‐ ¨ ￣ ／ }＼
| /ﾉ | __,厶 ￣ ／ /
l └─‐/ } -― ／／ /
／} | | ＿＿_／／ / /
. ／ // | ´ ／／ / /
〈 // / / /
. / { ＼{_{___/ / /
3077 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:14:39 ID:S4b0V18w0 [293/511]
・
・
・
・
［ラニョン病院の診察室］
-───-
＜ ＼|＼／⌒＞
＼ー--‐ ⌒ ´￣｀丶 ＿_
ト--‐＼ __ノ__ノ|
|＼| /
:、 ＼ ＿＿_ / /`^´＼ | ／ もうすぐ深夜十二時か……。
:、 ／|/|__{Ⅵ |__∧｣ / ／〉
〈＼ ＜ ,. --‐ヘ /＿ ∨ ／〉 ＿
＼ _ノ/三ﾆ三三〕 〔三三＼ 〉 / -─- ／ ｀ヽ
＼ 〈＼ | '＾ｰ<__tｯ>:}ﾍ ﾉｨ_tｯ>` ┼┐／ ／ ＼/ }
〈＼ }ﾍ ＼_| | | |l }￣ﾉ/ ＿ _＿_ ___ | ′
＼ :、L_ 〈 _ノ＾ヽ } /／[]_) /{___| |____}____}｜ /
＼ ＼__ :. ｀＾′ ///__ | { | :、 :、 ／
∠二 |: :. /ﾆﾆ} //´／ ＼:、 :、 } }-‐
／ |:. :. /‐ヘ::| / く __/ ｜ | :、
〈／ | ::. { }! //| ＼〉 ／ { ＿ | | :、
＼､＿ノ | ＼ ー─'′ / :|_ ＼_ | } } ￣ } ￣ }
＼＿＿ _ | | ＼ ＼--／ / | ＼ ′ | :| | .′
／ ／∧ |: :::::＼ /: | ∨ | :| | |
/ ∠ニ/ ＼ :::::::::: ー─::::: ／ ./ ｝ | |
/ニﾆ/ ＼__ ::::::::::::::::::: ／ /| 〉 } | |
{ ∠/ニニ| ＼:::::／￣ /_:| / / ／ ＿＿
-ニニ/.ﾆﾆニ| ／＼ ∨∧ /二| ／ニﾆ=‐-／二二ﾆ＼
. ＿,,.. -‐ﾆニニﾆ二/二ニニ| ／|￣￣￣￣}＼ /ﾆﾆｌ| ／二二二／二二二二二＼
. ∠ニニﾆニニニニニニ/.ﾆﾆニ二| .／ ∧ / ＼ /二二| /-┐二ニ/二二二二二ニﾆﾆ＼
. ∠二二二二ニニニﾆﾆﾆ/二二ニニ|／ //∧ / ∨二二∧ ／ |ﾆ二./二二二二二二二ニニ＼
3078 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:15:01 ID:S4b0V18w0 [294/511]
r '" ⌒'ー-､
从斗ﾐ‐ｧ､___ 乂 __
〈 _ .ﾊ ｉヽ‐=７//
ゝ彳Χ| |////
／∧ V＾ | |////
. /∧/∧ Ｖ｜ V´￣￣
∨/＼∧／| ∨ヽ
}///／ヽ :| V i 俺は最初はジーキルは疲れているんだと思っていた。
∨/{＼ | ｉ__|／ 友人を怪しむことなんてしたくなかったんだ。
. V/ゝ-=≦7´///
. }＼///∧//// だが、何か臭ぇ匂いがするぜッ！
////V//∧.///
. //////V///l／/
////／ニ丁´}ﾆ/
. ///／ニニ｛___ﾉ/
{//{ニニニニﾆ/
{/ :{ﾆニニﾆ／
／{ ＼ニﾆ/
/ /＼ ﾌ´
,′:/=- 丁
. / :/=- ／
/ :/=- ／
,ｲ ,ｲ
∠二＞ ,.イﾚ ﾚ
.∠二＞ ／_/ .,ｲ／!
／／ rz＿ . ／ ／´
／／ r‐' rz/. ﾚ'.| |／!
|/ ￣.|_〉 ／ ／
ﾚ'.| |
|/
r-､＿_
/ / ,' ヽヽ
/ /ヽヽ_ﾉ/
/ /〃/ /
/ /〃/ / 病院内でこれを使いたくなかったが……、仕方ねぇ、非常時だ。
/ /〃/ /
/ /〃/ / もしもの為に、これを隠しておこう。
/＼〃/‐-!
ﾑ/ /ヽ} }l
/7ｧLゝL/〈ﾍ/ﾉ
./// /ﾌ７7,.ﾍ==〉
/ヽ' / ////こ!} } ）
[ゝ／ ￣￣ ./j .j｀ヽ､
／ ＿// /＿＿）
／ ＿∠｢ﾌ/ /￣/
,/ ￣ ＼ノ、
｜ 、 -───‐ ､ヽ
｜ ,. -‐─- ､ヽ〉
｜ i ＼>
3079 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:15:27 ID:S4b0V18w0 [295/511]
┏──────────────────────────────┓
│ロンドンの空に十二時の鐘が響き渡り、ドアのノッカーがそっと鳴った。 │
┗──────────────────────────────┛
ｶｰｰﾝ ｶｰｰﾝ…
ｶｰｰﾝ ｶｰｰﾝ…
.,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
..;┌────────────‐‐ｰｰ┐|
..;│ .＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ │|
...;│ l . i . i . i . i . i . l │|
...;│ l . i . i . i . i . i . l │| ｺﾝｺﾝ…
...;│ l . i . i . i . i . i . l │|
...;│ l . i . i . i . i . i . l │|
...;│ l . i . i . i . i . i . l │|
...;│ l . i . i . i . i . i . l │|
...;│ l . i . i . i . i . i . l │|
...;│ l . i . i . i . i . i . l │|
...;│ l . i . i . i . i . i . l │|
...;│ l . i . i . i . i . i . l │|
...;│ ├─┴─┴─┴─┴─┴─┤ |│
...;│ |＿「」＿＿＿＿＿＿＿＿_____.| │|
...;│ l . i . i . i . i . i . l │|
┏─────────────────────────┓
│外に出てみると、小柄の男が柱廊玄関の柱に隠れていた。 │
┗─────────────────────────┛
|
|
|_＿＿＿＿＿＿
| ＼
|. ::::::::::::::::::::::::::::: ＼
|::::::::::::::,::::::::::､,,.-='､'､::::＼
| ;;:::┬′:::::::::ﾞ.ﾞ､;;;;::',ﾉ:::: ＼
|..''''''´":::::::::::::::｀''''''"⌒:::::: ＼
| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
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|,斗'''"´｀ ＜ﾞ::::::::::::::::::::::::: ／
/ ,=―ー一 ｀丶ﾞ::::::::::::: ／
々'´ ＿_,, - ∨
/ ／ ＿__,,,,,, ∨
3080 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:15:41 ID:S4b0V18w0 [296/511]
__ /＼/＼/＼/＼/＼/＼/
i´ ｀ヽ /＼/＼/＼/＼/＼/＼/＼
＼ ＼ ﾞソ'´::￣￣¨:::ｰ- /_ /＼/＼/
入 ＞ .._:::::::::::::::::::::::::::::::¨丶､'＼/＼
i､ テ..,,_ ＞- ::;;_::::::::::::::::::::::::＼ ／
ヽトｒｔｫ-､ﾝ¨Tキ= ¨ ｰ-- ::;;___l
/ ¨￣ ｀ヽミジ'´ヽー-- ..__ ￣
ジーキル博士の使いか…？ ｒ.' ､/ヽ ヒ/,.ｲリ/ ヽl ＼
ヽ ﾉ ', ｒ__ノ l l ',＼ ､
ヽ-､ ｉ / / / l. l V ＼ヽ
,Ｆ-' l / i i / ｌ l ', ＼＼
ｿ / ヾl 、 i ヽ ＼
人_,.. -‐ ｴ --===＝ヽﾘ / ヽ.＼
,. -─＝＝‐-==ニ二￣::::::::::::::::::::::::::l ﾊ ､、 i ヽ
:::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾヽ ｌ} iヽ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::リ＼
｀二／ =|/''′
⌒ { =|
丶,-‐ ,> その通りだお。
（＿_人_）
＼ ｀,二/
`` -: .､.__, ,,,,ノ'
｀`'''ｰ-､
3081 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:15:57 ID:S4b0V18w0 [297/511]
V _＞'':::＞'"＞ ｀ヽ
. Ｖ _＞'':::::＞ ,.ィへ_.､､＼..__ ミ､._
Ｖ_＞'':::::＞ ,.ィ-‐ ニ::::ハ｀トヽ、 ヽ=-
,.. -‐＝V＞''":;.ィ ｉ/ｧｒ ¨ｔｱノ ﾐソ }ミヽ､ ヽ -
ｉ -‐''"_,.:ィ:,.ィｔ:ﾑ '¨ヽ￣ ｒ ﾉし'^V ＼
ﾞ¨¨ ￣/ ﾞﾍ｀ ¨´ l i ', ＼､ i. !:: ヽ.＼-､. 夜風は寒かっただろう。
. ﾘ .ﾊ、 ｰ'¨ﾌ ＼. ';:: ﾞ､ ヽ＼ 中に入ってくれ。
∠ / ∧ ｀_,. ‐ﾆヽ ヽ !::. ヽﾉ ｌ:
-イィ ', .V´ / /::: / ;: ――？
,.ｨ'¨=-､ ∧ ｀ご. /:::: ./ ./:
,斗- ､ ﾉY'¨ヽ. ＼ i ./:::: ! ,.' ./::::
.（ ,⊥..__ ｀/ ヽ,ｲ >、__..ｨ:::: i ／ /::::::
/ L、 ｀ト -' l / ,.ィ、::::::::....／ ./::::::::
v'´￣¨ﾞト!、 / / i´‐､ ＼:::／ /::::::::::
i ＼,.ィ ﾉヽ＼ / l |::く＼ ::| /＼. /::::::::::::
＿＿＿_ ｷｮﾛｷｮﾛ
／ ＼
／ ヽ
／ (!
（（＿ | （_） ＿））
￣ ＼_ ヽ' ￣
／ ＼
3082 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:16:15 ID:S4b0V18w0 [298/511]
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' , ヽ=＠＝ﾉ ' ;
.. ♪～ （´∀｀ ）
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Y 人 ))
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＿＿＿_ _） ﾚ ﾚ （_
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＿ .__|:::u:::::: （__人_） i
／ ヽ､;;;;;; ﾉ＿_{ ／
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三 ／ __ ヽ
三 ! /r .）
ヽヽ _／
＼_人
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／`Y ..;│ .＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ │|
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ﾊﾞﾀﾝｯ!! ...;│ l . i . i . i . i . i . l │|
...;│ l . i . i . i . i . i . l │| ‐-=ニヽ
...;│ l . i . i . i . i . i . l │| _,,..-'
...;│ l . i . i . i . i . i . l │| _＿_,,..-‐''"_,,..-‐''
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...;│ ├─┴─┴─┴─┴─┴─┤ |│
...;│ |＿「」＿＿＿＿＿＿＿＿_____.| │|
...;│ l . i . i . i . i . i . l │|
3083 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:16:33 ID:S4b0V18w0 [299/511]
. ,. -─､,.-､,.-.､ ⌒ヽへ--､__
＿＿/ ､ｉl / ／ 三ミ､
. ／ ｀メ､// .// -､ 〉
/ ､＼ /／ ヽ ＼
. / __, ／/ /! l´ヽ'＾iヽﾘ、 ｌ i
. ', ,彡'´￣ __,.∠＿,ノ-‐:::.､ヽｊ ,へﾊ i ﾉ
. / ,.ィ´／／ｒ:::::;:ィ‐ｔ斥lヽｊ Ｌ;/ｒﾃト､ _）
/ ／ ／／彡!'¨´ 二￣ / ',ヽ￣ レ-' （怪しい男だ。まるで犯罪者のように警察に怯えてやがる。
ノ ／ ／／ヽｲ.ﾉ ヽｒ_Ｌ入 l ） 拳銃を用意しておいて良かったかもな……。）
/ .／／i ヽ_〔 ヽ ___ｰ' ',!ﾉ
／ ／ ＼__)i. ! ｆ´_-‐｀ｦ |ヽ
/ :! ｀ｰ‐一' ﾊ. ）
／ _/ ヽ ｰ'⌒ヽ/ く
イ.┌‐/〈 i ＞ ､ / )
/:＼ ＼ i ＿＿＞ .＿__/!、＿_ﾉ＿
__ｒ:/:::::::::ヽ /￣／ ,.- ー‐‐､:l lヽ＼:::::::::::
/::／::::::::::::::::∨ ./ ' ,ｒ‐ ー-! | |:::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::i ,.ヽ、 ） /ヽ.＼::::::::::
┏───────────────────────────┓
│明るい診察室に入り、やっと男の姿をはっきり見ることができた。 │
│男と初対面であるのは確かだった。 │
┗───────────────────────────┛
ヽ .| r==,、 ∥∥_/_/_/_/_/_/ ./
ヽ .| ｀＝´ ∥∥_/_/_/_/_/_/ ./
──────‐ヽ──────‐.|──────‐∥──────/───
＼ ヽ ＿＿＿＿_|＿＿＿＿＿＿.∥＿＿＿＿＿__/＿__
＼＿＿＿＿＿__ヽr'´￣￣￣￣''T￣￣￣￣￣'''∥￣￣￣￣￣'７￣￣｀ヾヽ
￣//二二二二二二｀li─────|─────‐∥─────/───ｎi⌒l
ヾヽ ヽ￣￣￣￣｀ヽ il | φ / n「i .| i
──ヾ-ヽ────‐ヽil────‐|────‐∥────‐/──nl^| i!.| .| .|
、＿＿_ヽ ヽ＿＿＿＿.',i!＿＿＿＿_|＿＿＿＿.∥＿＿＿＿/＿＿__.|.| .| | | .| .|
ヽ, l^l^h、,,,,,,,,,,,,,,,,,,i^h .| ∥ /,,,,,,,,,,,,_／|.| .| |.| .| .|
＿_ヽ＿∥i |.ト|:::| |::::| l|＿＿＿＿|＿＿＿_∥＿＿＿_/li三三三.| .|| ..| || .| .|
∥.l |.l .l:::i l::::i .|:::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.: : : :.:.:.:.:.:.:.|::|i::::::::::::::::| .|i ..| |i .| |
il .l |l .l:::l i::::| .|::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:: : : :: : :.:.:.:.:.:.:.|::|l::::::::::::::::l .|| ..| |l .| |
三三ﾆij l .|iﾆl:::l l:::i .|三三三三三三三三三三三三l::|i::::::::::::::::l |i .| |i .| |
三三ﾆij l .|ﾆl:::i .l:::l . |三三三三三三三三三三三三l::|l::::::::::::::::i ..|l .| |l i .|
ij .| .| ,l:::i .l:::l |::::::: : : : : :: : : :::: : : ::::: :: : ::l::|i::::::::::::::::l ..|i .i |l .| |
.il .| | |::::| l:::i |:::::::::::.:.:.:.:.:.:.:: : : :: : : : : ::::::.|::|i:::::::::::::::::i .|l .| |i .| |
3084 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:16:53 ID:S4b0V18w0 [300/511]
┏─────────────────────────────┓
│小柄の男だが、その男のゾッとするような異様な表情に驚かされた。 │
┗─────────────────────────────┛
―――― ､
／ . : : : : : : : : : : : .＼ / 丶 ｱ
／ ＼: : : : : : : : : : ／ 丶
/ 丶 ｱ ／ ＿_,＼ : : : : : ／＿__ ＼
／ 、 (/)ヽ丶: :／､ (/) 丿 ヽ
/ u ￣￣ " " ￣
{ (＿ 人＿ ) u l
、 l/////j ' / 丶 ｱ
＼ ￣￣ ／
／｀ ´＼
／ ＼
┏───────────────────────────┓
│身体は筋骨の逞しさを感じる一方、虚弱にも見えるような……、 │
┗───────────────────────────┛
┏──────────────────────────────────────────┓
│言葉で言い表すのが難しく、自分でも何を言ってるのかよく分からねぇが、とにかく驚いたってことだ。 │
┗──────────────────────────────────────────┛
,. ---- 、
く ,. --- ､ ＼
＿＿＿ ｀´ ＼ ＼
／ ＼ } }
／ ─ ─ ＼ /｀ ー‐ ' ﾉ
／ （●） （●） ＼ く__/｀¨¨¨¨´
| （__人__） | n,》》) i⌒ヽ
＼ ｀ ⌒´ ／ 〉 ／ ー '
,,,,, /⌒ヽ ､ , ''⌒＼ ,／ /
(巛.,n | ,、 ￥ λ Υ ,/
＼, ''ヽ ,ﾊ,ﾐ,,_人＿.,,ﾉ 'ヽ､. _,ノ
＼_,ｿ |ﾐ〈ｷ〉彡/
（ﾐ ヽ,. /'
人, ）ﾉ
／ / /'
「’／く 〈、
し' ＼,,)
3085 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:17:20 ID:S4b0V18w0 [301/511]
┏─────────────────────────────────────────┓
│それ以上に印象的なのは、男が傍にいると俺自身も奇妙な不安を覚え、落着きを失うことだった。 │
│これは悪寒の初期症状に似ていて、脈拍も酷く衰えた。 │
┗─────────────────────────────────────────┛
三三三三三三三三三三三三三三三／:::::::::::::::::::::::::... ..丶三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三／:::::::::::::::::::::::::::::::.... ...＼三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三 ／:::::::::::::::::::::::::::::::::.' ──-.. ＼三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三 .／:::::::::::::::::::__:::::::::::::::::::... ⌒__丶 ＼三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三/:::::::::::::::::::::::( ）:::::::::::::::::::.... .'::. ）.ヽ .ヽ三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三 ./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.... __ ..丿 ヽ三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::... ヽ .ヽ三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三 ./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.._ ﾉ ヽ.___＿丿 丶三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三｜::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.... ..::ﾉ .｜三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三 .',:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ../ .ﾉ三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三',:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.⌒ " .ﾉ三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三 ',::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.... ....::::::../三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::........::::.／三三三三三三三三三三三
ミ ＼三｀'‐ミ￣＼-､_ /
ミ三ヲ_二ﾆﾆ‐-ﾆ､-ﾆ_‐---
r--‐''´ '-二rｯ;､＼彡二_ （そんな馬鹿なッ！
ヾ! u' ￣ ￣/rｯ>
-ｲ u' r-」 | / 傍にいるだけで…、しかも数分前に会ったばかりの相手に、
| u'_,.-r‐-ヾﾆ7 / こんな症状が出るなんて、聞いたこともないぞッ！？
l （⌒ヽ~''‐ｸ /
＼ u ヾ‐-┤/ / それとも、俺は人の容姿や雰囲気だけで偏見を持つタイプだったのか……？）
＼ ｀二'ﾞ ./
＼､＿＿_ノ
3086 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:17:35 ID:S4b0V18w0 [302/511]
┏─────────────────────────────────────────────┓
│だが、今では嫌悪の原因が単なる憎悪ではなく、もっと高い位置にあるものだと確信するようになっている。 │
┗─────────────────────────────────────────────┛
. .:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.:;:..;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;..:;:.:;:;:;:;:;:;:;:;:;:. .
,:;:;:;:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. ..:.:.:.:.:;:;:;:;:;:;:;:;:.
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3087 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:18:04 ID:S4b0V18w0 [303/511]
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V::::／ ／ ｘ＜￣::::::＿＿＞､＿,.--､ ／
∨O o /／::::／ヽ＼＼{、 ＼ '⌒ｿ--､
. ／￣￣￣¨¨二二二ﾆﾆフ＿＿レ＜:＼l } ｆ⌒ヽ
. | /´￣￣ ＿／/:::ィ─ｔ:ﾃﾃぐ´У/八{＾} |
乂 { ,. -─ ､_,.ィ7ｆ/::}ﾊ ￣ ´￣￣ ＼/ ｿ 人 （しかしまあ、おかしな男だ。
｀7 ／//ｒ':ィ_ｆﾂ }│ ＼＿ （ノl なぜ自分よりも大きなサイズの服を着てるんだか。）
. ／＼_／ 人{ﾄﾐﾊ 〈_ﾉ｀ヽ ｀ﾏ{__ | ヽ
／{￣￣￣ｊ＼/ （_ ｀￣∧ ヾ' ⌒＼、 | ＼
/──‐く /ヽ 人 ,ﾊ、 r=-一 ト､ / ／ ＼
＿＿,ﾉ ＼__,ﾉ（ ﾊ. ､_,.ｨﾆﾆ l / ／ ／
／{ ｊ＼__,ﾉ__（ _ノ ‘， , ' ／ ／
,. ー一く /＼::::::≧､＿ _ノl＼ ,. ----／／ ／
} } ＼__ﾉ:::::::／::::::::￣::::/::| ヽ: : : _／／ ／::::::::
ブ¨¨￣ヽ__ﾉ::::::::/:::::::::::::::::::::/:::::|＼ ￣ ／ /
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─ ＼
／ （●） （●） ＼
| （__人__） |
_＼,__...､ ｀⌒´ ,..__,／､___
＿ -- '' r＝─i､ヽ /＿_／＼:;:;＼ _
／:;:;:;:;:;:;:;ヽ､二二二==＼／ /_ >:;:;:;:;:;ー､
/ヽ:;:;:;:;:;:;:;:;:; _ゝｰ--',／| ./ ー-_':;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ヽ
. l l:;:;:;:;:;:;:;／ ￣￣|. .|｡ / 7:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;/ l
| |:;:;:;:;:;:;:＼ .l ﾚ / /:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;/ |
| |:;:;:;:;:;:;:;:;.＼ l l / ／:;:;:;:;:;:;:;:;:;.l |
jヽ. l:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.＼ l l o/ ／:;:;＝＝＝:;l |
. | ヽヽ |:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.＼ l / ／:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;l / |
| ＼ヽ|:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.ヽV ／:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;| / |
| l l:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.ヽ/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|/ l
3088 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:18:23 ID:S4b0V18w0 [304/511]
＿_r‐ ｧ'⌒ ＿
ノ⌒厂j冂 ／ ／ ／ ´ ｀ヽ
く_ / ( {{ jﾚ'´ / / ミ=ミ
_{ ｌ{ ＼∨ / , { / ／／ ￣｀ヽ
ノ（ 人 l| l/{ / / / -‐== ￣
人＿ミ=＼＿__l{ l{ ＼ （ l{ -―
､＿_＼＿__ﾉノｰ==ミ､） }} ／ -‐==ミ
､＿,ノ ｰ==彳___／ ／'⌒＾^ﾞ'ト〔 ＼ __
￣人____,ノ___ { l{/ } ／ / jﾊ ｌ | ﾆミ、
〈_:::::::｀.＜ / / } l | '⌒ヽ
ﾐ-==彡ﾉ/｀代ｔぅ､{ / , ィ__ ノ ﾉ リ{ ﾄ=‐く
. ｰ=彡/ ートV彡,ノ::::｀..＜__ 乂_ ＼ （だが、この滑稽な姿を見ても、笑うような気にならねぇ。
＿_,人 ／/ ﾉ{￣｢ 弋ｔぅ､::≧ﾄ=ﾆミ
. } / / / {{ ー一 ¨¨斤ﾃミ この男には本質的に異常で奇形なものがある。
ｰ=彡j ｀て ノ) ノ＼ ノリ人 } 見る人の心を強く捕らえると同時に、逆に人を驚かせ、嫌悪を感じさせるものがある。
､＿| ‘'┴‐ヘ }! ／ ﾊ／ ノ )ﾉ 男の不釣り合いな服装は、むしろそうした本質にぴったりと合うんじゃねーか？）
=-‐ | ＼ |l / /ノし'／（{N、
=彡| ⌒ヽ ＼ ｌ| ' / ｀Ｔi l{ ＼
＿,ノ│ ﾘ / | ヾ=ー
＿／| __ノ ／ ´ l |＼＿
___／ │-- イ ｌ ﾄ､
|｀ﾄ､___)_ ≦ / / ,ノ_｣ ﾄ､＼
r──l } / /_ .. -‐ ¨ ￣ ／ }＼
| /ﾉ | __,厶 ￣ ／ /
l └─‐/ } -― ／／ /
／} | | ＿＿_／／ / /
. ／ // | ´ ／／ / /
〈 // / / /
. / { ＼{_{___/ / /
,,r=''' ミ/ /
ノ´￣ ,,r ___ﾐヽ ＿ （
/ //// ｀ﾞー -､ ヽ|
/ ノl | || // }:::||
､ 彳ー--'┐ | ,,ヘ､ﾉノ | （なんだが、興味が湧いてきたぜッ！！
（ （ | 亡(ﾃｺ| /＞､_:::::::|
） {ヽ| ／// ∧尹┘| この男は一体何者なんだろう？
ノ ,イY_| ./__ |｀ー | いつもどんなふうに生活して、何をしているんだろう？）
-‐''´ﾉ::| Y__ﾉ i ∧
-‐" ノ i rミﾆ二i | / l
-‐",,ノ::l l/＿__ﾉ l / ヽ＿＿＿ ＿,,,-
＝''／_rl _｀ー'' ／l |.__:::::＼|/:::::::::l＿
──| r|ﾊ { ￣ ／:::/ rイ二ヘ｀ ＜￣￣:::::::
::::::::::|:::|L_｀ー─‐''::::::ノ,,┴─_ ｀ヽ:::::::::::
::::::::/::::|| ＼:::::::::::::::/ ⊥_─'' ヽ ||:::::::::
3089 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:18:49 ID:S4b0V18w0 [305/511]
＿＿＿_
／ ＼
／ ヽ、 _ノ ＼
／ （●） （●） ＼ ｎ
| U （__人__） l^l.| | /） 持ってきてくれましたかお？
＼ |i||||||i| ／| U ﾚ'/／)
γ⌒ ｀ ー'´ ﾉ ／
i j ｒニ ﾉ
ヽ､ l !ヽ､_,__／
＿＿＿＿＿＿
i◆◆◆◆◆◆i
i◆◆◆◆◆◆i
ｌ◆◆◆◆◆◆ｌ
Ｉ◆◆◆◆◆◆I
.）洲洲洲洲洲洲（
⊂二ニ＝＝─＝＝‐-=ニ二⊃ へっ？
、 |!彡(.━ ━ ) ﾐ ゝ
- .ヽ| | ● ＼ ● | ﾐヾ ﾐ）
′ | l⊃ ..＿__＼⊂⊃ ミ ヾゝ
/⌒ヽ__|ﾍ ｀ー' j. /⌒.! ﾐﾐ ）
＼ /::::::::::l＞,､ __, イア/＿./ ミヾ）
. /::::::::::::|::::{:::| ▼/:::}::::|::::::::| ミヽゝ
｀ヽ<::::::|::::::|:::|┃|:::|:::::|:::::ノ ミ ;ヾゝ
.: : : : : : : : : : : : : : : :. :.{ /.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :. :./: : |
.: : : : : : : : : : : : : : : : : .∨/.: : : : : : : : : : : : : : : : : :. :. :. :.{: : : ＿人人人人人人人人人人人人人人＿
: : : : : : : : : : : : : : : : : : :./.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.八 } ＞ 持ってきてくれましたかお！？ ＜
.: : : : : : : : : : : : : : :. :. :./.: : : :.／: : : : : : : : : : : : :`、.: : : : : :./ ￣Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^￣
.: : : : : : : : : : : : : : : : :..{: : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : `、: : : :∨ ｶﾞｼｯ!!
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: : : : : : : : : : : : : : : : :./ ,. ''"´ ｀`～＜___,| | |二二二二
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3090 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:19:08 ID:S4b0V18w0 [306/511]
,ｨ
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.i::::::::i /／ ＞ うわあああッ！！ ＜
i:::::::i ^ ￣Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ￣
i:::::::i ／i
.i:::::::i ／::::::i
.i::::/ i::::::／ l
i/ i／ i､_＿,,...／
γ´
,.-､ ,-､ ゝ..,,＿＿ , －- .、
} ｝ ﾉ } γ´ ﾄ、 〃 ｀ｰｘ_
f^ヽ { { ' ' ゝ、 ', ＼l ト.< )
{ } ', ', } : :{ ` ＿＿. ', ＼ |!i!i!ヽ
{ ', } `' : :{ Y i ,, -‐´´ .::.... 丶､ .!
{｀ヽ ', `' : : ', 弋 .>` .:::::::::::::::.. ,
ヽ ＼} : : : :ヽ ＼! :::::, -r-－'
＼ : : : : :｀ー-―-､ 〃 ヽ. ＼_
} , : : : : : : : : :__ノ ┌‐´ ／ ｀丶イ
. -'‐'´ . : : : : : : , ''´ ﾚ.‐- 、 ／
... -‐''´ ヽ : : : : : , '´ ｀ ミト≠― ´
... -‐'''´ . . : : : : ,r‐'´
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3091 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:19:42 ID:S4b0V18w0 [307/511]
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／ _ ノ ヽ、_ ＼
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ヽ、二⌒) (⌒ニノ
V _＞'':::＞'"＞ ｀ヽ
. Ｖ _＞'':::::＞ ,.ィへ_.､､＼..__ ミ､._
Ｖ_＞'':::::＞ ,.ィ-‐ ニ::::ハ｀トヽ、 ヽ=-
,.. -‐＝V＞''":;.ィ ｉ/ｧｒ ¨ｔｱノ ﾐソ }ミヽ､ ヽ -
ｉ -‐''"_,.:ィ:,.ィｔ:ﾑ '¨ヽ￣ u ｒ ﾉし'^V ＼ あっ…。
ﾞ¨¨ ￣/ ﾞﾍ｀ ¨´ l i ', ＼､ i. !:: ヽ.＼-､. わりぃ、すまなかった。
. ﾘ .ﾊ、 ｰ'¨ﾌ ＼. ';:: ﾞ､ ヽ＼
∠ / ∧ ｀_,. ‐ﾆヽ ヽ !::. ヽﾉ ｌ: なあ、俺達はお互い全然知らねーし、名乗り合ってもいないんだ。
-イィ ', .V´ / /::: / ;: ひとまず椅子に座って落ち着こうぜ。
,.ｨ'¨=-､ ∧ ｀ご. /:::: ./ ./:
,斗- ､ ﾉY'¨ヽ. ＼ i ./:::: ! ,.' ./::::
.（ ,⊥..__ ｀/ ヽ,ｲ >、__..ｨ:::: i ／ /::::::
/ L、 ｀ト -' l / ,.ィ、::::::::....／ ./::::::::
v'´￣¨ﾞト!、 / / i´‐､ ＼:::／ /::::::::::
i ＼,.ィ ﾉヽ＼ / l |::く＼ ::| /＼. /::::::::::::
3092 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:19:56 ID:S4b0V18w0 [308/511]
＿＿＿_
／ ＼ 失礼しましたお。
／ ＼ ／ ＼ ラニョン博士が仰ることは当然のことですお。
／ fてﾊ` ｨて刀 ::＼ ついイライラしてしまって、無作法をしてしまいましたお。
| （__人__） :::::::::::|
＼ `^´ :::::::／ 私はジーキル博士に依頼され、重大な用事でここに参ったのですお。
／ ー‐ ＼
＿＿＿
／_ノ ヽ＼
／ （＿） （＿） ＼ 勿論、あなたは……ひひひきき………、
／ u ；（__人__）； ＼
| ； |i!i!i!i!| | ヒィヒィ…ハァハァ……。
＼ u |;;;;;;;;;| ／
／ ｀⌒´ ＼
-=≦::::::::＞ ､ _r ｎ
／ 〈:::::::::::::::::::::＼/ |│/⌒ヽ
/ ヽ:::::::::::::::::::::| |//::::::ﾉ::}__r─ｆ⌒ｿ⌒Ｙ
i ＼:::::::::::::::| |/:::／:::/ミ
| |､ ﾄ､ ';:::::::::: | l／::::::/ミ
'. V::::∧ V::::::::l／:::::::::/ミ__,ﾉ
（__V ∨:::∧ V{::/::::::::::::/ミ_ﾉﾆヽ彡,__人
（ ∨ ∨:::∧_／个l:::::::::::/＼ミ{〈ヽ}|､_ﾉ ﾉ
だ、大丈夫か？ ＼_∨＿_∨／|{ リ :::::::,ィ rｸ ｀ｰｒ'⌒´:::::
/ ∧ { ヾ／/::::,ｨｆｯ u ', |::::::::::::::
（これはヒステリーの発作か……。 { {:::::｀:ーー:::´::／／冖´ { ', l::::::::::::::
ちょっと可哀そうだな。） ＼_ヽ:-:-:-:-r rｔｯ} ＼＿ ヽ } │::::::::::::
￣ Τi´ ＼ ', ､__､ ￣￣｀ヽ/ /|::::::::::::::
￣ヾ--ヽ 弋ノ＿_ノ / /｡,|:::::::::::::
＼. ｀こ´ / /l ノ|:::::::::::::
／＼ / / l|｡/|:::::::::::::
／l::::::::::::ヽ---く__／ l|｡∧::::::::::::
/::::::|:::::::::::::::|＼_（ l r｡ ＼__∨::::::
/::::::::l::::::::::::::::|:::::::::乂 ｡, ﾉ ∨::::
,'::::::::::l::::::／::::::＼::::::::::＼___／ ｡, ∨::
3093 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:20:21 ID:S4b0V18w0 [309/511]
＿＿＿_
／::: ＼
.. ／:::::::::: ＼
／:::::::::: ＼
|::::::::::::::: | も、勿論、あなたは引き出しを……。
＼:::::::::::::: ／ヽ
/::::::::: くゝ ）
；|:::::::::::: ／ ；
；|:::::::::::::: イ ；
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
| ああ、引き出しはあそこにあるぜ。 |
丶＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
＼＼＼ | | // ／／
＼＼＼ | | // ／／
＼＼ | / ／
＼ | / ／
r―-､＿_r―-､
＿ ＿ |―‐z＿＿,r:､__） ＿ ＿
＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ _ | | / / ─ ─ ─ ─ ─
─ ─ ─ ─ >―-､＿＿ノ ￣ ￣ ￣
,. -‐'''"￣￣`―ヽ
／ ＼
| ヽ
| |
ヽ /
＼＿＿＿＿＿＿_／
＿＿＿_
／::::::─三三─＼ ┃ ┃
／:::::::: （ ）三（ ）＼ ┃ ┃
|::::::::::::::::::::（__人__）:::: | ・ ・
|:::::::::::::::::::::: |ililililil|::::: |
|:::::::::::::::::::::: |ililililil|::::: |
|:::::::::::::::::::::: |ililililil|::::: |
|:::::::::::::::::::::: |ililililil|::::: |
|:::::::::::::::::::::: |ililililil|::::: |
|:::::::::::::::::::::: |ililililil|::::: |
＼::::::::: |r┬-| ,／
ノ:::::::: `ー'´ ＼
3094 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:20:50 ID:S4b0V18w0 [310/511]
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
──────── __ ──────────────────
￣￣￣￣￣￣￣￣ ｆ | ,.‐， ￣￣￣￣￣￣￣ ,ｲ ,ｲ ,ｲ ￣￣￣￣
＿＿＿＿ （ ＼ }-' |{_ │ ＿＿＿＿＿＿ // ﾄ, ﾚ ﾚ ＿＿＿＿＿
￣￣￣￣￣ ＼ ＼ |_ |{. │ ￣￣￣￣￣￣ // l | ∥∥/7 ￣
＿＿＿＿＿＿ ＼ ＼{ | │ ＿＿＿＿＿ // l l // ＿
￣￣￣￣￣￣￣ ヽ ヽ.（＼.! ￣￣￣￣￣ /´ Y /´ ￣￣
￣￣￣￣￣￣￣ { ＼＼ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
＿＿＿＿＿＿＿ ﾉ￣ ヽ. ヽ |.＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿__／ ＼／￣ ﾉー-----一……､ ＿＿＿＿＿＿＿＿
──── /￣ -─ ､__} ＼=-‐ '￣￣＼￣
──── ‘一'´ ヽ---＜ ￣
───────────── ｀’＜ ヽ--
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ ｀’＜___,ノー-＜ --､
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ー─'⌒＼
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
ﾋﾟﾀｯ
/ ｀ ヽ、 r―-､＿_r―-､
｀丶,ｨ' ヽ |―‐z＿＿,r:､__）
/ ,ヘ | | | / /
/ / し/, ヘ >―-､＿＿ノ
. / i ／ ヽ ,. -‐'''"￣￣`―ヽ
＼／ ｌ ／ ＼
／ ,ｨヽ _ .' | ヽ
ﾄ､＿ | |
u ヽ ヽ /
/7＿ ,ﾉ ＼＿＿＿＿＿＿_／
/
/
/
3095 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:21:06 ID:S4b0V18w0 [311/511]
―――――――― ､
／::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: :＼
／:::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : :＼
／::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : : : ＼
/:::::::.:.:.:.:.:. : : : : : : : : : : ヽ
/::.:.:.:.: : : : : : : :.
. |.:.: : : : : |
. |:. : ¨二ﾆ=ミ ＿ノ 廴_ 幺=ﾆ二¨ |
. |: ≫ ´ __ Ⅵ :ｉ|ｉ:ｉ|ｉ: Ⅳ __ ｀ ≪ |
. | i{ ( ・ ) 川 li|il 从 ( ・ ) }ｉ |
. | ≧=― ‐=彡 ミ=‐ ―=≦'ﾞ |
:. ／ ＼ : /
ヽ / ヽ : : : /
／＼. { : : } : : : ／＼
／ ヽ 人: : : : ノ: : : : : :.:.:.:.:.＼
／ ≧=‐≦ ＿ ≧‐=≦: : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::＼
/ : : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::ヽ
／::::::::::::::| ＼::::::::::＼
/::::::::::::::::::::l ,. -──┴──---- ､
|::::::::::::::::::::::__r─／ ＼
|:::::::::::::; イO }／ ＿＿__ }
V::::／ ／ ｘ＜￣::::::＿＿＞､＿,.--､ ／
∨O o /／::::／ヽ＼＼{、 ＼ '⌒ｿ--､
. ／￣￣￣¨¨二二二ﾆﾆフ＿＿レ＜:＼l } ｆ⌒ヽ なんだよ……。
. | /´￣￣ ＿／/:::ィ─ｔ:ﾃﾃぐ´У/八{＾} | 中にちゃんと引き出しが入っているのか不安なのか？
乂 { ,. -─ ､_,.ィ7ｆ/::}ﾊ ￣ ´￣￣ ＼/ ｿ 人
｀7 ／//ｒ':ィ_ｆﾂ }│ ＼＿ u （ノl そんなガキみてーなイタズラはしてねーから、
. ／＼_／ 人{ﾄﾐﾊ 〈_ﾉ｀ヽ ｀ﾏ{__ | ヽ 落ち着いて開ければいいだろ。
／{￣￣￣ｊ＼/ （_ ｀￣∧ ヾ' ⌒＼、 | ＼
/──‐く /ヽ 人 ,ﾊ、 r=-一 ト､ / ／ ＼
＿＿,ﾉ ＼__,ﾉ（ ﾊ. ､_,.ｨﾆﾆ l / ／ ／
／{ ｊ＼__,ﾉ__（ _ノ ‘， , ' ／ ／
,. ー一く /＼::::::≧､＿ _ノl＼ ,. ----／／ ／
} } ＼__ﾉ:::::::／::::::::￣::::/::| ヽ: : : _／／ ／::::::::
ブ¨¨￣ヽ__ﾉ::::::::/:::::::::::::::::::::/:::::|＼ ￣ ／ /
3096 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:21:22 ID:S4b0V18w0 [312/511]
／ 二二二 ＿_ ヽ [二二]
／／⌒ヽ二二二´ 二ヽ ＼
. / 二二二二二二二二 ヽ [二二二]
/ 〃⌒ヽ二二二二二〃⌒ヽ , ＿＿＿
□ , 二二二二二二二二二 i {＿＿ |
| 二二（ 二 i 二 ）二二二.. | ＿＿} l
□ | 二二二 ｀T '´｀' T二二二二 '.. |＿＿＿_|
. ' 二二二二ヽ __,ノ二二二 /. ┌┐ ◎
□ ＼ 二二二二二二二二二. ／ ┌─┘└─┐
ヽ、_ 二二二二二二二二 -＜.. └─┐┌─┘
／ 二二二二二二二 ヽ ○││○
. ／ 二二二二二二二二 ＼. ￣ オ
ミ ＼三｀'‐ミ￣＼-､_ /
ミ三ヲ_二ﾆﾆ‐-ﾆ､-ﾆ_‐---
r--‐''´ '-二rｯ;､＼彡二_
ヾ! u' ￣ ￣/rｯ> ,ｲ,ｲ .,ｲ
-ｲ u' r-」 | / ﾄ、 ,ｲﾚ ﾚ /ム―７
| u'_,.-r‐-ヾﾆ7 / ヽ」 // //''''''７/
l （⌒ヽ~''‐ｸ / // /' // ,ｲ,ｲ ,ｲ
＼ u ヾ‐-┤/ / // // ﾚﾚ //
＼ ｀二'ﾞ ./ /' ,/' /'
＼､＿＿_ノ
3097 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:21:36 ID:S4b0V18w0 [313/511]
| _, ﾍl / __, --､
, イ { {丶/ ｛_/ ,イ {、
ﾉ { '. V´ } .ｨ===Lﾉ´__, }
}丶.ヽ._)r{_r'z＿__〃,r:､_）Y´＿, ∨
｀¨⌒}}〈rﾍ, _,,ノ/ /. 〃{___, - }
,ｨ===='′ >―-､＿＿‐{{─‐'^ー‐
,. -‐'''"￣￣`―〇ﾆ
. ／ ＼
| ヽ ｺﾞｿｺﾞｿ
| |
ヽ /
＼＿＿＿＿＿＿_／
＼＼＼ | | // ／／
＼＼＼ | | // ／／
＼＼ | / ／
＼ | / ／
__l￣￣￣￣￣l__
〕 ￣￣￣￣￣ 〔
／ ＼
/ ヽ
| |
| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
,.:｀ヽ | ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; |
／ .:.:::＼ | ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; |
___,,,... -一,ｨ´: :.:.:'''ｰ- ...,,,,_____ | ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; |
｀ﾞ''ｰ-､.,,__,,..-‐''"´｀ﾞ''ｰ-､.,,__,,..-‐''"´ | ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; |
｀ﾞ''ｰ-､.,__,,..-‐''"´ l.＿＿＿＿＿＿＿＿＿___|
3098 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:21:49 ID:S4b0V18w0 [314/511]
.. ＿＿＿_
／_ノ ヽ､_ ＼ 本当に持ってきてくれたのかお…！！
.. oﾟ(（●）) (（●）)ﾟo ラニョン博士！ありがとうございますお！！
／::::::⌒（__人__）⌒::::::＼
| |r┬-| | ついでに実験器具も貸してくれたら嬉しいですお！！
＼ ｀ー'´ ／
, - ――- ､
| .|
,_|++++++++|_
ﾍ＝=====＝彳´ あ、ああ……。
. 八 V￣ i、
) ﾊ;ﾍ.＿j´ 好きに使ってもいいぞ。
)_,ィ〈､ iﾄ､
,='″ ､ヽ/j ｀ヽ
〃 {/} i
3099 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:22:18 ID:S4b0V18w0 [315/511]
┏────────────────────────────────────┓
│男は赤い液体を数滴はかって入れ、それに一包みの散薬を加えた。 │
│最初は赤味を帯びた色だった混合物は結晶塩が溶けるにつれて、色が鮮やかになり、 │
│音を立てて沸騰し、少量の水蒸気を発散しだした。 │
┗────────────────────────────────────┛
′ ∧ |
＼ ∧ ｜
＼ ∧: .:|
＼ ∧: |
＼ ∧ |
＼ ∧:｜
＼ ∧:!
＼ ′
＼ |
＼ |
＼!
:.
.:::
.:::::
:::::::
::::::::
:::::::::
::::::::::
:::::::::::
┏───────────────────────────────────────────┓
│突然沸騰がやみ、それと同時に混合液は濃い紫色に変わったと思ったら、更に薄い緑色に変化した。 │
┗───────────────────────────────────────────┛
＿__
|￣ |
| |
| |
| |
ﾉ ﾊ
／ ＼
/ .ﾍ
l─────l
ﾍ /
｀ー--一'´
3100 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:22:37 ID:S4b0V18w0 [316/511]
＿＿＿＿
/ ⌒ ⌒ ＼ ラニョン博士。
./( ―） （ ●） ＼ 俺は今からこの薬を飲むけど、あなたはそれを見たいかお？
/::⌒（_人＿）⌒::::: |
| ー .| 見たところ、今のあなたは好奇心が抑制できない程に強くなってるみたいだお。
＼ ／
＿＿＿_ 見ないを選べば、
／⌒ ⌒＼ 死ぬほど苦しんでいた男を救った意識が心の豊かさを一つ増やし、今まで通りでいられるお。
／（ ●） （●）＼
／::::::⌒（__人__）⌒:::::＼ だけど、見るを選べば、
| |r┬-| | 新しい知識の領域と、新しい名声と権力を得られるお！
＼ `ー'´ ／ それはサタンの不信仰さえ揺るがす奇跡で、あなたの視野はもっと大きく広がるんだお！
＿_r─く⌒Ｙ´￣ ﾌフ'¨¨ ￣￣￣＼
＿,∠二 ＿＿／＿_,ノ ヽ＼
／ ＿￣￣ ￣￣｀ー== ￣ミ､＿
/／￣ ／ ＿＿ ==ミ､＿＿ ー== ＼
. // / ,ﾉ l| / '´￣ ｀ ＿＿
{ { l| ( l{ l| / /＿_￣｀ヽ ＼＿ ＿_ -‐==ミ､
. ＼ l{ ＼＼ｌ{ ｌ{_{匚___｀ヽ＼＼ ￣￣￣ ―-=ミ＼
ノ⌒ｱァｧーｆﾞ｀（ } l| {ﾄ､＼＼ ＿_ー-- ―-=ミ ヽ
（__ノ⌒,ィ ｆ {{ ,ﾉ ﾉ人＿__＞:::::::::::ト-- ＼
. {_ ／ﾉ{ l{ ﾉ {__ {__ 斗r＜::_:斗＜￣＼ ＼＼＿__,--､ お前…、俺を馬鹿にしてんのか？
. ∨,ノr::::::::￣{ } {::::::;ｨｆ戎 ノ ∨==ミー┬く__
(__人__,ヽ‐ｔ ｔｯ八ﾉ／￣ ｀二二 , ∨=ミﾊﾉ }￣ 俺はわけの分からねー依頼に応じて、ここまで首を突っ込んだんだ。
)＿ﾉ} ｀￣/ /´￣l＼＿＿ / Ｖ⌒ｿ /{( 今更引き返すわけにもいかねーだろうッ！
. }__,ノ| / ￣￣＼ / / /( ト=ミ
. 乂 人 {ー{⌒ソ ＿_ ＼ { |ー‐' ＼ 最後まで見届けようじゃねーかッ！
/￣ ﾄ ｰ'´＿_／ ＼ } }
. 乂__,ﾊ ヽｰｰ～'´ } i | ／￣
( ___ノ} |＿＿___ノ | , ／ ／
（￣￣/´ , | ノ ／ ／
/{￣￣￣|＿ ﾟ｡ T´￣｀ヽ ／ ゜ ／
／{￣￣￣￣|＿} Λ イ ／ ／
. ／ ヽ＿＿ }ーく ,人 ´ ´ ／
〈 ／ ￣} }＼＿_ ´ ／ ／
3101 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:22:54 ID:S4b0V18w0 [317/511]
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─ ＼
／ （∧） （∧） ＼ 結構だお。
. | （__人__） |
＼ ｀⌒´ ,／
／ ー‐ ＼
＿＿＿ ＿
／ ､,＿__. ￣＼ ⊂二へヽ
／,,,,ノ /⌒ヽ ＼ (_丶 }
／ /￣ヽ ､∩.ﾉ | ＼. | ラニョン。
. | ゝ.∩ﾉ ヽ＿_丿 | | |
. | ￣､._＿厂 ヽ ／ | | アンタはどんな階級の患者にも優しいお医者さんだけど、
. | ￣＼＿ﾉ ／＼＿＿ ／／ 偏狭な唯物論者で超絶的医学を否定し、自分より優れた人々を嘲笑っていたお。
＼ ＼＿＿ ／
`ー―― ＼ さあ、見るがいいお！！
. ／／ヽ ＼
.. ／／ ＼ 〉
／／ / ／￣￣￣￣＼＼
. /∠_ ／／ ＼＼
. ﾄ＿ｿ. ／／ ＼ヽ ――､
. | | ｀￣￣∨
. | |
∠／
／::::::::::::::| ＼::::::::::＼
/::::::::::::::::::::l ,. -──┴──---- ､
|::::::::::::::::::::::__r─／ ＼
|:::::::::::::; イO }／ ＿＿__ }
V::::／ ／ ｘ＜￣::::::＿＿＞､＿,.--､ ／
∨O o /／::::／ヽ＼＼{、 ＼ '⌒ｿ--､
. ／￣￣￣¨¨二二二ﾆﾆフ＿＿レ＜:＼l } ｆ⌒ヽ
. | /´￣￣ ＿／/:::ィ─ｔ:ﾃﾃぐ´У/八{＾} | はあ！？
乂 { ,. -─ ､_,.ィ7ｆ/::}ﾊ ￣ ´￣￣ ＼/ ｿ 人
｀7 ／//ｒ':ィ_ｆﾂ }│ ＼＿ u （ノl なんでお前がそんなことを知っているんだ！？
. ／＼_／ 人{ﾄﾐﾊ 〈_ﾉ｀ヽ ｀ﾏ{__ | ヽ
／{￣￣￣ｊ＼/ （_ ｀￣∧ ヾ' ⌒＼、 | ＼
/──‐く /ヽ 人 ,ﾊ、 r=-一 ト､ / ／ ＼
＿＿,ﾉ ＼__,ﾉ（ ﾊ. ､_,.ｨﾆﾆ l / ／ ／
／{ ｊ＼__,ﾉ__（ _ノ ‘， , ' ／ ／
,. ー一く /＼::::::≧､＿ _ノl＼ ,. ----／／ ／
} } ＼__ﾉ:::::::／::::::::￣::::/::| ヽ: : : _／／ ／::::::::
ブ¨¨￣ヽ__ﾉ::::::::/:::::::::::::::::::::/:::::|＼ ￣ ／ /
3102 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:23:12 ID:S4b0V18w0 [318/511]
,-‐-､ ﾝｸﾞ
ﾝｸﾞ | |
| ─ |
／￣⌒) (⌒￣＼ﾝｸﾞ
／ ,. ^‐'_ヽ /__ｰ^ ､ ＼
／ ／／￣ ｀ ⌒ ´￣＼＼ ＼
（ <／ ＼ﾉ ）
＼ ＼ ／ ／
ﾝｸﾞ ＼ ＼ ／ ／
ﾝｸﾞ
／:::::::::::::::::::::::::∪ ＼
／::／´ ｀ヽ::::::::::/´ ｀ヽ ＼
／::::::（ l:::::::::::::l ） ＼
／::::::::::::::ヽ_ _ノ::::::::::::ヽ_ _ノ ; ＼
|:::: ;:::::''"⌒'（ i ）'⌒"' ∪ |
|:::::U::::::::::::::::::::｀┬─'＾ー┬'′ .|
＿＿ ＿ ＿| |＿ ＿ ＿
|＿ | ＿ ＿| |＿□□ ＿ ＿ |＿ ＿| ＿| |＿ ＿| |＿
_| |＿| |__ |＿ ＿| ＿| |_| |_ ＿| |__i-i_ |＿ ＿| |＿ ＿|
/。 ＿_ ＿| |＿__ ＿| |＿ _ _ ＼ / ＼ /。 o ＼ /。 o ＼
＼/ / / | | |＿| | |.|__|/ / / ⊂l l7 /＼ | ＼＿／ / ＼＿／ /
￣ ＼＼ |__| ￣ ＼＿_＿／ / / ￣ ￣
￣ ￣
＿＿ ___＿
＿＿ ___＿
／／ ￣ ＼＼
／／ ￣ ＼＼
／/--.-- -─＼＼
／/--.-- -─＼＼
/／ (○ ○） (（○(○） ＼
/／ (○ ○） (（○(○） ＼
.| |.| ( . (（_人_人__） |
.| |.| ( . (（_人_人__） |
＼＼ ⌒Jｊｊ｀ ／,／ |
＼＼ ⌒Jｊｊ｀ ／,／
ノ ＼＼
ノ ＼＼| |
3103 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:23:36 ID:S4b0V18w0 [319/511]
i l ｌ ／／ /
l ｌ ヽ/ i /´￣
,.-─-ﾐ ヽ ＼ /
. ﾚ'⌒> ミ- __l // /
ｒ'⌒' /::ヽ三.／／＼i l
,.‐-(´ ./ ﾄ､:::::V / ／ _ ヽﾉ
/ ー/ .､ヽ.ｒ､/ _/_／ / / /
'´ ｰ＝=/ u ヽ ソ ﾐ::::＼ ='イ （(
＿/ U ｒ,イ-‐ニ二ヽ::＼ ヽ、ヽ 男の身体がどんどん膨らんでいくッ……！？
. ､_/ ﾄ.くヽ _,ノ､ ＼ｒ.､:::＼） /
ヽ-./ _/ヽ-､ il ヽ ヾ-｀ヽ! （(
ー/ ,:;;ﾊ＼ ＼ヽ. ﾘ し /(
.l,,;;'" ヽ＼＼／ 〃 ,. 一ノ‐ ＼
-─l;' ,;;'｀ ｰ' / ／ ,ｒ‐'_-'ィ´/ヽ
／＼,;' ／ _´_／ ￣ ﾊ ﾐ
ヽ.__,ﾉ｀ ｰ--一:_二: : -─… ￣〉ヾ
/ ヽ二>-‐_¨_,,.. --──‐─┴┐
__ｎ_ __ ,勹 .
ｱ ｢ └' く く
‐…‐ 込 ｰ勹 ＼）
／ ヽ ￣
/ ○" ﾞ○ ∨ __ｎ_ __ ,勹 .
′ (_人__) .! ｱ ｢ └' く く
､ |!!il|l| 込 ｰ勹 ＼）
_/7､ ＞ ¨ ヽ. ￣ ′‐- ..,,_ ￣
f r'//7.,､ .／ ＞ ＜ ヽ
. !丶 {_j } .' i
､ ヽ ! { / ! ∩/7
ヽ ﾉ { / ! ／ )_ﾉﾉ.//7
. ､ / ', { { ,.- ／
ﾍ ＼ ヽ i i ! / /
ﾍ ヽ i | l_ノ／ ノ
. ﾍ .| ! ,..-''"´ ／
､ /
＞ ＜ .i ／
ﾊ ヽ..,,＿_ ∠
∧
/ ヽ
/
/
3104 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:23:57 ID:S4b0V18w0 [320/511]
＼_人_人_人_人_人_人_人_人_／
_） （_
_） おお、神よッ……！！ （_
_） （_
／⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y＼
ｼｭｰｰ
ｼｭｰｰ
-――-
／ Ｕ -､ ＼
イ 〈 fす､ u ヽ
r4ﾌ´､ ￣)┐ い)
} U Y /￣ ノ＿人(つ
} 〈＿/￣うu Ｙ〈)
} しへ{ （ J ヽ
}ノ } U ） ι (У＼
3105 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:24:13 ID:S4b0V18w0 [321/511]
! l |
､ | |
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! | !
', ! ′ ｼｭｰ…
i ′
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f´ﾉ ＿ .!
} ｀ヽ
,..-' / ヽ ∨
. ／ i ∨
. ／ ,..-‐/ ! ; i ∨
／ ／ ／ ／ ヽ ,､ , -､ ∨
. ｀¨´ / / .i i ｉ ｜ ＼ ＼
. / / | | | | ＼ ヽ
| | | | ヽ _j
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i◆◆◆◆◆◆i
ｌ◆◆◆◆◆◆ｌ
Ｉ◆◆◆◆◆◆I
）洲洲洲洲洲洲（
⊂二ニ＝＝─＝＝‐-=ニ二⊃
( 彡fト､_{ﾙ{,ィ'ｅﾗ , ﾀ人ミヽ)
お、お前はッ……！？ /:::ゝ.ヾ|宀| {＼⌒u/ | ﾐ ヾ）ミ)
,ﾞ:::::／ )ヽ iLﾚ ＼ | | ﾍミ｀〉=-ゝ
|／_／ ﾊ !ニ⊇ '／:} ミヾ)ミ ﾐヾ
/／ 二二二7 ' ／／ /::::/:::::｀＼)
/'´r -―一ｧ‐ﾞＴ／´, ／:::::/:::::::-‐:::::＼
/ // 广│／▼＼／::√::::´:::::::::::::::::::::ヽ
ﾉ ' / ノ:::l:::.ｌ. ｌi!i!ｌ ｌ::::/:::::/:::::::::::::::::::::::::::::}
_／｀丶 /::::::::l:::ｌ ｌi!iｌ! ｌ:::ｌ::::::{::::::::::::::::::::::::::::::ｲ
3106 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:24:33 ID:S4b0V18w0 [322/511]
＼_人_人_人_人_人_人_／
_） （_
_） ジーキルッ！？ （_
_） （__
／⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
,..-''"´::::::::::::
／ ::::::::::::::
/ :::::::::
/ ::::::::
.,' :::::::
l ,.-―-ｲ､:.. ::::
| ｛ ○ }:: :::
i ヽ― ‐' :::
l u / ::
', { ＿_ノヽ
.ヽ、 、 }――‐
|ヽ l /:::::::::::::
| | ヽニﾆニ
.／ .', .....
,,-'' ＼ ::::
__.r' ＼ ::
-‐''"´ ｀￣￣
.
3107 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:24:58 ID:S4b0V18w0 [323/511]
┏────────────────────────────────┓
│その後、ジーキルが一時間かけて話したことは、ここに書く気にはなれねぇ。 │
┗────────────────────────────────┛
-‐― ‐- 、
／ ヽ
.／ i
. , '′ ⌒ヽ,__ﾉ i
＿ 。:::::::::::::: i
< ＿ ＼o:::::::::::::::::::::::: /
<＿＿ ＼ ＼:::::::::::::::::: /
<＿＿ ＼ ＼ ﾍ /⌒/゜｡ ./
. └--ﾐ ヽ、＼:゜- ＼ | o／
／ | ＼ヽ丶 -o 〉 °
￣< ! `＼( ＼ ° !＿o＿
＿ ＼ ! ＼_ヽ ゜ {＼_ ￣￣＼_
! ￣￣ ヽ ／{ 、ﾍ > ∠ ノ）
＼ /⌒＼＼ ∠／ヽヘ /
＼ い / ＼(⌒) ﾉ ＼ /／
＼ / .ヾ、 ／ ＼ ./ ／
3108 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:25:19 ID:S4b0V18w0 [324/511]
┏───────────────────────────────────────┓
│俺は確かに見て、確かに聞いた。その為に俺の心は病んでしまった。 │
│あの光景は夢だったんじゃないかと今でも自問しているが、答えを見出すことはできなかった。 │
┗───────────────────────────────────────┛
::::::;'';::::::::::::::::::::::::::::::::::::; ; ,'::::::::::::::::::::;' , ' ,' ,..':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::; ;::;';:::::::::::::::::::::::::::::;' ,'::::::::::::::::::::;' , ' , ' ,..':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ,.
:::::; ';:, ';:::::::::::::::::::::::::; ,'::::::::::::::::::::;' ,' ,' ,..'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::; ' .
:::::; ;:, ;:;';:::::::::::::::::::;' ,::::::::::::::::::::;' ,' , ' ,..'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::; '
::::::, ';' ;:, ';::::::::::::::;' ,':::::::::::::::::::;' ,' ,' ,.':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::; ' , '
:::::::', , ';' ;::::::::::;' ,:::::::::::::::::::::',':;' ,.':::::::::::::::::::::::::::::::::; ' , ' ,....
';:::::::', , ; ,::::::::; ;::::::::::::::::::::::;' ,..'::::::::::::::::::::::::::::; ' , ' ,....'::::; '
;:::::::, ' , ,::::::; ,::::::::::::::::::;' ,..':::::::::::::::::::::::::; ' ' ,...'::::; '
';::::;' , ,::::::; ,':::::::::::::::::::',.'::::::::::::::::::::::::; ' ,....':::::; '
',:::', ' ,:::::; ,':::; ',:::::::::::::;:::::::::::::::::::::; ' ,...':::::; ' ,...::
',:::, ,::::; ,:' ,':::::; ' ,':::::::::::::::::;' ,...':::; ' ,....::'::::::::; '
', ' ;' ;:::; ,..':::::;' ,:::::::::::::::::;' ,...',:: ' ,.....':::::::::::::::::::::;
:::'., ,:::, ,.':::::::;' ,'::::::::::::::::;' ,..'; ' , ', ' ',:::;::::::::, '
';::::', ,:::, ,:::::; ' ,.':::::::::::; ' ,..', ' ,' ' ' '
';::', ;::, ,:::;' ,.':::;::::; ' , ' '
' ', ;:; ;::; ,' ' , ' ,
;:'.., ' ; ,::; , , ' ,....;' '
' '., ; ,:; , ' ,...'::; '
' , , ; , ,..':::::; ' , ,......', '
' , ,':;::; ' ,....::'::::::::::::'::::::'::;:::' , '
,....':::::::::::::::::;::::; ' '
,..':::; ' ' ' ' ,':::;':::;':::;'::,_,
3109 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:25:41 ID:S4b0V18w0 [325/511]
┏────────────────────────────────────────┓
│俺の生命は根こそぎ揺り動かされた。眠ることもできなくなり、昼も夜も恐怖が俺から離れない。 │
┗────────────────────────────────────────┛
| / ＞ ´ ヽ::ヽ ...::＼ ／ ／_ -‐'‐─┐ | '
............::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::/:::＞ ´ ノ::::l::::::::::::.. ｰ‐ ´ヽ ´￣ ／ ' '
::::::::::::::::::::::::::::::＼‐- ､ l､::::::::::/ ／ ....::::::}:::::::i -‐- ､ ／ ' '
￣ ＼::::::＿＿＿::＼‐-＼l ヽ:::/ , -‐ ￣';::::::| 丶 ／ ' '
ト ＼＿フ ＞:￣: : _｀ -‐､/ ／ ';:::l 〉 ／ / '
＼｀ ‐-／: : : : :/ -┐ ∨ !:::} ＿ /::... ∠＿＿＿＿＿ / '
＼‐--＝=: : : : : :／〃 r‐' 〃l::|-､:::::l :/:::::／. ∨ ￣￣￣ '
＞＞.: : : : : :.l ゝ-´..イ i! 〃ヽヾi ＼l :l::／::::::::::. ∨ '
／ ＜.: : : : : :. :. :.‐- ´: :〈 , ´ i! ／ l ＼ ノ l:::::::::::::::::::::.. ∨ ' '
／／: : : : : : : : : : : : : ／ | i! __｀ヽﾉ !/l::::::::::::::::::::::.. ∨ / '
／: : : : : : : : : : : : : : :l ミ i! l _＿ヽ ,l /／l::::::::::::::::::::..＿＿l / '
: : : : : : : : : : : : : : : :.∧ f㍉ lr=-､ ＼ i! ./ ／ ./:l_/l /／l::::::::::::::::::. O/ '
.: : : : : : : : : : : : : : :. :.∧ Ⅵミ┴ ､｡ ＞ 〉､i / ／::: .:/: : :.ノ ／:::::::::::::::::::::::: ／ /
: : : : : : : : : : : ‐-: : : : :.ミ ヾミ三三ﾐヽ/:::::ll/／_::＿_......::/: : ∠∠-‐_ァ::::::::::::::::::::::.._ ´ ／ ＿
: : : : : : : : : : : : : : :.＼/｀ /l ｀ヾ三ﾑ´_|:八 ｡ ノ7:〈.: : : :.＜_ ｀＼::::::::::::::::::::.. ´￣
: : : : : : : : : : : : : : : ‐-＼ l: | ／ ヾ／::::f三三彡":::ノ‐.､＜￣｀ ＼:::::::::::::::::.._ ...イ
.: : : : : : : : : : : : : : :. :. :. :.｀ヽ| 〃:::::::::::::__::::-‐:::::￣／.: :. .:.＼＼ ／::::::::::::::::::::::::/
: : : : : : : : : : : : : l ‐-‐__二: :ｰ-/, ''"＜::::::::::::::::::／.: : : :. :l＼:::＼＼ l::::::::::::::::::::::::::::l
: : : : : : : : : : : : : :.￣ィ ´: : イ: :／: : / : : ＼_:::::::´.: : : :. :. :. :.＼＼-､ ‘， l::::::::::::::::::::::::_」
-‐ フ : : : : : : : : : }: :／:/／: : : :/: : |: : : :＼.: : : : : : : :. :. :. :.＼＼＼i 7::::::::::::::::::/
┏───────────────────────────────────────┓
│俺の命数は尽き、あれが夢か現実なのか、それを最期まで胸に秘めたまま死んでいくんだ。 │
┗───────────────────────────────────────┛
3110 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:25:59 ID:S4b0V18w0 [326/511]
┏────────────────────────────────────────┓
│ジーキルが後悔の涙を流しながら俺に打ち明けた、ドス黒い汗が出るような背徳行為の数々は、 │
│思い出すだけでも戦慄が覚えるぜ。 │
┗────────────────────────────────────────┛
＿____ ､ __
__ ＜ ¨＞､-､_
_ ﾉ｀´_／ ､ ヽ__｀ヽ､
__／ ＼ }! ＼ Yヽ--､
／ア ＼ﾉ { `ｰ‐‐′_/⌒ヽ--,
_/ ＿＿___ _ ハ ト--＜⌒｀______/
／ ／ ヽ __ /____ :|: / __r---'
_____r----＜. ／ |ｲ ⌒ヽ _/⌒ヽ｀__ _} ' ／
r'´_⌒) ヽ ! :ﾘ ＞ー--- ､ ヽj_／
> __¨) ハ | :{ ___ﾆﾆﾆ⌒ヽ_／
} ___j-ﾍ_ﾉ___r‐ ヘ. 八______ ＞´ /
ノ_ ゝ-.'--' r ＞---､_≦=fﾆﾆ￣ ___ ／
'⌒⌒⌒ ﾍ_/_i_i ､___;___)ｿ __＞--- ´
└´ ￣ ￣
.
3111 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:26:14 ID:S4b0V18w0 [327/511]
┏───────────────────────────────────┓
│アタスン、お前が信じてくれるのなら、俺はそのうちの一つだけを打ち明けておこう。 │
┗───────────────────────────────────┛
o
ゝ;:ヽ-‐―ｒ;;, 。
,,____＿冫;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:＼ ,,,,,,,, o ／
"｀ヽ;:;:;;;:::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:从 （;:;:;:;:ヾ-r
〈;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:） ０ ソ;:;:;:;:;:;:;:｝
,,__);:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ ゞｲ"ヾ,:;:,ｿ
(;:;:ノｒ-´^~;;r-ー⌒｀ ,.、
" ,,,, _;:;:⌒ゝｿ;:/
＿_.. -―─ ､__ （;:;:丿 （;:;:;:;:;:;:;:;:;:)
／｀ 三ﾐー ﾍ､_ ヾ;;;;;;;;;;;;/; ＼
ゝ' ;; ,, , ,, ミﾐ , il ﾞＺ, ´ /;:ﾉ 。 。
_〉,.. ////, ,彡ffｯｨ彡从j彡 （）
〉,ｨiiif , ,, 'ノ川jﾉ川; :.｀ﾌ公)了
＼.:.:.:i=珍／二''=く､ !ノ一ヾﾞ;.;.;）
く:.:.:.:lﾑjｲ rfﾓﾃ〉ﾞ} ijｨtｹ 1ｲ'´
〕:.:.|,Y!:!､ u ﾆ '､ ; |｀ﾆ ｲj'
{:.:.:j {: :} ｀ ､_{__} /ﾉ
〉ｲ ､ﾞ! u ,ィ__三ｰ､ j′
,{ ＼ ﾐ ＼ ゝ' ｪｪ' ｀' /
-‐' ＼ ＼ ヽ＼ 彡 ｲ-､
＼ ＼.ヽゝ‐‐‐升 ﾄ､ ヽ､__
＼ ヽ- ､./／ j!:.} ｀ ｰ ､
ヽ＼ 厶_r__ﾊ/!:.{
´ / ! ヽ
┏───────────────────────────────────────┓
│その夜に俺の病院にやって来た男は、ジーキルの告白によれば、「ハイド」という名で知られ、 │
│ダンヴァーズ・カルー卿を殺害した犯人として、全国で指名手配されている男なんだッ！ │
│ │
│ ヘイスティ・ラニョン │
┗───────────────────────────────────────┛
3112 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:26:33 ID:S4b0V18w0 [328/511]
この事件に関するヘンリー・ジーキルの陳述書
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿∠＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ ∠＿
／ ／ ／ ／
／ ∠＿∠ ／
／ ∠＿＿∠∠＿
／ ∠ ∠∠＿＿
／ ∠∠＿ ／∠＿ ／
／ ／ ／ ／／ ／／
3113 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:26:51 ID:S4b0V18w0 [329/511]
┏───────────────────────┓
│俺は１８××年、ある資産家の相続人として生まれた。 │
┗───────────────────────┛
､i;:;:;l: : :.l l: : : : : : : : : : : : : : : :.r'／: :./;:;:;
,. -‐― 》 . ヽ;:;l: : //: : : : : : : : : : : : : : : :.l |: : :/;:;:;:;
/ ﾉ ＿＿＿＿＿__ ｀､:.//-､: : : : : : : : : : : : : : //: : /:;:;:;:/ ...
', ／ ＼ ',/ ￣~ ~￣ //: : /:;:;／: :
. ∨ ／ ＼i i i: : /／: : : :
∨ | l《 l l:／: : : : : : :
∨l | l ',: : ‐-. . . . . . . . . . . l l: : : : : : : : : :
iﾊ | ´￣｀ ´￣｀ l ∧::::::::.... : :.:.:.::::::::::::::::l l: : : : : : : : : :
l ∨ | ,_ _ ､,,__.､ lﾊ ｀ヽ、::::::::::::::::::::::::::::l l: : : : : : : : : : .
∧ ヽ、_ | ｀¨¨´ ',､ ヽ::::::::::::::::::::::::::l l: : : : : : : : : :
/ ∨ ￣｀ ' ー- ､ ⊂つ ⊂つハ ヽ: : : ::::::::::::::l l: : : : : : : : :/:
/ , '´:∨ ｀ヽ （__人__） ／´｀ヽ ﾄ､: : : : : : :.l l: : : : : : : /: : ..
. //: : :／ヽ、 ', ／´｀ヽ、 ,.ゝ'," i^ti ｀ー- ､: :l l: : : : : :./: : : ..
. 《: : : / /: : ヽ、 '＞i_,.....,_ ﾄ,´o_,<.ﾄ'"ﾉ､ / ｀ ^' ヽ、::/: : : :
＼/ i:.:.: : : /｀ヽ、 ゝ ｀ﾞ'ー-- --y' / ｀ﾞ
＼ i::::::::::::i /｀ ー- ､ / r-'´¨
ー-､:i .l ｀ 'ー-- .,,__ ./ /: : ｀ヽ、
3114 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:27:07 ID:S4b0V18w0 [330/511]
┏────────────────────────────────────────────┓
│優れた才能に恵まれ、勤勉でもあり、周囲の特に賢明で善良な人々の尊敬を得たいと心から願っていた。 │
┗────────────────────────────────────────────┛
.／￣￣＼
／ ⌒ ⌒ ＼
| ● ● |
|⊃（__人__）⊂|
| |
ヽ,_ _ノ
＿＿/ ¶＿＿＿ ヽ＿＿
λ ` ).`￣|￣（＿ﾉ |
|`ー' .| '''' ' | 日
| 9=ε-.6 | '''..-- |
| '' | ''-. ,|
￣￣￣￣￣￣￣
---
＞＜ﾆﾆﾆﾆﾆﾆハ - 、 -
￣￣ _ ｨﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ斗 ⌒>.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:￣｀ヽ
／:.:.:.:.:.、、、、:.:.:Σ ＿＼＿_／ |ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ-＜ニ＝- ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
ノノノノノ i:.:.:.:.:.:/´ ｀｀Y -ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ- 斗ﾆﾆﾆ-ﾆﾆｨ-ﾐ V:.〔￣ ,.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|.:.:.:/l.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ
／: : : : : : : : :.V:.:.:.:l ヾ | ／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾊ -=＝v⌒ヽ ´ 務 |/ﾄﾞ l.:.:.:.:.:./l"-!.:.:.| ,.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
ヽ ／: : -""""""｀ヽV:.:/ ｀ヽ 二 〈／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆハ ---＜ ' 務 l ﾉ |／.:.:lγ-ヽ___γｖ寸.:.:.:.:,:
⌒ｖ i: : : l - ヽ l_'' 〉 '/ﾆﾆﾆ/ﾆﾆﾆ|ﾆ＼ﾆﾆ＞＜.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼ , 、 _ |/ 人.:从ゝ- ' ゝ 'フ.:.:.:.:人
⌒ ｖ｜: : : ´ _. |l 、 / /ﾆﾆﾆ___＼ﾆ´＿｀／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ ＼ ´￣ /V '.:.:l /／（
ｖ 、: : 、 迄 、 ,＼-= ―― / イﾆﾆﾄ _-a ´ﾟ l.:.:.:.:.:.:.:/----V.:.:.:.:.:.:.:.:._ ＿_ ／ 八 ..从 - 三／/从
、＿_.ｖト、ヾ ）. ＼ _川__ ，ﾆﾆ、 |.. ｜.:.:.:.:И V.:/V.:.:.:从 -斗 / 、 从:l ＼ .／从
ｖ>-< 、＿_, / ￣厂 ,＼ハ ヽ ノ｜.:.:.:/-==- " 歹 州.:.:| / 〉 /〉 i |＼ , ￣ |
、-≦ .ｖ "＼ / / ）ﾆ。 |.:.:.:.:｝ 歹 从, 斗./ | ___ 、｜ ＞斗 、
ｖ ---- 、 ＼ ノ＞-＿ / ﾆﾆﾆ, -- 从.:.:.:, | |.:./ -＜ ｰ , / -＜V ＞-＜
ｖ ｖ 、＼ --ｔ | |＞ 从ﾆﾆ ＼.:.、 _ - ﾌ /从 /＼＿＿_'| -＜ .V￣ ｰ - ￣／ ＞
ｖ ＿_ ｖ ＼ 「 | ￣ | | Y／、 ／ >.:＼ ￣ ィ从/ 'ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ 、 ／
-/ --〈￣ ￣〉 ＼ 人 | r≦| r-r / | --- | / | ,ﾆﾆﾆﾆﾆﾆV ＿_
l ￣｝、＿＿｜ ＼ｰ ／ |ニ.| ｰ ./ _ 、 | ,ﾆﾆﾆﾆﾆﾆi|
, ￣｝ | ＼ , |ニ._ /-- ＞-＜ 州ﾆﾆﾆﾆﾆ | |
3115 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:27:23 ID:S4b0V18w0 [331/511]
┏─────────────────────┓
│俺の最悪な欠点は、快楽への旺盛な欲望だった。 │
┗─────────────────────┛
i ﾞi i
.i /'j
,- ､__ ヽ //
i'''''‐-､｀ ヽ ､ ｀ヽ､,,,,,,,-‐''´
ヽ ｀ヽ､ ﾞ＼
｀ヽ ､ ﾞヽ､〉 _ ..,ﾍ :＼ ',j ／∠二l::. l l. }
｀'''‐'''´ ,-'''''''‐-､ ／ ィ´ } .:.:} ´￣{｛ ｀ヽ/
i ヽ、 ＼ , ' {｛ _ノ ...:.::,′ ｀ , '´ ',
,,,-‐'''''‐- ､ .ヽ ヽ 、 ヽ ′ ≧二二. ..:.:.:.:/ ､ / }
/ ヽ、 ＼ ＼_ ﾉi { { ≧≦彡イ ／ ｀ヾ′ ′
.i j､ ｀''‐-二ﾌ' | 〉'´ ￣ V ', ′
.i､ ij } ′ .′ __ } ′
ヽヽ､ // ト ､r‐┴､ i , '"´ ｀ヾv ,'
｀ヽ､、＿__,-'／ ト、ヾ¨} } ｜ ／ ,' ,′
''''''''''''' | ヘ ＼ {_ { ／ ∠、 ,′ ,′
／, 一ｧ }ヽ '´ '´ | ﾞ７ ,'
｀ア 二 V__ . '´ ／ ゝ_,/ ∧
〈ノ´ { . '´ ／｀ヽ ー '"´' /'^ 〉
′ > ´ ／ / {_／
′ ／一- .. ＿__/ ' }
｜ ／ ｀ヽ、 厶｣
{ ／¨ ‐- .._ /
,,-''''''ヽ-､＿＿＿ _,,--'''''''''''ヽ ィ´ ｀丶、 /
／ j .j───'''''i ／´,,,-‐''''￣ﾞヽヽ- ､
/ ./ ./￣￣￣￣i / ／ // 'ヽ､＼ﾆﾆﾆﾆﾆi
i' / /￣￣￣￣jj ヽ〈＿ ,,,-''‐-ji. i ﾞヽﾞヽ──j j二
/二＞-‐'''''￣二二ヽ￣ヽ二二二'''''＜二二-===========-i二二二二i
-‐‐i'´,,-''''´￣￣￣ ヽi￣‐､ ｀ ヽ ､｀''''ヽ､i二j､＿＿＿＿,,,,,,,,,,j-､-‐‐‐‐‐‐i
‐-‐ﾞﾞi´ i￣￣￣￣￣二二i‐-ヽ∠-‐‐i,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,-‐‐''ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆi‐''‐---
ﾆ二''ヽ‐--‐'''''j二二二二二---‐i ヽij二二i＿＿＿＿,,,,,,,,,,j二二二二二i＿＿＿＿,,j
3116 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:27:42 ID:S4b0V18w0 [332/511]
┏──────────────────────────────────────┓
│これは多くの人間の場合は幸福の源となるかもしれないが、 │
│俺の気位の高さや、特に人前に必要以上に体裁を作りたがる気質とは相容れないものだ。 │
┗──────────────────────────────────────┛
┏───────────────────────────┓
│俺が享楽生活を隠すようになったのも、これが原因なのだろう。 │
┗───────────────────────────┛
,..-―――-..、
/ '.,
.,' l
l -..,,＿ __| .l
| rty-、 r | __人__
', ヽ ｀￣´ ヽl ヽ/
', （ , ） |
| | .｀￣´｀/
| ヽ、 .|
,-r.、 ｀"''-..,,＿ノ
./:::::ヽ｀''-..,,_ /-..,,_
_,,-''":::｀ヽ::::::＼ ｀ヽ.ﾊ:::::::::ヽ
_,,-''::::::::::::::::::::::ヽ:::::::ヽ .|::ヽ',:::::::::::',
../::::::::::::::::::::::::::::::::::::',::::::::::ヽ|ヽ_j |:::::::::::l
.l:::::::::::｀ヽ、:::::::::::::::::::',:::::::::::', |:::',|:::::::::::|
┏─────────────────────────────────────────────┓
│歳を重ね、思慮分別を備える年齢になり、自分の地位と栄達を守る為に周囲に注意を払うようになったとき、 │
│俺は既に完全な二重生活の深みにはまっていた。 │
┗─────────────────────────────────────────────┛
￣ ､ | ＼ ＿___ ／
´ ＼ ＿ / ト_
／ ,rfn､ ヽ , ― ￣ l ￣￣￣ ヽ
/ ,rffn. '" ヽ / ―- ＿ ＿ - .|
' '" ,riiﾆヽ. ヽ | ｀ ´ |
l ,riiﾆヽ _. ヽ | | |
. l ,.. _,,.. -‐' _,..r' l | , ＿ -',. |
. l '､., __ ,.. -‐''"ﾞ } i | .}~～～～,ﾍ^l_~~~ .} |
l ヽ ! ﾉ! | | // ' 「〉 .} |
l ヽ ./ i | | 〈 .| } |
l ｀ヽ==＝'ﾞ i. | | } ﾉ ﾉ . |
! / | | ＿_ ノ / } .{
,' / | ＞ ／ } /| |
￣ ｀ー - / | ／ ／ { } | |
｀ ､ / | ／ } 人 | |
:.:.:.:.:.:... ､ ／ 〉 ＿_ ＜ { } l |
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. .:.:ヽ _ ´ / ￣ ^- _ } }＼' .|
ー- :.:.:.:.:.:.:.:.. ..:.:.:.:.:.:ヽ / ~ ~ ~~~~~{ ﾉ ' , |
｀ ､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ / ~~＞―― 、 } ／ ヽ|
､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼ / ／ ヽ { / }＿
..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ / ／ _ ～～～_ヽ }-､ ／~~~Y 二l
..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ / ／ ＼ { ｀´ } 二二)
3117 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:28:05 ID:S4b0V18w0 [333/511]
┏───────────────────────────────────────────────┓
│俺が犯した放蕩の程度なら、むしろ進んで言いふらす人間もいるかもしれないが、 │
│俺は酷く高い理想を目指していた人間であるから、病的な恥ずかしさを覚え、人々からそれを隠すしかなかった。 │
┗───────────────────────────────────────────────┛
── 、
. / ヽ
,′ `､
| _ ∨──-┐＿＿＿＿
/y^YﾍﾊLヽ f＼ , ＼＜／___＿＿＿／|
人! .| ﾄ､ヽ＼`ｰ,’ 〉}/ /:::::`-＜__////Y/ |
/::::::^ゝへ_ ` ___ｨ_/ /:::::::::::::／:::::＼/ i//|
.j::::::::_ﾑｭｰ､＼／:::::::::| /:::::::::::::::::::::::::::::::Y:i//|
/:＼/.::::::::::::::〉〈::::::::::::::{::::::::::::}/::::::::::::::::::::}:|//|
}:::::/::::::::::::::::ｲ:::}:::::::::::::::{::::::::::/:::::::::::::::::::::,' |//|
:x、 /／::::::::::::::::Λ{;;;|:::::::::::::::i:::／::::::::::::::::::::::ｲ./|//|
. ＞x、 }':::::::::::::::::::/::::N;;;|::::::::::::::::V:::::::::::＼＿__/ |/|//|
＞ x ＞ﾍ::::::::::::::::/::::::::::V|::::::::::::::::::V::::::::::::＼::/..:::ｉ/|//|
ZZZ>＞x ゝ..___, ハ::::::::::::::{::::::::::::::::::::'.::::::::::::::７::::::::{/|//|
ZZ/ /ZZZ＞x ＞x、::Λ:::::::::::::::::::}::::::::::／::::::::::|/|//|
Z/ /ZZZZZZZ＞x ＞';:::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::|/|//|
＜ ＼ZZZZZZZZZ＞x､ ゝ::::::::::::::ィ:::::::::::::::::::::::|/|//|
｀ﾞ＜` ＜ZZZZZZZZ ＞x､ ￣＞x、:::::::::::::::: ｛/|//|
3118 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:28:18 ID:S4b0V18w0 [334/511]
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （○） （O）
. |. .|| （__人__）
| ﾉi ! | } ああ、俺はなんて恥ずかしいことをしてしまったんだ……。
. | し' ｀ ⌒´ﾉ 罪の意識に苛まれ、このままでは本当に病気になってしまいそうだ。
. ヽ }
ヽ ノ
/ く
| ＼
| |ヽ、二⌒)
, ｎ ／￣￣＼ .ｎ
/ / ｊ.´_ノ ヽ、u'l lヽ、
. /,ｲ / （○）（○） .ｌ i i i 俺と同じ悩みを持つ人間が他にもいたとしても、
〈 .ｒ {u （__人__） .i. } } 〉 大体は寸前で思い止まることができるのだろう。
. ', ｉ. ', ｀ ⌒´ / / だが、俺にはそれができないんだ！！
i l. ,' ./
ヽ､_.ｲ、. 人 ﾉ 俺はこんなにも堕落した人間だったのか……！？
. ヽ 〈_ノ ﾉ
. | .／
. | . |
3119 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:28:35 ID:S4b0V18w0 [335/511]
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／ ＼
／ ＼
／ l ＼ いいや、娼婦を抱くことも変態プレイを楽しむことも、
／ ノ::::::::::::::::::::::.＼ 別にこれらは社会では犯罪ではない。
. / _, -'´:::::::;;;;;;;;;;;;;;:::::: ＼
｜ ／ ／￣◯ :;;;;;;:／／￣◯ヽ 個人でやっていることだし、相手も商売をしているだけなんだ。
.｜ ｜ |. .| ,|:;;;;:| |. .| ｜ なんでこんなに気にする必要があるんだ？
| ＼ ＼＿／ ／::;;;;::＼＼＿／／
.| ,／ :::|:: ＼
| u ｜ ｜ ｜
| ｜ ｜ | =二=二￣
.| ＼＿＿／＼＿＿／| ,. ,._ ,.-,.､ -=二＿ニニ
|. トエエエエエイ | // j / / ﾉ -=ニ_￣
.| u '.{ :l }/ / ＿＿ﾉ ｀-/ﾉ `ﾂ ＿＿ﾆ＿二＝
| .{ :l }/ ） // // _,_{￣/￣￣￣￣/^/;;'´￣￣
丶 .{ } l ヾ､＿/ /＿i＿＿＿＿__i_ヾ:;'
＼ ､`ｰ一一 ' ) / -=j" ,_/
＼ u / ,.--､ / / ./
ヽ ／ }ヽ ＼ ノ _} / ＼
( ヽ、
＿＿＼ ＼
<＿＿ ＼ ＼
／<＿＿ ＼ ＼ ﾍ /⌒/
.／ └--ﾐ ヽ、＼ - ＼ |
. , '′ ⌒ヽ,__ﾉ丶 - 〉
/ （ ◯ >､ ､( ＼ ! いかんな……。
/ u , `'''" _, ＼_ヽ { 俺は高い理想を目指している紳士なんだ。
./ { , （ ＼）、ﾍ > 、
| u ゝ-イ `''" ./ ＼ ∠／ヽヘ 自分を戒める気持ちが残っているだけでも、まだ救いはある方だ。
,.-／| ゞﾆ>一′ .／ ＼(⌒) ﾉ ＼
／ | ＼ヽ .／ .ヾ、 ／ ＼ もっと自分に厳しくしなきゃな。
￣< ! `＼ ／＿＿＿ ＼／ ＼(
＿ ＼ ! > ー-- イ ＼_ ￣￣＼_＼
! ￣￣ ヽ ／{ )＼ | ∠ ノ）ヽ、
＼ /⌒＼ 〉 ￣ / / >＼
＼ い / / /／ノ
＼ / / / ／￣
3120 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:28:51 ID:S4b0V18w0 [336/511]
┏─────────────────────────────┓
│それにより、人間の二重人格を形成する善と悪の二大領域が、 │
│普通の人間の場合よりもはるかに深い溝で仕切られる結果となった。 │
┗─────────────────────────────┛
, ,, ､, ,,,, ,l.ｌ .!へ.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;;;;,i".., ,,,,
､,, __ _ ,, _ _v ､,,､,, /;.ｌ .!;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;;;;;|,iﾁ..､,, ､_,, _
､,,＿,, ,, ,,＿､ ,,＿､,,＿,, ,, . ,y;;/|| .!;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;......;;;",! ､ ,,＿ ,, ,,､,,
_ _, _ __,, ,,,, ,, .: ,i'ｽr"i |.!;...;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;,..;;;/" ,,,, ,, ,,,, ＿,, ,,,
＿,, , ,,_ ＿,, .,!;'.! .,";;..;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;...;;;./.,,_ _ _,,
_,, _,, __,, _,, 、,､/|.! .|;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;l〉 _, _ _,,,
_,, _,, _,,_,, _,, ..;ノl/ﾞ;!'i |.!ﾞ.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;i!i｢._,, _ _ _
_ __,, _,, ,, _,, _ .;/ﾞ;;;|| .!ﾞ;;;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;;;;/" .l __
_ _,, _ __,, ||.! .|ﾞ;;;;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;;;;;;;,./ ...,iﾘ ..,,,, ,, _,,
､,, , ,, ､_,, _ _,, .;;|'i |.!;;;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;....;;;;;,i.／;,./ ,./ / _,,_,, ,,_
, ,, ､, ./'i |.!;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;;;/..-'ﾞ./ : ,ｒi'";;;;;/ ,,,,
､,, __ _ ,, _ _v / ;'i |.!;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;,/".;.,ilﾄ.;:../l;;;;;;./...､,, ､_,,
､,,＿,, ,, ,,./ .! .,;::;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;;ゞ;..;:.;;;ｾ../l ;;;;;./.,＿､ ,,＿ ,, ,,､,,
_ _, _ __,, ./|.! .| ;;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;∠ ....;;;ilゞ.;'i;;;;;./ .,,,, ,, ,,,, ＿,, ,,
＿,, _〃 ;.,iツﾞ“i |.!i |.;;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.|.! .|.;'i |.!;.;.;;;,/,i . ,,_ _ _,,
_,, _,, / / /";´|.! .|;;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;;キ _, _ _,,,
_,, _,, ,ゞ..,./ 'i |.!l;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;;;;;;;;;;;/ _,, _ _ _,
_ __,, _,, ,, _,, . ／|| .! ;;;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;..;;;;;;;;;;;;./ : , .゛ __
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/ﾞ;;l./ ;'i |.!;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./.,, ､, ,,,,
､,, ;/;;;".|| .!;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;;;;;;;;;;;, ／ ._ _v ､,, ､_,, _
3121 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:29:19 ID:S4b0V18w0 [337/511]
┏────────────────────────────────────────────┓
│俺は宗教の根元に横たわり、無限の苦悩を人間にもたらす源泉の一つである苛酷な人生の掟について、 │
│深く、執拗に考えないわけにはいかなかった。 │
┗────────────────────────────────────────────┛
＼ /
＼ ＼ 丶 / / ／
＼ ＼ 丶 i | ./ / ／
ヽ ＼ ＼ 丶 i | / / ／ ／
ヽ ＼ ＼ 丶 i. | ./ / ／ ／
ヽ ＼ ＼ ヽ i. .| / / ／ ／
ヽ ＼ ＼ ヽ i | / / ／ ／
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二二二 |ｌ()l|| ＝＝＝ 二二二
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／ / / | i, 丶 ＼ ＼
／ / / | i, 丶 ＼
3122 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:29:40 ID:S4b0V18w0 [338/511]
┏───────────────────────────────────────┓
│俺は酷い二重人格者であったが、決して偽善者ではなかった。善悪両方面とも真剣に生きた。│
┗───────────────────────────────────────┛
_, _／ ヽ / /／,. -‐
￣｀＞=＝＜:.: ヽ 三ミ: : |
__, -ｰ-ミ､ ヾ ｜ / ｜ .: : : ｜
／ -=- ヽ ｌ ,' 彡':.| . .: : |
´￣:.三三二.:フﾞ ､:.:.::.:./ ヾ : .: |
彡′ ヽ.:./=く￣ ヽ ＼ /
／ '' .:. .:＼,..､ ':, /
/ / .:. ヾ' ! ′
! / .:. ﾐ´ /
ヽ ＿＿＿＿＿_／l ヽ｀ /
ヽ｀〒＝＜´ / ＞- ､_,＼ | /
', | / / /__/ / ＞＼ l /
Y´｀7´￣! 〉ヾ＿/ { ヽ_,ノ /
} / / / / ヽ／_ゝ─' /
| / / / / ／|／ / i三三三三三三i
＼ ゝ＝く__/ / ／／ ／ i三三三三三三i
ヽ ＿＿｀ヽ:_／:. ／ i三三三三三三i
＿i i
i三三三三三三三三三三i
│ （ ⌒）（⌒）i
│ （__人__）i
!二コ ｀ ⌒´ﾉ二フ
├─┴─┐ ！三/7
ゝ三三三│ ＿ﾉ三/7
ゝ三三三i ⊥;:丶 7/
/ゝ三三三i￣;:＼ｌ;:/ /三＼
/三三三ヽ／ヽゝ;:;:;:;:;:/三三＼
（三三三三ヽ/￣ヽ:;::;:│／＼ ヽ
＼三三三ヽ/￣ヽ／ 三三ゝﾉゞ
/ ＼三三三Ｙﾐ三三／三三)
) 三＼ﾐ三三三／二二二丿
ﾉﾐ三へﾐ三／i:;::;::;::i三i
ﾉ 三三三三三i:;::;::;::i三i
┏─────────────────────────────────────┓
│学問の進歩の為に、または人間の悲しみや苦しみを救う為に公然と努力しているときも、 │
│自制を捨てて破廉恥な行為に溺れてるときも、俺という人間に変わりはなかった。 │
┗─────────────────────────────────────┛
3123 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:29:55 ID:S4b0V18w0 [339/511]
┏────────────────────────────────┓
│偶然にも、俺の超絶的な研究と、善と悪の闘争に対する俺の関心は合致し、 │
│日に日に真理に近づいていった。 │
┗────────────────────────────────┛
| ／| | |::| | |
: : : : : : |／ | | |::| | |
: : :. | | | |::| | ＿＿＿＿|＿
| ／| |＿＿＿＿＿＿＿＿_|::|＿＿＿＿＿____________| |＼
______ ／ :|／: : | |￣￣￣￣￣￣￣￣ |::|￣￣￣￣￣￣￣￣¨ﾞ| ||＼＼
／| ／ :| |: : : : | | |::||￣￣￣￣￣￣￣￣¨| ||: : |＼＼
. ／／|| ／ :| |: : : : | | |::|| | ||: : |: : |＼＼
／／／|||／ :| |: : : : | | |::|| | ||＼|: : | |: :＼＼
. ／／／|i:i:ｉ||| :| |: : : : | |＿＿__,||＿＿＿＿＿|::|| | ||: : |＼| |: : |: :＼＼
. ／／|／|i:i:|i:i:ｉ|||匚]ﾛ｢］ｈ_」.|: : : : | ／￣￣....||￣｢|＿_,｢|＿＿|＿＿n＿＿＿＿＿＿|＿||: : |: : | |＼|: : | |:＼
／／|:::::|i:i:ｉ|i:i:|j／||:::::::7⊂⊃□_____ | |￣￣￣¨||￣|:|＿_,｢|＿_｢|__￣ || |＼ :||＼|: : | |: : |＼| |: :
. ／／／||:::::|i:i:ｉ|j／／||:::: //::::△扎 ／l| ￣￣ || ｢｢⌒ＹＹ⌒YY ￣□￣￣￣￣.| |￣ﾞ||: : |＼| |: : |: : | |＼
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／／|i:i:ｉ|i:i:ｉ||:::::|／|i:i:ｉ|i:i:ｉ||二二二二|,ｧ─〈_,/: :/ ¶(＿)(＿）(＿__,)(＿__) (＿) /∧ .| l |＼j|: : | |: : |＼| |: :
,.:i|i:i:ｉ|i:i:ｉ|／||:::::|i:i:ｉ|i:i:ｉ|／||＿＿ |ﾆﾆﾆｱ : / i□ □¶¶¶□□□¶_¶_¶_/|￣ﾍ../∧ ＼|____|:.:.: ＼j| |: : |: : | |＼
i:i:|i:i:ｉ|j／／||:::::|i:i:ｉ|j／／||二二へ | 7∧: :/ .ｎ ｎ ｎT「|」ＴＴ「Ц_||_||_|| /二二'， ∧ |.:.:.:.: .: ＼:.:j|: : | |: :
i:i:|j／／|i:i:ｉ||:::::|j／／|i:i:ｉ||￣ |＿|__,|く_/^ Ｖ 〔__〕〔__〕〔__〕「|」｢|｣｢i|ii|ｰ‐‐‐┘０ || //∧ : : : :＼.:.:.:.:.:.:.::＼ : | |: :
／／|i:i:ｉ|i:i:ｉ||:::::|／|i:i:ｉ|i:i:ｉ|| ／＿＿／| |二二二二二二二二「||ii|ｎc二二二||_,ｎ___二| : : : ＼.:.:.:.:.:.:.:. ＼|: :
,.:i|i:i:ｉ|i:i:ｉ|j／|:::::|i:i:ｉ|i:i:ｉ|j／|⊂二⊃__|／/¨¨¨¨¨¨¨¨~¨ﾞ八¨,八::⊂⊃|ii|｢|」｢|」 八~||¨| |¨¨¨¨ﾍ : :.:.::＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
i:i:|i:i:ｉ|j／／||:::::|i:i:ｉ|j／.:.:. ||: : : : : | / ｎ (＿)(＿)|＿__,|ii| ゑ (___）||:'´｀ヽ /∧ : : : :＼.:.:.:.:.:.:.:.:
i:i:|j／／|i:i:ｉ||:::::|j／.:.:.: .:.: |｀~¨¨¨´ ./ 八 ノ 乂 ｢|==i|ii| |__| ||ゝ _ノ ∧ : : : : :＼.:.:.:.:.:
／／|i:i:ｉ|i:i:ｉ||_／.:.:.:.:.:.:. :.: | / (＿) |＿__| γ´｀ヽ |ii| 「|/〉 || /∧ : : : : : :.＼.:.:
,.:i|i:i:ｉ|i:i:ｉ|j／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／ / ⊂⊃ 乂_,,ノ_|ii| |｀¨¨´| {ΞΞ} /∧
i:i:|i:i:ｉ|j／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／: :. / ЛЛЛ |::::::::| 冂￣ |ii| | | //∧
i:i:|j／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／: : / ｌ二二二二ｌ ｀¨¨´ {ΞΞΞ} ｀¨¨¨´ /∧
┏────────────────────────────────┓
│そして、その一部分を発見した為に、俺は恐ろしい破滅を招く運命となった。 │
┗────────────────────────────────┛
3124 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:30:11 ID:S4b0V18w0 [340/511]
┏───────────────────────────────┓
│それは人間が単一の存在ではなく、実は二次元的存在という事実である。 │
┗───────────────────────────────┛
┏───────────────────────────────────────────────────┓
│俺の知識ではこれ以上の発見はできなかったが、 │
│いつの日か、同じ研究に携わり、俺を凌駕する人々が現れ、人間が多元的存在であることが明らかにされるかもしれない。 │
┗───────────────────────────────────────────────────┛
|＼ ／|
| .＞‐…‐＜ . |
|／ ＼|
/ ,. -┐ ,..-┐
| ⌒ ⌒ | ／ /::| ／ /::|
"" "" ./ ／ ./:::::| ／ ./:::::|
＼ ｰ=‐'' ／ ／ ￣￣￣ ヽ
ゝ く / ,.-､ ,.-､ ﾞ､
／ ＼ | /●/ ヽ●､ . |
| `'''" ト､＿＿,.ｲ `'''" |
ヽ |'VVVVV| /
＼. ヽvvvvvﾉ ／
＞ ￣￣ ＜
／ ＼
/ , 、 ＼
┏────────────────────────────────────────┓
│つまり、人間は一個の国家であり、内部には雑多で独立した住民がお互いに対立しあっている。 │
┗────────────────────────────────────────┛
ｶﾞﾔ
ｶﾞﾔ
ｻﾞﾜ
ｻﾞﾜ
Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y
Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y
:::Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y
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:::Ｙ:::::Ｙ:::::Ｙ:::::Ｙ:::::Ｙ:::::Ｙ:::::Ｙ:::::Ｙ:::::Ｙ:
＼ ☆
| ☆
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＼ （´⌒ ⌒ ⌒ヾ ／
（'⌒ ; ⌒ ::⌒ ）
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☆─ （´⌒;: ::⌒`） :; ）
（⌒:: :: ::⌒ ）
／ （ ゝ ヾ 丶 ソ ─
ヽ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
3125 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:30:27 ID:S4b0V18w0 [341/511]
┏──────────────────────────────────────┓
│俺個人の場合といえば、自分のこれまでの生活の性質上、ただ一つの方向へ進んでいた。 │
┗──────────────────────────────────────┛
┃:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
／´￣ ┃ ￣ ｀＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
／ ┃ ＼:::::::::::::::::::::::::::::::::
/ ┃ '.,:::::::::::::::::::::::::::::
| , ´￣` ┃ ､／⌒｀ |::::::::::::::::::::::::::::
| ┃ .|::::::::::::::::::::::::::::
人 | ;;;（.´⌒ ） ┃ （ ⑪ ） |:::::::::::::::::::::::::::::
｀Ｙ´ | .´"''",. ┃ "''"´ |:::::::::::::::::::::::::::::
ｉ |.. （ ┃ ） .l::::::::::::::::::::::::::::::
__人__ | ｀ｰ- ┃ ｰ-‐′ /::::::::::::::::::::::::::::::
｀Ｙ´ .丶 ｀ ┃ ´ /:::::::::::::::::::::::::::::::
! ヽ ┃ /:::::::::::::::::::::::::::::::::
ヽ ┃ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ゝ ┃ ／イ＼::::::::::::::::::::::::::::::
／ ┃ ＼::::::::::::::::::::::::
／ ┃ ＼::::::::::::::::::
┃ ＼::::::::::::
┏───────────────────────────────────────────┓
│俺が人間の本質の二元性を認めるようになったきっかけは、俺自身の道徳面だ。 │
│意識の内部では善と悪の性質が争い合っているが、その両者は他ならぬ自分自身だと悟ったからだ。 │
┗───────────────────────────────────────────┛
3126 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:30:44 ID:S4b0V18w0 [342/511]
┏──────────────────────────────────────┓
│そして、科学的実験によって善と悪を完全分離できないかと、奇跡を空想しては楽しんだ。 │
┗──────────────────────────────────────┛
,...─／::::／
／:::／乂_ ﾍ
／:::／ ／::ﾉ
／:::／ ／::／
{::／:::〉_／::／
V::{ __ .／:::／ :::_／
ミメ､ ヾ::､ ／:::／:::／ ￣
ヾ::＼__ノ::::〉 {::／{_／:}
＼::::::／ 《] ／::／
￣ ハ／
[》
｢::::{
ﾐﾒ､ r.､ ﾉ::「｀
∨〉-､}:::}
∨:::::} ′
}::::::} __ -=ﾍ __＿ノ:)
_ﾉ:::::ﾉ ＿ -=:::::::::::::::::∨::::::::::て
f::::乂:ハ r...::::::_=- ⌒(::::::::::::::::-=二
|::::{ }::::} ∨::/ _＞─::::r─ ､:::〉
|::::{ }::::| ∨:廴_-=::::::=- ￣
|::::{ }::::| 乂::::=- ￣
|::::{f::ヽノ
乂::∨∧
∨∧
_∨∧:＼
{::::∨:::〉::: ＼
＼:::〈 ＼::＼
＼:＼ 〉::::}
┏────────────────────────────────────────────────────┓
│善と悪と、それぞれを別個の個体に宿らせることができれば、人生の一切の悩みから救われるだろう。 │
│悪の人間は双生児だった善の人間が持っている理想と自責の念から解放され、自分の欲するままの道を進むことができる。 │
│善の人間も恥辱と悔恨に苦しむこともない。善行に喜びを感じ、高い理想に真っ直ぐと進むことができるのである。 │
┗────────────────────────────────────────────────────┛
3127 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:31:13 ID:S4b0V18w0 [343/511]
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ●））
. | （__ﾉ_）
| ｀⌒ﾉ しかし、これは夢に過ぎない。
. | }
. ヽ } この研究をただの空想として終わらせていいのか？
ヽ ノ
.> <
| |
| |
＿＿＿＿＿＿_
／ ＼
__／ ＼ 俺にはもう耐えられないんだっ！
／. 、 |
|. ,(⌒(○)ヽ | 善と悪という正反対の存在が一つに束ねられ、
l ｌヽ )＞ ／ 両極端な双生児が意識の胎内で激しく争い合い、
/ ヽ＼ `(__,(○) / ／ 宿主を苦しめていることこそ、人類の災いだろっ！
| ＼ ￣￣￣￣￣￣ ＼
| |ヽ、二⌒)､ ＼
3128 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:31:40 ID:S4b0V18w0 [344/511]
┏────────────────────────────────┓
│俺がここまで考えてきたとき、書斎のテーブルが解明の手掛かりを与えた。 │
┗────────────────────────────────┛
[二二二二二二二二二二二二二二二二]
〉 Ｙ ||
. / │ ||
/ l .||
. / ; ./ ||
/ / ./===||
. / ; ／ ; _＿_,／ ||
. ／ ／ ／ / ｀).／ ||
／ ／⌒ヽ､＿,ノ⌒ヽ､__,ノ,.-‐'" .||
く,._＿__,＿,.'-‐'"￣´ ｀￣ || .||
[ニ二二二二二二二二二二二二二二二]
┏─────────────────────────────────────────────┓
│一見頑丈に見える人間の肉体は、実は揺れ動く微々たる存在であり、霧のように儚い。 │
│そして、風がカーテンを舞い上がらせるように、俺はある種の媒体が人間の纏っている肉体の衣を揺さぶり、 │
│はぎ取ってしまう力があることを発見した。 │
┗─────────────────────────────────────────────┛
3129 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:31:53 ID:S4b0V18w0 [345/511]
┏────────────────────────────┓
│この告白では科学の専門分野に深く立ち入るのは避けたいと思う。 │
┗────────────────────────────┛
／:::::::::::::::::＼
i|::::::::::::::::::::::::::}
八从人从八__}
| } )
r-‐‐- 、 ヽ /.|/
-‐‐┐ {:::::::::::::::::} ＿＿ ＼_／ | r―‐- 、
::: : {¨', ({.:::::::::::::::::} ／::::::::::|／￣｀‐---‐´￣＼:::::::::}
::: : }_'ﾉ ヽ:::::::::::/ |:::::::::::::: |. /ヽ:::::|
. =r'〉 ＼⌒ ___r==┐ ,-‐‐、 ゝ::::::::/ヽ| / ∨
|¨￣＼ v ￣ ￣￣＼/⌒ヽ/⌒ヽ/⌒ヽ . {:: : / }⌒'.__r=={ | | |ニ､
| /. } |/. |/⌒ヽ:::::::::::: . /⌒ヽ}-┘ﾉ {|. | | | |
. ﾉ . ＼/ | | |.::::::::::::::::::::::::::::::::::／￣￣＼/⌒ヽ. !____| |＿＿|ﾆﾆ
7￣| |____｝::::::::::::::::::::::::: : ∧ |￣ | }. | | | |
. /＿_| | | |:::::::::::::::::::::::::::::::| | { | }. | | | |＝＝
. | | | |:::::::::::::::::::::::::: : ヽ| ｒ===ih |. | | | |
======={. |/ /.:::::::::::::::::::::::::::::: : | 〔二二}i:｣|. | | | |二二
┏──────────────────────────────────────────────────┓
│第一は、この世の辛い運命と重荷は永遠に人間の肩に縛り付けられているものであり、 │
│これを投げ捨てようとすれば、かえってそれは恐ろしい圧力としてその人間に戻って来ることを身にもって知ったからだ。 │
│第二は、悲しいことに、この発見は不完全だったことだ。 │
┗──────────────────────────────────────────────────┛
3130 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:32:08 ID:S4b0V18w0 [346/511]
┏──────────────────────────────────────────────────────┓
│だから、次のことだけを記すことにしよう。 │
│俺は自分の生まれながらの肉体が、実は精神を構成している幾つかの力から発せられた精気と光彩に過ぎないことを認識した。 │
┗──────────────────────────────────────────────────────┛
/￣￣￣＼
,': : : : : : : : : ,
}. . <>. . <ﾌ. . }
}. . .､._ﾉ､_.ﾉ. . }
}. . . . i. . i. . . .}
}. . . .´￣｀. . .:}
}. . . . . . . . . ..:}
＼. . . . . . .:／
）. . . . . (
/. . . . . . .ヽ
//. . . . . . ∧〉
〈∧. . . . . 〈
〉/￣＼:!
〈/
┏─────────────────────────────────────┓
│そして、それらの力を現在の最高の地位から退けさせ、 │
│代わりに別の肉体と容貌を出現させる薬品をなんとか調合することに成功したのである。 │
┗─────────────────────────────────────┛
ｨ彡三ﾐヽ /｀ ｨ彡三ﾐヽ
彡'⌒ヾﾐヽ ＿__ ー彡'⌒ヾﾐヽ
ヾ､ |￣ | /
＿ ｀ー―' | | ｀ー―'
彡三ミﾐヽ | | 彡三ミﾐヽ
彡' ヾ､ ＿ノ | | ＼＿ ヾ´ ´ミ
｀ー ' ﾉ ﾊ ｀ー ´
,ｨ彡三ﾆﾐヽ ＿_ノ ／ ＼ ,ｨ彡三ﾆﾐヽ
彡' / .ﾍ ミ'
＿ ＿＿ ノ l─────l ＿
,ｨ彡' . ﾍ / ,ｨミ'
ﾐ三彡' ／⌒ ｀ー--一'´ ﾐ三ミ'
ｨﾆﾆ=- ' ｨﾆﾆ=- '
,ｨ彡' ｀ミｨ,
3131 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:32:26 ID:S4b0V18w0 [347/511]
┏─────────────────────┓
│俺は薬品を完成させる前に、長い間ためらった。 │
┗─────────────────────┛
／￣￣＼
／ ＼ ＼
. （●）（● ） u. |
（__人__） u | 常識的に考えて、そんなものは人間には耐えられないぐらい強い薬だろ。
. (｀⌒ ´ |
{ | 個性の砦を揺り動かすほどの力があるんだしな。
{ u. /
＼ /
ノ ＼
／´ ヽ
, -――-、 俺の中にいる双生児……。
／ ＼ そいつの肉体と容貌は俺の魂の下等な要素の表れだが、やはり俺自身なんだろうな。
/:::::::::::::: ヽ 会いたいような、会いたくないような……。
/:::::::::::::::::: ヽ
|:::::::::::::::::::::: / だが、構うものか！
.| / 俺は…自由になるんだっ！！
＼ ／
,, -─- ､._ 〃"
"ミ ／ ヽ
| u ノ ヽ､ | 赤い液体はとっくに調合済みだ。
| （●）（●） |
| （__人__） | モー商会から特殊の塩も大量に購入しておいた。
ヽ ｀⌒´ J ﾉ 今までの研究によると、この塩は最後に絶対に必要な成分のようだ。
/ ヽヽ, ） ）"
"（ （ （ ヽ ／.／
＼ ＼ ゛／／ | ｶﾞｻｺﾞｿ…
／ / ヽ ~ ＼ ｀ヽ~＼
3132 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:32:47 ID:S4b0V18w0 [348/511]
┏────────────┓
│呪われた夜がやって来た。 │
┗────────────┛
・ .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;., ;,::;
;:;;: , .,., .,. ;:;:。 ,.:;,;,:, *:,; ;.,;,::;;。,... .. ;:
;:;;: , .,., .,. ;:;: :. :. .: : -‐- :. .:.::. .:.: :. .:.: ,.:;,;,:,★:,; ;.,;,:: .,...
;:;;: , .,., *., . : ,r'´. ｀ヽ: .. : :. .:.::. .:. . . ;:;: ,.: ;,;
＋ .: ..: :' ..:. ﾞ; ::: :. :. .:.:. .::;:;;: , .,., .,. ;: ; ,;,:,:,; ;.,;,::;;,... .. ;:
: :. ::.. .: :. .:.::. :. . :. ;:;;: , .,., .,. ;:;:。 ,.:;,;,:, *
;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,..: ..: :ヽ ::::... ..... ,.': :... :. :. . :.::,; +;.,;,:: .,... .. ;:
;:;;: , .,., *.,::.. :..:. :` ｰ- ‐ ''"... . .::: . ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,;* ,::;;,... .. ;:
:: . ::. ::::. ::.. ::.. ;:;;: , .,., .,. ;:;:
::::::::::::: :::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::: :::::::::::::::: :::::::::::::::::::
:::::::::::::: :::::::::::::::::: ::::::::::::::::::: ＿＿＿＿＿＿＿ ;ヾ; ;ヾ; ヾ;
::::::::::: :::::::::::::::::: ／／／／／／／" ;ゞ "; ;ゞ ;"
二二二二二二二］］ ／／／／／／／" ;ゞ "ヾゞ; ;ゞ "
┌─┐ |;; | ／／／／／／／;ヾ ;"/" ; ;ヾ ;ヾ ;
~''^'-^ﾞ-､'~''^-^ﾞ-､ | ／／／／／／／; ;ヾ ; " " ヾ ; " ; "
:::::::::::::::::ﾞ-:::::::::::::::ﾞ-|￣"-,,_ ￣￣|￣￣￣￣ヾ ;"; "i "; ;ヾ; ;ヾ; ;ﾒヾ
:::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::i￣"-,,_| | ヽ゛;ゞ ;" "ゝゞ ; ;; ; ゞ゛; ; ゞ
::;;;;;;::::__,,-''~i､;;;;;__,,'':: i,..|"-i.| | ヽ丶 ヾ ;"; "i "; ;ヾ; ;ヾ; ;
:::::::::|.レ／:::::::i |:::::::::,:,i. i"-l.| | ヽ;ゞ ;" "ゝゞ ; ; ; ゞ ; ;ヾ ; ;
,,-''ｿ／::::::::::;/::::::::::;/::.. ... | ,,| ヾ ;"; "i "; ;ヾ; ;ヾ; ;ﾒ
;;;;//::::::::,-'~/:::.::,,-'|::::.. |"-i.|^-､ _,,-'~''^'-^ﾞ-､'~゛ ヾ; ヾ; ;ゞ "＼;;ｉi ;ｉiメｿ
y /_,,-''~y /_ .-''|;; |::::.. |"-i.|:::::ﾞi ノ:::::::::::::::::::::::::::ﾞ-:::::::::::::::ﾞ- :::::::::::::|;l!ｌ| |ｌ|::::::
3133 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:33:04 ID:S4b0V18w0 [349/511]
＿__
|￣ |
| |
| |
| |
ﾉ ﾊ
／ ＼
/ .ﾍ
l─────l
ﾍ /
｀ー--一'´
/ ｌ u ｌ !
∧ ＼. ゝ _, ｰ ' ヽ ノ ｺﾞｸﾘ…
/ ＼ ＼. ー _ _ ＿ﾉ
/ ＼ ＼ /
/ ＼ ＼ ./
／ ＼ ＼ ≧ー― '
.
3134 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:33:56 ID:S4b0V18w0 [350/511]
── 、 ＿_
／ ＼ ┌── |_||_|
/ ＿,.ノ ゝ､_ └─┐｜
| U ( ＝）.（＝)| ｜｜. /￣￣ |
| （＿ノ｀)---､ ┌─┘｜〈_/￣| |
_! ／――--;.:.:.:.} └──┘ / ./
_／:r | ／,r ニニニﾌ.:.:.:| 〈_,/
, -‐.........::::::::::::::| ヽ/ / '´,r―-'.:.:.:.:.:.:! ＿_
／..:::::::::::::::::::::ヽ::::::! ! ﾊ -ｭ|:.:, '⌒ヽl ┌── |_||_|
/.::::::::::::::ヽ::::::::::::ヽ:::!/ } ｀￣ゝ{.:.:.:.:.:ﾉ └─┐｜
/.::::::::::::::::::::ゝ:::::::::::l:/ ／::Λ｀T¨＼ ｜｜. /￣￣ |
l ::::::::::::::::::::::::::::::::::/〈 ／ ゞ:::ﾘ ヽ'|:::::::..＼ ┌─┘｜〈_/￣| |
| ::::::::::::::::::::::::::ﾊ:∧、二二ﾆｲ'｝ |::::::| !:::::::::::::..ヽ └──┘ / ./
! ::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::/ |::::::| |:::::::::::::::: i 〈_,/
l ::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::/| |::::::| |:::::::::::::: |
ヽ::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::/:::| |::::::| / i::::::::::::: l
〉:＼::::::::::／:::::::::::::::::::::::::/:::::;| |::::::| |::::::::::: !
＿＿＿
/ || //ヽ ヽ .
ノ /⌒ 、 .. ｀ Y､
| ＝ ｛;::;:;:;:｝ ＝ ｌ | 〉
i ｀¨´ ｌ i ／
ヽ 《 ミ / i. /
｀＼＿⊥::... ノ j {
ﾊ i
ノ . i
|＼ イ V
|:::::｀/ ゝ
3135 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:34:14 ID:S4b0V18w0 [351/511]
〉'⌒ヽ |
/ } ／レ⌒i ＿|／
/ /| }-七__ |/丁｀ヽ
／ / | ノ (乂 ) Λ/ }
（_,人 ,ﾉ |／l
／|／|￣ヽ
/| / }
,、丶^~￣;;:;:｀`～､、 (_乂 ,ノ
／ ;; ; :: ;; ;; ; :: ;; ;; ; :: ;;｀`～､、 |＿
／ ;; ; :: ;;ij ;; ; :: ;; ;; ; :: ;;i;;i;i; ;; ; ::＼ ;;“ ／|__∠
/ ;; ; :: ;; ;; ; :: ;; ;; ; :: ;; ;; ; :: ;; ;; ; :: ;;；;∨ ； (乂 _)
. / ;; ; :: ;; ;; ; :: ;;u ;; ; :: ;; ;; ; :: ;;ij ;; ; :: ;; ;;∨ ； ＿|＿
/ ;; ; :: ;;u ;; ; :: ;;；” ;; ; :: ;; ;; ; :: ;;； ;; ; :: ;;;；∨ ; ； ’ _ﾚ-､
′ ;; ; :: ;; ;; ; :: ;; ;; ; :: ;; ;; ; :: ;; ;; ; :: ;;u ;; ; :: ;∨ｲ ； (人 ,ﾉ
. |: ::;; :;ij ;;: ;;: ;; :__: ;; ; :: ;; : :: ; ;: : ;;: ; ； ;; ;; :∨ｲ __|__
__;|;;:; ;; :; ;: ;; ; :／ ;;:); ;;；u ;;:;; ;;: ;; :: ;: ;;; ;:; ; ∨ /{_ /|ﾌヽ
__ ／:;;:;)::;;::／;:): ;;:/ /;:;;;:;; ：；u :;ij :;;::／￣＼: :::; ;;;∨歪{_ /l｛ └' ﾉ
. / );;:::;:/:;／ ;;/;;:;/ /::::;;:;;:；;:: ;::: ;;:: ;:;:;/. Y: ;;:; :}歪歪しｲしｲ歪L.ﾉ ┼
/ /;;:;::/:;〈 ;/;;:;/ ;;;:;／￣＼；; ;; ;；”/ ､＿/ }:::;;;:;:l歪歪歪歪l歪l歪{ (又)
;{ ;{ ;;:{:i:i:{ ;{;;:/ ; / ､|:;; ;:; -- ､{ ( o}´￣Y:;;;:;;:l歪ト--､歪l歪l歪{ 人 |
八 ::＼ :; ＼} ;{/ ;;;/ ＿ ＼|;:;: ;{ ;； ＼;;:;:;;人 ＼;;:;l歪l｝ :;:;l歪歪l歪しｲ歪 |
)＼:.;:＼ ;{ ;;;{ ,;;:{/'( o )､ノ--v;＼ ; ∨;； ﾊ ::;: l;;:;l歪ﾘ ;{歪歪l歪l歪l歪 ．
しｲ歪歪ﾐ､ ;,`{:.. .;｛ ;;:;;; ;＼斗个;:;:;/_:;:;:;:}＼ ∨;.; ;;} ,;|;;ﾘl豺 ;;从歪歪歪歪歪 ：
歪歪歪歪斧ミ;;,, ;;:;, ;;, ;； ;;;{ :;;; ;/;:;:;＼{ ;:＼ ;:∨;;/ ；;;}歪ｼ; ;;;/歪歪歪歪歪歪
歪歪歪歪歪歪＼:;:;:;;, ;;: ;； ;;:;＼:;, ＼,,,;;∧ ;:;∨ ;;;/／” ;；/歪l歪l歪歪歪歪
歪歪歪歪歪歪il沁;:;;; :;, ; ; ;；;:;:l＼;:; ＼;:;} l /" :； ,:/歪歪歪歪歪歪歪
歪歪歪歪歪歪歪沁; :;;;,,j ; ;; ;;;|:;; ;＼ ;;;, ;,; ;: ,;;:;；／歪l歪l歪l歪歪歪歪
歪歪歪歪歪歪歪歪｝;:; ;； ; ;;;i ;;/＼; ;;:;＼ :: ;;;;,,;:l;: ;;:;;:;:/歪l歪l歪l歪歪歪歪歪
歪歪歪歪歪歪歪歪};;: ; ;;:;; ;;:/歪lil＼:;; :; ;;: ;;；;”;; ;:;/歪歪歪歪歪歪歪歪歪
歪歪歪歪歪歪歪liｼ;: ,” ;;； ;/歪歪歪｝;:;;； ;”;;: :;; :;;;:;;/歪歪l歪l歪l歪歪歪歪歪
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3136 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:34:37 ID:S4b0V18w0 [352/511]
┏─────────────────────────────────────┓
│骨が粉々に砕かれるような激痛は治まり、正気に返ると、俺は不思議な解放感を感じた。 │
┗─────────────────────────────────────┛
, .. . + 。 ’‘ :: . .. ::::
， ，:‘. 。 + ，..
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::::: : + :::
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，:‘. ..::.. 。 ... .....
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， ，:‘. .. . . .... .. ..; '， . . ::: ' ，:‘.
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，:‘. 。 .. . . , .. .
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...... ’‘ ....... ：:::::
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; '， . . : ，:‘. ，:‘. 。 ..
，:‘. 。 ..
，:‘. . . .. ..; '， . .
... :: . .. ..; '， . .
::::: ...::.. ......
， ，:‘. ，:‘. 。 .. 。...::::
.
3137 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:34:56 ID:S4b0V18w0 [353/511]
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
| ううぅ……、凄い苦い薬だったお。
ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂_
／
／
/
―――==ｙ
/ ／ ￣￣￣ =‐ _
/ ＼
| / ＼
| / ＼
| {
ｌ {
､ ∧
＼:.:.:.:.:.:.:.:.:. ､ ＼
＞-:.:.:.:.:.:.:. }／⌒ヽ
＼___ﾉ | ＞= -- _
| 〕iト．
| / 〕iト．
| , 〕iト．
i | ′
l |
|
| ,′
ノ
_ ‐=‐'
／
ﾉ _, -==‐-､ /
ｰｲ /
/ /⌒￣¨¨¨＼ ,'
ｰ' .__} }
/ _ﾉ
⌒¨
＞ －― -
／ ｀ヽ
' :,
. ｜ ＿ﾉ ｀ー i
. l （ ●) （ ●) ｜ ――！？
':, ヽ （__人__） し ,
＼ / 歳を取ってできた皺や肉のたるみがなくなっているお！
＿＞､＿_ ,.．-'''" '´｀ヽ これは若者の身体だお！
. , ' r-､ _,.．-'''" !
/ r-ﾐ:､｀ーz＞' /
. ,: ⊆ニ､ __,,.. ．-‐ '´
/ ﾚ'´--y 丿´ |
3138 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:35:13 ID:S4b0V18w0 [354/511]
＿＿＿_
／_,r' ' !､＼
／（≡） （≡）＼
ｎ／ ＼ （__人__） ／ ＼ なんだか軽やかな気分だお……。
ｙ | │ |r┬-| │ |⌒) それに、ウキウキとした気分にもなってるお……。
ｌ ＼＿ `ー'ｫ ／ /
＼ ・ ・ ￣ ／ もうお行儀良くしなくてもいいし、難しいことを考えなくてもいいし、
＼ / 凄くエッチな気持ちが湧き出てくるお！
＞ <
〃 (::)っ ヽ きっとこれが自由ってものなんだお……。
ヽ < `‐' > ）
と＿_） (＿＿)
＿＿＿_
／ ＼
／ ⌒ ⌒ ＼
／ -=・=- -=・=- ＼ この調子なら、どんな大胆なこともできそうな気がするお！
| ＼ （__人__） ／ |
＼ │ |++++|」_ｷﾗｯ／
`ー''´ l
3139 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:35:31 ID:S4b0V18w0 [355/511]
┏────────────────────────────────┓
│俺の魂は堅苦しい義務の束縛から解放され、罪深い自由を初めて体験した。│
┗────────────────────────────────┛
_＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
／
／
／ ／ ＼ ／ ＼
／ ／ ● ..＼ ／ ● ..＼
／ ／ ＼ ／ ＼
／ ／ ＼ ／ ＼
／ ／ ＼ ／ ＼
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
／ ＼
／ ＼
｜ ｜ |
｜ ｜ |
＼ ＼ ／＼ ／
＼ ＼＿＿＿＿＿＿／ ＼__＿＿＿＿＿／
｜ ＼ |
｜ ＼ |
｜ ＼ |
＼ |
＼ |
＼ |
＼ |
＼_＿＿＿＿＿|
┏────────────────────────────────────────────────┓
│この新しい生命「ハイド」の最初の息吹と共に、自分が今までよりも何十倍も邪悪な人間に変化しているのを知った。 │
│俺は自分の本来の悪に売り渡された奴隷となったのだ。 │
┗────────────────────────────────────────────────┛
3140 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:35:48 ID:S4b0V18w0 [356/511]
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | ||:.:.:.:.:.:
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | ||:.:.:.:.:.:
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | ||＿＿
───────‐- 、 : : : : : :: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |l＼
￣￣￣￣￣￣￣￣｀ｉ--- ､──────────────| ||＼＼
| |────―─────────|＼ ||:.:.:.＼
＿＿＿＿＿＿＿＿_,ｉ´￣｀i ＼＼ ||:.:.:.:.:.:
| | ＼＼||:.:.:.:.:.:
￣￣￣￣￣￣￣￣｀| | ＼ |:.:.:.:.:.:
| | ｀￣￣
────- ､ ＿_＿__|＿＿| （￣
| |＼
| ｌ｣
＿＿＿＿__,ﾉ
| |
| |
￣
＿＿＿＿
、 ／ ＼
- / ⌒ ⌒ ＼
′ /（ ●） （ ●） ＼
| （__人__） ／ | あれ？
＼ ｀ ⌒´ | ／
」| ／ ﾉ .ﾞｉ_ 家具がいつもより高く見えるし、服もブカブカになってるお。
／ .{ ＿／ ／ ＼
. , ’/'ｒ＿ﾝ< ／ ＼
, ’ { ./|〈O,r'＼ ／ ＼
,イ |/.>＝‐r／ﾞｉ／ ﾞｉ
i !;;;;;;;;;;ﾙ _ - ‐－- _ ﾞｉ
| ﾞｉ 〉ｰｲ´ ／ ＼ﾞｉ
| 'ii. /;;;;;;;| ／ ﾘ
〉 /i. /;;;;;;;;;;| ,' /
〈 /1 {;;;;;;;;;;;;| / /
┏──────────────────────────────────────────┓
│当時、書斎には鏡がなかった。 │
│今、この告白を書いている俺を映している鏡は、変身の模様を映す目的で後で持ち込まれたものだ。 │
┗──────────────────────────────────────────┛
f´￣￣￣￣￣￣ヽ
| 鏡…鏡……。
乂＿＿＿＿＿＿ノ
＿＿＿＿ ＿＿＿＿_
／ ＼／ ＼ ‐-､
､-‐ ／⌒ ⌒ ⌒ ⌒＼ __＿,ノ-､
､- !､,＿_／（● ） （● ） 彡 （ ●） （ ●）ヽ __＿,ノ
!､,＿__ l （__人__） / ヽ （__人__） |
＼ ｀⌒ ´ 彡 ⌒´ ／
/ ヽ
3141 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:36:04 ID:S4b0V18w0 [357/511]
┏─────────────────────────────┓
│夜が明けようとする時刻だったが、今の姿をどうしても見たいと思い、 │
│使用人達が目覚める前に邸宅の自室に戻った。 │
┗─────────────────────────────┛
/ ， j冫
、 / く} l'
＼ ヽ ヾ ｜
＼ ＼＿ノ j、
＼ ＼ （ ,/_ﾉ
ヽ、 ，へ ＼ノ
＿ / ￣ ＼ ＼
＼＼ ＼､＿_ ／´ ＼ ヽ
＼＼￣＼ ＼ ＼ /
￣＼＼＼￣| ＼＼ // /
￣￣＼＼＼￣＼ ＼// /
￣￣￣＼＼＼￣| // /
￣￣￣￣＼＼＼￣＼＿＞
￣￣￣￣￣＼＼＼￣|＿
￣￣￣￣￣￣＼＼＼ ＿＼
┏──────────────────────────┓
│夜空も星座達も、初めて見る生き物にさぞ驚いたことだろう。 │
┗──────────────────────────┛
:::....::::::........ . .::::::... .... ..::::::::::::::::., ´ ￣ ヽ . .::::::... .... ..::::::::::::::::....::::::........ . .::::::... ....::::::::::
.. .. . ... .::::.. . . .:: : :.. . ... ... .. .::. .. . :: : :.. . ...
.. . .. .::::: :: :.. ﾟ ﾉ ... :... . .:::: ...::::.. . . .:: : :..
... .. .. . ... ... ..:: . ...` - ´... ..:: . .. . ::::: : :::: ::
. .. . .. ... .. ... *... ... ..:.::::.... ... ... .::.. : :.. . .* ::::.. . . .:: :
. .:: : :.. . ... ::: :::.. ..::. .:::::.. : .*... ... ..:::::
. .. . .. .. .. .. . . . .. . . ... ... .. .. .. .. . ...::... . .: :.. . ... ::: :::..
:: : :... ..:::....:: :: ::::.. .. .......::....:....:... .:: : *.......... ..:: . :: : :.. . ...
::::.. . . .:: : :.... .::::: ...:..:.:.... ..: ... ::: ::....: :.. . ..... ::....::.::.:....:.. . ... ::
::.:::: :: ..: .:: .:: :: : :.. . ... :: :::: ::
::::.. . . .::.. : ..:: .*..::. .:..:.:...*.:. ..... :: ......:::: :: :: : :.. ..::......:.::.::::..:....:.... ...:.....:
...:::::. *.:.. :.... . ... ::: :::..... ::: :::.. ..::::.. ... . ...:::::.:..::...::::.. . . .:: : :::::
.: :.. . ... ::: :::.. .:::: :: :::::: . . .:: : ..::::.. :: :::: ::
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....:::: :: ::::: ::::: :::::
3142 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:36:29 ID:S4b0V18w0 [358/511]
［ジーキル博士の自室］
／＼＿.:.:.:.:.:.:| ⌒ﾆ=- ＿ _ -=ﾆ⌒ |
￣⌒ﾆ=- ＿／ ￣ﾆｼ=- ＿ ⌒ﾆ=- _ _ -=ﾆ⌒ _ ﾆ=- ┐|
: : : : : : : || .イ:|i:|二___ |'´|￣ ─=二￣二ﾆ=--=ﾆ二二ﾆ=- ￣ | |｜
. ＿ || ,.へ,,ノ´ |::|i:| ￣| | |. . . . . . . . ...￣~|二ﾆｉ|:::|二三_| . . . . . . . . . ＿､-┬'｜
|¨.|⌒| |¨|─ｰ-||‐'ﾞ γ´￣¨|i:|｀丶 :| ||＾.|^.l丁|:|─- ____|￣| i|:丁¨￣..|_､-‐T''~||￣|| |. | ..| ﾚ'´
|....|. . | |. |. .|ｉ :|| [|::::_____|i:|＿: | | ||. .|. .| | |:| i|. .|....| | i|:::|| ||....|.|.|＿||＿||_|. | ..レ'ﾞγ´
| . |. . | |. |. .|i :|| |:::|￣¨|i:|¨丁| | ||...|....|..| |:| i|. .|. .| | i|:::|| ||....|.|.|＿||＿||_|..＜_彡'
|. ..|. . | |. |. .|i : || |:::| :|i:|: ::|::| | ||. |....l. | |:| i|. .|. .| | i|:::||_____ |. .| l.|＿||＿||_|..|..||￣=￣
|.....|. . | |. |. .|ｉ || |:::| :|i:|: ::|::| | |l. |....|. |_|:|＿il. .|. .l :| i|:::|||￣ |｜..|.l |￣||￣||｜| ||￣=￣
|. . |. . | |. |. .|i || |:::| . : :|i:|: ::|::| | ||..|....|...|_|:|＿i|...| . | | i|:::|||＿_| |....|.| | || ||｜| ||─__─
|. ...|. . | |. |. .|ｉ:::|| |:::|. . . |i:|: ::|::| | ||..|....|...| |:| i|...| ...|＿_|_i|:::||＿＿|... |.| |￣||￣||丁| ||＿＿__
|......|. . | |. |. .|i:::||￣￣ 〕└ｰ‐|i:|‐┘〔￣~~|..|. .l. .| |:| i|. | . .|＿＿|:::|＿＿,|.....川|─||─||┤| ||￣=￣
|. . .|. . | |. |. .|i: ||¨¨¨¨¨||￣｀`|i:|￣¨¨¨..||¨| |. .|. .|_|:|＿i|. | ....|＿ｒzzzzｭ＿_,|. ..| | |＿||＿||,,|.....||＿＿_
|......|......| |. |. .|ｉ::||＿＿_立＿__|i:|＿_____立_| |. .|. .|三三i|. | . ｜｜|::::::| | |. ..|ﾆﾆ厂厂::77|. ..||￣=￣
|. ...|. . .| |...|. .|ｌ ||::|￣ｒ⊆⊇ニ|i:l二二⊆⊇l |. .|. .|￣￣ｉ|〕=-┴┴…┴-=ﾐj.....| .|::〈〉:://...| . ||￣=￣
|. . |.. . | |. .| ..|l ||::| :::|￣~|＿_,|i:|＿＿＿,,| | |. .|. .|￣￣i|｀i''Ｔ=--ｒｒｒｒ-=Ｔ''ﾞ|. ..|｀`ﾞ|::::|:: | |ー|....||＿＿
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＿ ﾉ弌二⊥|‐|_|''"´ └' |:|￣ ＼|_| |===l|:|====| |=- ［_|─-
＿,,.. -─ ￣ : :ノ: ＼i:i|:::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ノﾉ . :└ l|:|￣￣|_| ⌒ﾆ=-
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＿＿＿_
／ ＼
／ _ノ ヽ__ .＼
／ （○）!i!i（○） ＼ ゼエゼエ…ハアハア……。
| ＼ （__人__） ／ u |
.＼ | ）t-ﾂ | ／ つ、疲れたお。
/ ⌒´ ＼ なんか体力が落ちてるみたいだお。
＼＿（__） i＼(__)
| |
3143 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:36:43 ID:S4b0V18w0 [359/511]
┏────────────────────────────────────────────┓
│自分の家にいながら見知らぬ人間である俺はようやく自室の鏡まで辿り着き、初めてハイドと対面をした。 │
┗────────────────────────────────────────────┛
,-ｰ=＝ニ二三二ニ＝=ｰ-､
γ ｙ
Y Y
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l :::::::::::i !:::::::::::l
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/ .} { .ヽ
ゝ--‐'' .`ー--''
3144 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:37:06 ID:S4b0V18w0 [360/511]
┏────────────────────────────────────────────────┓
│仮説だが、主権を与えた俺の悪の姿は主権を奪われた善と悪の混合体の姿と比べると、ひ弱で発育不良だった。 │
┗────────────────────────────────────────────────┛
／￣￣￣＼
／ ─ ─ ＼
／ （●） （●） ＼
| ＼ （__人__） ／ |
＼＿ | ｀ ⌒´ | ＿／
／ |
（＿)| ・ ・ |｜
ｌ⌒ヽΞ Ξ/| |
| |＼＿(;;U;;;)＿￣）)
（＿） ／／
（ ＿）
┏─────────────────────────────────────────────────────┓
│俺は邪悪な顔を押し殺して努力と節制の生活をしていたから、悪の性質はあまり活動の機会が与えられず、消耗も少なかった。 │
│だから、ハイドはジーキルよりも小柄でひ弱で、そして若いのだと推測している。 │
┗─────────────────────────────────────────────────────┛
3145 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:37:48 ID:S4b0V18w0 [361/511]
┏───────────────────────────────────────────────────────┓
│ハイドは邪悪がハッキリとあらわれた醜悪な容貌だった。 │
│俺は今でも邪悪が人間を死へと追い詰めると信じているが、その邪悪は容貌だけではなく、身体にも奇形と衰退の痕を残していた。 │
│しかし、俺には嫌悪を感じるどころか踊ってしまいそうなぐらいに喜んだ。 │
┗───────────────────────────────────────────────────────┛
＿＿＿_
. ／_ノ ヽ､_＼
oﾟ(（○) (（○）)ﾟo ,. -- ､
／::::::⌒（__人__）⌒:::::: / __,＞─ ､
| ＼ |r┬-| ／ / ヽ なんて醜い人間なんだおwwww
| | | | | | ｛ |__
| | | | ｝ ＼ ,丿 ヽ
＿＿＿,.-------､ . | | | | / ､ ｀┬----‐１ }
（⌒ _,.--‐ ｀ヽ . | | | | .／ `￢.| l ﾉヽ
` ー-ｧ''"/ / r'⌒) ￣￣`ー‐-- ＼ `ー'ｫ / ､ !_/.ｌ l / ｝
＼＼＼_／ ノ＿＿＿ `''ー { ＼ l / ,'
￣ `（＿,r'" ￣`ー-､ . ／ ＼ ´｀ヽ.__,ノ / ﾉ
／ ／ ＼ ヽ､＼ __,ノ ／
／ ／ ￣ ヽ､_ 〉 ,!､__／
/ ＿ く ￣
／ ／ ＼ ＼
／ ／ ＼ ＼
. ／ ／ ／ ／
／ ／ ゝ、 ヽ
／ ／ ￣
／ /
r＿__ノ
3146 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:38:15 ID:S4b0V18w0 [362/511]
┏──────────────────────────────────────────┓
│鏡の前に映る人間も自分なんだと認め、 │
│元の不完全で分裂していた顔よりも、この新しい顔の方が自然体で生き生きしているように見えた。 │
┗──────────────────────────────────────────┛
-―─- 、
／ ＼
′ ⌒ ⌒ ,
i （ ●） （● ） ｉ ｉ
| ＼ (__人__) ／ | __人__
､ | |r┬‐| | ノ ｀Ｙ´
＞ ー ＜ !
人 ／ ./ , ヽ
｀Ｙ´ ／ ' lヽ ヽ
ｉ く く/ .l :〉 ﾘ
__人__ ヽ ,' l/ ／
｀Ｙ´ l ;l .l ,イ
! l ;l {} .l,_l
l ∠¨|￣_ゝ l
l レ|＼| l
i ∨| V l
l .!V .l l
ｌ l l l
l l l l
l＿__l ｌ＿__l
3147 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:38:49 ID:S4b0V18w0 [363/511]
＼ /
＼ 丶 i. | / ./ ／
＼ ヽ i. .| / / ／
＼ ヽ i | / / ／
＼
-‐
ー |Y^Y^ｼ´￣￣￣|l￣￣￣ヾY^Y^
| ﾉ / |l ヽ l
i ノ |l ヽﾉﾉ ─‐
ﾛ |ｌ ロ
| ヽ |l / l ｺｹｺｯｺｰ!!
.,ﾉ从,,ゝ ＿＿＿__|l＿＿＿＿/'从l
＿＿＿＿
／ : : : ::::::::::＼ ､_从_,
ﾊｯ , : : : : ::::::u::::::::::＼＾YY＾_ _
/ : : : :::::::J:::::::::::::::::‘， ｀) ｀)
| : : u::::::::::::::::::::::::---l--‐''´-‐''´
＼＿＿_::::::::::::::::::::::::::／
／ ! ｀ヽ
/ __| ＿ ヽ ＼
乂 ￣￣ミ´ ヽ ＼
￣￣⌒
＿＿＿_
／ ノ ヽ＼
／ （○）}liil{（○） そろそろ太陽が出てくるお！
／ ＼ （__人__） ヽ
| | |!!il|l| | そういえば、俺はどうやってジーキルに戻るんだお！？
＼ lｪｪｪl ／ 俺とジーキルは同一人物だけど、使用人達はそんなことは知らないお。
/ ヽ
しヽ ﾄ､ﾉ ジーキルに戻れなかったら、俺はここから逃げなきゃいけないお。
| __ |
!___ノ´ ヽ__丿
3148 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:39:07 ID:S4b0V18w0 [364/511]
::::::::::::: :::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::: :::::::::::::::: :::::::::::::::::::
:::::::::::::: :::::::::::::::::: ::::::::::::::::::: ＿＿＿＿＿＿＿ ;ヾ; ;ヾ; ヾ;
::::::::::: :::::::::::::::::: ／／／／／／／" ;ゞ "; ;ゞ ;"
二二二二二二二］］ ／／／／／／／" ;ゞ "ヾゞ; ;ゞ "
┌─┐ |;; | ／／／／／／／;ヾ ;"/" ; ;ヾ ;ヾ ;
~''^'-^ﾞ-､'~''^-^ﾞ-､ | ／／／／／／／; ;ヾ ; " " ヾ ; " ; "
:::::::::::::::::ﾞ-:::::::::::::::ﾞ-|￣"-,,_ ￣￣|￣￣￣￣ヾ ;"; "i "; ;ヾ; ;ヾ; ;ﾒヾ
:::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::i￣"-,,_| | ヽ゛;ゞ ;" "ゝゞ ; ;; ; ゞ゛; ; ゞ
::;;;;;;::::__,,-''~i､;;;;;__,,'':: i,..|"-i.| | ヽ丶 ヾ ;"; "i "; ;ヾ; ;ヾ; ;
:::::::::|.レ／:::::::i |:::::::::,:,i. i"-l.| | ヽ;ゞ ;" "ゝゞ ; ; ; ゞ ; ;ヾ ; ;
,,-''ｿ／::::::::::;/::::::::::;/::.. ... | ,,| ヾ ;"; "i "; ;ヾ; ;ヾ; ;ﾒ
;;;;//::::::::,-'~/:::.::,,-'|::::.. |"-i.|^-､ _,,-'~''^'-^ﾞ-､'~゛ ヾ; ヾ; ;ゞ "＼;;ｉi ;ｉiメｿ
y /_,,-''~y /_ .-''|;; |::::.. |"-i.|:::::ﾞi ノ:::::::::::::::::::::::::::ﾞ-:::::::::::::::ﾞ- :::::::::::::|;l!ｌ| |ｌ|::::::
＿＿＿_
＿ ／:::::―三ｰヽ
＿ /::u（ 〇）三（〇）
＿ .__|:::u:::::: （__人_） i
／ ヽ､;;;;;; ﾉ＿_{ ／ またあのクソ苦い薬を飲めばいいのかお……？
〈_／＼ , ＼／゛〉
） ／＼__／
/ ＿ ／
三 ／ __ ヽ
三 ! /r .）
ヽヽ _／
3149 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:39:27 ID:S4b0V18w0 [365/511]
,-‐-､ ﾝｸﾞ
ﾝｸﾞ | |
| ─ |
／￣⌒) (⌒￣＼ﾝｸﾞ
／ ,. ^‐'_ヽ /__ｰ^ ､ ＼
／ ／／￣ ｀ ⌒ ´￣＼＼ ＼
（ <／ ＼ﾉ ）
＼ ＼ ／ ／
ﾝｸﾞ ＼ ＼ ／ ／
ﾝｸﾞ
＼＼ ヽ | | // .／／
＼＼ | .| // ／／
＼丶. ｉ |. / ′ ／／
＼ ＼. ｉ / ／ ' ／
丶 丶. ′ ' ／
＿人人人人人人人人人人人＿
＞ ギニャアアアアアッ！！ ＜
￣Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ￣
ｎ ｒ‐‐┐
ノ厶┐ く,勹｜ [][]「l Ｏ Ｏ Ｏ
└'⌒'┘ く_ノ くノ
_________
／ 'r r.r.r.i
/ | | | | |
/ u .ﾉ.ﾉ.ﾉﾉﾉ
ﾊ_ノ ヽ､__ / /ﾉ う、う～～ん……。
/ (●）（● ) .( l ヽー―ー-､
/ .（__人___） ﾑ ｲ r ヽ
./ / ヽ`⌒´ | .l / ､ l
/ / 八_ ､__ ／l | ,' l l
. / ,' ヽ| | ﾉ ﾊ l
/ .l ∧ | ﾚ' ノ l
/ l ノ ヽ | | ﾉ }
∧ / ,〆 ﾍ l , ' l
ヽ､＿,ﾉ'´ ﾍ .l / ﾉ
', | / ,'
ﾄ､ ノ ﾉ
3150 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:39:47 ID:S4b0V18w0 [366/511]
┏────────────────────────┓
│思えば、あの夜の俺は運命の十字路に立たされていた。 │
┗────────────────────────┛
＼ ﾟ ｏ 。｜ 。 / 。 ／
○ 。 ﾟ ｜゜ O / ｏ ／ 。゜
゜ 。 ＼ o ﾟ O ﾟ 。 /ﾟ 。 O
ﾟ 。 ＼ | ﾟ o ／ ﾟ 。 ゜
。 ゜ 。 ｡ 。 ﾟ 。ｏ ゜
＿＿。＿＿＿ ﾟ 。 ゜ ―O――――
゜ ｏ ｡ ｏ ﾟ 。 ﾟ 。 ﾟ
ﾟ 。 Ｏ ／ 。 ｜゜ 。ﾟ ＼゜ O ゜
゜ ｡ ／ 。 / ○ﾟ O ＼ ｡ ゜
Ｏ ゜。 / ﾟ ｜ 。゜ ﾟ 。 ｏ
／ ｏ 。゜ | ｏ ゜ ＼
┏──────────────────────────────────┓
│俺が崇高で敬虔な理想のもとで実験を試みていたら、結果は全く違うものとなり、 │
│ハイドのような悪魔ではなく、正反対な天使が生まれていただろう。 │
┗──────────────────────────────────┛
3151 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:39:59 ID:S4b0V18w0 [367/511]
┏────────────────────────────────────┓
│薬品そのものに区別の作用があるわけではない。薬品は悪魔的でも神々しくもない。 │
│単に俺の性質を閉じ込めている牢獄のドアを震い動かすだけのものだ。 │
┗────────────────────────────────────┛
||
||
_＿___||
|i:i:i:i:i:i:L_
￣￣￣|_＿＿＿__
. _＿__ _＿ |i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i| __
{ﾆニ=-i-=ニニ}:i:i:ii:i:i:i:i:i:i:i|/ﾆニ=- _＿
─‐=L-=ﾆﾆﾉ､i:i:i:i:i:i:i:i:i:i{ﾆニﾆ=-{ﾆニﾆ}
. __ _＿ 二ﾆ=-へi:i:i:i:i:i「￣--､----- ¨¨´
{ﾆニﾆ=-「ﾆニニﾆﾆ}:i:i:i:i:i{-=ﾆニ=- r─ ─ ､
--=ニLﾆニニ=-'i:i:i:i:i:､-=ﾆニニ{ニニﾆﾆ}
__＿__ _二ﾆ=-へir‐‐＜二ﾆﾆ=── ¨´
{ﾆニニ=-「-=ﾆニニﾆ}{ﾆニニ=--r ── ､
--=ﾆニ」ﾆニニ=- 'i:i:i:i､-=ﾆニﾆ{-=ﾆニﾆ}
. r─ -- __ ＞ ⌒ ヽ:i:i:i:i:i:ir‐‐ ＜二ﾆﾆ=-- '
､-=ﾆニ「ニニニ=-}:i:i:i:i:i:ｉ:{ﾆニニ=-r─ ─ ､
ﾆ=-」-=ﾆﾆ=- ':i:i:i:i:i:i:i:「､-=ニニ{ニニニ}
￣ ￣}i:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:i| ----- ¨´
￣|i:i:i:i:i:i:i:i:|
|:i:i:i:i:i:i:i:i|
￣￣￣|_＿__
|:i:i:i:i:i:|
_＿＿＿__|:i:i:i:i:i:|
|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:「￣￣
|i:i:i:i:i:i:i|￣
￣|i￣
||
||
||
3152 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:40:15 ID:S4b0V18w0 [368/511]
┏────────────────────────┓
│実験が行われたそのとき、俺の良心は薄れつつあった。 │
┗────────────────────────┛
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| ／ﾟヽ／ﾟヽ
| （__人__）
| |'|｀⌒´ﾉ
. |. U }
. ヽ }
ヽ ノ
/ く
┏──────────────────────────────────────────┓
│これに対して、野心の為にずっと目を覚ましていた俺の悪が機敏に牢獄からの脱出の機会を掴んだ。│
│こうして『エドワード・ハイド』が形成されたのである。 │
┗──────────────────────────────────────────┛
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll＿＿ ＿llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll／￣￣＼llllllllllllllllllllllllllllllllllllll
llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll/´ ヽllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll/´ ヽllllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll/ ヽlllllllllllllllllllllllllllllllllll/ { ・ } ||llllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll| |llllllllllllllllllllllllllllllllll＼,,__ __,,llllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll: { ・ } ﾘlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll￣￣` llllllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll`ー―――‐'lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
3153 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:40:47 ID:S4b0V18w0 [369/511]
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ●）（●） 俺は二つの外貌と二つの性格を持つ人間となった。
. | （__人__） ハイドは純粋な悪であり、俺は善と悪の混合体である昔ながらのジーキルか……。
| ｀ ⌒´ﾉ
. ｌ^l^lｎ } 鏡を探して邸宅の自室まで移動した記憶を覚えてるということは、
. ヽ L } 俺とハイドは記憶を共有しているようだな。
ゝ ﾉ ノ
／ / ＼
／ / ＼
. / / -一'''''''ー-､.
人＿＿ﾉ (⌒＿(⌒)⌒)⌒))
／￣￣ ヽ
／ ヽ
/ ヽ 今更だが、人間の性質を人為的に分離させるなど、
| _,.ノ '(ゞ､_| 俺はやってはいけない領域に踏み込んだかもしれない。
.| （ ー）ヽ ヽ
.ﾉ| U （___人_＼＼__ だが、かつての体裁ばかりを気にしていた二重生活には戻れないだろ。
／ | ｀⌒（⌒_ ＼ 俺も若くはないし、体力的にもハイドの若さは必要だ。
{ .ヽ. し「、 ＼
{ ﾄ ｀ヽ. ___´ノ ヽ、 i
.| | | ／ /
r-、 _００ /::::'┴'ｒ'
|::::'´::::r┘ !「`L00、|.l└ｸ_;厂 /
|::::「|:::| l| |Lｎ:::r┘|.l _lﾆユ、 ./
￣└r''"´］_ l| | ｒﾞ=ﾞ┐ |└ァ::/ / /
. ､ヽ、 ,ゞ´_::::| l| |「二:::7 .|.l └′/ / ／
＼＼｀´ |:::|. l| l 〈::/ ､ ! '／
. ＿＿＿_ 苦い薬を我慢して飲めば、俺は著名な教授の肉体を脱ぎ捨て、
. ／ ﾉ_ ヽ,,＼ あんなことやこんなことをしても、ハイドというマントが隠してくれる！
. ／ ≦ﾟ≧ﾐ:≦ﾟ≧
. | （__人__）| なんて愉快なんだ！
. | |r┬| } まったく、ハイド様様だぜ！！
. | | | | }
|. ｀ﾆﾆ }
ヽ }
. ヽ ノ
3154 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:41:04 ID:S4b0V18w0 [370/511]
┏──────────────────────────────────┓
│俺は既に自分の端正と改善を諦めていた。 │
│新たに得た力に魅了され、俺が悪の奴隷となったのも当然の結果かもしれない。 │
┗──────────────────────────────────┛
ニニ三三三三三三三三三三三三三三
/ ／ ＼ 一ニ三三三三三三三三三三三三三三三
｛ ∧ . ○ . | 三三三三三三三○三三三三三三三三三三
ヾ ＼ ノ 二二二二二三三三三三三三三三三三三三
－－ .一ニニ三三三三三三三三三三三三三
一ニ三三三三三三三三三三三
一ニ三三三三三三三三
一三三三三三三三三
ニ三三三三三三三三
ニ三三三三三三三三
ヽ ｛ ｝､.三三三三三三三三
ヾﾄ乂＿＿＿＿＿ノ乂＿＿＿＿＿ノ ∨三三三三三三三三
ヾ. {__{__{__{___|___|___|___|___}__}__}__}__}/ニ三三三三三三三三
u Y{ { { { | | | | } } }__l／.三三三三三三三三三
｀￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ニ三三三三三三三三三三
｀ｰ───────´ニ三三三三三三三三三三三
3155 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:41:26 ID:S4b0V18w0 [371/511]
. -─━─ ､
/ ．
/ .
/ i
.' ｀,:､ /ﾉ
_,< , `泛ﾀﾞｿ^
/ﾍヽ! :i ! γ i<
ﾒv/＼ヽ､ﾍ. ゝ.__.ﾉ_)
／/ハ/,∧ ＼＼_／
／////_j//jヘ. /,7j
///////＼////＼/∧､. そうだ。
;γ⌒ ｀ヾv ＼////＼ﾍ廴 ,-､__
i//ヽ､///,＼/＼/////ﾍN /У ﾍ_,ヽ 自分の家でコソコソするのも面倒だから、
|//ヽ､_≧=ヽiﾘ//＞ ､/∧i!ﾊ } / ｀i ソーホーに家を借りて、そこをハイドの家にしよう。
|､///ー=ﾆ7/{/j/////＼.ﾘ/∧, l 口が堅そうな家政婦も雇っておくか。
Ｎv/////,≧7､////////N,メﾞ ゝ､ ／
ヾ.V/////ヽ､∧//////／// ＼ ｡У
VV/////ヽ､∧///／//////｡Y ここの使用人達にもハイドの人相を教えて、
Vヾ////////У<///////｡／ 「俺の大切な友人だから、邸宅も自由に使わせてもいい」と言いつけておこう。
V/＼//////'ﾘ,/////｡ ／ﾍ
V//,＼//// // //,／i!//,∧
ヾ/∧ ヾ/////,／//ﾍ/// ∧
｀Vﾍ/ ＼_/イ//ヾ＼V////j
}/|//////////////ヽ//ﾒヽ
ﾊ/i//┌―――v///∧/ハヾ＼
i//ﾘ//ﾅー――-ﾘ///i∧V/ //.ﾍ
j//i///////////////! ∧V/ //i!
i//i!///////////, ///i /∧V/ //>
∧Vi/////////// ////!//∧V/ /
i// i!///////////////i///,ハ//
＼/j!////////////// |//// V
j/7≧=-＜/////////i!///
3156 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:41:42 ID:S4b0V18w0 [372/511]
┏──────────────────────────────────────────┓
│行き違いを防ぐ為に、俺はハイドに変身して邸宅を訪問し、使用人達に顔を覚えさせることまでした。 │
┗──────────────────────────────────────────┛
＿＿＿＿＿＿
|三三三三三三|
|三三三三三三|
|三三三三三三|
|三三三三三三|
{三三三三三三三三三}
／ ─ ─ ＼
／ （●） （●） ＼
| ＼ （__人__） ／ |
＼ | ｀⌒´ | ,／
／ ー‐ ＼
＿＿＿＿＿
.. ／.:::::::::::::::::::::::::::ヽ
.. |:::::::γ⌒^Ｙ⌒ヽ :.| ＿__ _
.. |:::::::::/ ._ノ ヽ ..| ｒ'⌒';=〔X〕=:､
|:::::::〉 （ ○） （○）| 川_ノ从仆从）)
. （@ ::::⌒（__人__）⌒) | |_｣Ｏ Oｙ ／￣＼
| u |r┬-| | | .人ひ － ノ| | ＾o＾；|
＼ `ー'´ ／ `⌒ニ| 匸⌒' ＼＿／
,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノﾞ-､. f´＼〔X〕フ､ ＿| |＿ （（（ ）））
: | '; ＼_____ ノ.| ヽ i !__ｊ_》､___,》_） ／.ll＿＿__ll＼ (,；´Д｀)
| ＼/ﾞ（__)＼,| i | 〔>ヽヽっ./ /〕 | | | ,(^o^),| | ( )
＞ ヽ. ハ | |｜ ﾑ／i＼_)_∧j ∪ |＿＿_|∪ | | |
┏──────────────────────────────────────────┓
│アタスンも既に知っていると思うが、人々はハイドに近づくと恐怖と嫌悪を感じずにはいられなくなる。 │
│それは普通の人間が全て善と悪の混合体であるのに対し、 │
│ハイドだけが全人類の中でただ一人の純粋の悪だからと思われる。 │
┗──────────────────────────────────────────┛
‐==二三三三三三三三
‐==二三三三三三三三三三
‐==三三三三三三三三三三三
‐==三三三三三三三三三三
‐==三三三三三三三三三三
＞rそ＝ミﾄ､‐==三三三≫＝ミ三三三三
∨ Y.三三三又 刈 三三
圦 ﾉ三三三杁 } 三三
i三=≧=‐-‐≦三三三三込 ノ三三三
i三三＝=＝三=＝三三三=≧＝≦三三三三
{三三三三イ三三三三三三三三三三三三
三三三λΞΞ入ΞΞ彡三三三三三
三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三
3157 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:42:00 ID:S4b0V18w0 [373/511]
┏──────────────────────┓
│最後に、お前が大反対した例の遺言状を作成した。 │
┗──────────────────────┛
／￣￣＼
／ _,ノ ｀⌒
| ( ●) （●)
.| （___人__） 何かの事件か事故に巻き込まれて、
| ﾉ どうしてもハイドに変身しなくてはいけないことがあるかもしれない。
.| |
人 丿 そんなことは起きると思えないが……。
/⌒ ＼ __ _ ／ ハイドに変身しても、一文無しだったら困るしな。
/ ＼
./ 人 ./ ヽ
〈 < / ＼ ＼
／￣￣Y￣￣＼
／ ヽ,_. ノ ＼
（●）（● ） （ ●）（●）
（__人__） u （__人__）
{｀⌒ ´ 彡 ｀ ⌒´ﾉ よし、これで十分な備えはできた……。
{ }
{ 彡 }
ヽ、 / ノ
.ﾝ ヽ
／／ |
(⌒二_／ | . |
3158 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:42:19 ID:S4b0V18w0 [374/511]
┏────────────────────┓
│俺は奇妙な二重生活を存分に活用しはじめた。 │
┗────────────────────┛
＿＿＿
r⌒η ／ ー ー＼
／＼ ＼.／ （ ≡） （ ≡）_
／￣￣ ＼ /::::::::: :.＼ ＼ ::::::⌒（__人__）⌒ ヽ,
⌒ ⌒ ＼ /:::::::::: ::::. |＼ .＼ |r┬-| | .i
人 （⌒）（⌒ ） | ノ:::::::::::::;;:::::..＼＼ .＼＿`ー'´ __/ .ﾉ
｀Ｙ´ （__人＿） | ／:::::::: ::::::: ;:::::::::...￣＼ ヽ ／::|
ｉ '､`-ｰ-′ | . -, ＿＿ ／:::::::::::::::: ::::: ::::::: ｒ⌒ヽ::::＼ ・ ・ i :::::ﾉ
__人__ | `` | / / ヽ;;:::::::::::::::::::::::: ::::::::: :::::: | ＼ ) .| ::/
｀Ｙ´ | ｨ { r 、 / / ﾉ::::: :::::::::::: ::::::::::: ::::::::: | .i ＼ r､ 三 ηi /
! `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ} }／,`〈 /::::;;:; ::::::::: ;::::::::::::: :::::::::: | .i 〃ヽヽ //ヾヽ
/ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{ ⌒ヽ,::;;;;:::::::; :::::::::::: ::::::::: | .ﾉ＼. ⊂ニ;ﾐｼﾐｯニ⊃
_,. -:::／:/:::ﾊ ／ : :/ :.ﾉ )(_／ ヽヽ、 ￣ヽ,; ::::::::: ::::::::::..| ./..::::: ヽ､ヾヽ// ヽヽ〃
／/ : ／ : /:::l y : : : / : : } >-< } : :i ＼::::::::: ::;:::::: | /..::;;:::::: / ι' 三 ヽ)
j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ / / : :∧ ⌒⌒＼: ／ /..:::::;:::: / ／
i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_ 〈ﾘV. :Λ (_／..:::::::::: / ／
. ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ', ￣￣.／ ／
| : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i ／ .／
／.／
／ /
|_／
3159 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:42:37 ID:S4b0V18w0 [375/511]
┏───────────────────────────────────────────────┓
│刺客を雇い、その者に自分の犯罪を行なわせ、我が身と名声は安全な場所に隠れる人間はこれまで多数いる。 │
│だが、快楽を代行させた例は俺が最初だろう。 │
┗───────────────────────────────────────────────┛
. i ! .
. : ,ﾉ ｷ､ : .
-----‐＝＝＝＝＝＝＝＝＝´,. , ＝＝
;;;;;;;;;;;;;;; ,.／ !|l´. :
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ,.r'.::1 i ｌ|
;;;;;;;0;;;;;;;;;;;;;;0 ,.r'´:::::::;! ｉ |l
;;;;;;;;;;;;;:::::::ｨ;;;;;;;; ,r.'´:::::::::::::i ｌ' ｌ|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ,.-'´::::::::::::::::;r'ﾞ ,' |l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ,.r'´::::::::::::::::::::::::ｉ / ｌl
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ,.-'´:::::::::::::::::::::::;:- 'ﾞ / .ll
,ノ ;;:;:;::;:;::::::::::::::::::::::: ,.-'´:::::::::::::::::::::::::::::/ / l!
/::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::ヽ,.-'´:::::::::::::::::::::::::::::;:- ' , ' l
,}'´ /:::::::::::::::::::::::::-'´:::::::::::::::::::::::::::::::::;f´ , ' !
/ /': : : : : : : ,-'´::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;ノ ,:'
/ ,iﾞ ,-'´::::::::::::::::::::::::::::::::::;f´ ／
/ ! ;-'´:::::::::::::::::::::::::::::::::;:- 'ﾞ ／
/ ./. ;:-'´:::::::::::::::::::::::::::::::::;;;ノ ,. '´
,/ ./-'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ´ , '´
,ノ ,r:'´:::::::::::::::::::::::::::::::;ノ￣ , -'´
,／ ,r'´|:::::::::::::::::::::::::r'⌒´ ,. ‐;|´
/ ､ ! |:::::::::::;rｰ- '´ , -'´ i !
,/ ､ i, ヽ__|rｰ- ' ,. -'´ ! .l
入 ､ ヽ l､ ,| ,. - '´ l l
r'´ ヽヽ ヽ 'ｰy-.' | ,. - '´ l l
l , -ヽゝ-`'´ :'‐ ' ´
3160 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:42:56 ID:S4b0V18w0 [376/511]
┏────────────────────────────────────────────────────┓
│世間では温厚で律儀、努力を重ねて学問に励む学者と思わせながら、子供のように借着を脱ぎ捨てて欲望の海に飛び込む。 │
┗────────────────────────────────────────────────────┛
┏─────────────────┓
│俺はそれが可能な最初の人間なのだ。 │
┗─────────────────┛
＿＿＿＿_, -―‐-＜二ヽ､＿
／ ＼ ー ヽ ｀ ｀ ‐- ..,,
／_ノ ' ヽ_ ＼ ヽ
／ （≡） （≡） ＼ ヽ
| /// （__人__） /// | ､! ヽ
／ | |r┬-| / ＼ ヽ
, ´ ＼ | | .| ／ ヽ ヽ
,／ ,＼ ｀ ー'´ ／ゝ,＿ ＼ ＼
r ., -‐‐｀ー――一' / ヽ、 ＼,一 ＼
| ~ ヽ ｬ‐ / 丶、 ｀ヽ＼ヽ ヽ
l l / / ｉ／ ＼ヽ、 ｀,
l | f ノ' _} > ヽ ﾉ
. | l ゝ、 , ´ ／／ ／
l .| ＞ _ ィ ／ , '
l l - ´ ＜ , ､__／ , '
| ヽ , ‐ 一 ′ ＜、 ' { , ´
, / ／ , ． '~ ｀ヽ } /
y' / _ l. ／ | l {
l / / | ／ ', i lllハ＼ｰ‐――一┐
j , ´ / ,／ ｀ヽXﾉ''l::::ﾄ ＼ l ヽ
/ l ,／ / / ﾊ:::::ム:」::ヽ L_ | ﾍ
ゝ､_ ゝ‐イ ノ / , ﾍ;:.ゝ:_;:ｨ::::::::l | ト、 ＼
l ::/ ／ ノ / ,| ヽ~:::::ヽｨ､::::::l | ', ＼ 丶
.| / .／ ／ ノ ハ ＼:::::::} ';:::! ﾉ l ヾ, ﾍ
l / , '. ／／／ ノ L__ ＼::l l::l / ﾄ､ l ',
ﾉ ./ / ／／／ 「 、 ｀l ＼ ﾘ′ 丶 , ＿＿ヽ
l l / ／-'.￣ ﾉ 入. |＿_ ヾ/ ＼∨::::::::::::ﾉ
ゝ,ゝ.´/ ／ ／ ∧ ￣ | ￣
ゝ‐-´ / ノ ヽ O l|
┏─────────────────────────┓
│しかも、絶対に見破ることができないマントに守られている。 │
┗─────────────────────────┛
3161 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:43:10 ID:S4b0V18w0 [377/511]
┏───────────────────┓
│考えてもみてくれ、俺は存在すらしないのだ！ │
┗───────────────────┛
:.
...:: : : ::... :: . . : : : : : : : : : . .
.:: : : ::. .: ...:: : : : : ::... ＊ * ﾟ
.:: ::. .:: .:: : : : : :: +
::. .:: .:: : : :: ﾟ
:: :.. ..: :: ::: ::: .:: : ::..
: :::.. . .::: : ::: ::: :: : : ::
::. ｡ ο. :: :: : : ::. :: ※女性達は営業スマイル
． ＋:. ＊ .: : : : :. .:
．∴’ ’ × 。 ..: : : : .: :: ::.. . . .:
。 ＿｣ヽ ／| : : : : : : : : : : :: ::
。+ ﾟ ﾟ ／ ﾞＶ´∠ｲz‐ ､＿ ／＞'´￣ ｀ヾ＼
／ , ヘ,＿／ ヽヽヽﾏ´ ／ ／ ＼ ､ ‐-Y⌒ヽ
ﾟ // /／ ＾´ ￣ ｀＾｀ヽ＼ ゝ / 〃ハ ヽヽ ヽ ＼＝┤ ‘,
... _,// 〃 , , ､ ＼ヽ､ /ｲ ｌ |ｌ l 、 ｜| ｌ| ﾞ, ノﾄ､ l
.: : ,ノｲ| ｌ/ //,ﾊ| .ｌ | .,ﾊ,l lﾊ|` ＿＿＿_ //ﾊ ｌ＜／,,⌒ ,,⌒ﾘ| ｌ │ i|ﾍ. l
: 小| l/ ﾅ弋 |,l ﾅﾅ| l | ／⌒ ⌒＼ //ハlﾚ!小ｌ（ ,⌒） （,⌒）从 |、i|∧ ﾍ l
:. l从 | ⌒ ＼l ⌒ ｲﾙﾘ ／（ ―） （―）＼ ｉ ハﾊ ﾚ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ |ﾉハ ヽ l
: :. ノﾊ小 l〃 （__人__）..l,/ ／::::::⌒（__人__）⌒::::: * 〃′|｜ '. *ヽ、_/ } j /／ lﾍヽ ！ +
:: //ヽゝ lr┬| ,ｲi | |++++| 」_ ｷﾗｯ | |l l i|/ ,ハ⊂ ＼∩ノ ⊃ l ﾍ ､
::.|!〃lヽ＞;:.,､二´<ﾍﾘ ＼ `ー''´ l ／ * |l / /./ｒ ヽヽ::::⊂ ／ ＿ノ :::::ヽl ﾍ ﾍ
3162 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:43:31 ID:S4b0V18w0 [378/511]
┏───────────────────────────────────────┓
│ハイドが外でどんな悪行を犯しても、実験室に逃げ込み、 │
│一、二秒の時間さえあれば、例の薬でハイドは鏡に吹きかけた息の曇りのように消えてしまう。│
┗───────────────────────────────────────┛
＿＿＿＿＿＿＿＿
|| ,,,..-‐''"´ || ｶﾞﾁｬ
|| ﾐ.|::::::::::::::::::::||
|| |::::::::::::::::::::||
||／￣￣＼ ::::::::::::::::||
|| ヽ:::::::::::::::||
|| |::::::::::::::||
||、 ／ ::::::::::::::||
||（ ）::::::::::::::::||
|| ＼ ヽｰ-､ :::::||
|| ＼＿ ）_）:::::||
|| |（＼ ＼:::::||
|| ∪‐＼ ＼|
￣￣￣￣￣￣(＿＿)
┏─────────────────────────────────┓
│そして代わりに登場するのは、静かに家に過ごしているジーキル博士であって、 │
│どんな嫌疑をかけられても鼻であしらうことができるのだ。 │
┗─────────────────────────────────┛
―― ､
.／ ＼
.' __ ノ ゝ.__ヽ
.l ( ●) (ー ) ｌ
ｌ (___人___) ｌ
.ｌ ｀--´ ｌ
.! !( （(
ヽ ( ( ヽ) ﾎﾜ～ｯ
ヽ ￤ヽノζ
.__>/癶V⌒!=|￣￣￣￣￣|
/⌒ /‐''"_, -ヘ｜ ｜
{ / ´ _,,厶ﾍ /
/ ./ ＿,）ヽ＿＿＿/
( / _,ノ |ヽ }
3163 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:43:45 ID:S4b0V18w0 [379/511]
┏──────┓
│しかし……。 │
┗──────┛
／ﾊ
/ / :i}
ー―- ､ ,. -＜ く__ﾉ}
＼ｰ､／ γ´ ｀く
`/ γ´￣´ {＼
｝ ゝ 佗ヽ ヽ: ヽ
〉 ｀ヽ---､____.ﾉ､_,ﾊ
/ _ ／ ,
｛⌒} // } ./ ｛｀ヽ.,_′
ワンワン！ ゝY＿_,,. './ } / :i ｛ ｝｀'ｰ
/ , ﾉ′ | ゝ--'ﾞ
,′ i／/ ;
i､＿ﾉ ´｝ /,.ノ γ´
{ ／ ﾉ
{／ く
/ / ｛_) }
/ ,: }
/ : ｀ヽ
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─＼ '_
／ （●） （●） ＼ 、
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ,／
ノ ー‐ ＼
3164 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:44:01 ID:S4b0V18w0 [380/511]
┌┬┐
rー‐x__ ＿＿ _r==- ､ ___＿_ |￣| ｜｜｜
{ ／ o ､、⌒弋{0>::::::::＞''´:::::::／;} /￣￣ ￣￣］┘
{( O o . : >:::／´￣￣ミＸ:｛ ／ ￣￣l |￣￣
/i＞-､＿___j:i:i:i{::/ ／=ﾆ三Ξヽ{ ／＼| | /＼
ゝ{｛Vｰ'⌒￣￣Vﾊ /=ﾆ三三ﾆ=ﾐ从 ／ ／.| | ＼ ＼
⌒ゝ--c､⌒ヽ ./}/=／´￣三ニ=ヽi＼／ | | ＼/
υ ( }｀>／}/=// Ξニ=ミﾊ ___ |＿|
し// ./{ i// ,､ノ从=ミヽ｝| |┌┬┐
C cぅr{r{ //{ j/ ／＾ . . : :＼三}:| |｜｜｜
7///::::|{ / _＿__┌――┘ └‐┐-'
/|>' 〉::::::j､_{≦三三三[＿＿_ _＿__|
. ___/ ｛ {::::::::j|ｉ:|i´￣￣￣＿_/＿_| |_＿ - －、
／し./ /`r---く::}li|l≦三三[＿＿＿_ ＿_| ⑪ ⑪） ヽ
/_) }、 i {､_) ヽ] i|l三三三三//=ニ| | { （人__） ノ
´￣￣ヽーr' (_川〔＿＿＿}//:=ﾆﾆ| |=} ／´￣ミ
}::. i ｛┐ i.|=三三三{/=ﾆﾆﾆ|＿|=} ヽ／／ ∠´
}::. | V (_) :|｀￣￣￣{=ﾆﾆﾆﾆ｝┌┐= { {( :i
｀i ﾉ::. {ヽ :、 :|､_______.ノﾘ＼ﾆﾆ┌┘└‐┐｝ヽ j/／
/} {::..、 乂___:ヽ┐ :|＞＜三/: : : :ヽﾆ￣| l￣lﾉV ＞ }
:｛ ゝ___>⌒V⌒Ｖ [＿＿]:::: : : : ://=ﾆﾆ|__|,＿＿]{___／
:人. ヽ ヽ ヽ__)＼[二二]::::. : :_//=ﾆニニ└┬ｧﾉ／ ∠
_ノ⌒i､___人__ノ : : : :[二二]::::: : :{_{=ﾆﾆニニニ〈｣／ ー==
: : : : : : : : : : : : : : : ::[二二]:::::: : :Vﾆﾆﾆニニニくー-- ､ ≦
3165 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:44:13 ID:S4b0V18w0 [381/511]
┏────────────────────────┓
│ハイドの素行は次第に恐ろしいものへと変わっていった。 │
┗────────────────────────┛
,......
ピ ｛.⊂"´
ピ ク ｀´
ク ,. '´｀: , :'´i.
, 'i ;'´ '､,', ＿｀' '´ ｀´＿_ ^ヽ｀ｨ ,,_
............. _, '´′ '- ' , ィ´；'''"｀ヾ､¨三"´：¨ ｀ヽ : : : : : . : . :..
.. ....;:;:,,_ 「r _／}-‐'´~ ヽ-‐'''7 ,ｲ・ y'"∵ノ.ﾉｰ-----――-､
- ｰ:: :: r‐'´,.ｨ....)-ｰ ¨__ヽ-/ ,/ ｀>-/ -一く｀¨"¨´￣￣￣~¨´
｀￣ﾏノ¨￣⌒＼丶`r-ﾐ厂:::（`ｰ／ , く ::..,,__""´´
´" __"´c: ＼ ヽ r',二/ ｨ"-‐' ´" "´´" "
｛,':.-' -‐＝ヽ＼::｀"....｀"::::......: : : :: : . . .
..... ｰ= - ‐… `!,ﾐ ｛ r:＾)
｀ '´ .. ,,__ ,_
,. -─────────‐- .、
／／￣￣＼ ／￣￣＼＼
／ ＼
／ :::::::::::::::::::::::::::::::: ＼
／ ／ ／￣＼＼::::;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::／／￣＼＼ ＼
／ | |. ┃ .| | ::::;;;;;;;;;;;;;::::｜ |. ┃ .| | ＼
／ ＼ ＼＿／／ :::::::::::::::::: ＼＼＿／／ ＼ すまねぇおwww
／ ..／￣￣＼ ／ ::｜:: ＼ ／￣￣＼.. ＼
/ ::::: | | | ::::: ヽ いきなり近寄って来て驚いたんだおwwwwww
| | | | |
| ＼＿＿／＼＿＿／ |
| ｜ ｜ |
| ｜r─‐┬──､| |
ヽ |/ | ｜ /
＼ ＼ ／ ／
＼ ￣￣￣￣ ／
3166 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:44:33 ID:S4b0V18w0 [382/511]
／￣￣＼
／ u ノ ＼
| .u （ ●） |
. | （__人_） ハイドは弱い者をいじめ、迷惑な嫌がらせや、
| ｀ ⌒ﾉ 人に知られたら社会的に抹殺されそうなド変態プレイをするようになった。
| }
ヽ u } 同一人物の俺でも流石にドン引きだろ。
ヽ ノ
ノ ＼
／´ ヽ
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ○）（○）
. | U （__人__） ハイドは自分のことしか考えず、まるで獣か石のような人間だ。
| |r┬-|
. | ι `ー'´} 俺が放任して好き勝手にさせたとはいえ、アイツは本当にもう一人の俺なのか！？
. ヽ u }
ヽ ノ
/ く ＼
| ＼ ＼
| |ヽ、二⌒)､
3167 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:44:46 ID:S4b0V18w0 [383/511]
／￣￣＼
／ ＼ ／
| （ 〇）（〇）
｜ （__人__） 違う！ハイドは邪悪な性質だけを持つ人間であるし、
| |r┬| .} ハイドはハイド、俺は俺だ！
| | | | }
,..-'ヽ ｀ﾆﾆ } 罪があるのはハイド一人だけなんだ！
./::"::::`ヽ､.,＿＿ __ノ ﾞ
/::i::::::::::::"'弋'!ｰ',イ>|'_ノ´｀ｰ -,,＿ _
. }:::ﾞ|::::::::::::::::::::~ﾞ:_戈;f" 、 ｲ/ `i
/:::::::!;:::::::::::::::::::/',r.ﾃ ＼xｰ.ｫ､__ノ
::::::::::::ヾ!:::::::::::::l .l r' ` ､_冫y"
:::::::::::::::::＼o:::::l .ﾄ、 ヽ,＿ﾉ"ｰ'
:::::::::::::::::{::::{＼代 l>ｰ､,_ノ
＿＿
.,／,-､ ＼
／ ﾉ:/ ﾉfヽ.. ＼
| /:/ /...| | |
l ﾚ ./..ノ .,''´} i
l ' ´ .〃 / | 俺にできることは……、
ヽ. . 〈 .ﾉ ジーキルとして、ハイドの罪を償うことだけだ。
＼.,_ ._ﾉ /
/ / ヽ
./ / |
i .／ . |
3168 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:45:02 ID:S4b0V18w0 [384/511]
┏────────────────────────────────┓
│俺は今でもハイドの悪行が俺自身がやったのだと認めがたい。 │
│こうして俺は見て見ぬふりを続けて、二人の良心は眠り続ける結果となった。 │
┗────────────────────────────────┛
,ﾍ
＿＿＿_ / /
／＼ ／＼ ／ /
／（ ⌒） （⌒）＼／ /
／ :::::⌒（__人__）⌒:::::＼ /
| |r┬-| |
＼ ｀ ー'´ ／
／ ＼
/ ＼
/ ／＼ ヽ
／ ＼ ﾉ
U ヽ ノ
3169 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:45:30 ID:S4b0V18w0 [385/511]
┏───────────────────────────────┓
│ハイドの悪行については詳しく述べたくはない。 │
│ただ、俺への罰がどんな形で迫って来たのか、それだけを指摘しておこう。 │
┗───────────────────────────────┛
＼ ／ ／
＼ ／
／
＼ ＼ ／､ _ -‐ ´
＼ -‐'"´
,､＿_
|! l! ＿ ＿＿_}}￣l!＿ ,､_ _＿
l| }! l[]l![]l |!二_￣ ￣￣ ⌒￣l!
|l l! ￣ ｀ ￣l! .r=＝…┐ .l!
}! .ゞ-==-ｫ {! i| }! |! ＿＿
|l ＿＿」! |! l! l! |l |[]|![]l!! ＿
l| i厂￣ }l }l |! |l ￣￣ i厂|!
|! |! ,ﾘ |! ＿{} !! ＿,､ 彡 }!
}! l{ 《 ,ﾂ j厂＿_j| |!＿ .彡
|廴＿|l `¨" ￣￣￣ ￣￣
＿人人人人人＿ ＼
＞キャアッ！？＜ ＼
￣Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ￣ ＼ ＼
3170 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:45:49 ID:S4b0V18w0 [386/511]
┏────────────────────────────────────────┓
│俺は一つの事故に遭遇し、ある少女に対する残虐行為が一人の通行人の怒りを引き起こした。 │
┗────────────────────────────────────────┛
＿＿＿ ガッ
| ／ ＼ |
|i ／ _ノ ヽ､_＼ |
|ｉ| ／. (（⑪）三（⑪）＼
| （__人__） | |
ｌi| ＿ ＼ ヽ |r┬-|/ ／ i| ゴッ
ｌ｢｀￣"´ ´⌒＼､ ｀'ー´／ |i
| ヽ__､_ ＼ , ￣ ｀ ´ ￣⌒ﾍー│-ｫ､ |
| ,ｲ ￣.､`ヽ/ ヽ／ 〉i|
| | l ゝ ゝ ／⌒｀ヽ /ｲ ￣゛ﾄ /
|ｉ ｌ ゝ､ ﾄ ||ｉ/ ｲ | /ゝ / ＼_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_／
ﾄ ﾔ メ | | / ﾄ |/ くヽﾆｲﾄ _） （_
゛￣ | ｌ|i/ ゝ |ｌ ｀ヽイ ･．… _） 誰か助けてえーーーッ！！ （_
| / | | | ：： ．； _） （_
// i| i| | | ．･¨ ／⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y＼
ゲシッ /ｲ |ｉ | | ｉ i| ：’ ｌ´゛^´ｌ ：；
/ | |i | || <ｨ' / ．
| ；． ﾉ| | ||i| |ｉ |゛ | i| ”
＼＿ _,ｨ´ ﾉ||iｌ | ||| | | | ｌ 〟
｀ｰ､ i|| | |ｉ ||i|ii| “ | | ｉ|；，．¨
┏────────────────────────┓
│それがお前の従弟だと知ったのは、つい最近のことだ。 │
┗────────────────────────┛
／ , -=彡ー/jﾊ/!、＿
/ﾊγ'^ﾌ /´ ｲノノ,j},､_,ｨﾆ｀ヽ、
-―ｰ- . {/ j″/ ﾊ/ィﾊ,／´く=彡､ﾉ^⌒ヽｰゝ
´-=ﾆニニ二｀∨ﾑﾊ} i| i}人/ ﾊ／二ニ=彡 ハ
-=ﾆ二._＿__ ヽj乂vﾍ{、i{! =ミ／{`^くﾐ､ ヽｰ={
=ﾆﾆニニ二二,.ｲ}=彡'`^ヽｰゝ∠三ﾆ=ﾐ､}ﾒ ｰ=ミ
ﾆ=- =ﾆ,ｨj＾ﾘﾊム ;/ハ ,ｨ=ミ､ }ゝ-=ﾊノ} j｝
二ﾆ= =ニjﾊv{/ ﾏﾑ ;ｲ ﾊ｛!､j;ヽ＼ ヽ＼二ﾆ=ﾘ^ }
ニ二二＞ｨ==j ィ=ﾏﾑ}j/ ( ヽ{､ ﾊ､＼ﾊ ー=彡 j}
ﾆニﾆｨi==ji=i/ ､ﾋﾘjﾑ{jﾊ{’ゝﾊ}＼j}乂 ヽゝ､二ニ7/
ﾆ／=jｉ==jｉ=,′ / 斗=＝二三三≧､＜二二}
ｲi==ji==ji=/ . : :／ く｀￣｀7ｨ=く￣￣}/| -=ニ７
jｉ==jｉ==i=/ . : : :ﾊ＿ : : : . ､ﾋﾘ }; / j} -=彡
i==ji==jｨj| . : rr､二_ : : . u ,.ｲ,／V
i==j／ / | ﾉくー-､ヽ . : ｛／ィ7ハ
j／ / j , -＼＼__ノ u ｨ∠ノ } jﾄ､
ヽ/ { ⌒ヽ７ ／￣}/ /'/, -=:､
{ ＼ . : ν _／ ／ / //, -=}
{ }ヽ＿＿＿ -=≦ , イ ./ '/// =j|
ヽ| , ィ^ヽ＿＿＿＿ -=≦´ _＿≦、 ///ﾆﾊ
j／ /XxXxﾊ ＿ /´ ｀ヽ ヽ }'/=/-
ヽ,. -=くXxXxXj| _/´ ヽ ＼ V/,}/-=
ｲxXxXx＞ '" /´ { ＼ ヽ j} ｛-=ﾆ
3171 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:46:02 ID:S4b0V18w0 [387/511]
／￣￣＼
／ _,.ノ ヽ､_
｜ ( ○) (○）
｜ U （___人__）
.| __ﾉ__ あの後、女の子の家族と医者も駆けつけてきて、
| _／ ___＼ヽ_ 俺も命の危険を感じただろ。
人､ '-／____ ヽ |
_,／( ヽ､ __'-〈 、 ヽ | 今回は慰謝料を払って和解できたが、
_, ､ -― ''" :l : :.＼ ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ} ﾄ､ ハイドが再びトラブルを起こして警察に捕まったらまずいぞ。
/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{ 〈j)、
丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉, 別の銀行にハイドの口座を開かせ、筆跡も少し変えて書かせよう。
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧ ハイドも保身の為なら素直に言うことを聞くだろう。
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : ＼: : :'.,:::|: ;∧: : : : : : : ∧
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3172 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:46:17 ID:S4b0V18w0 [388/511]
┏─────────────────────────────────────────┓
│ダンヴァーズ卿の殺害事件の約二ヶ月前、俺は深夜頃にいつもの冒険から帰宅し、眠りについた。 │
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ミ||＼
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| | ＼ヽ ヽ ノ ) ＼
| |＼ ＼（￣ ⌒⌒⌒⌒￣⌒ ⌒ ⌒ヽ
|_| ＼ ヽ ＼
＼ ＼ ＼
＼ ＼ ＼
3173 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:47:04 ID:S4b0V18w0 [389/511]
＼ /
＼ 丶 i. | / ./ ／
＼ ヽ i. .| / / ／
＼ ヽ i | / / ／
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ー |Y^Y^ｼ´￣￣￣|l￣￣￣ヾY^Y^
| ﾉ / |l ヽ l
i ノ |l ヽﾉﾉ ─‐
ﾛ |ｌ ロ
| ヽ |l / l ｺｹｺｯｺｰ!!
.,ﾉ从,,ゝ ＿＿＿__|l＿＿＿＿/'从l
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
| うーん…、朝か……。
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
| | / l ヽ | |
| | / /l 丶 .l .| |
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／￣ｰユ¨‐‐- ､_ l !＿_ノ ／| |
／ ｀ ヽ__ `- {し| .／. | |
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ノ ヽ__ ｀ヽ.／. ／ |_|
／ ノ| .／
／ ／ |／
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|. | .| .| |_ |／
| | | |へ | | ﾉ| ||/
|_|＿＿＿ﾉ|＿＿＿| ＼|＿＿|＿ﾉ |_|
3174 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:47:22 ID:S4b0V18w0 [390/511]
／＼＿.:.:.:.:.:.:| ⌒ﾆ=- ＿ _ -=ﾆ⌒ |
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. ＿ || ,.へ,,ノ´ |::|i:| ￣| | |. . . . . . . . ...￣~|二ﾆｉ|:::|二三_| . . . . . . . . . ＿､-┬'｜
|¨.|⌒| |¨|─ｰ-||‐'ﾞ γ´￣¨|i:|｀丶 :| ||＾.|^.l丁|:|─- ____|￣| i|:丁¨￣..|_､-‐T''~||￣|| |. | ..| ﾚ'´
|....|. . | |. |. .|ｉ :|| [|::::_____|i:|＿: | | ||. .|. .| | |:| i|. .|....| | i|:::|| ||....|.|.|＿||＿||_|. | ..レ'ﾞγ´
| . |. . | |. |. .|i :|| |:::|￣¨|i:|¨丁| | ||...|....|..| |:| i|. .|. .| | i|:::|| ||....|.|.|＿||＿||_|..＜_彡'
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|.....|. . | |. | ここはどこだ？ | ::|::| | |l. |....|. |_|:|＿il. .|. .l :| i|:::|||￣ |｜..|.l |￣||￣||｜| ||￣=￣
|. . |. . | |. 丶＿＿＿＿＿＿＿ノ ::|::| | ||..|....|...|_|:|＿i|...| . | | i|:::|||＿_| |....|.| | || ||｜| ||─__─
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＿ ﾉ弌二⊥|‐|_|''"´ └' |:|￣ ＼|_| |===l|:|====| |=- ［_|─-
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. : / : : ,:' : : / : : : : : :|.:.:.:.:.:.:: : : : : : : . .
.: : : : : : : _( Ｖ心 i '_
!: : : : : : . /_,_,>‐--ｒ' Y´ | 、
!: : : : : : : . {＿ ｀ヽヽ=ｧ′ | ん？
、: : : : : : : : : . ￣二､У
ヽ : : : : : : : : : : : ; / 俺は何を言ってるんだ？
=-‐'. : : : : : : : : : : : : : . . / ここは見慣れた俺の自室じゃないか。
: : : : : : : : :､ ＿__ : :_:_:_彡
: : : : : : : ｢￣￣ /´
: : : : : : : :＼ ＼
3175 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:47:40 ID:S4b0V18w0 [391/511]
. _
/ )
. / / ／)
｢ヽ. / / ／ ／ ) ！！
i } / し' ／ ／ )
{ レ ＼ ／ ／ これは俺の手じゃない！
. } ／ ハイドの手だっ！！
. | } /
.. ／＼ / ／
＿＿＿
／_ノ ヽ＼
／ （○） （○） ＼
／ u （__人__） ＼ なぜだ！？
| |i!i!i!i!| u |
＼ u |;;;;;;;;;| ／ ジーキルの姿に戻って自室のベッドに寝た筈なのに、
／ ｀⌒´ ＼ なぜ姿だけが ハイドに変わってしまったんだ！？
(<<<) （>>>）
|、 i、 ,i /
ヽ＿/ ヽ__/
| |
＿＿＿_ ううっ…。
／ ∪ ＼
γ⌒) ノ三三三ゞ(⌒ヽ 心はジーキルのままであるのに、俺はこの部屋にどうしても違和感を感じてしまう。
／ _ノ （＞）三（＜） ＼ `､ 身体の内側から、何かが俺はソーホーの ハイドの家で寝ているんだと囁いているんだ！
（ <:::∪:::::（__人__）:::::∪| ）
＼ ヽ ::∪::::｀ ⌒´∪::／／ 恐ろしい！
3176 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:48:00 ID:S4b0V18w0 [392/511]
キャッキャッ＞
おはようございまーす！＞
人
. ＿＿＿_ て
／ ＼ 〈
i⌒', ／ ⌒ ⌒＼
| つ ／ u ( ○)liiil( ○) ＼
| | | （__人__） |
| | ＼ |r‐- l u.／ ハッ！
| ￣￣ ,- 、 ｀ー'´ ＼
＼_＿＿_ ヽ ヽ＿＿_) | そうだ！使用人達はとっくに起きているんだった！
＼⊂_ /
＼ ｀ー─── ' ヽ
. ) ＼
／ ＼
／ ／´`＼ ＼
! く´ ＼ ﾍ
＼ ＼ ヽ ﾍ
(´____＿___ノ ヽ ヘ
｀￣ ￣ ∨__＿___｀)
＿＿＿
.. ／ ＼ ど、ど、どうするんだ！？
／ノ ＼ u. ＼
.. ／ （○） （○） ＼ 落ち着け！落ち着くんだ！
| （__人__） u. |
＼ u.｀ ⌒´ ／ 使用人達は ハイドの顔を知っているんだし、
.. ノ ＼ ハイドとして普段通りに邸宅を歩けばいいんだ。
／´ ヽ
3177 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:48:21 ID:S4b0V18w0 [393/511]
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;,;,;,;,;,:.:.:.:.:.:.:.i
.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,;,;,;,;,;,;,:.:.:.:.:.:.:.:!
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;,;,;,;,;,;,:.:.:.:.:.:.:（ ゝ､
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;,;,;,;,;,;,;,;.:.:.:.:.:.:.:.丶､ }
.:.:.:.:.:.:.:.:,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;:.:.:.:.:. 〈￣'_.ヽｉ
:.:.:.:.:.:.:,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,:.:.:.:.:（._｀__;｀ヽ
ｰ-．:.:.;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;.:.:.:.:.:.／´｀ ､!
:.:.:.:.:.｀:.'':.ｰ-:.;,_;,;,;,:.:.:.:.:.:.:.ー'~ヽ,. ｝
`ｰ-.;_.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀.:.:ー‐---‐ ''´.:｀.:.､
::::: ヾ;;-::;;_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀::...、
:::: -ｬ弋ツ `ｰ-_::;_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＞
:::: ｀＝＝彡 ￣￢ー-―┬‐'' ´ ブカブカな服のままで出歩くのはまずい。
:::: { | サイズがピッタリに見えるように、服を重ね着して誤魔化そう。
:::: / } ー ´丶,、
:::: { 人__ﾉ ヽ ／ ＼＿
:::: ー--- ´ ｜＼ ／ _,,メ.:ヽ
:::: ﾉ ／ ,...-'".:.:.:.:.:.:.:＼
ヽ､ ／ ヽ ,／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
/､ｰ｀-...,＿＿＿ ／,,. （'´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
ー}.}.:.:.:.:´､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,:'丶､ ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,;.:.:.:.:.丶
＝ｉｌ.:.:.:.:.:.:丶:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:｀､ ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,;,;,;.:.:.:.:.:.:ヽ
==:}:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ. ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;,;,;.:.:.:.:.:.:.＼.、
==:!.:.:.:.:.:.:.:／.:.:.:.:.l.:.:.:.:.:.;,;.:.:.:.';,.､. ＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,;,;,;,;,:.:.:.:.:.:.:..ヽ、
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＝!.:.:.:.:.:.:.:.ヽ.:.:.:/.:.:.:,;,;,;.:.:.:.;,;ﾘ.:.:.:.:./:.／´ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,;,;,;,;,;,;.:.:.:.:.:.:!
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=7:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.':.:.:.:.:.:,;.:.:.:.:.:,;.:.:.:.:.:.:.,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.{ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;,;,;,;,;,;.:.:.:}
_ _,__
／::｀::´:::::::｀丶、
|-‐‐―一‐‐‐-',、
＜-''"￣￣￣￣"ｼヾゝ
／ （―） （ ―） ＼
| （__人__） u | 俺も、随分と嘘が上手くなったもんだ……。
＼_ ｀ ⌒´ __／
/´:::／ﾍ;;;/∨::＼::::::::｀ヽ
i:::,::>:::i/;;;;i /:::::::く:::::::,::::::ﾍ
｛:::i::ヽ::i;;;;;;;/:::::／::::::::i:::::::::｝
3178 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:48:40 ID:S4b0V18w0 [394/511]
l /
′／
（（（ ））） あれっ？ハイド様？
(,；´Д｀) いつ邸宅にいらっしゃったんですか？
( )
＿__. ＿＿
,.- ' "´ ｀丶､ _. -‐ ' ´￣ ｀i
/ / ヽ,. -‐' ´ /
/ ／ 〈 ／
/ ／ i ／
〈 _,. -‐ ' ソ ,／
ヽ ' ,／
, '´ ＼ ,. ''´ , '´
／ ー‐‐'/ ,. '´
／ ／/ ,. イ´
／ , ｲ_../ ,. '´ ／＿＿ ） ） ）
／ ／ / ,. ‐'´∧,. ヽ
／ ＿＿ ／ / '´ ｀ｰ'´／l ヾ
／ `ｰ‐ r ＼／ ,. ‐'´/ | ＼
ゝ r´ 丶 ／ 〃/ ／ 丶
｀ ー-‐‐| ゝ､_ / /／/ ／ ＼
ヽﾅー--､／／ ＼ // /／ :' ヽ
レ' ＼/ / :' .i
/ ＼ :' l
ｌ ＼ ::' l
（（（ ））） ？
（；´Д｀ ）
( ) 無視されちゃった…？
3179 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:49:00 ID:S4b0V18w0 [395/511]
＿人人人人人人人＿
＞ ギャース！！ ＜
￣Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ￣
_＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__
|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
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ｎ ｒ‐‐┐
ノ厶┐ く,勹｜ [][]「l Ｏ Ｏ Ｏ
└'⌒'┘ く_ノ くノ
／￣￣ ＼
/ ＼
|ノ ヽ､_υ .|
（━）（━ ） |
|(人__） .| …………。
ｌ ⌒´ u |
ヽ、 /
）_ く、
. /(_ ヽ ノ ）
/ /l｀ヽ、丶ノY
/ / l ｀¨ }
3180 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:49:54 ID:S4b0V18w0 [396/511]
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二二二二二二二］］ ／／／／／／／" ;ゞ "ヾゞ; ;ゞ "
┌─┐ |;; | ／／／／／／／;ヾ ;"/" ; ;ヾ ;ヾ ;
~''^'-^ﾞ-､'~''^-^ﾞ-､ | ／／／／／／／; ;ヾ ; " " ヾ ; " ; "
:::::::::::::::::ﾞ-:::::::::::::::ﾞ-|￣"-,,_ ￣￣|￣￣￣￣ヾ ;"; "i "; ;ヾ; ;ヾ; ;ﾒヾ
:::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::i￣"-,,_| | ヽ゛;ゞ ;" "ゝゞ ; ;; ; ゞ゛; ; ゞ
::;;;;;;::::__,,-''~i､;;;;;__,,'':: i,..|"-i.| | ヽ丶 ヾ ;"; "i "; ;ヾ; ;ヾ; ;
:::::::::|.レ／:::::::i |:::::::::,:,i. i"-l.| | ヽ;ゞ ;" "ゝゞ ; ; ; ゞ ; ;ヾ ; ;
,,-''ｿ／::::::::::;/::::::::::;/::.. ... | ,,| ヾ ;"; "i "; ;ヾ; ;ヾ; ;ﾒ
;;;;//::::::::,-'~/:::.::,,-'|::::.. |"-i.|^-､ _,,-'~''^'-^ﾞ-､'~゛ ヾ; ヾ; ;ゞ "＼;;ｉi ;ｉiメｿ
y /_,,-''~y /_ .-''|;; |::::.. |"-i.|:::::ﾞi ノ:::::::::::::::::::::::::::ﾞ-:::::::::::::::ﾞ- :::::::::::::|;l!ｌ| |ｌ|::::::
＿＿＿＿＿
／.::::::::::::::::::::::::::.:ヽ
|.::::γ⌒ Ｙ ⌒ヽ::::::|
|::::/ ⌒ ⌒ |:::|
|:::〉 （●） （●） 〈:::| 旦那様、こちらにいらっしゃいましたか。
（@ ⌒（__人__）⌒ @）
| |r┬-| | 朝食の時刻でございます。
＼ `ー'´ ／ 邸宅にお戻りください。
,,.....イ.ヽヽ、___ーーノﾞ-､.
: | '; ＼_____ ノ.| ヽ i
| ＼/ﾞ（__)＼,| i |
＞ ヽ. ハ | |｜
／￣￣＼
/ﾉ ヽ､_ ＼
（ ●）（ ●） |
|（人__） u |
| ⌒ ´ |
あ、ああ……。 | |
ヽ /
ヽ /
> <
| |
| |
3181 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:50:13 ID:S4b0V18w0 [397/511]
|￣￣￣￣| |￣￣￣￣| |￣￣￣￣| |￣￣￣￣|
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「lヾ l＼
l l､｢l ＼＼
l l､l l ||.＼＼ E!
l l､l l || ｜＼＼（___）
l l､l l || | l＼＼ |￣￣￣￣| |￣￣￣￣| |￣￣￣￣|
l＼l l.￣￣ﾞ＼l｣ ＼l二二二二| |二二二| |二二二| |二二二二二二
|＼l三三三三ｌ l」 || | |＼| | |＼| | |＼.| |
., ──‐､
／ ノ ヽ
. .| （ ─) (─)
| u （__人__）
| ｀ ⌒´)Ψ （コックが作ってくれたのに、ちっとも食欲がないだろ……。
| ﾉn|久
. ﾝ } (ｲで,,) しかし、朝のあれは何だったんだ？）
／⌒ ノ } <
＿＿/ ﾉ _ィ ´ー‐ｨ' |
| | / / r_＿＿__〃
| | / / |i
| | （ 〆⌒'──⌒ヽ￣￣￣/
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
3182 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:50:31 ID:S4b0V18w0 [398/511]
┏───────────────────────────────────────────────┓
│あの薬はいつも必ず効力が現われるというわけではなかった。 │
│最初の頃ですら全く効き目が無かったこともあり、時には薬の量を二倍、命の覚悟をして三倍にしたこともあった。 │
┗───────────────────────────────────────────────┛
＼ﾞ''ヽ､ =/|ヽ､
三 ヽ'､ ﾌ‐-''､▽∧
─＿ )‐'' ,-‐|‐/ヽ､
─＿ _,,,‐'''ｌ二ﾉ／-ヽ'",,,/ |＼ ─__
≡∠_ノ‐'"＼// /／ ﾚｌﾌ＼
三 | ,‐''__ ≡ ソ［_＼￣
＝￣ -＿ ／ヽ/ 二＼三二 }＼
＿‐＝ヽ、─- /_ノ'" ＿--＼‐ ﾚ' j ﾙi
＝-＿=ノミ ゝ-― -､__ ─---- ＼ ,,ノ､__｝
三二＝ 〈=/ ,- __ﾞヽ、ヽ' ｌ ﾒ､二‐_,､ ｿ
＝二-ﾉ= ≡/◎ ﾞヽ,ゝ､ノL ‐=｛'"ﾞ '''ヽ"／
くﾉ二＝‐ |ｌ ~）〈‐／＿- ゝ '' ＼
─ ‐-＝彡',-─-,‐-＞､;ヽノ‐メ二〉─-｛ ＝''"ﾉﾞヽ
＿ -_-- ﾌ'"==/ / ／,,"（__人__）ﾞiｌ ≡三= ‐-､,| ｛
二＝‐_┌'≡ﾉ ／ :ﾚ' ／ ｌ_,,_ ＼ﾞtﾉ,-‐メ≡＝ ﾚ .｝
＿ ＝､ニ彡ｌ 〈ヽ'ﾚ'"￣ Yr'.|/:::::::::＼､≡=,<ﾉ /
─‐￣= ＿=ヾ,‐-┴-‐‐､ ﾚ!./::::.:＝= |} ﾞ‐二 ／
＿＿ --＝i ＼､＿,ニニ､ ||ｌ::::.:.:＿_ﾉレ二y
＿──￣─＝|三i ﾞ .|ゝ ヽ''「Y|ｌ／"＿ __￣ソ
‐- 三|＝ﾞｌ. .|ﾌ ‐=［| |'::::::三二‐ ≠__ ＝=
＿ __ ,i'ﾍ=≡ヽ ヽメ-＝''ｌ |三三＝─ . ＼ニ‐
＿--/__≡ﾍ三＼ヽ＼,ニ=､ノﾉ三二─ ‐ﾚﾞi
≡ ／≡三三＿‐-_ヽ､ ／ノ三≡= ゝｿ ヽ
￣三=≠三ソ二二＝＝─ﾞ"'‐" ヽ､三ニ≡ -─ ‐ﾍ ─ニ──
──三/≡／‐'''ヽ､ﾐ､三三三二‐ ヽ=__. - ヽ .＼三ニ￣￣
￣＿＝_=‐' 三三二=ﾞヽ､､三三二＝ /￣三二≡ ﾞi '' ," ｌ"
┏────────────────────────────────┓
│たまにある不確実性が、俺の満足な心に唯一の暗い影を投げ落としていた。 │
┗────────────────────────────────┛
／￣三＼
／;;;; _ノ 三 ＼
|;;;;;;; （ ○）（○）
. |;;;;; （__人__）
|;;; ｀ ⌒´ﾉ それが、今ではジーキルに戻ることが難しくなっている。
. |;;;; } 以前はハイドに変身することが難しかったというのにな……。
. ヽ;;; }
ヽ;;;l ノ
/ く
| ＼
| |ヽ、二⌒)
3183 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:50:42 ID:S4b0V18w0 [399/511]
／￣￣￣￣￣￣｀
. ／ ＼ ＼
. ／ ＼ ＼
/ -―テ元、 ＿＿＿ ヽ
. / / f/// ﾊ ／￣￣￣ i
／ { ∨//ノ ／======= ＼
. ／ ｀ー '"´￣￣｀ヾ ＼
. / """" ＼"""" ＼
/ ／￣ ﾉ } }
. / { / / ′
′ ヽ＿＿ノ＼＿＿__／ /
... i / | ／
！ /￣＼ ／￣￣/ ／
‘， / ／ / ／￣￣￣￣＼
‘ー──┬､ ＼＿/ / ／ ＼
／| ＼ ￣￣￣ ／ ＼
. ／ / ￣￣￣￣￣ ヽ
／ / ＼ ‘，
| | ＼ ‘，
| | |＼ /
. ＼ | | /
ヽ| l ／
| |／
／￣￣＼
／u_ノ ヽ､_＼
| ((○）) (（○）)|
. | （__人__) |
|ヽ |!il|!|!| / .| しかも、ハイドのひ弱だった身体は運動と栄養で肉付きが良くなっているようだ。
. | |ｪｪｪ| } このままハイドが成長したら、分身の俺は一体どうなってしまうんだ！？
. ヽu }
ヽ ノ
/ く
| ＼
| |ヽ、二⌒)､
3184 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:50:58 ID:S4b0V18w0 [400/511]
. -――――‐-
. ／ ＼
. / ‘，
. / ‘，
. l ＿＿ |
| ＿｀ヽ|
| ヽ_fj_ l 旧約聖書には傲慢なバビロニアの王ベルシャザルが、
. | u ヽ 神から死の予告を受ける話があった……。
| l （ }
| ', u ｀=ニ´ あれは俺への審判の警告なのか！？
/ ヽ r'
. / ＼ |
. ／ ＼ /
. ／ ヽ ｀二ニ=-‐'′
. ／ ヽ i /
＼ | /
＼＿＿__|＿/
｀ヽ
／￣￣＼
/ ヽ､_ ＼
. （ （─ ） |
. （人__） u | そろそろ潮時だな……。
r-ヽ |
（三） | | これ以上続けたら、いつの日か俺の善の自我がなくなり、
> ノ / 俺の本性は永遠にバランスが崩れ、任意で変身ができなくなるのだろう。
/ / ヽ /
/ / へ> < ハイドの性格が俺自身の性格となり、二度と戻れなくなってしまう。
|＿__ヽ ＼／ )
|＼ ／|
| ＼_／ |
3185 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:51:09 ID:S4b0V18w0 [401/511]
┏───────────────────────────────────────────────┓
│俺達二人は記憶だけは共有しているが、他の能力は非常に不平等にわかれていた。 │
│俺は善と悪の混合体だから、神経質に心配しながらも嬉しそうにハイドを呼び出し、共に快楽の冒険に参加する。 │
│だが、ハイドは俺のことを山賊が隠れる洞窟程度にしか考えていなかった。 │
┗───────────────────────────────────────────────┛
＿＿＿＿_ ミヽ_ｎ
. ／ -‐ ＼ ヽ ﾉ
/ ‐- （ ● ) ＼／ ./ おしーりぺーんぺーんｗｗｗｗ
. / ( ● ) _∩ l / ヽヽヽ
| / ( ノ | ./ } .} .}
| ゝ-'^ / i ／ /､ ! .! .!
. ＼ {r‐r{＿_ノ ＼
￣{ ! | { 丿 j
乂_乂 ､ ヽ 彡u'
＼ i､＿ノ.}
/ ‐-‐ ' { ／
{ ／ と＿_)
と＿_)
┏─────────────────────────────────────┓
│俺はハイドを父親以上に気にかけているというのに、ハイドは息子以上に無関心だった。 │
┗─────────────────────────────────────┛
3186 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:51:37 ID:S4b0V18w0 [402/511]
| ／| | |::| | |
: : : : : : |／ | | |::| | |
: : :. | | | |::| | ＿＿＿＿|＿
| ／| |＿＿＿＿＿＿＿＿_|::|＿＿＿＿＿____________| |＼
______ ／ :|／: : | |￣￣￣￣￣￣￣￣ |::|￣￣￣￣￣￣￣￣¨ﾞ| ||＼＼
／| ／ :| |: : : : | | |::||￣￣￣￣￣￣￣￣¨| ||: : |＼＼
. ／／|| ／ :| |: : : : | | |::|| | ||: : |: : |＼＼
／／／|||／ :| |: : : : | | |::|| | ||＼|: : | |: :＼＼
. ／／／|i:i:ｉ||| :| |: : : : | |＿＿__,||＿＿＿＿＿|::|| | ||: : |＼| |: : |: :＼＼
. ／／|／|i:i:|i:i:ｉ|||匚]ﾛ｢］ｈ_」.|: : : : | ／￣￣....||￣｢|＿_,｢|＿＿|＿＿n＿＿＿＿＿＿|＿||: : |: : | |＼|: : | |:＼
／／|:::::|i:i:ｉ|i:i:|j／||:::::::7⊂⊃□_____ | |￣￣￣¨||￣|:|＿_,｢|＿_｢|__￣ || |＼ :||＼|: : | |: : |＼| |: :
. ／／／||:::::|i:i:ｉ|j／／||:::: //::::△扎 ／l| ￣￣ || ｢｢⌒ＹＹ⌒YY ￣□￣￣￣￣.| |￣ﾞ||: : |＼| |: : |: : | |＼
ﾞ／／／|i:i:ｉ||:::::|j／／|i:i:ｉ||__//／ ／ √} ＿__,八__八 _」 L_ _｣ L_＿,八,______ | l ||: : |: : | |＼|: : | |: :
／／|i:i:ｉ|i:i:ｉ||:::::|／|i:i:ｉ|i:i:ｉ||二二二二|,ｧ─〈_,/: :/ ¶(＿)(＿）(＿__,)(＿__) (＿) /∧ .| l |＼j|: : | |: : |＼| |: :
,.:i|i:i:ｉ|i:i:ｉ|／||:::::|i:i:ｉ|i:i:ｉ|／||＿＿ |ﾆﾆﾆｱ : / i□ □¶¶¶□□□¶_¶_¶_/|￣ﾍ../∧ ＼|____|:.:.: ＼j| |: : |: : | |＼
i:i:|i:i:ｉ|j／／||:::::|i:i:ｉ|j／／||二二へ | 7∧: :/ .ｎ ｎ ｎT「|」ＴＴ「Ц_||_||_|| /二二'， ∧ |.:.:.:.: .: ＼:.:j|: : | |: :
i:i:|j／／|i:i:ｉ||:::::|j／／|i:i:ｉ||￣ |＿|__,|く_/^ Ｖ 〔__〕〔__〕〔__〕「|」｢|｣｢i|ii|ｰ‐‐‐┘０ || //∧ : : : :＼.:.:.:.:.:.:.::＼ : | |: :
／／|i:i:ｉ|i:i:ｉ||:::::|／|i:i:ｉ|i:i:ｉ|| ／＿＿／| |二二二二二二二二「||ii|ｎc二二二||_,ｎ___二| : : : ＼.:.:.:.:.:.:.:. ＼|: :
,.:i|i:i:ｉ|i:i:ｉ|j／|:::::|i:i:ｉ|i:i:ｉ|j／|⊂二⊃__|／/¨¨¨¨¨¨¨¨~¨ﾞ八¨,八::⊂⊃|ii|｢|」｢|」 八~||¨| |¨¨¨¨ﾍ : :.:.::＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
i:i:|i:i:ｉ|j／／||:::::|i:i:ｉ|j／.:.:. ||: : : : : | / ｎ (＿)(＿)|＿__,|ii| ゑ (___）||:'´｀ヽ /∧ : : : :＼.:.:.:.:.:.:.:.:
i:i:|j／／|i:i:ｉ||:::::|j／.:.:.: .:.: |｀~¨¨¨´ ./ 八 ノ 乂 ｢|==i|ii| |__| ||ゝ _ノ ∧ : : : : :＼.:.:.:.:.:
／／|i:i:ｉ|i:i:ｉ||_／.:.:.:.:.:.:. :.: | / (＿) |＿__| γ´｀ヽ |ii| 「|/〉 || /∧ : : : : : :.＼.:.:
,.:i|i:i:ｉ|i:i:ｉ|j／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／ / ⊂⊃ 乂_,,ノ_|ii| |｀¨¨´| {ΞΞ} /∧
i:i:|i:i:ｉ|j／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／: :. / ЛЛЛ |::::::::| 冂￣ |ii| | | //∧
i:i:|j／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／: : / ｌ二二二二ｌ ｀¨¨´ {ΞΞΞ} ｀¨¨¨´ /∧
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ●）（●） ジーキルとハイド……。
. | （__人__）
| ｀ ⌒´ﾉ どちらかの生き方を選ばなくてはいけないのか……。
. | }
. ヽ }
ヽ ノ ＼
/ く ＼ ＼
| ＼ ＼ ＼
| |ヽ、二⌒)､ ＼
3187 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:51:50 ID:S4b0V18w0 [403/511]
／￣￣ ＼
_,ノ ヽ､,__ ＼
（●)（● ） |
（_人___） U |
'､ │ ハイドを選べば学問の研究や世間の信用を失い、友人達からも絶交される。
<二ニヽ |
.／-‐ ｀i ､ ＿__,. イ 当然、選ぶのなら「ジーキル」だ。
{/´､ ',┐ ＼
しrヽ V ヽ
ヽ､_ ヽ ｨ }
＼ ＼ ﾉ i
__l￣￣￣￣￣l__
〕 ￣￣￣￣￣ 〔
／ ＼
/ ヽ
| |
| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
,.:｀ヽ | ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; |
／ .:.:::＼ | ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; |
___,,,... -一,ｨ´: :.:.:'''ｰ- ...,,,,_____ | ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; |
｀ﾞ''ｰ-､.,,__,,..-‐''"´｀ﾞ''ｰ-､.,,__,,..-‐''"´ | ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; |
｀ﾞ''ｰ-､.,__,,..-‐''"´ l.＿＿＿＿＿＿＿＿＿___|
／￣￣＼
／ _ノ ヽ ＼
| （●）（●） |
| （__人__） ｜ 過去と決別する為に、薬も捨ててしまおう。
| ｀ ⌒´ |
| } ……薬を捨てて、俺は禁欲と節制の炎に苦しみ続けるが、
ヽ } ハイドは友や信用を失っても屁とも思わないんだろうな。
人＿__＿_ノ"⌒ヽ
／ ＼
/ へ ＼
（ ヽγ⌒) | ＼ ＼
￣￣￣＼＿＿／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
3188 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:52:12 ID:S4b0V18w0 [404/511]
┏───────────────────────────────────┓
│このような悩みは人類の歴史と同様に古臭く、ありふれたものだ。 │
│同じような誘惑と警戒が、震え怯える罪人の獲得する為に運命のサイコロを投じる。 │
┗───────────────────────────────────┛
,.-''" ￣ "''‐､
/ ........... ヽ
′ u::::::::::::::::::.. i
′ ::::::::::::::::::::: |
′二ﾆ_-::::::::::__,,.イ !
′ ､__ゝ'_`:::::::'´_0_j '
＿＿_／: ′ ´{ :::::::::::ヽ '
／: : : : /: : 「i. ヽ-＜::::＞-' ′
. ,ｲ: : : : : /: : : | | ､＿_ , u ∧
f´__l: : : : : : : : : | .＿,.-―-､ /: : ヽ_
. /|: |: :＼: : : : : : __/:__: :＼-‐'‐-..,,_/: : : : ヽ:ヽ
_/:/: |: : : :.＼ : : /: : : : :! : : ＼ )__ ﾉ : : : : : : : i､
. l／／: : : : : : :ヽ/: : : : : : : : : : :l .}|: : : : : :/ : l: !
.／ー: : :_:_:_:_: : __/: : : : : : : : : : : :l i´;|: : : : :/: :./: :ヽ
.〉: : : : : : : : : !:/: : : : : : : : : / : : : l_ノ;;;;;|: : : : : ／: :ヽ: i
┏─────────────────────────────┓
│俺の場合も大多数の人間と同じ結果になった。 │
│つまり、俺は善を選択したが、それを守り通す気力が無かったのだ。 │
┗─────────────────────────────┛
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
| ……いや、まだ手元に置いておこう。 |
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
, - '´￣￣ ｀ヽ、
ヽ、 _, - '´ ヽ- ､
｀ヽ､_ , - ' l' .l' ｀ヽ、
`ー-―― '´ lｌ ll ｀ヽ、
:::::: ＼ ﾉ,ィヽ＿＿, - l
:::. く_⌒ ｀ヽ. /
.: ｀ ヽ ､＿__ ノ
::: ｀ヽ
＿＿ ::: _ ,.ｨ仁`ー ､＿ l
￣￣￣￣｀ヽ、 ー―ｚｚイ ヽ、 `ー―ｧ'´￣ ｀ー―― '
`ー―‐ '´￣`ー ､__ﾉ`ー‐′
-──-
.／ ｀ヽ
/ ＿ノ ヽ､_ ﾍ
| （ ● ） （● ） | 放蕩三昧の日々に戻りたいわけじゃない。
| | ハイドの思い出として残しておきたいんだ。
.| , ､ u ,'
', ゝ- 'ゝ-- ' / 誰だって思い出を写真か絵で残すだろう。
ﾍ ｀＝＝ ' / それと似たようなものだ。
ﾍ ／
／´ ヽ /＼
/ ﾍ
./ ﾍ
3189 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:52:31 ID:S4b0V18w0 [405/511]
┏───────────────────┓
│そうだ、俺は友情と希望に囲まれてはいる。 │
┗───────────────────┛
_＿＿＿＿＿＿＿
／ ＼
／ ＼
/ ＼ キラッ
/ ,ﾉ ヽ、＼ ┼ Y
/ --─'"´ ｀ｰ-ヽ
| ,ィぅ､ ヽ ,r｡､ ヽ ＋
| ,'⌒ヽ⌒; l0躑o l 躓0! l ＿ ,.....,
| .／ ノ 丿 ヾー° ノ ヾｰﾟ < ┼ ／､ヽ〉 .__/ ｒ-!,
／ _,,／ _,,/ / i ヽ 〈 ､_〉'¨7./:::::ヽ-''"
／ ／ / l ,ﾉ! l ,rｒｒｒ‘, .ｒ'"/::::::::/ ｒ－ ､
, -──､─く ｰ／ｰ／ ヽ_＿＿_,ノ ゝ､_＿,ノ |.川 .||ノ.ヽ!::::::::/ 〈＾ヽ_/
/ 、 | | ,,／ /'⌒､ ｀`ヽ､_＿＿__/ ﾉ ｒ－ヽ. |.......∧:::::/ _____ ;::::::::!
,/ '-ｰ| | | （ | ｲ ⌒Ｙ {...........∧::| /---､ヽ /::::::::;′
｀ー＾ー′ i､_ | '" | | !',..........∧| !^ ,. ----､ /:::::: /
人、 | | | |∧.........∧ゝ/i:i:i;i;i;i;i;i:i＼:::/
;, ,／´ "ヾ l | ｒ! ﾄ､':,..........∧从/． ．从:i:}/
i 〃 ／ ＼ / ,. ---､ 〈 ｀¨´ ,圦........... ^..| .〈 __ |^!/
} ／ | 丶 ／ }^ヽ /::::人:::::ヽ ト-- イ|::∧......{.....ﾊ ﾏ::ソ ｨf{-----､
_ｿ,,_ ＿ ,／ | ｀ ／ ヽ /ヽ ゞ:/ .ゞ-r! ; |.{::::: ＼...........≧≦/../........{.......＼
｀ ''⌒,"´ ／´ ,ノ′ イ´ 弋 ':,_圦 ､_,，./^{ ; 乂:::::::::＼...... |/Y^V............',.......... ＼
/ _／ｰ-..,,_ | ＼ ゝ-彳 |! .:{ .}::::::::::::::∨........{o.......r－ ､'､_..........
/ ,〟'".:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼ ﾄ.､ ＼ | Ｘ、/ | √￣￣ ∨......‘,o.....辷、 .ﾏﾑ￣
/ ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼ |i:.:.｀`ヽ、 ＼. ´.|o｀ } / ∨.....∧｡....｀¨ー≦┴--
/／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼ /.:.:.:.:.:.:.:.:.＼ ∧ ':, {′ /! .＼.......':,.................廴
┏────────────────────────────────────────────┓
│年配の、心の奥では満足していないジーキル博士を選び、 │
│ハイドの姿を借りて享楽した自由や、若さ、軽やかな足取り、胸のときめき、秘密の快楽と決別したのだ。 │
┗────────────────────────────────────────────┛
3190 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:52:53 ID:S4b0V18w0 [406/511]
┏───────────────────────────────────────┓
│薬を捨てず、ソーホーの家も引き払わず、ハイドの衣服も捨てなかった未練を残しながらも、 │
│二ヵ月間、俺は今まで以上に厳しい生活を守り通した。 │
┗───────────────────────────────────────┛
/ ! ,,:::::::::ヽ ヽ .| ! / ,..::::::::::::::ヽ i . !
,' |,.::::;;;;:::::::::::ﾍ, ! .| ! f /:::::へ::::::::::::ヽ !
i! !::/ﾍ zx ;:::} ,,! | ｊ .| !:::/ _ z- i＾i:} |
| _! { r- 、 /ｩ:! / ---ﾍ / ! ,,,: : : : : : :≧、{::::ﾄ´｀_,.-、 /:f .|
...::≦::::::::::≧...ｲう ! ! r! ヽ-‐う , : : ,,,,-x; : : : : : ヽ:込ヽ__ イ .! ,.:::::::::::::::::::::::::≧、
::::::::::::ヾ!:::::::::::::Ｙへ,i! | / ） .ｲ: :/ ｀ヽ: :γ~γ´_ ｀i |/::::::::::::,::::::::::::::::::::::::ﾍ
:::!:::j斗'-‐‐-ｘ::::::i ! .| i! { ! / ｀ヽ ,.__ ! i{ ﾉ´ ヽ ! .{::::::::ム!{ヾ::::::::::::::::::::::::::!
:::ﾚ '⌒` j! }.! | ! | / i! '⌒ ,_ / γ'´_｀ヽ .ｊ ｲ;;;;;/ ,,,,,,,, ヾ:::::::::::::::::::::|
!´,z- r , 、 ,.ｲ!. | | ﾄ,,ヽ ' ｀ヽ,i' }' ´ ヽ /,.::≦::::::::::::::::::::≧ 、 __ヾ::::::::j
:.. ／ ） ﾉ/ .! | ﾄ∧ / ） .! i `ゝ ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:从
ヽ、 ヽ - ,ｲ/ ,,,,,,.............!- 、 ! 込、ゝ- '′ ,ィ } ,ｨ':::::::::::!::::::::::ヾ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
` i '",::≦::::::::::::::::/:;:::::::｀ヽ ､ ヽ｀ｰ‐ ,i'",__ / /::::::::!:::::/ﾍ:!ヾ::廴｀`ヾ::::z::::::::::::::::::::::::::::
_,,..-‐''"≦::::::::::::::::::::::i!/:::ｲ::::::::::::::::::≧:、 ~~~´ ./ /:::::::::::!::/ ,ｲﾚ'´ ｀`ヾ:::::::::::::::
,／:::::::::::::::::::::::i／/|::/!:::::::::::::!::::::::::::::ヽ _,.y /::::::::::::从! ,f!" _,. !::r- ;
/::::::::::::::::::j斗''"/ ｊ !| ﾏ:::::::::::i!::::::::::::::::::ﾍ ノ f, !:::::::|::::/ .zfﾚ'"~ i
./::::::::::::::::::ム-‐ｚｚﾐ、 ,! ヾ:::::::ﾊ:i:::ﾊ:::::::::::∧ ／j .} !::::i!:::!::i ,.ｨｚ=＝= 彳 ）
::::::::::::::::／ У,,, ﾘ !:::::::::::::::! ／ ~!:/!::::Ⅳ ~ /
:::::::::::::i' ,.ｨzzzzﾐ、 `ヾｘ Ⅵ::::::::::::! !:::::::∧ .z=＝ﾐ ヽ,. -‐'" `ヽ、 「
:::::::::::::! ´ ｀` ,.__ ヽ! }:::::::::::::! !:::::::::込、 ／ ） /
┏───────────────────┓
│その報償として、多くの良心の称賛を得た。 │
┗───────────────────┛
3191 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:53:11 ID:S4b0V18w0 [407/511]
＿＿
／:::::::::::＼
／:::/⌒Ｙ⌒ ＼
|::::/ （ ⌒）（⌒） ジーキル博士。
|::::> （__人__） 先日、友達と話し合って仲直りをすることができました。
| ｀ ⌒´ﾉ
| } これも博士の助言のおかげです。
ヽ } 本当に博士と相談して良かった！
ヽ ノ
_,,ゝ (,_
/´ `ー-一´｀ヽ
／￣￣＼
／ ＼_ ＼
(⌒）（ ⌒) |
（__人___) │
(_｀⌒ ´ |
{ │
そうか…、良かったな……。 /ﾆ⊃ _/
/ ┴┐ ／}＼
俺もお前の力になれて、嬉しいよ。 | ニﾆ}--／ ／ﾆﾆ}ﾆ=- ＿_
＿_| _Ｋ_八__／ﾆニ／二二二二__
/二/| ￣|__/ /ﾆﾆニ〉ﾆﾆ二|二二二_
|ﾆ/＼ｰ―| |/ﾆニ／ﾆﾆニニ|二二二{
|/ﾆ二＼__|_/二／ﾆニニニニ|二二二=__
//ﾆニニ二/ﾆ／ﾆニニ二二二ヽ二二二二__
|/ﾆニニ二/／ニニニニ二二二∧ﾆﾆ二二二}
|ﾆニ二二/|o二二二二二二二/ =ニニニニ|
ヽﾆ二二/=|ﾆニニニ二二二二{ =ﾆ二二/
3192 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:53:28 ID:S4b0V18w0 [408/511]
／￣￣＼
／ _ノ ヽ､_ ＼
. | （ ⌒）（⌒ ） |
. | （__人__） │
| ｀⌒ ´ |
. | |
. ヽ /
ヽ /
> <
| |
| |
┏────────────────────────────────────┓
│だが、時が過ぎるにつれ、 │
│例の警告の恐ろしさに慣れていき、あの朝の時のような危機感も薄れかけていった。 │
┗────────────────────────────────────┛
┏──────────────┓
│称賛されても何も感じなくなった。 │
┗──────────────┛
＿＿
／ ヽ
/ __,.ノ 、
| （ ●)(
| （＿_ﾉ｀,
| ﾝ′
_ﾉ ｀､ 7
,ｲ:. ヽ､＜ヽ,、___ ﾉ
,. -ｰｰ -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
／..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: く'、
. ｛ :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ､_
'| ::::::::::::::::::::::..｀、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..｀ヽ
'| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
ﾄ､:::/ ／￣｀` ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
`,ﾍ ´:::::::::::::::::. ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rｰ'､
}:,∨ :::::::::::::::::: ﾄ､:::::::::::::::::::::::::＞＜￣＼::..＼
. }:::∨::::::::::::::::､-''ﾞ~￣￣￣￣:::::::::...＼ ム:::::ヽ
l::::∨ :::: ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.､／...:::::::::ヽ}
{::::::＼,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／"￣:::::::::::::::::::::::::ﾉ
3193 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:54:05 ID:S4b0V18w0 [409/511]
┏──────────────────────────────────┓
│ハイドが自由を求めてもがいているように、俺も苦悶と罪深い望みに悩まされた。 │
┗──────────────────────────────────┛
; ‘, x≦ニニニニ≧x 〉 ﾉ
`､ ／二二二ニニ｀ヽﾆ‘, ／ ／
＼ __/二二二二ニニニ} "∨ ____
〉､ _ ／ /二二二二{ﾆﾆ/ﾆﾆ} （ 〈ﾆ _ ¨ ‐- _／
＞ニニﾆﾆ{二二二二ﾉ〉ﾆ,ニニゝﾆ〉 ',ﾆ≧=- _ ｀ヽ ＿__
＼ ｀ヽ ／ニニニﾆγ⌒Yﾆ○-=三=- ○二} }ニニニﾆ＼ 〉ｰ― ‐ （
< -‐‐- 二二二二ﾆ/二ニ} ,二二二二二ヽﾆ,} i二二二二/ ／ ___ ｀ヽ 〉
／二二二二二ニニ／二二/{二二ﾆ ,､ニニﾆ}/ /ニニニニﾆ/二ニニﾆ≧x ∨
./二二二二 ―― ,ﾆ}二ﾆﾆ/ﾆ＼ニｨ +++ヽニ/ﾆﾆ／二二二二二二二ニニニﾆ＼ ト､
/二二二ﾆ/ニニニﾆ} ﾉﾆﾆ, /ﾆニニニｰ==- 二二イ二二二二二二二二二二ニニﾆ＼ ',
{二二二ニ{ゞ二二ﾆﾉﾆニニ{二二≧‐------‐≦二ニニ／￣＼二二二二二二二二二
.二二／ﾆ＼{ ﾆ ‐ニニニニニ}二＼ ∨二二二二二二／＿＿＿｀ヽ二二二二二二二二
二ﾆくﾆﾆﾆﾆ｀ヽ二二二二ﾆ彡}二二＼}二二二二二二二二二二ｰ=-ニニニニニニニニﾆ
___二∨ﾆﾆﾆﾆ}二二ニニニニゞ― ＿二二二二二ニニニニニニﾆ／二二二二二二二
<ﾆﾆ＼} ｀''ｰ一二二二二二二二二二二二二‐---､二二二二二二／/二二二二ニニニﾆ
.＼ﾆﾆヽ二二二二二二二二二二二ニニニニニニ}二ニニニニ／ /二ニニ}｀''ｰ ..,,__＿
{＼ﾆノ二二二二二二二二二二二二ニニニニノ二二二ｰ=彡ｰ ´二二二/
∨二二二二ニニニ/二二ﾆ=-￣￣￣￣￣￣二二二二二二二ｰ彡二ﾆ/ '´
∨二二ニニニﾆ／ー―一 ¨二二二二二ﾆ=- ｀ヽ二二二二ﾆ/ ／
＼∨二二二二／二二二二二二二二二二二ﾆ=- ∨二二二ニ＼／/
｀''ｰ――‐´ 二二二二二二二二二二二二二ﾆ=- _ ∨二二二ﾆﾆ∧'
/{二二二二二二二二二二二二二二二ニﾆ=- ∨二二二ﾆﾆ∧
/ {二二二二二二二二二二二二二二二二二ﾆ=- 〈二二二二二}
3194 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:54:29 ID:S4b0V18w0 [410/511]
┏────────────────────────────────┓
│そして俺は遂に誘惑に負け、例の変身用の薬を調合し、それを飲み干した。 │
┗────────────────────────────────┛
ﾘ '' ii: : : :l
ｿ : : ll: : ), : :│
ﾘ :ll ll: : ノ'' : :ｌ
川 :ヽ､ lil ,ソ ﾘl
ii, :｀ヽ､, ノ＼,, -── ｸ´ |
ヽ ;;ヾー､=＝二'''''￣ ￣￣mﾘ´ u ,ﾘ
ヽ, ヽ;;ヾ￣´;; , ''; ､ ,/,ﾜ:: ｿ
ヾ ヽ;;ヾl ,,＿ ＿ ,_/,ﾜ´ . . : ﾉ
ヾ ｀ ミ三三三彡"";; ; . : : /
――― ､
′
|
| f
| ､ _ _
ノｰ´￣ヽf｀i :iУ,-,
j ､ j｀ヽﾐ≧=N 1｀i､
／≦三≧ ､∠ー ￣^| /ﾐ!
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ﾊ'/,ｲ:!/,|! V/////∧≧=ミﾘ;'//////∧ヾ V//,
i/i/,/,!/,l|! V////ゞ丶＼ ヾ＞ ／///// '///;
3195 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:54:51 ID:S4b0V18w0 [411/511]
┏───────────────────────────────────────────┓
│酔っ払いが自分の悪習を諫めるとき、泥酔の中でおかす危険のことは五百回に一度も考えないだろう。 │
┗───────────────────────────────────────────┛
━╋━┃┃ ━╋━
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┏━┛ ╋╋┓ ┏╋╋┓ ┏╋╋┓
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＿_
／ ＼ ´ ； ;
・ ／ ⌒）＼ ・
. ｜ （__ノil|!|＼ ＼ ´ ；
` , ; ｜ ヽ!il|!li| ヽ ＼
｀ヽ 、 ヽ|!il|li/ | ・ ﾟ
・；｀ ヽ､ ヽ／ / ；
￣> <_
,"⌒ ⌒ヽ､
／ ＼ ヽ ,､
,、 _／ ,､ ヽ ｀￣⊃/ 〉
ゝヽ､⊂ ´￣ ノ ＼ 〈―- ､＿,ノ
ヽ､＿,-――‐´ i l
〉 ﾊ
/ 人 i
/ / i |
/ / l ｜
／ / ｜ ｜
＿＿_ ノ ﾉ ﾊ､ 人
_／ ,ー ´ ヽ､ ＼_
（ _ - ´￣￣ ＼_＿）
＼ ）
┏───────────────────────────────────────────────┓
│俺も場合も、自分の立場を考え続けていたが、 │
│ハイドの主要な特質である「道徳への無感覚」と「いつでも悪を行おうとする狂暴性」は十分に考えていなかった。 │
┗───────────────────────────────────────────────┛
┏────────────────────┓
│俺が罰を受けた原因は、それらの特質だった。 │
┗────────────────────┛
3196 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:55:10 ID:S4b0V18w0 [412/511]
┏─────────────────────────────┓
│長い間閉じ込められていた俺の悪魔は吠え叫びながら飛び出した。 │
┗─────────────────────────────┛
. ,! ; ' ', ; ' ,_,ｲ,r`'´ ''''''''''''´ _,r‐'´,_`ヽ､ > ヽ、 `ヽ､ `ヽ
） ,r.､ ` ,' 'ヽ,r‐ ','/,, '' ￣三￣ _,,,,,,`ヽ、 `､`.､ ` 、`ヽ
. / ﾉ .`ｰ' ','´ 7 ', '7 , ', ' ,''＼r‐''.´ ___,,,,`ヽ､` ､`ヽ、`､ ` ､
. `､ i, ` ′;:.:.:.:.: :.:.:.:}/´,r‐i''v'、 `､ヽ､`ヽ、ヽ､`.､`ヽ`i
i,_` ｰf''<i ':.:. ,' :.:.:.:.: ﾉ /i''''< `､__i''´:::`＞､`.､ヽ､`ヽ、ヽ、
`ーzi/ :.:.:.:.:. : ,/ <,_! `､ー′::;r'''´ `ﾄ､`､ ` `､./
／ 乂 :.:.:.:.:.:.: ／.／<i´ ヽ____,!::::::;r" r'-､i, `.､ f `、
/ :. : :＞≠／f´￣ヽ＿_!::::::::::;;;;i _,,i,_ .!`i､ ` ,!` .;
{ :.:.:.:.:.i／.／／-'､ i:::::::::::::;f" ', i `7 ,' '., ,! ',
ﾏ :.:.:.:.:.:.:.:.:/_／,ム i￣::::::::::::::f ', f'´ヽ,__f .; i, ',
乂:.:.:.:.:.,ｨf´r'´､ `.､___,!:::::::::::::::;;;;! ; .,,,,,,,i、 ,! ,!'i,
￣ ｀`丶、.` ､__,!`ヾ;::::::::::::ﾄ-.| __;_ .| ' ,`ヽ,/ i 'i,
. `ｰ'´ `､::::fヽ､i i `ヽ, ／ .,' .! .'i,
'ﾄ-'.r､,f''''ヾ、 ,i>´ ／ i .'i,
'i, i 'i, i>.'´ _,,..r'´ ,/ .'i,
`'ﾄ､__,i,'>'´ _,r" ,r‐'´ ／
`ｰ┬--'´ '´ ,r＜__
`7､ ,／ヽ、 `ヽ,__
. ,f" `ｰ---'´ ,'ヽ、 ￣`ヽ
/ ,' .:::: , ' `ｰ-､`､
/ ,' .::: , ' .:::::::;'`ヾ、
. / ; .::::: ; ', ' .::::::::::::`::::::i
/ .; .:::: ', ' ::::::::::::::::::::::!
.＿＿＿_ やっと出ることができたお……。
；／ ノ（ ＼；
；／ _ノ 三ヽ､_ ＼； ジーキルめ！！
；／ノ（（ ｡ ）三（ ﾟ ）∪＼； クソッたれな良心の為に、俺をこんなに長く閉じ込めやがって！！
；.| ⌒ （__人__） ノ（ |.；
..；＼ u. . |++++| ⌒ ／； あ～！この怒りをどこかにぶつけないと、スッキリしないお！！
3197 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:55:36 ID:S4b0V18w0 [413/511]
:| |:::l ｒ:、 ＼:ヽ＿＿: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : / . . : : :
:| |:::l |::| 、＼::::::::￣｝: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ; . . . : : : : : : :
:| |:::l |::| |:l ＼::::::::＼: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| . . . : : : : : : : : : : :
､ 'ｰ' |::| |:l f:i ＼::::::::ヽ : : : : : エ: : : : : : : : : : : : : : : : .、 . : : : : : : : :
｀ヽ ` l:j |:| ﾄ ＼::::::}: : : : :､｣L : : : : : : : : : : : : : : : : ＼ . . : : : : : : : : : : : :
＞' ト..、＼ ヾ |:| ＼::.､ : : : |::::| : : : : : : : : : : : : : : : : : : :` ー- -‐. ´: : : : : : : :
r:、 |::::| ＼. |:| ｀i､: : : :}べﾍ ｨ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
|::| |::::| |ヽ ＼ ﾞ ﾄ ト､,／△ | Y |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
ｌ::|_r::ｼ:⌒ヾ:| |:ｌ ｀ |:| :! ! l ヾ､:|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
_｀''ｰ'::_:::::::::}| ｌ｣ ｀ ヽ | | | |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
"'-::Ｌ /::＾ヽl::i _ ｀ヽ,::| |ｰ:::::: ト,, _!: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
|｀::､ :ヾｌ::::::::::}::| |:| | |:::::::::::|:::::::::|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
|::::::| f:ﾍ `ヾ:::ﾄ､!:ィ^７:ヽ::| |:::::::::::|:::::::::|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
|::::::| |::::| r:.､ : ｀ Y::::::::}:|＼|￣￣|｀ ヾ:|: : : : : : : ｺﾂｺﾂ… : : : : : : : : : : : : : : : : : :
|::::::| |::::| |::::| ﾄ, `ヾ';｣- `ｉ | ::|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
|::::::| |::::| |::::| |:| f:: ..、|: | | ::|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
|::::::| |::::| |::::| |:| |::| |:::|:|: | | ::|: : : :: : : : : : : : : : : : : ｺﾂｺﾂ…: : : : : : : : :
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Ｌ::::| |::::| |::::| |:| |::| |:::|:|: | | ::|
/ ｨ r ＼
| `|| |ヽ ヽ
/⌒ヾ| | |, |
ヾ___,ｿl │（､__,ﾉ ｺﾂｺﾂ…
| |
l Y´ /
ヽ, （ ,/
ヾ | |
≒;| |
(.（"＿｀ﾞ_）
3198 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:55:53 ID:S4b0V18w0 [414/511]
┏────────────────────────────────────────┓
│薬を飲んだ瞬間、俺はハイドがこれまでよりも悪に対する嗜好が強くなっているのを感じていた。 │
┗────────────────────────────────────────┛
＿＿＿
／ ＼
／ _ノ '' 'ー ＼ ｲﾗｲﾗ
／ （●） （●） ＼
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／
┏─────────────────────────────────────────────────┓
│あの夜、不幸な犠牲者に穏やかな言葉で話しかけられたとき、異常なほどの苛立ちが起きたのはその為に違いない。 │
┗─────────────────────────────────────────────────┛
＿＿＿／￣￣＼ﾄ､
＼ ＼三ミ)＼} }＿＿
. ＜￣￣ 三ミ ヽ::::::::::У￣￣＼
／￣ '⌒__ ﾐ:::::::::::::{ ／￣￣
∠／￣ / ｀ミ､ )::::::::::ﾉ人{￣{::::::::
. / // j//ﾚﾊN__,ミ´￣￣,ﾉ:::::） し从
∨/レイｨノ{:::人:::::￣:ミｖ:〉:::::::{ ,ﾊ人ﾉ
. (/:::::::::::( 从{ }:::::::::::l｢^i:::::::::::N:::::}:::::
{:::::::::::::::} j::::::j//::::}:::/ {::::l ∨:::＼:::::
_乂:::::::::::j/:::ノ}/___／ ＼| ＼＿≧
＼___:::::::::{__ﾑﾑ二ﾊ ﾉﾉ二二ニﾆﾆヽ
. (__:::::::| ｨｆ捗ヽ } / ´扛捗ぅ
乂::l __／´l ､＿
}:| ﾉ ￣ ﾉ
{:::.. {Ｙ__〕
＼:. ,xrrrrrrrrrrrrrｎ
l {{ﾚ＜＾＾＾＾＾ﾉヽ}}
！ ￣￣
｢ヽ }
| ゜ ／ イ
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￣｢|￣￣ l｢｢ ∨ ＼ {{￣ ￣{{__／
｢| l｢l ∨ _廴＿________ﾘ__,ノ
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￣｢|￣￣ l｢|￣￣ ｢|￣￣}ー‐{ ￣ ｢|￣
3199 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:56:18 ID:S4b0V18w0 [415/511]
(⌒ヾ｀
ゝ´ ,）)
(（ ⌒ゝ lij
ｰ" ミ
／/_/l ＿＿＿_
| __/ ／ ノ（ ＼
／ ／ ／_ノ三ヽ､ ＼
γ⌒ヽ' ／（ ｡ ）三（ ﾟ ） =ll=.＼ γ⌒ヽ
入__ ノ＼.| （__人__） ノ（ |／弋 _ノ
［_Ａ 〉 ヽ ＼ |++++| ⌒ ／ ／
＼ --- ／
| |
ｾ⌒ヽ 个 、 /
l三三 , / ｨニヽ
|三三.レ'＼ レ´ /.ヽ
`ｰ-ｰ' ヽ_ _＿＿ イ爻..|
＼＿＿／.弋＿ﾉ
__ ,. -- ､,. --- 、
／´ . . . . . . . . . . . . . . ＼,. -―- ､
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ＼､
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ＼
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ／⌒ヽ ヽ
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 、. . . . . j ｀'<
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . Y^＾ヽ. . . 、 、 ヽ
. . .／. .／. . . . . . . . . . ﾉ. . ﾉ. : : }. . . } { }
／ . ∠ . . . . . . ／. .／. ／ー＝､｛__ノ / ,
、. . . . . .＿＿彡ー一 '. . 二ﾆ=､ 〈 ー=彡／
. ＼ . . . . . .／. .∠ｨ≦二≠宀vｼ 从 ,. イ
. . . . . . . /". . . . . . ＾弌´ ﾋｿ、 〈( Y´
Yヽ. . ー{ . . . u . . . . . ー=ﾌﾉ Vﾊ{ ――？
.|. . } . . 人 . . . . . u . . . . . .ｲ 〈
.ゝｲ. . . . . ｝. . . . . . . . ι. . j , -- ､.〉
. . .} . . . . ﾉ. . . . ,: . . . . . .／ ーx‐'′
三从____.ﾉ . . . /. . . . ., .､:＾Y.ヽ. .） )
三Ξ} . . . . . . ｉ . . . ./ : : )ノｰ'⌒)´
Ξ三} . . . . . . | . . . ｛:.／. . __ .ｨ
､Ξ三＼ . . . . :､ . . . . . . . . . . ヽ
ﾑΞ : : : : : .､_ . ｀ . . . . . . . . . ﾉ
/ﾑΞ : : : : : Ξ＞ー----┬‐く＼＿＿＿＿＿＿＿＿_
//ﾑΞ : : : : :Ξ三三三三{ヽ }三＼ニニニニ＼ニニニ｀ヽ
3200 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:56:35 ID:S4b0V18w0 [416/511]
┏──────────────────────────────────────────────┓
│神の前で断言するが、道徳的に正気な人間ならば些細なきっかけで腹を立て、こんな罪を犯す筈がないのだ。 │
┗──────────────────────────────────────────────┛
迂圭圭 ¨=圭圭迂圭圭圭圭圭圭圭圭¨＝圭圭圭ミx ＼圭圭圭圭=ﾁ ,,ｨ彡='' ,≦迂圭圭ﾁ'
弋圭圭ｘ___ ｀弋圭圭圭圭圭圭圭圭圭xx___｀弋圭爻｀ 爻圭圭圭Ⅳ ／ ´_,,,,≦彡ア爻爻（ _,,,ｚﾁ
｀~＝圭xx__ ｀守圭圭圭圭圭圭圭爻爻ﾐx ｀⌒＝≧ 非壬圭刈 / ,,ｨ=圭彡´ ,,,≦圭圭ｚ ,,,≦圭圭}
｀¨＝ミx `弋圭圭圭圭圭圭圭x_弋≧ ｀守kｋ爿ｋ Ⅳ / __／ ／ ミ' _,,,=孑圭圭圭ﾀ
＿_ ｀弋爻迂圭圭圭爻ミ_ ＼} ｀守圭ﾐ{} ,_／ ′ ''´ ,土壬圭''´
孑圭圭=､_ `＜ 弋圭⌒守爻 土爻壬刈 ／ ___ｨ≦圭圭圭=彳
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¨¨--------＝圭圭ﾕ＿ `冖≧=x爻ﾐ 孑弓{{ // ‐¨´ --＝=冖＾
￣＝≧ｘ て^弓爻 ｀ 州廴
＿___: ｀~圭≧ ｀Y 弋k 非笊ﾁ ,,,彡====‐ __ ___
￣￣:.＿:::::＿ ｀¨ミ≧_ .＿__ ＼ ⅥⅣ /／ _,,ﾌ￣´ ∨
≦===::::::::::::____｀≧_ ｀ミx__℃ﾀ ＼ / / / __{} ==‐ _彡 ≧
￣~圭圭圭圭=､ ｀ヾ¨¨ ./|_// _,,,''千ﾌ }}
＿＿＿＿____爻圭圭≧=-＿_ 彡/ __ ／ _,人 ,／ 人 ,ノ
迂迂迂迂迂圭圭圭圭圭圭圭圭圭===___ /' ‐‐＝≧_____彡=冖圭圭圭≧=､____,,,ｨ云迂圭_,
孑圭圭圭圭圭圭＝＝圭圭爻=＿___ ′ ｀七二¨ 弋圭迂迂圭圭圭圭州
さ壬圭圭圭ﾁ ｀圭圭＝-‐¨¨ 孑≧ｘ__ ｀孑壬爻圭圭圭圭ｷ
非圭圭圭ﾁ'' 爻、 ￣ミ_ 于Ⅳ 弋圭圭圭ｷ
非圭圭Ⅳ ＿_,_ ___,, 爻弓≧x }}} 弋{ 王壬壬ﾁ
非圭彡''′ __彡¨´ _彡 ｆ=彡'´ ミﾒ ,孑圭圭圭爻ｘ_ 爻x Ⅵ士州
乞彡'' __彡''´ -千ﾌ′ ,Ⅳ/ _ｘ ／^弋圭圭た迂≧xx上守ﾐ Ⅵ刈{
Ⅳ´ ｀¨ ´,, _Ⅳ ¨'' _,, ｀孑圭于ミx ¨守圭气圭x_ Ⅵ
,,, // ,,,≦沙 ｀¨ Ⅵ圭ﾐx､＼ ｀く{_ ｀＝メ_
_彡ﾌ ,/{{ ,¨'⌒// ,ｨ ,x, rメ Ⅵ爻爻{_ ＼_ ｀守x
, ,,/}'' 爿{{ ,,,===‐彡 {{ ,}/ 〈/ 芋ミ ｀乞ﾐ 弋_ 守、 守
/ __彡 ,上迂圭迂彡' Ⅵ{ {} ′ ﾓ乞ﾐ ＼x Ⅵ_ ﾏ
{ ,彡}/ ,// ｨ孑圭'''ア'⌒}| 刈} ∨ ＼ ｀爿x 弋≧ z_¨ﾏ
,州 ,土{{' // _,ｨ圭うﾝ/ 州 爿州 守xx,_爿州 ｀の ﾏ
}} 爻__上壬た仕迂彡ﾌ .州 辻圦 ＼ ｀爻ﾀ 辷爻
3201 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:56:58 ID:S4b0V18w0 [417/511]
┏─────────────────────────────────────┓
│俺が犠牲者を何度も打ったのは、病気の子供が意味もなく玩具を壊すのと同じだった。 │
┗─────────────────────────────────────┛
,
‘ ;.
㌦,;㍊.... .㌦ ┌─
;溺眦;;. ㍍㌢”` ＿＿＿ﾑ气＿＿＿＿＿＿⊃ ）
`㍉翊軈軈駭㌘㍉ _＿＿＿ Ｌ＿＿（´r､ﾂ＿＿＿＿＿＿＿ノ
㌢襖樂㌢'` ` ' ／ ＼ ／ /
㌘'` ~ / ／ ＼／ / ;;,. ㌦ '
`'㌘ ' （〇） ＼ / ㌦,;絲㍊ '
'” （ｌ､__） |/ ;;鑾驫鑾㌢
}卅〉 ／ ''㌦灘軈軈眦此 '.
｀=､ ｒ ､ 〈 ' ..';灘軈欟眦k' _;'”
＼ ヽ ＼ ヾ _,,;..;.;瀟軈欟刪㍊㌢
＼ ＼ ヽ ゝ ∵'” ~“滯瀟刪彬‰ ,
＼ 〉 〉 ｊ ’ .“ ~“j眄弊㌢
〉/ / ﾊ , ” “%” ,
／ （＿ノ ノ ヽ ”，
／ ／＼ ＼ ;;㍊;;.
（ ＜´ ＼ ＼ ;溺眦;
＼ ヽ ＼ ＼ ”
＞ } ヾ ヽ
ゞ､＿ノ 廴 }
弋__ノ
┏─────────────────────────────────────────────────┓
│どんなに邪悪な人間であっても、平衡感覚さえ備えていれば誘惑の中でもある程度は安全に歩み続けれるだろうが、 │
│俺はその平衡を保つ本能の全てを自分から捨ててしまった。 │
┗─────────────────────────────────────────────────┛
┏──────────────────────────┓
│それにより、俺はどんな僅かな誘惑にも屈してしまうのである。 │
┗──────────────────────────┛
3202 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:57:19 ID:S4b0V18w0 [418/511]
┏───────────────────────────────────────────────┓
│たちまち地獄の悪霊が俺の心の中に目覚めて荒れ狂った。俺は抵抗もしない身体を散々に打ち、踏みつけた。 │
┗───────────────────────────────────────────────┛
|l!1!｜!l |.|| i|| ||| |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l i!|.|| ＿＿＿_ .i |.||i |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l |.|.|| ／ ｒ―― ..|i!.|.|||i! |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l |i|i／ ＼,, ,／/:::::::::::::ヽ.||ii|i|||| |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!ｌ ／ （ ⑪） ( ⑪Ｙ:::::::::::::::丶 . | |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l | （__人__)｛:::::::::::::::::::::::｝ i| |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l | ,.r‐‐-､ |r┬ | |::::::::::::::::::::::::| .l| |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l | ／ ＼ｰ‐′人＿＿_＿ノ l| |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l |! ／ , ｀' ／ ／〈〈 }.l| |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l |! ／ ／| ,／ ,／ /'′ ,ﾉ || |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l |! ／ ／ / ／ _／ `′ / .|| |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l |!, ／ ／ / ／ ／ ハ / ..|| |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l |!_／ ／ /／ ／ / ＼＿_i .i.|| |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l |/つ ／ ｉ,′ / / l .l:|| |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l ｛〈〈〈,ソ ｛ / l l:|| |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l |｀￣ 人 ＜ l l:|| |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l |!|.ｉ ＼ ＼ l|.i l:|| |l!1!｜!l｜!l!
|l!1!｜!l |!|.| ＼ ヽ l|l| il:|| |l!1!｜!l｜!l!
┏───────────────────┓
│そして、痛めつけるたびに有頂天になった。 │
┗───────────────────┛
. _ ‐ ' : :"^: .- ._
. _: - : : : : ^ _
. .‐ : : : .: : : : ' ._
. ／ __ . : : : : : :_:_: . ヽ
. ／ :.:.:.｀`丶、_ .! : : :, ‐ '´:.:.:.: :.:.. ヽ ;.;淡;.;.
, ' . :/'´￣｀ヾ:.: , .';.:.:, '´￣｀ヽ':.: . ヽ ;;㍊;;...;.
,:' t、（{f}） ,ｲ! ' ;.:.ｲ （{f}） 刈:' ヽ ;.;絲鑾戴k;.;.
.j' ヾミ==彡'′ . i;.:.:ﾐ≧==彡ﾍ . 丶 ;.;戮嬲驂㏍;.;.
j !;,:.: : : : : .. 'i ;. .;.j眄弊㌢
i _: ':.. . : ‐:_. :. . .i ;.㌢
! (; :.. 'j:;.: .j
i r't、 j;.: ,.ｨ 'ｧ: / . j
.! ' 、 ヾ: x. ＿＿,..∧＿__,..イ´::./: .,'
. 丶. ＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／ ノ
ヾ ｀':､_―. - - ー,‐ ´. ∠ ., ＿
／ ｀ ¨".'.".¨´
3203 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:57:34 ID:S4b0V18w0 [419/511]
＿＿＿ ＿, --- r_，
'ー-へ＿￣￣￣ ゝ-- 、
￣｀ヽ ／￣｀ヽ ￣￣｀丶_
/ ＜{_､＿_.ノ＾ー-- .__ _＞- ､
`ー-- .＿/二､ヽ ｀ー^┴’
＿＿＿_
／⌒ ー､＼ ゼェゼェ……。
.. ／（ 〇） （〇）＼
／::::::⌒（__人__）⌒:::::＼ ジジイめ！もうくたばったのかお！
| |r┬-/ ' | ざまーねーお！
＼ `ー'´ ／
3204 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:57:49 ID:S4b0V18w0 [420/511]
_,. -‐''"´￣｀``' ‐ .､._
_,. -‐''"´ l| _,r'_ ｀ﾞ''ｰ-..,,
ヾﾘ ﾉ,r'´::::::::::::::::: ｀''ｰ ､
ヽ }| ,|::ﾚ'´￣｀ヽ::::: `ヽ 、
-=ミ､ { ,´ l::/ `:: `':.、
ヾ:､ ヾ:､ ヽ } :|::| ,-、 ﾉ- ｀ ､
,r=＝=ヾ:、ヽヽw :ﾉﾉ { ･ }_／`｀ J ﾞ 、
〃 _｀ヽ ゞ､ｌ|ｌ ‐=＝'´ﾆ彡´ | ハッ…！！
{{ { ．} _ ヾlﾘ||{ ￣￣~ﾞ´ ::::::::::::: J |
ヾ ､_ ,ゝ'´彡 ヾﾘ} ｀ヽ ,ヘ ::::::::::::: | お、俺は死罪を犯してしまったのかお…！？
､二ﾆ=彡´, 、 }ノ｀ｌ ヽ ::::::::: /
し ｀￣￣´ { ｌ｀―--‐´ ,| :::::::: : /
::::::::::::: 〃｀ー-‐''_,r-‐'´ ､／| ::: :: /
:::::::::::::: {{ ｒ―'''￣ ＿／l|l||| ::: : /
:::::::::::::: ﾞ ヽ､＿,r'´lll|l|l|l|l|l|ll|l|l|l∧ J ／
:::::::::::::: ｀ヽl|l|l|l|l|l|l| ,r' ﾉ| J ｲ＼
:: :::::::: ヾゝ＿,,, '' ￣_／::::} ／ ｀ヽ
:: ::: ＼―--''~::::::::ノ ヽ
し ｀ゝ_::_::_::イ ＼
3205 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:58:07 ID:S4b0V18w0 [421/511]
__,‐⌒ヽ､
/ '─ ＼
ノ ノ-､ （○） ＼
| ｡（○） ､ﾟ ヽ, ヽ そんなっ！！
ヽ ヽ__,,,ﾄｰ'i ） 死刑だなんて嫌だお！！
ﾉ ｀ ⌒'' ﾉ
（ } 俺はまだ死にたくねーお！！
ヽ ／
ヽ ／
. ／ｰ-.l`‐-‐＜￣｀`ヽ
（ ⌒⌒￣￣`r:ｭ〈
´`´ｰ-､_,. -‐'´／l .ﾄ''ヽ
＿＿＿_
／ ＼
／ _ノ ヽ__ .＼
／ （○）!i!i（○） ＼ そ、そうだお！
| （__人__） u | ジーキルに戻ればいいんだお！
.＼ ）t-ﾂ ／ そうすれば誰も俺を見つけることはできないお！
/ ⌒´ ＼
＼＿（__） i＼(__)
| |
3206 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:58:25 ID:S4b0V18w0 [422/511]
＿ ＿.............＿__
, =ァ＝―ミ ．::::::::::::::::::::::::::::丶．
: ７:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:丶::::::::::::::::::::::::::／｀ヽー､
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽヽ:::::::::::::, ' `ｰ ､
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.} 丶::::/ `ー--: ､ __
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i !:::{ r一ー ⌒ｰ＝､
､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ /:::::i ! ! ! ヽ
.丶:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ .／::::::::丶 ノ ! !
(ヽ三/) ））
＿＿ ( i)))
／＼ ／＼ ＼
／（ ●） （●）＼ ） へへーんだ！
. ／:::::: ⌒（__人__）⌒::::＼
| (⌒)|r┬-| u | 俺は簡単には捕まらないお！
,┌､-､!.~〈`ー´/ ＿/
| | | | __ヽ、 /
ﾚレ'､ﾉ‐´ ￣〉 |
｀ｰ---‐一'￣
3207 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:58:41 ID:S4b0V18w0 [423/511]
┏──────────────┓
│俺は犯行現場から逃げ出した。 │
┗──────────────┛
／￣￣￣＼
／ ＼
／ ＼
| |
＼ ／
,,.. ．-‐' ＼
<" ,__,,_ ＼
ヽヾ丿 | i ヽ
ヽ＆ i , -ii、ヽ、 )
| へ. i i^ﾞ''"
| / ＼| |
| / | |
| / ｀--- ´
┏──────────────────────────────────┓
│悪が勝利した喜びと同時に、死刑への恐怖によって生への執着も強くなっていた。│
┗──────────────────────────────────┛
3208 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:58:56 ID:S4b0V18w0 [424/511]
┏───────────────────────────────┓
│俺はソーホーの家に逃げ、念には念に入れよと自らの書類を焼き捨てた。 │
┗───────────────────────────────┛
ｨ
. , ィ./
. ,イ ／
.. ／ ノ ,ｲ' ,ｨ
／ / ' '{ ｺﾞｵｵｵｯ…… ,ｲ{
. Z ( , イてィ ,ｲ ﾄ｝ｱ ,ィ
. ／ ,ィ′ > '´. ´`´. ﾞ
て' ＞-ｧ ,ィ′ ,ｨ
'´ ／ 7'′ , イ , ゞ ,
ｔ (. ,ｨ ,イ' ( ／( ,ｨ ,ｨ , i' /|
｀－ｒ'´ｊ ｛ , ,} てｙZ. } ´{ィ/ﾞi ,.ィ ｛
/´ィ て_ ／ 」 ,イ.ﾞ {_, イ ィ ７,,,,｝ｨｲ
ﾞ ′ , イてｨ′ ﾚイ. , ｨ ′ ﾑ. ,ｲ /
. ,ｲ '´ ｒ-′ {_ ｙ ,ｲｚ ,ィ ,イ ' ｛
'７ ﾚ,ィﾞ ′ ﾞ´{_,ｲ }ィ 弋彡
> ＞ｚ, ,ｲ /! ナ{ iZ , ィ 7 ／,, ,、 ,,,,___
/ イ ７ ,ィ ´ ﾚ' ` ､ィ´ ,'ｲ/´ ァ'. ﾚ'. ,Σｲ /,ィ_
｛ , ｭ. √ ｚ. ,ｨ , イｭ彳 ,ｒｚｱ ﾚ' ｒ',ァ=i'/ '
７ '´ . /,ｲ ｛ ,,. ,ｲ/ェノ ﾞノｔ,ｨ匕, /ｲ. ﾘ
i' ′ﾅ／ﾚ イ' ,ｲ ,' ｚ/{,ｨ. {, イ´ ﾏ､
... 彡 ｚ_, ィ'´. ／'. ﾊ i / ',i', ,ｨ
, イ /, Z ,ｲ ,ｨ i 弋､i.. ヽ ,ｲ ｒ'( ,.ィ
/ , ′ゝ' } ﾞ`´,. ィ'ｒﾞ ` 弋ュ、 ,ｨ/ ヾ、｀¨´
. i ,ｨ ,ｲ/i ／. ／'. i , ﾄ、 ￣~゛'ー－ェ彡'´ , ィｧ' 廴. ,ィ
ｨ ヾ!. , イ/ ,ｨ√ i!. ,,,, ェ'´. ﾄﾞ!. iﾊ i ｀ヽ、 ＿ ｒ'´｀´_,.．-‐'.ｱ ,ィ',.ィ''ゞ'＾´
' ｲ 廴／i',ｲ ,'!_,廴ノ 乙ィ ,! ｀ ゞ|ｋ=ﾞ￢'´ｚ_＞ ｀ ー'´ ゞ彡ゞ´
', ( `ﾚ' } ,ｨ. ﾏ ﾏ｀ヽ、 ｀ゞ=＝Z. ｲｪｪｪｧ
3209 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:59:12 ID:S4b0V18w0 [425/511]
┏─────────────────────────────┓
│それから外に出て、無我夢中で街灯に照らされている街々を走った。 │
┗─────────────────────────────┛
;: ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::::|三三三 ,r=======y 三三三
;: ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::;:;:;:;:;,:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::|三三 ::(⌒) |:::::| (⌒) 三三
;: ＿＿＿＿_ ; ;:;:;:;:;:;:;:;:;＿＿＿_:;:;:;:;:::|三 ∞￣ ::|:.:..| ￣・～ 三
;:|| || ;:;:; ;:;:;:;:;:;|ｉ―ｉｉ―ｉ|:;:;:;:;:;|三三 |::::.| 三三
;:|| || ;; :;:;:;:;:;:;:;||＿||＿||:;:;:;:;:;|三三三三三|:::::|三三三三三
;:|| || ; :;:;:;:;:;:;:;:||―||―||:;:;:;:;:;|三三三三三|::...|三三三三三 ｺﾂｺﾂｺﾂ……
;:|| O || ; ;:;:;:;:;';:;:;||＿||＿||:;:;:;:;:;|三三三三三|:::..|三三三三三
;:|| ===. ||:;:;:;::;:;:;:;:;:;'―――':;:;:;:;:;:|三三三三三|::.:.|三三三三三
;:|| ||:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;:;:;:;:;:;:;:;::|三三三三三|:::..|三三三三三
;:||＿＿＿＿||＿＿＿＿＿＿＿＿＿|三三三三三|:::..|三三三三三
i´――――`i ';:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;::;:;:;三三三三|::...|三三三三三
;~￣￣￣￣~ :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;三三三|:::..|三三三三三
;::;:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;,:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;三三|:::::|三三三三三
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; : 三|:::::|三三三三三
┏──────────────────────────────────────────────┓
│分裂した俺の心は自分が犯した罪を小気味良く思いながら、気軽に今後の犯罪を企み、 │
│また一方では復讐者の足音が聞こえはしないかと恐怖し、足を速め、絶えず自分の後ろに耳を澄ましていた。 │
┗──────────────────────────────────────────────┛
＿＿＿_
／ ｜::⌒＼
／ _ノ｜::（●）＼
／ oﾟ⌒ |ヽ__）⌒::::＼
|::. （__ﾉ|r-|:::::::::::::::::::|
＼::. ´ |ｰ´::::::::::::::／
／::ノ"''ﾌ:ﾉ|ﾞ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ﾉ,,ﾉ_ノﾞ>i、
. i／ﾍ" ﾑﾉ:::::| i::::! |-''"::::/ ﾞヾノヽ
/（:::::::ﾞソ"_;;;;;;ﾉ: :V: :ヽ ''"ヽi、 をノ
（::::ヽ,ノ"!,,_::;／: :i: :i: : :ヽ_;;:::::"ヽi、
^ﾞ''" ／::::;ｼ: : : : i , -ii !、＼::;;ノ::::）
（::::ヽへ、: : : i i/ ﾞ''ヽ,/
3210 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:59:28 ID:S4b0V18w0 [426/511]
＿＿_
|＿_:|_|
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ| | |ﾆﾆﾆ∧
/＿＿＿＿＿____.|＿_ﾚ＿__/ ∧ ｺﾂｺﾂｺﾂ……
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_/ ∧
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/ ∧ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ／＾＼ﾆﾆﾆﾆﾆﾆl
＿＿＿＿＿＿＿＿＿__/ ∧＿＿＿＿／ ＿ ＼＿＿__＼
＿＿＿＿＿＿＿＿＿_/ ゝ＿＿＿＿_|＿|_|_|＿|＿＿＿＿＼
＿＿＿＿＿＿＿＿_／ ＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_＼
: ||| |￣ .|￣
エ エ:: :エ :エ||| ｪｪ| ＿＿＿_ ＿＿＿_ :|
エ::: エ :||| | ||_|_|||_|_|| ||_|_|||_|_|| .:|
. ::|||ｪｪ | ||_|_|||_|_|| ||_|_|||_|_|| .:|
::. :エエエ||| ＿＿ .:|: ￣￣￣ ＿_＿ ￣￣￣ .|
.::||| :| i⌒i| |＿＿＿＿|::[]|[]::|＿＿＿＿＿＿|
:::||| :|o￣:| | . :::::::::::::::::|: o|o :|::::::::::::::::::::::::::::::::|、
:エ エ|||: | | |＿＿＿＿|＿|＿|＿＿＿＿＿＿| ヽ、
￣∩ ::エ:.|||: | |＿| )ﾆ)ﾆ)ﾆ)ﾆ)ﾆ)ﾆ)ﾆ)ﾆ)ﾆ)ﾆ)
￣|＾|＿＿＿＿＿＿|||＿ﾆ=-=ﾆ￣ ＜)'´
| :| ＜)＞'´
二)二)二)二)二)二)二)二)二)二)二)＞'´
人
て
〈
|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
| |
| |
| |
| |
| |
| |
, .-─‐ | | ﾊﾞﾀﾝｯ!!
(ﾞ ( ,,__ _ | |
｀ '' ｰ- ニ ~"ﾆ = - ‐ Y⌒Y|
| ゝ=ｲ.|
| |
3211 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 09:59:46 ID:S4b0V18w0 [427/511]
f´￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
| ふんふんふん～♪
ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿乂_
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
,, -'''" :゛`'丶.､.......
'´ ::::::::::...`.::::::::....
i （ ） .:::::::::: !::::::::::::...
ヽ､ ,: '.:::::::::
`=ｰ--､....,,,,,_＿＿＿＿_,,,,,... --‐=''´..::::::
｀`" '' 'ー───‐―‐' ''' "´
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
,.:｀ヽ ,, -'''" :゛`'丶.､.......
／ .:.:::＼ '´ ::::::::::...`.::::::::....
___,,,... -一,ｨ´: :.:.:'''ｰ- ...,,,,_____ i （ ） .:::::::::: !::::::::::::...
｀ﾞ''ｰ-､.,,__,,..-‐''"´｀ﾞ''ｰ-､.,,__,,..-‐''"´ ヽ､ ,: '.:::::::::
｀ﾞ''ｰ-､.,__,,..-‐''"´ `=ｰ--､....,,,,,_＿＿＿＿_,,,,,... --‐=''´..::::::
｀`" '' 'ー───‐―‐' ''' "´
|￣|
| |
ﾉ ﾊ
＿＿＿_ / 丶
／⌒ ⌒＼ , っ───l
／（ ⌒） （⌒）＼ ／ ヽ / 死者に乾杯だお！
／ :::::⌒（__人__）⌒:::::＼／ ノ ￣￣
| |r┬-| | ／
＼ ｀ ー'´ ／／
/ ＿＿ /
(＿＿＿） /
3212 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:00:05 ID:S4b0V18w0 [428/511]
＼＼ ヽ | | // .／／
＼＼ | .| // ／／
＼丶. ｉ |. / ′ ／／
＼ ＼. ｉ / ／ ' ／
丶 丶. ′ ' ／
＿人人人人人人人人人人人＿
＞ うげああああーーっ！！ ＜
￣Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ￣
・
・
・
・
――- ゼ
ゼ . ´ 丶 ェ
ェ ./ '. |
｜ / i |
｜ l 、 ::::::::::::::::::_ .「ﾄ､| ッ
ッ 〈 r| ﾄ､__,:::､:_;ｨf } | ｈ､
. | l ‐￢:”:::::「 ｡ 冫,l '/- .._ よ、よかった……。
､ ‘ ｰﾟィ ￣ ,ﾘ .i ／`
／ヽ ‘ u u .i ,､ ! ヽ これで警察に捕まることはない……。
./ } ヽu (_入__) | ^ l ,__
i rイく { ＼`ﾆ⌒}{ ィ＞‐'ﾕ/´
l ﾊ ` 二入 `ｰrイ／ ヽ
ﾉ } } 「 ゝ-} ／/ ハ
「 ﾉ Λ | / {
|/ 〈 } ヽ ヽ
.〈 Λ ＼ '”
3213 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:00:36 ID:S4b0V18w0 [429/511]
/´￣ ヽ
(_) u }
_ﾉ u /
乂 /
}＿_{
.:::::::::ヽ
,:::Y::::::::!
,.::: |::::::: ! だがっ…、
,:::::::|_____|
,:::::::::| |:| 俺は取り返しのつかない罪を犯してしまった……！
,::::::::: | |:|
/:::::::::: | |:!
/ ::::::::::: | |i
ﾌ￣￣ | |
／ | |
／ ／｜ !
／ ／/. | ヽｬ ‐ﾐ-､
/ ∠／-‐ ヾ≦ } ｛ili{
ヽ ｨ≦ ＿＿＿}ヽ. }ili}
. ＼＿ -‐'"´ と_丿ﾂ
,-、 ＿＿＿ r‐、
,.、 / / _,,-''ヽ ／ ＿j L＿｀ヽ {｀ヽ、＼＼ .r.、
./ .| | .| .| /´ ,.、 / ;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;,,ヽ r 、 ｀ヽ .| / / | | 神よ！！
.＼＼| .ヽ| .|,,.-'´／ .,' /￣ ,、 ￣.ヽ .l ＼＼__| |/ /／／
.∧ '´ ／ | ヽ__,-''" .ﾞ''-、丿 | ヽ ヽ ./| 愚かな私をお許しください！！
＼', .ヽ .| ヽ |::::::::::::::::::::| /| ./ /./
＼ ', .| | |:::::::::::::::::::::| .| | ./ /'´
＿＿| ./ | |::::::::::::::::::::::| | ', { ＿
/:::::::::::｀ヽ、/ |. |,.-――‐-、| | ｀ヽ ,,-''"´:::::::∧
./::::::::::::::::::::::＼ .| | ／:::::::::::::::::::::∧
/::::::::::::::::::::::::::::/ ',_,,..-―――-.、/ 〈:::::::::::::::::::::::::::::∧
./::::::::::::::::::::::::::::/ | :::::::::::::::::::::::::: | ∨:::::::::::::::::::::::::::∧
../::::::::::::::::::::::::::::/ .＿ __| :::::::::::::::::: |__ ___ .∨:::::::::::::::::::::::::::∧
./::::::::::::::::::::::::::::/ ／:::::::｀''-..,,_,..-／:::| :::::: |::::￣ヽ＿,,..-''´::::::＼∨::::::::::::::::::::::::::∧
/::::::::::::::::::::::::::::/'´|:::::::::::::::::::::::::／:::::::,| .::::: |、::::::::::＼::::::::::::::::::::|ヽ∨::::::::::::::::::::::::::∧
./::::::::::::::::::::::::::::/:::::::|:::::::::::::::::::／:::::::: /:| :: |:ヽ::::::::::::::＼:::::::::::::::|:::::＼::::::::::::::::::::::::::::∧
.
3214 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:00:55 ID:S4b0V18w0 [430/511]
┌───────────┐
│┌─────────┐│
││ ／￣￣＼ ││
││ ／ ～～～＼ ││
││ | （◎)-（◎） ││
││. | （（（__人__） ││
││ | ｜～｜ﾉ ││
││. | ＾＾＾＾} ││
││. ヽ } ││
││ ヽ ノ ││
││ / く ││
││ | ＼ ││
││ | |ヽ、二)､ ││
│└─────────┘│
└───────────┘
ジーキル博士の父の肖像画
：/ ヽ
：/ ヽ：
：ﾊ ﾉ ヽ､_ ゝ： ．．．
(〇）（〇｡ ):: | ーーー 、． 俺は父に手を引かれていた少年時代から医師となった現在まで、
（__人___） | ＼： 厳しく窮屈な生活を送っていた……。
/ `:j⌒:｡ /⌒ﾞ ヽ ヽ：:
:/ 八;;_ ､__ ／ _| i ,! i＿/_ |：
：/ / ；｀ ´ .|. |／ i：
：/ / `ーﾃｰ| |ﾊ |：
/ / / ..| | | |─- ､．
/ / ｲ | | ! ! ） ）：
, --‐-ｰ､_ / ＼＿__| |＼ ／＾ｰ-‐'
く / / ｧ- ,ﾉ ノ＾ノ^／⌒ヽj
`ｰ' ｰ´￣ （＿(_イ_,イ、_,ィ'´
3215 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:01:17 ID:S4b0V18w0 [431/511]
＿＿
／ノ ヽ＼
／.（○）（○）＼
|. u. （__人__） |
. | | その物足りなさを埋め合わす為に、
| | 分身のハイドに自由にさせていたが……。
. ヽ ﾉ
ヽ /
/ ヽ
| |
| . |
''''' '''';;;;;;;,,,;;;;;;'''''';;;;,,,, ''';;;;,,, ''';;;,,, ,,,,,;;;;;;'''''';;;;;,,,,,,,,,
,,,;;;'''''' '''';;;;;;,,,, '''';;;;,,,, ''';;;, ,,,,;;;;'''' ''';;;;,, '''''';;;;;;,,,,,;;;;;;
''''''''' ''''''';;;;;;,,,, ''';;;; ;;'' ,,,;;;;;''''' '''';;;;,,, '''';;; ''''
''''''''';;;;;;;;,,,, ; ;' ,,,,,,,,,,;;;;;'''' ';,
''''';;;;;;;,,,,,,, ''';;,／￣￣＼''' '
'''''''''''';;;;;;;,,,,,,, ,,,;;;,,,/ _ノ;jijii;丶_ ! ,,,
,,,,,,;;;;;;;;;''''';;;;;;;;,,,,,,;;;'''''' ,ク(゜_)）ij（_゜)）!`i ,,,;;'''''';;;,,, ,,,,,;;;;'''''' 俺は遂に死罪を犯してしまった！！
,,,;;;;''' ''';;;''' ,,| ﾋlli（__人__）.ｿ / '' '''''';;;;;,,,,;;;;''''''';;,, 俺は自分自身を甘やかし過ぎたんだ！！
,,,,;;;;;;''''''' ;' ,,,,,;;;,;''' l ＼ .,ｷ呪ｶ'/ / ,,,,;;;'''' '';;,, ''';;;;
,,,;;;'''''' ＼ ヾ狂ﾘ | { ';;' ';, '''';;; ああっ、夢なら今すぐ覚めてくれっ…！！
''';;;,,,,, ,,,;;;;'''' /ヽ |ｰ-ｲ!_ﾉ`､ ;,
''';;, ,,,;;;;'''''' /::::/i_ﾉ|_／:;l:::::::|
,,,,,,,,;;;;;;;'''''''' |::/:::;:/;;:::::::::;|:::::::i ';, ,;
. |/:::;:/;;:::::::::::;i;;::::ﾉ ''''';;;; ,,,;;;''';;'
. |:::::;;:|;;:::::::::::::::r '''';;;;; ,,,,;'';,
,;,, ,,,,,,,;;;;;;;''''''';;;,,,,;'＼;;/;;::::::::::::::::! ,;''';,;' ;'''';;;,,,;''' ';,;'
,,,,;;;;'''''';;;;;,,,,;;;;'''''',,,,;;'' |:::::::::::::::::::/ ,;'' ;' ''';;;;,,,
;;;;;'' ''';;;;;''';,,,,;;;'''; |:::::::::.::::::/ ,,,;;; '''''';;,,,,
;;;''; |:::::::::::::ｲ ''''';;;;,,,,,, ''';;,
3216 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:01:36 ID:S4b0V18w0 [432/511]
,-ｰ=＝ニ二三二ニ＝=ｰ-､
γ ｙ
Y Y
||| |||
||| |||
||| |||
||| |||
||| |||
||| |||
||| ＿＿＿_ |||
||| ／⌒ ⌒ |||
||| ／ <・> <・ |||
||| ／::::::⌒（__人__） |||
||| | ﾄｪｪｪｲ |||
||| ＼ ヽﾆﾆｿ |||
||| |||
|||. |||
|||. |||
||| |||
||| |||
||| |||
「￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
,ｨ
／｜
／ }
/ / ／ l ii l ＼
/ ／ ／ ノ:::::::::::::::::::ヽ .＼
/ / . / _, -'´:::::::;;;;;;;;;;;;;;::: ｀丶、 Y
/ ／ ｜ ／ ／￣＼ ＼:;;;;;;:／／￣＼ ＼ |
/／ .｜ ｜ |. ○ .| ,|:;;;;:| |. ○ .| ｜ |
´ | ＼ ＼＿／ ／::;;;;::＼＼＿／ ／ |
／i .| ,／ :::|:: ＼ |
i／ | ｜ ｜ ｜ |
.
3217 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:01:51 ID:S4b0V18w0 [433/511]
/￣/ ＿
/ / ＿＼＼
,-ｰ=＝ニ二三二ニ＝=ｰ-､ ＿＿/ /＿＿_＼＼＼＼
γ ｙ /＿__ ＿__ / ＼＼￣
Y Y / / / /. ￣
||| ||| /| / / ./ /
||| ||| M/ .|／|＿ / / / /＿
||| Ｎmm ||| ／ ￣ ￣//./ ＿
||| |::!川ｌ |,.z=ﾆ三三､ Z ￣／／
||| !::`ﾄﾐ尨..'-‐一＝勹 ／／
||| !::::|::::::i:::::::::::::::::::::::l ￣
||| |::::|::::::|::::::::::::::::::::::l
||| ヽ:|::::::|::::::::::::::::::::::|
||| ヾ:::::!::_::_::_::_::_::｣
||| |||
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|||. |||
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「￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
＿人人人人人人＿
＞ やめろ！！ ＜
￣Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ￣
＿人人人人人人人人人人人人人＿
＞ こっちを見ないでくれっ！！ ＜
￣Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^￣
.
3218 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:02:15 ID:S4b0V18w0 [434/511]
／￣￣＼ ううう……。
／ ヽ､_ ＼
（＞）（＜ ） |
（__人__）ﾟ｡ |
(,｀⌒ ´ |´￣￣￣￣￣｀ヽ
. { | ヽ＼＿＿
＿＿＿＿.,{ / ＼＿＿）_
（＿＿＿＿｀ヽ_（ ￣￣ﾞ /￣￣￣￣￣￣ヽ､ ）
￣￣￣ ￣￣￣
￣ ､
´ ＼
／ ヽ
/ ､＿ ヽ
' :::::::::｀ゝ"ヽ
l ::::::::::::::::,､__
. l ::::::::::::::::| ', ',｀,
. l 冫.:::::｜ ', ', ', 今度こそ欲望の生活から決別しよう。
l l ::::l ', ', ',
l {｀ヽ u ::::｝ ヽヽヽ というより、もうジーキルとして生きる選択しか残ってないんだ。
l ',´ ヽ J / ｝
! ', ヽ､_/ ./
,' ヽ ./
￣ ｀ー - `, ,'
｀ ､ ゝ ,'
:.:.:.:.:.:... ､ ／ヽ 〈
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. .:.:ヽ _ ´ ｜ .i
ー- :.:.:.:.:.:.:.:.. ..:.:.:.:.:.:ヽ ｜ ｜
｀ ､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ ｜ ｜
､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼ ｜ ｜
3219 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:02:32 ID:S4b0V18w0 [435/511]
＿＿
／ノ ヽ＼ ＋
ｍ ｎ _∩ ＊ ｡ﾟ（（●）（●））ﾟ｡ ∩_ ｎ ｍ
⊂二⌒ __） |::⌒(__人__)⌒::::| （ _⌒二⊃ ふふ、どうしようもない俺でも善を選ぶ心は残っていたんだな。
＼ ＼. | | .| | ＊ ／ ／
＼ ＼. | |r┬-| | ／ ／ だが、俺はとても喜びに満たされてるぞ！
＼ ＼＋ .| `ﾆ二' |. ／ ／
＼ ＼. ヽ / ／ ／
＼ ＼ヽ ＿ ／ ／
＼ ￣` , '￣ ／
/ /
／￣￣＼
／ ⌒ ＼
（ ⌒）（ ⌒） |
（__人__）ﾟo |
{ |r┬| |
ヽｰ―' | そうだ！
{ .ノ／⌒￣￣'￣￣） 三 二 ジーキルとして生きるのなら、もうあそこは必要ないな！
ヽ ／￣¨￣￣
(⌒ヽ､ ／ ヽ く
＼ ヽ ／＼ ＼
＼＿_／ ＼ ＼
／ ﾉ ＼三 二
／ ／＼ ＼
｛ ────ヘ ＼ ､､
＼＿＿＿＿ソ ヽ ＼ 三 二 |￣|
ヽ､_ｿ ＼ ＼ '￣| ツ
） __〉 三 二
（＿__ノ
3220 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:02:48 ID:S4b0V18w0 [436/511]
［繁華街の裏通りに面する裏口］
｜ | ＿＿. ｜ |
｜ | |::::: : | | |
| | |:::::::ﾟ:| | |
| ／￣￣ ￣ ￣＼ i|
| ／ ＼ ｜
|／ ＼|
／ ＼
／ ＼
／ ＼
／ ＼
／ ￣￣ ヽ
/ ヽ
| |
j /
_,.-＜ﾞ_‐-､ i /
_／ ,.-｀''｀ヾ. / ここは俺がハイドとして頻繁に出入りしていた裏口だ。
／/ ,/ ／￣ヽ_ ノ
/ / （ | / | | そういえば、ここに帰る時にアタスンと会ったこともあったな。
/ / ヾ|／ ∨
| l / / 〉!
::/ / /'´〉::|
// /:::/
// /::/
/ __/:/
| 彡l､!
／￣￣＼ ガッ
／ _ノ ､_ ＼ |
| | （ ○）（○） |
|i ダンッ | （__人__）
|ｉ| | |r┬｀| ﾉ
| `ー'´ } |
ｌi| ＿ ヽ } i| ゴッ だが、もうここを通ることはないだろう。
ｌ｢｀￣"´ ´⌒＼､ ノ､ |i 錠をおろして、鍵も壊してしまおう！
| ヽ__､_ ＼ , ￣ ｀ ´ ￣⌒ﾍー│-ｫ､ |
| ,ｲ ￣.､`ヽ/ ヽ／ 〉i| フフフ、ハハハハ……！！！
| | l ゝ ゝ ／⌒｀ヽ /ｲ ￣゛ﾄ /
|ｉ ｌ ゝ､ ﾄ ||ｉ/ ｲ | /ゝ /
ﾄ ﾔ メ | | / ﾄ |/ くヽﾆｲﾄ
゛￣ | ｌ|i/ ゝ |ｌ ｀ヽイ ･．…
| / | | | ：： ．；
// i| i| | | ．･¨
ダンッ /ｲ |ｉ | | ｉ i| ：’
/ | |i | ||
| ；． ﾉ| | ||i| |ｉ
＼＿ _,ｨ´ ﾉ||iｌ | ||| |
｀ｰ､ i|| | |ｉ ||i|ii| “
3221 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:03:05 ID:S4b0V18w0 [437/511]
"::､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,''''"ﾞ"' :
.ﾞ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.''''''''
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.:::::::,, . ., :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.,,,.､,,, ::::::_,,_ .,,,,,:,,,,,.
..;; .ﾞ''､:,. , :::__ ::::::::::_,_::::: .:ﾞ ''ﾞ゛ ｀.｀ ..:
.;;:,,. .″ .｀ ｀ﾞ'-.:" , .,
. .::;; .′ :"
.:;; .,:''''''
_＿ ＿_＿
ヽ ￣｀"￢ｰ--､,,,_ _,,,､-ｰ"´￣´....,., ／
∨ ;:;:;;;;:;:;:;::;:;;;:;:;;:; ｀Y´ ;;::;;:::;:;:;:;:;;;:;:;:;::; / 例の殺人事件が記事が載っているな……。
', ;:;:;::;::;:;;;:;;:;:;::;;:;;:;: i ;;:;:;:/￣￣/;;:;:;: /
', ;:;::;;::;::;:;;::;;;;:;:;;:;: i ;;:;:/ijknw/;;:;::: / あの事件を目撃した人間がいたのか。
｛⊃;;:;:;;:;::;:;;;:;::;:;;::: l ;;:;;:;;:;:;:;;;:::;:;;:;⊆｝ 気づかなかったな。
ヽ⊃)￣7;;:;:;:;::;;:;: l ;:;:;:;;:;::;:;::;;::; ⊂ﾉ
/ /_＿7;;:;;;:;;::;;;; l ;;:;;:;:;:::;:;;::;;;:;: /
/ ;:;:;:;;;;::;:;:;:;::::;;;:;:; ! ;;:;::;:;:;;:;;:;::;:; ｛
ノ /￣/￣/ii7lkl/7 i []ikllihXCV ﾍ､_
￣｀"￢--､,,,.__￢ ｝L ]_,,,､-ｰ"´￣
￣｀´￣
／￣￣＼
／ _ノ ヽ＼
| （●）（●） | ……もし、あの悪夢のような惨劇のなかで、
. | （__人__） | ハイド…つまり俺が目撃者のメイドの存在に気付いていたら、
| ｀ ⌒´ | 俺はそのメイドに何をしていたんだろうな……。
. | }
. ヽ }
ヽ ノ ＼
/ く ＼ ＼
| ＼ ＼ ＼
| |ヽ、二⌒)､ ＼
3222 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:03:19 ID:S4b0V18w0 [438/511]
／ ￣￣￣￣￣￣ ￣ ｀ ＼
／ ＼
./ ＞=ﾆ_-､ 丶
/ 〃 __ ｀ヽ ＼
./ メ≧､_ノ ｲ {・} |} 丶
/ ｨ ヽ＼ /. 丶 ＿＿ ／ ＼
/ 〃 {・} | ￣ ￣ ＼
./ 廴 ＿ 二´ l 、 ＼
,' ￣ ￣, 人、 } ＼
| ﾍ、 _／ ｀ｰ-ｪ' ＼
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
／￣三＼ _ _00
／;;;; _ノ 三 ＼ ヽ〉/ / [][]「l Ｏ Ｏ Ｏ
|;;;;;;; （ ○）（○） く／ くノ
. |;;;;; （__人__）
|;;; ｀ ⌒´ﾉ
. |;;;; }
. ヽ;;; }
ヽ;;;l ノ
/ く
| ＼
| |ヽ、二⌒)
／￣￣ ＼
_,ノ ヽ､,_ ＼
（●）（● ） |
（__人___） | 俺は良心を失いかけていたが、
'､｀⌒ ´ u | 皮肉にも絞首台への恐怖によって抑えることができた。
| |
ヽ 、 ｲ もうハイドは俺という避難所から出ることはないだろう。
ｨヽ-ー ≦ノ7 ハイドが少しでも顔を見せたら、人々は彼を捕まえるか殺すだろうからな。
_, ､ -― ''"....:::::::::::::::::::::::::::ﾄ、
/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::........--、
丿.:::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r::::: {
r :::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀,::::i
/.:::::::::::::::::::::::!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',::i
/.:::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V
3223 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:03:36 ID:S4b0V18w0 [439/511]
┏────────────────────────┓
│俺は今後の行為によって過去の罪を償おうと決心した。 │
┗────────────────────────┛
. †
∧
./;' ﾍ,
､_/,: ,､ﾞ.ﾍ._,,
iﾞ7;' li^il ﾞVi
ﾚ´l￣￣｀ﾄ､:
〔;'´l￣￣`ﾄ､〕
| | | | _,｡/) ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ
╋ |^i| r^'i |i^| `ｰ'" _,｡/) _,｡/) ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ
┃ |ﾋi| .ｌ韮ｌ .|ﾄi| `ｰ'" `ｰ'" ﾊﾟﾀﾊﾞﾀ
.／＼. | | :| | _,｡/) _,｡/)
.／／＼＼. i幵iｪｪｪｪｪｪｪｪi幵i `ｰ'" `ｰ'"
.／／ ＼＼. 冂|￣￣￣￣|冂
.／／ .仝. ＼＼. | |l ∧∧ l| | _,｡/)
.／／ i燹! ＼＼.! |l 目目 l| | `ｰ'"
.／／ ＼＼.|l .且且 ｌ| |(;;"'',,,;;ﾞ);;ﾞ)
<／ ＼> .. (;;"'',,,;;ﾞ);;ﾞ);;;:::::::Y:;;;;;:::ヾ
| | （;;;;;（;;;;;;;;;;;,,):::;;::::,,, ;;;;,):;,,)
| ,r'全ﾐ､ | （ｒill;;::(;;;,,,, ,,,;;ヾ,,,,;;;;,,;ゞ::::::)
| |田l田| | 丶;;;l;;;;ｉｌ;;;;;,,, ;;;;;;;;;; ､'ﾞ,;;, ,,;;)::::）::)
| |田l田| | （(;;;;;;;;;;(ﾘ;;;;;;,, ;;;ﾉ ;;;,,,ゞ;;,,,ゞ;;;;）
| |田l田| |巫巫 ﾞ'''''';'ﾚ;;;li:;;ヾﾞ~ ';;lii;_ヾlii;ヾ
__辷辷辷辷 iﾆﾆﾆﾆﾆﾆi 辷辷辷辷辷... ヽ;ii;l;ﾂ `!ii,|゛Y:;iﾂ
辷辷辷辷辷 iニニニニニi 辷辷辷辷辷辷 |ｌl|i;| ｌil;| |:;|
.... .. .:.:.:. . . ,,, .. .... .. .:.:.:..: .:.:. . ..l;;lii;ｌ, ､y;il;ｌ､ !:;ﾄ､.:.:.:.: .:
.... .:.:.:..... .. .... .. .. . ... :. .:.:.:.: .: .... .
.. . ....... . . .. .... ...:.:... .. . . .. .:...:... .. . .. .. . .. .... .. .. . . .
. . .... ... . . . ..... . .. .
3224 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:03:55 ID:S4b0V18w0 [440/511]
┏──────────────────────────────────┓
│そして、この決心がいくらかの良い成果をもたらしたことは、偽りなく断言できる。 │
┗──────────────────────────────────┛
＿::.;;;|＿;:..＿|＿＿:._|＿＿__|＿.| i ..|
;::_|＿＿_|√＿_:.:|:..＿＿|_＿,;;'~ | 〉
＿＿|:::.＿＿|＿＿;:._|＿＿;::|'___ i '~ヽ/￣｀::.
::._|＿＿|＿|;:;:::|＿|＿＿:|＿＿_,;' | ::.
＿＿|＿::.＿.,|＿＿::..|∧,,,,,∧〃 ,,/ :..
＿|＿＿|;;;;;;;;;;;;;;;;|＿_彡o-o･,,ﾐ〃 i | :. ..
;.＿::.,|＿＿＿|＿＿と｢;;<w[と).｜i .| :..
￣￣|＿|＿＿＿|＿＿/;;y;;;;;;ゞ＼ | ::...:
ted!..|;;.＿＿;;;|＿::.＿|〆ﾉ ｀J＼r'￣｜ ::.:
o`》:::|＿|;;;::::.＿:|＿＿|＼ ＼|￣㌧ | :.
ル｡:::|_:.＿＿::|＿_|＼ ＼|￣ ㌧ : :. | :..
＿＿|＿|＿＿|＼ ＼|￣ .:: .. | ::..
＿|＿＿:;;;|＼ ＼|￣ ..: :.. .::. :. .| :.
;;;,,,,＿;|＼ ＼|￣'' 目 λλ ;;. | :. ::.
' ＼|￣ ;;./ ヽ_( 'ｰ`)y-~ : . | ∧∧
∩∩ ￣￣'''' |～|ﾉ( ﾍﾍ)￣￣￣''＼,~-∩ﾞ*,)
;;;'д）,, ;; |__,,| 。 ゛ ,,＼(_ｿと)
っっﾐ ::. ( , ﾉ ::.
;;,＿）旦 l⌒i⌒l .ﾚ`J.、
,,,,,,,,,,,ﾐ @ ⌒'⌒ ＼
┏───────────────────────────────────┓
│昨年の終わりの数ヶ月間、俺がどんなに熱心に人々の苦しみを救う為に走り回り、 │
│俺自身も平穏で幸福に過ごしたことは、お前も知ってる通りだ。 │
┗───────────────────────────────────┛
ﾊ,,ﾊ ﾊ,,ﾊ ,,.; ; ﾊ,,ﾊ ,,.,.
(*ﾟ;0ﾟ)')('(ﾟｰ;ﾟ*) ;;: ;,.ﾊ,,ﾊ(ﾟｰ;ﾟ*) ;:..ﾊ,,ﾊ,.;:: ;
`(ou;;っ c;;:;uo)' ﾊ,,ﾊ(*ﾟ;0ﾟ);;)uｏ)' ('(ﾟ0;ﾟ*) ゛´゛
ﾊ,,ﾊ ,.;;:;:..,. (ﾟ0;ﾟ*);;)' ;;:;;;::;: c;;:;;:;:o;J
(ﾞ-;ﾞ*) ﾊ,,ﾊ ﾊ,,ﾊ;;,,.,.
cu;;uo）' ,,.;;;:;:,.(ﾟｰ;ﾟ*);;)' ..,,.,`(;;:;;:);,;) .,.
, -‐-､
＿／: : : : : : ヽ、
∧: : ∨//77ｧ: ; :;i!
∧7: : :∨///∧ : ;i!
,.┴ｧ;斗､: ∨//;∧: il! ￣￣＼
} くrｲノﾉ;;;: ∧//;∧/j|ノ ｀⌒＼
j / /,/,ィﾌ////////j⌒） （⌒） |
Y i '" r'7////////,ﾉ（__人__） .|
. | }ﾝｰ=ﾆ二ﾆｨ |
j / | |
jく、 k. | |
∧;､｀ヾ≧ ,ｨヽ __,_ ﾄ、
/∨/7ゝｲv'´｀¨ﾆ=ﾆ7 1`‐-.,___ ,.."};八､_
/ ;厂////::ヽ;////////ﾍ 大 ﾊ////７ァｧｭ、
/::::j/////:::::::};////////∧ /Y::<ヽ///////////ﾊ
/::::::{;////:::::::::j;'/////////∧/:::::∨////////////}
ﾑ;、:;///〈::::::::::::ﾚ//////////∧:::::∧//////＼////ｲ
∨ヽ;////∨:::://///////////∧∧//////777'////|
∨//////∨ｧ'//////////／」 ////////////////|
｀¨¨´￣｀´ ∨///////／ ,/////////////////|
3225 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:04:12 ID:S4b0V18w0 [441/511]
┏─────────────────────────────┓
│この清らかな慈善生活に倦怠を覚えたのは事実ではない。 │
│それどころか、俺は一日一日と一層その生活を楽しむようになった。 │
┗─────────────────────────────┛
. / 丶
. / ヽ
. / |
| ｀ーﾞ 丶__ - |
| ( ⌒ ) ( ⌒ ) |
. | ｗW |
| _,ﾉ |
! ゝ__ゝ‐ ´ |
＼ /
＼ 7￣｀> ‐― 、
〉 ぃ / / ｀T.:ヽ
/l 〉ﾊ 人 V´ ￣￣ l.:.:.:.',
,. ｲ / ,.ｲ .i l/ ／／ﾄ､/ , -─‐ l::::::::',
,. . : : : : //／/ヽV ／／ l: : :〈 jﾄ､:.:.::',
/: : : : : : ://: : :/ 「￣`7 l: : : :(´￣￣ ﾉl ヽ:.:ヽ
.
3226 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:04:30 ID:S4b0V18w0 [442/511]
┏────────────────────────┓
│しかし、俺はやはりあの人格の二重性に呪われていた。 │
┗────────────────────────┛
|:::::::::::::::::::::::::| |::::::::::::::::::::::::i
|:::::::::::::::::::::::::| .|::::::::::::::::::::::::l
|:::::::::::::::::::::::::| |::::::::::::::::::::::::|
|:::::::::::::::::::::::::| |:::::::::::::::::::::::::|
|:::::::::::::::::::::::::| |::::::::::::::::::::::::::|
|:::::::::::::::::::::::::| /:::::::::::::::::::::::::::〉
|:::::::::::::::::::::::::| ./::::::::::::::::::::::::::y'
ー┐ r─┐ |:::::::::::::::::::::::::ﾚ:::::::::::::::::::::::::::/
二コ |＿_,| |:::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/
|::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/
ー┐ r─┐ |:::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/
二コ |＿_,| |::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::/
|:::::::::／:::::::::::::::::::::::::::/
〈::::::〈二二二＼:::::／〈
/＼/::/::/::/::∧ ＼:::::::〉
〈::::::::∨::/::/::/::∧ ∨￣＼
`─‐∨ /::/:::/ /＼ 〉
.:.;::;.:;.; ..;:`ー─--- ───′
...:;.:;.:;;:.;:::;;;;;;;:: :;;;...:;;..;;;...:;;...:;;
...:;:;:;.:.;:.:;.:;.:;.:;.:;:.;.:;.;. :;;;;;;;:::; ;;;;;;:: ;......:;;
...:;:.;:.;:;..:.;:;.:.;::.;:;.;:.;:.:;.;:.:; :;;;;;;;: : :;;;...:;;...:
｀ ¨¨´
r‐､＿＿__
. ノ「｀| } ＼
r‐{ | | { ／ ) u ＼
| ｛| ∨ し' ／ ＿,ハ
. /| ヽ / （ ○〈＼ ハイドの唸り声が聞こえる……。
{│ { （ ） ＼
. ヽ } し >=ｆ ＼__ 見つかれば処刑されると分かっている筈なのに、
. ＼ / {┬{ ／二=-_ なぜハイドは俺から出ようとするんだ！？
＿___|￣￣￣_|_ ｀⌒} ／二二ﾆﾆ=-_
. =ﾆ二二|二二二二| ｢〈二二二二二ﾆ=-_ 時が経って、俺が事件への罪の意識が薄れていったせいなのか！？
. _=ﾆニ二二|二二二二|≧=‐┬'＿＼二二二二二ﾆﾆ=-__
|ﾆﾆ二二二|二二二二|＼____｣ ＼二＼二二二二二ニニ=_
|ﾆﾆニ二二|二二二二|＿/ ＼_／|ﾆ二＼二二二二二二二_
|ﾆﾆニニ二|二二二二|ﾆ| ＼__} |ﾆ二二ヽ二二二二二二二_
|ﾆﾆニニニ|二二二二|ニ| | | /ﾆニ二二ﾄ､二二二二二ﾆ=
|ニニﾆ=- /ニニニ二|ﾆﾆl | │/二二ニニ{二二二二二ﾆ=-
＼ニニ=/ﾆニニニニ|ﾆ二|│ |/ﾆﾆニ二二ﾚ'´￣｀¨¨¨¨¨´
}＼ニ二二二二二|二二| /二二二二二|
|二＼ﾆﾆニニニ／ﾆﾆニ∨ﾆニニニニニ|
.. |二二＼三三／ﾆニ二二|ニニニニニ二|
. |ﾆニニニ二二二二二二二二二二二二|
3227 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:04:47 ID:S4b0V18w0 [443/511]
＼｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜／
三 三
三 それとも、既に俺の心は悪の方が大きな力を持っているというのか！？ 三
三 三
／｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜｜＼
＞ '⌒'.ｙ
. ｙ'´ , ﾍ i},
i' ／::' .::i }'!
. l| ｒ"::' .::::::} }! ,ｨ ''¨'ヘ､
,!ﾄ､!:::' .:::::::｝.ノ .／Ⅳ" ,X.',
. ﾉミ;:.ｌ::' .:::::/''"／巛V ﾉ:..',.}
／ﾐミ;:.ｌ:' .:::/r‐'川巛（ ／:::::..!|
. , イﾐミ三ﾆ';.::/彡ﾊ巛ﾐミ≧l':::::::::...,'ーｘ,
＞‐ '''"ﾆ''ー ''" ﾐミ三ﾆ;V彡;ハ三二ｲ川:::::.../∠ﾆ､ヽ
／ ｒﾁ川｝/l.|.l.i ﾊヽ､ﾞ_ﾞﾞ ".爪ｷｼミ;彡ミ1|}':.／彡三;;' ﾉ
. ／'´i' l川川.! i.|川' 爪川爪ヽ Ⅷ彡彡斧ゝ‐〆ﾘ''"´ ,.､./
/::::::::| 小川ツ刈.ｌ从小川川州乂ｿｿク彡彡巛川ﾍ,,,..／:,',ﾉ
{ :;／ﾂ,_,,.j'少"´｀ﾞ'ヾ、_j'ｿ川川川州}ツ"ｙｿ从川仆巛;ﾘ::::::. /ヽ
|/'´ 刈辺川川川乂ｿ从ｿ从川.|仆ﾞｼ:::. ／二 ヽ
｀ ¨.´￣ ﾞ从ｿ从川.l」少_;／ソ三ミ} .｝
｀ﾞ''＝''" .｀¨ ｒ'ミ三ﾞ ／
|!,_,,..ｨ≠
ノ:::::.／
∠=-."
.
3228 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:05:14 ID:S4b0V18w0 [444/511]
┏─────────────────┓
│ハイドの復活など狂気の沙汰の考えだ。 │
┗─────────────────┛
＋ ,:' ｡ ｡ ':, ＋
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＋. : ｡ ﾟ. ;
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;. ,+ ;. ＋ ,.::'"ﾟ ﾟ ﾟ ﾟ;ﾟ゛'::.., ;
ﾟ : ., ;. ;. + ,.:ﾟ ' : ., .,ﾟ:, ,:
┏───────────────────────────┓
│しかし、ハイドは俺自身そのままの身体に誘惑を続け、 │
│俺の良心はとうとう降伏して、ありふれた密かな罪人に戻った。 │
┗───────────────────────────┛
3229 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:05:27 ID:S4b0V18w0 [445/511]
┏──────────────────────────┓
│全てのものには終わりがある。 │
│どんな大きな容器でも最後にはいっぱいに満たされてしまう。 │
┗──────────────────────────┛
＼ /i:i:ｉi:i:i:i:i:ｉ:ｉ:／ ＿_ _ ｀ r‐―-、
＼ /i:i:ｉi:i:i:i:i:i／ l´ |ｉ:i:,. |l | ／＼
＼ /i:i:ｉi:i:i:i:／ | ＿|i:ｉ:ｉ| r, |l ／ ＼
＜. ＼/i:i:ｉi:i:i／ ＼ ＼i|＞ _｀／ ＼
｀ ＜ |ｉ:ｉｉ:／ ヽ￣￣ ／ ＼
｀ ＜|／ l, |il / ＼
＿ ／ |il / /
＿＿＿ //_/ ／..＿＿/ /
ﾏﾑ ＿＿＿＿__ r' ´ / / l] ／
ﾏﾑ l li:i:| / / / ／
ﾏﾑ l ｌi:i:l ＿＿_ / / /、 ／
ﾏﾑ lｉ:ｉ:l | ｀l / / / | ／
＿＿＿＿__ﾏﾑ. ｌi:i:| l | l: / /ヽ／ ＞ ´
| ｌi:il |,‐-'∨vl ＼ / / ／´＞ ´
／＼ | |i:l |i:i:i:i:i:ｉ:ｉ:| ＼./＞ 、 ／ /_／
＼ | li:ｌ ｌi:i:i:i:i:i:ｉ:l /i:i:i:i:i:i＞ 、 ／ ∨
＼ l |:| ｀￣￣´ /７l ｀７¨ヽi:i:i:i:ｉ:＼. ／ ∨
, へ |:| |i:|/ ＼i:i:i:i:i＼ ／ r ´￣l＼／∨
ｨi:i:i:／ l:| :|＼i:i:／ | lｉ:ｉ∧ﾉ ∨
ｨi:i:i:／ | || /‐- 、 ,ィ| |i:i:ｉ∧ ∨
┏──────────────────────────────────────────┓
│そして、俺が自分の悪の心に少しの間でも従ったことは、俺の心のバランスを遂に破壊してしまった。 │
┗──────────────────────────────────────────┛
3230 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:05:49 ID:S4b0V18w0 [446/511]
┏───────────────────────────────────────┓
│それでも俺はそれに気づかなかった。 │
│その堕落は俺が変身の秘密をまだ知らなかった昔へ戻るような、自然のことのように思えた。 │
┗───────────────────────────────────────┛
- ── -
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,,'///////////////////XZj!∧ーf////////////∨///zi
//////////////////てフ/∧/∧i///////////,∨/////i
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3231 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:06:10 ID:S4b0V18w0 [447/511]
［ロンドンの北西部の公園 リージェント・パーク］
ヽ;;;;ゝヾ;ゞ::::ゞヾヽ;;;;ゝヾ;;ヽ;;;;ゝヾ;ヽ;;;;ゝヾ;ゞ::::ゞヾ
ゞ;;;;ゝヾ : ; ｿi lヽ;; ;;ゝ ヾ;;;;ヽヾゝゞ;;;ｿ
ゞ: !i| :ゞヾ | !ヽ ヽヾ;;ヽ;;;;ゝヾヾ; ,..:;;:;z
ゞヾ;;|!i! ,, ヾ | ! ;;;;ゝヾ;;ゝヾ ヽゞ v:;; :;:::! ;;;;ゝ:.;;;;;ゝヾ
l| il!| i! | !ヾ;ヽ;;;;ゝヾ f:; ;: ;::i ゝヾ;ゞ:;:::ゞ
;;,i!Yﾉﾉ il :| ! z;::l !j:y ::ゞヾヽ;;...ヾ;
.;:,|l从ﾉ i!|:;;;::| ! ,,..,.､.,,..|l! i|i| i|!|
;:.,.`i|!!{|iﾉ | ! ,､.､,､ ゞ;;:.ゝ:;;|!i ::..从!::... j从::..
.:}i!|i!1 .:.| ! "ﾞﾞ" ﾞ`:.､. ー-- /|i!ヽ.. ___ ＿ ___ ____
ヾi!i!| :| ! ...::..:....::... ;. 〃|!i,,.:ヽ., {:#i}
＿＿＿＿Η ,:～~i!~iﾉ "" " "" ￣
;'≡≡≡≡f'i!|i～～'~ii ,l!'" ∧∧
三三三r～' |i|l ___,.ll '" (ﾟДﾟ,,）
￣￣￣l.√i_H ｜ と|
０ |～
｀Ｊ
…………………………………………………………………………………………………………………………
＿＿＿＿＿
／.:::::::::::::::::::::::::::ヽ
|.:::::::γ⌒^Ｙ⌒ヽ::.| 旦那様……。
|::::::::ゝ ノ ― |
|::::::（ （ ●） （●）| ここ最近の旦那様は外のお仕事やご友人との交際も再開なされ、
（@ ::::⌒（__人__）⌒) 私どもも安心しておりました。
| ｀ ⌒´ |
＼ ／ ですが、今の旦那様は以前よりもやつれているように見えます。
,,.....イ.ヽヽ、___ ーノﾞ-､. きっと疲れが出たのでしょう。
: | '; ＼_____ ノ.| ヽ 邸宅を出て、散歩をなされてはいかがでしょうか。
| ＼/ﾞ（__)＼,| i
…………………………………………………………………………………………………………………………
＿＿
／ノ ヽ＼
| ::::::::::::: |
|ヽ（_人_）' |
| ｿ｀⌒´ |
i |
＿＿＿＿＿__ヽ ー' /＿＿＿＿＿＿
|＿＿＿＿＿＿ ）ι （ ＿＿＿＿＿＿|
|＿＿＿＿＿__ / . . ヽ __＿＿＿＿__.|
|＿＿＿＿＿__ i iﾐ夫彳| _＿＿＿＿＿|
|＿＿＿＿＿__ ヽ⊇⊆-' __＿＿＿＿__|
l二二二二二二二二| l⌒i |二二二二二二二l
| | |_| U U |_| | |
|._.| |._.|
3232 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:06:30 ID:S4b0V18w0 [448/511]
┏──────────────────────────┓
│俺の獣性は過去の歓楽を思い出して、舌なめずりをしていた。 │
┗──────────────────────────┛
＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ ＿＿＿＿＿＿＿＿__＿_
::::::::::::::::∧＿∧:::::::::::::::::: ｌ,.,.,.,.,.,.,,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.,,..,,.,,.,.,., ｌ:::::::::: ∧＿∧ ∧＿∧
＿＿__（ ,,・３）____＿＿ｌ ゜゜'""''´´`゜゜'´`゜゜'""'' ｌ＿__（ ,,´∀｀） （・∀・,, ）
三三三φ/￣と三三三三ヽ⌒Ｘ⌒Ｘ⌒Ｘ⌒Ｘ⌒Ｘ ヽ / ヽ / ヽ
三三三 (⌒)⌒) 三三三三 ヽ＝＝＝＝＝＝＝＝||ヽと_（⌒）⌒）つと_（⌒）⌒）つ
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|| ||￣￣￣￣￣￣￣￣￣||
. ヽ ノ / ', ､_
ヽ ｀ ´ _ ｨ ',.', ,
ヽ ﾉゝ ィ ´ i､.ﾉ_.i i
ヽ ゝ ィ _. ≦｀三i_.」 i
ヽ ｀ヽ= ヽ´ _ ≦三'´ ｀i三.}_ .ｉ i
ヽ ヽ＼ i｀´=/ i i三ｉ .i i
＼ ヽ'ヽ三 i i iﾉ｀ヽｉ i
＼ ヽ iヽ.', ｉ / i
＼ ＼i∧ i／ /
＼ ｀ .'., i ／
＞ _ ヽ ,.' ィ ＞ _
｀ ‐ ´
3233 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:06:48 ID:S4b0V18w0 [449/511]
ﾜｲﾜｲ
ｶﾞﾔｶﾞﾔ
∧∧,;"「」 [] λλ ,,,,,
∧∧ ,､,､ n n ∧∧（ ,,） (*´ﾛ｀) (´v｀*) ﾉﾘﾚ,, ﾉﾘﾙﾚ ,
(*´?瞠) （-＾* )::::::::) ∧∧（∩_∩ （～ ﾉ-( ﾉ （-・ (ﾟ- ﾟ*ﾉﾘ
,-'" ( ヽ(ﾟ* ) ) ( ｀ｰ) (∀・,,) vvv 〉 ﾉ 〉 ｌ i_）(Y ﾉ
,-"´ ﾉ 〉 ( ) ( ) ( ) (v｀ ) Y ﾉﾉ~~'ゝ ∩∩ .∧∧
∧w∧ ▲,,,▲ （ （ (/`ヽ） 〈 ヽ ( )ﾉﾘﾙﾘ λλ (__) し｀J (::::::::::).(:::::::::::)
（ ・∀・）（∀｀ ） ∧＿∧ ∩＿∩ し' Jﾉﾘﾟ ｰﾟ（ｰ ｀ ） ∧∧ ∧_∧::::::::つ
と ）（ ） （@Д@* ）（´∀｀*） （ つ （v,と） ( ´)(ﾟ ):::::::::|
Y 人 Y 人 （つ<V>）と <v>） ／~~~~ Ｙ 人 と | | |∪∪
（＿）｀J （＿）｀J | | | 人 Ｙ ^^Uヽ)(__)ヽJ | ～ | ～
／￣￣￣＼
／ :::::::::.ヽ
/ :::::::::::::::::::: 〉
| ::::::::::::::::::/
| ::::::::::::::::::::l
| ::::::::::::::::::/ 俺は日々善行を励んでいるのに……。
＼__ :::::::::く
. ,ｲ :::::::::ヽ なぜ俺がこんなにも憔悴して、
/ ｀ :::::::::::} なぜ何もしていない彼等は笑顔でいるんだ……？
,' :::j .:::::::::/
,－´ :::ﾉ .:::::::::{
(,. - ―.i_ ::::::::::i
/ ::::::::::: }
. l,. ----ゝ.ー―一´ー--.._
_ ＿｣. ｀l￣￣￣￣￣￣￣!
{._ | | 厂￣￣ｌ￣￣| |
. ｀¨ﾞl__＿＿｣__j ∟..___|__j
3234 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:07:15 ID:S4b0V18w0 [450/511]
＿ , -－／￣￣￣＼ ＿ _ ＿__ ＞ ‐ - - 、
∠_ ヽ / , =､ , =､ V´ У V._ ヽ. , - ─ - 、/￣＞ ─ ､ ＿.＿_, ─‐ 、 / _ _ ヽ´ ￣ ｀У. ｀v‐-､ .／ ￣ ｀ 、
´ ヽ .Ⅵ ､ , | 〈 |´¨｀, =､ | / __ .ヽ , -- ､ } ＿_ / / / _ ,=､ヽ｜ "¨ﾞ ´¨｀ |ヽ __∠＿＿', l/ , =､ ヽ
｜ | | ヾ ‐- '´/ | .／￣ヽ| |`‐ィ / ∧ '"¨ .〉 '｀ '｀| ／ ＿. ヾ .} | "¨ﾞ , } } ､＿＿_,ｲ |／ ＼{ l , =､./
/ ' ヽ ゝ-‐' ,'/ ＿__ヽニ´.ノ { l ヽ ヾ - ‐{ ､.`='/ ／ ＼∨/ ' , `ﾆィ´ / ゝ､ ` - ‐ ´/ , - ､ , -､ ヽ |` ､__, ./
／ _ / ､ ＿／ ／ ヽ / ＞´ ＼ ￣ﾌ ￣.／! ,=､ ,=、 |｜| 〉‐- く ｜ { '⌒` ⌒ﾞ . }ヽ ` ‐ ´/
´ ／ ＼.. .,ｲ __. V ／ 〈 ￣「 / | ﾄ､__,， /.､V ／ ヽ ／ ｜､ , ,' ` -＜
/ ' ', ゝ! ､"¨｀,.=､| ,' } } |. ` `ﾆ´／. ヽ'´ ／ ｜|` - ─‐'/ / ヽ
{ |／ ヽ ﾞ､`‐イ / ｜ { / ｜ ', ／ , -| ヽ＿＿ノ .／ }
｜ ｜ ＼ ￣メ ｜ { ｜ ｜ / / ヽ ／ ｜
/::::::／:.:.:.:.: : : : : : :￣ ― ＿
. /:::／:.:.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ― _
┘ /:::/l:.:.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ‐ ｌ
./:::::l/:.:.: : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ
∧:::::|:.:.:: : : : : l/, '￣ ヽ : : : : : : : :.:V^ヽ
ゝ::ゝ:.:.: : : : (( | ((・)) |l) : : : : : : ::.:.!::::::',
|::::ﾍ:.:.: : : ｀ゝ=== '′ : : : : .:..:!::::N }
|:::::::ゝ:.: : : : : : : :.::!::::ｌ
＼::::::::ヽ:.: : : : : : : :.:.|::::| ｲ/ むしろ、無関心でいる彼等こそ罪深いじゃないか！！
.＼::::::ゝ:.: : : : : : :.:.:./!::::! (:::)′//
ゝ､::::＼:.:: :. : : ..:.:.__ノ‐|::::| ｲ/ {i/
＼:::::＼:.:. : . . .....:__ --:::＿ ┤::| ﾍ__／
ゝ ＼::::::＼＿__:.:. ---::::＿ -- !::/ ｌ
＼:::::::::::::::__ -- 三三二 |/ /＼
￣￣ー―‐ 二 ´ ￣. ｌ
}
{ 、 /
} ／
3235 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:07:30 ID:S4b0V18w0 [451/511]
|l l|
|l l|
|l l|
|l U l|
|il li|
|il ／ ＼ li|
|il ／ し ＼ li|
|il __／___ U ＿_＼ li|
|il 〃´￣￣｀`ヾ |l|l|l|l|l|l|l|l／´￣￣｀`ヾ li|
|il j{ l|l|l|l|l|l|l|l|l|lll }ｉ li|
|il {{ ＼_|_|_/ |ｌ|l|l|l|l|l|l|l|l|ｌ|ｌ|ｌ|ｌ _|_|_／ }} ll li|
lil 人 二{::::::::} l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|{::::::::}二 ノ li| あっ……。
|il し し li|
|il U li|
|il ＼ ／ | ＼ ／ li|
|il i| 〈 人 〉 |i li|
|il ｀ ｰ┬――一'TT｀ー―――┬' li|
|il {{ 凵凵凵凵凵凵凵凵凵凵 }} li|
|il {{ |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| }} li|
|i {{ |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| }} i|
|i {{ |:::::::::／⌒⌒⌒⌒＼::::::::::| }} し li|
. |i 冂冂冂冂冂冂冂冂冂冂 i|
|i ≧================≦ i|
3236 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:07:44 ID:S4b0V18w0 [452/511]
・
・
・
・
ｎ ｒ‐‐┐
ノ厶┐ く,勹｜ [][]「l Ｏ Ｏ Ｏ
└'⌒'┘ く_ノ くノ
／￣￣￣＼ う、う～～ん……。
γ⌒) (⌒ヽ
／ _ノ ノ ＼ ＼ `､ 服がブカブカだお。
（ < （○） （○） | ） 俺はまた変身しちまったのかお？
＼ ヽ （__人__） ／ ／
＿＿＿＿＿＿＿＿
,, '' ＼
／ ,,ｲﾞ＼ /入 .＼
／ -‐''"_ヽ'､ l l′/｀_'' ＼
／ ../∠´ ｀ヾ' ｌ ｌﾚ'´ 'ヾ ...ヽ
/ ..ｕ ｉ{,_,, ﾟ }! ｌ ｌi{,_,. ﾟ } ...ﾞ､ どーすんだお！！
/ ｕ ｕヾく,＿,ノ′ .ゞi-ｒｲ .ﾞ､ ジーキルは裕福な紳士で帰る家もあるけど、
,' .u ' ' ｀. | 俺は宿無しで殺人犯でお尋ね者だお！！
| .（ 人 ） |
| ／,ｒ｀T"T"´ | ｀丁¨´| ./ < ￣￣＼
| ,ｲ |__,∟ ⊥.＿|__,l|.| / ﾉ￣＼´／ 丶
＼ .| .ｉ ｌ_／ _,ノﾉ|| ../ く ーﾍ __／ ｨ>
＼ .| .|Ｙ/ ‐┴''" || .／ ＼＿ ﾞ ー'ノ
＼ ..|. 仁 ＿,＿_ || .＜＿＿＿＿＿＿／ /
／￣￣ ｌ lﾆレ'´ ｀ヾ'､ || ／
／ .ヽ 「]、 ヾ>､|| .＼ ／
／ .ヽ｀「ヽ }Ｈ| ...＼ ＿＿＿＿_／
／ ＿＿ ..ヽ｀「ヽ､､,＿＿,,ノｊ‐|| ＼
／ ／＼ ＼｀'〔｀'Ｔ''''''Ｔ´ ,ﾉ| ＼
/ / ＼ .＼ ｀￣￣￣ / .＼
/ ＼ .`－──‐′ .＼
3237 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:08:03 ID:S4b0V18w0 [453/511]
＿＿＿
／_ノ ヽ、＼
oﾟ（＞） （＜）ﾟo.､
／ （__人__） ...＼ 嫌だお！！絞首台なんて嫌だお！！
| ﾉ ヽ, |
. ＼ （/⌒ﾉ´ﾌ .／
> .￣￣´ <.
──────────────────────────────────────────
. /
.. / ｌ
| ￣｀＼ ＿＿ |
| ＼ `ｰ===ｭ | | ｰ一'"´ |
l 广¨┬―r‐┐ /八 ├┬‐┬‐勹´ |
. ／￣ｌ ＼ ゝ‐' ／ ＼ﾞー' ／ /￣￣＼ 俺は絶対に死なないお！！
´ ヽ ￣￣／￣｀ ´￣＼￣￣ / ＼
. ＼ │ | l ／
｀ _ ＼＿＿＿,人＿＿＿／ | _ ´
. - _ 匚匸l二lニlﾆlﾆlﾆﾉ i _ -
｀ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿／￣
──────────────────────────────────────────
3238 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:08:30 ID:S4b0V18w0 [454/511]
＿＿＿_
／ u ＼ なんとかして、ジーキルに戻らなきゃいけないお！
／ ＼ ／＼
／ し （＞） （＜） ＼ でも、変身の薬は実験室にあるんだお。
| ∪ （__人__） J | 裏通りに繋がる裏口は錠がおろされ、合鍵もジーキルが捨てちまったし、
＼ u ｀⌒´ ／ 邸宅から入ろうとすれば使用人達が俺を警察に連れていくお。
|
＼ __ ／
＿ （ｍ） ＿
|ミ|
／ ｀´ ＼
＿＿＿_
／⌒ ⌒＼ ﾁｰﾝ! そうだお！
／（ ●） （●）＼ 虫が好かない奴だけど、ラニョンを利用すればいいんだお！
／::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼
| |r┬-| | 俺とジーキルは筆跡が同じだし、
/ `ー'´ ∩ノ ⊃ 手紙を出してもラニョンは疑いはしないお！
( ＼ ／＿ノ
.＼ “ ＿＿＿＿ノ ／
＼_ ＿＿＿＿ ／
／⌒ ⌒＼
／⌒ ／／･＼ ／⌒ ⌒＼
／／･／::::::⌒（／／･＼ ／･＼＼ ケッケッケッ……。
／::::::⌒ | ／::::::⌒（__人／⌒ ⌒＼
| ＼ | ﾄ／／･＼ ／･＼＼ 俺の閃きもたいしたものだお！
＼ ／ ＼ ／::::::⌒／⌒ ⌒＼ オッサンのジーキルと違って、若い俺は頭の回転が速いんだお！！
/ | ／ | ／／･＼. ／･＼＼ ｷ
| | | ＼／::::::⌒（__人__）⌒:::::＼
ｷ | ﾄｪｪｪｲ | キ
＼ `ー'´ ／
／⌒ ￣── ￣＼
／／ ノ> >
3239 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:08:46 ID:S4b0V18w0 [455/511]
┏────────────────────────────────────────────┓
│そこで俺はできるだけの服装を整え、通りすがりの辻馬車を呼び、ポートランド街のホテルまで走らせた。 │
┗────────────────────────────────────────────┛
!ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾕr
| ||￣||￣￣||￣|| |l
| ||＿||＿＿||＿|| |lrー‐‐ｯ ∧＿
| ￣￣ |l|_／￣ 彡 ・,＿）
, =＝=､ 、 |l＿＿＿__ﾉ! _,,--───'ll~ ,／
〃＼| ／ヾヽ._＿＿＿_|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾝﾞ=============＠_）
||―.◎― ||､ヽ───ﾉ 〃 ､! , ヽ ノ 〉/￣￣￣ | |
ヾ／ | ＼〃 ｀￣￣￣´ {l,ｰ◎ｰ } | | | |
`＝=＝' ヾ._ !__,ﾝ ﾋ! ﾋ!
,、
／ ＼＿_／ ＼
. ／ ＼ '_ へい、分かりやした。
/ ● ● | 、 ポートランド街までですね。
| ヽ＿/ |
. ＼ ∨ ／ ……？
. ／ ＼
3240 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:09:00 ID:S4b0V18w0 [456/511]
＿＿＿＿＿＿_
| ￣￣￣￣ |
{` ｒ'"￣￣ ´}
_＿ｌ―‐------- ―‐l＿
=ﾆ二 ニ二二二二二二＿二ﾆ=
／:::::: （__人__） :::::＼
| |
／ ＼ ／＼
ﾆﾆ》 ､ ＼ ニ=――― =ニ ／ Y=-
ﾆﾆi|: ＼ ＼ ー― ''´ ＿ ／ ∥ニﾆ=-
ﾆﾆi| ＼ ｀` ,, ～ ''ﾞ´/ニニニ=ﾑ
ﾆﾆi| | ヽ i｀ー――=ニﾆ7 / /〃ニニﾆﾆ∧
X ／
/ /丶 ┐
十＋ ／ l|
| ／ |
／ |
/ , ´￣￣￣￣￣￣￣￣/
/ / （ププッ…！なんだこの男は？
. / /:::ヽ / よく見たら、サイズが合わない服を着ているじゃないか！？
/ 〈::::::/ /
く＿＿＿,..イ / あ～、腹がよじれる～～♪）
. lVVVVV:V ｌ
{: : : : : : :/ l＿＿＿＿＿＿＿
├―=彡' 丶
|
＼ ―――― |
≧=― ┬ ＼ | |
|/∧ ＼| |
|//∧ | |
|///∧ ＿__,ﾉ |
|////∧ | __,人
|/////∧. L>レレﾚ'^lノ ＼
|//////∧
|//////| ‘，
|//////|l ‘，
3241 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:09:33 ID:S4b0V18w0 [457/511]
／.:￣￣￣￣￣ ＼
／: : : ＼
／: : : : ＼
／: : : : : : ＼
: : ___ ／ ＼
: : : : : :＼_____,ノﾉ ｿ (（,,,／_ _ l
: : : :;;（(_(|)_））ﾉ::::ﾉヽ:::（ (_(|)_) ）;;::: |
: : : : : ⌒ _ﾉ "''"´ ﾞﾞ l
: : : : : : . . （ j ） _人_人_
＼: : : : : : :. {ｰ-‐'´｀ｰ-‐/'′ ／| ｷﾞ |
ヽ: : : : : :{ｿﾍﾉ' ―ｰ_（ : : : :ｰイ＜ ﾘ {
: ーｲ : : : : : : ￣￣￣”^ | ｯ ゝ
へwへイ
＿人人人人人人＿
＞ ひぇっ…！ ＜
￣Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ￣
＿人人人人人人人人人人人人＿
＞ し、失礼致しました～！！ ＜
￣Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ￣
・
・
・
・
| |
| |
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ{
| |!
＿＿＿＿|_|ﾄ､
三三三i ＝ }｜ ＿＿__
rfzrfzrく＝くj::{ }/////{
ルルル{リイ!｜ ＿／//////＼
￣￣￣￣| | {＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿}K}三三三三く
| | {三三三三三三三三三三三三三三{乂,ｲ| |! : : :.
| | {玄! }文{イ ! |! : : : :.
| | {rfi{ ＨＯＴＥＬ }fﾏ{ ｜ |! : : : : :.
| | {セi＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__忙ﾘ ゞ＝＝＝彡 . : : : :
＝＝==＜| | {り＞≦i{ ＿＿ ノノ : : : : . . . . . : : : : : .
| | {爿辷之} .／／￣￣ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
| | {k八K{ ／／ . . . . . . . . . . . . . .
| | {＝彡ゞ＝彡ﾞ
| | |i
＝＝==＜| | |i
| | |i
| | |i
| | |i
| | |i
3242 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:09:50 ID:S4b0V18w0 [458/511]
┏────────────────────────────────────────┓
│ホテルに入る時に俺はとても凶悪な顔つきで辺りを睨みまわしたので、従業員は震え上がった。 │
┗────────────────────────────────────────┛
|┃
ｶﾞﾗｯ. |┃
|┃ ﾉ// .／￣￣￣ ＼
|┃三 ／ :::）:::（::: ＼
|┃ ／ （⑪）三（⑪） ＼
|┃ | （__人__） |
|┃三 ＼ ｀ ⌒´ ／
|┃三 ／￣￣￣￣￣￣￣ ＼
／￣￣＼
／ __｣ ヽ､＼
| （ ） （ ） ((● ((●
|U | |
| ___´___ .|
| | ｜ |
ヽ. |.r┬-| /
__ヽ `ー'´ ノ__
┏────────────────────────────────┓
│彼等は俺の目の前では顔を見ようともしなかった。 │
│ただペコペコして俺に従い、俺を部屋に案内をして筆記用具を持って来た。 │
┗────────────────────────────────┛
|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
| |
| |
| | ／￣￣Y￣￣＼
| | ／U へ. へ ＼
| | （○）（○ ） （ ○）（○）
| | | / ij ｜ |
| | {___´__ 彡 __´___ﾉ
| | {`ー'´ `ー'´}
| Y⌒Y| { u 彡 u }
| ゝ=ｲ.| ヽ、 / ノ
| | ﾝ ヽ
| | ／／ |
| | (⌒二_／ | . |
3243 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:10:05 ID:S4b0V18w0 [459/511]
┏────────────────────────────────────────┓
│生命が危険になっているときのハイドは俺にとって初めての経験だった。 │
│彼は激しい怒りに震え、人を苦しめたくてたまらなくて、人殺しをやりかねない程に興奮していた。 │
┗────────────────────────────────────────┛
''''' '''';;;;;;;,,,;;;;;;'''''';;;;,,,, ''';;;;,,, ''';;;,,, ,,,,,;;;;;;'''''';;;;;,,,,,,,,, ,,,,,,;;;;;;;''''''
,,,;;;'''''' '''';;;;;;,,,, '''';;;;,,,, ''';;;, ,,,,;;;;'''' ''';;;;,, '''''';;;;;;,,,,,;;;;;;;;''''''
''''''''' ''''''';;;;;;,,,, ''';;;; ;;'' ,,,;;;;;''''' '''';;;;,,, '''';;; ''''';;;;;;;,,,,,,
''''''''';;;;;;;;,,,, ; ＿＿＿＿ ,,,,,,,,,,;;;;;'''' '; ''''';;;;;,,,
''''';;;;;;;,,,,,,, ''';;, ,. -'"´::::::::::::::::::::::｀¨ ー ､ ''' ' ''';
'''''''''''';;;;;;;,,,,,,, ,,,;;;,,, ／: .ヽ.、 ,,,
,,,,,,;;;;;;;;;''''';;;;;;;;,,,,,,;;;''''' ''''';;; ,.'". } {: ＞ー-ﾐ ..ヽ.、 ';;;,,, ,,,,,;;;;''''''
,,,;;;;''' ''';;;'' /:::::::. j 八,, / ヽ......ﾞヽ、 ''';;;;;,,,,;;;;''''''';;,, ,,,;;''
,,,,;;;;;;''''''' ;' /:::::::..-ﾐ -イ ゞ ' r:. ∨ . ヽ '';;,, ''';;;;;;;,,,,,,,;;;'''''
' /:::: ′ ∨ 廴.... { ゞ' ﾞ: ヽ ';, '''';;;;;''
''';;;,,,,, , /::::::::ﾞ} o } ノー- _j:. 乂 ノ. i ;, '';,,,;';,,;''
''';;, ,,,,,,,,,,;;;;;;;''''/. 八 , -‐=ミ _乂 . :ゞ=-: :￣ l
'';;;;;;;'''';;;;;,,,,,,,,;;;;;;'''''''''''' ,'...... ヾ >-ｲ ﾉ /.::::::::厶斗＝ミ: : } ,;
i. ｰ ".ｲ￣｀ヾ{ ヽ / ''''';;;; ,,,;;;''';;'
',. { ' j. ／ '''';;;;; ,,,,;'';,
,;,, ,,,,,,,;;;;;;;''''''';;;,,,, ヽ、.. 人 八 ._＿__彡. ／ ,;''';,;' ;'''';;;,,,;''' ';,;'
,,,,;;;;'''''';;;;;,,,,;;;;'''''',,,,;;'' ヽ､_.. ゞ二二二二. ／ ,;'' ;' ''';;;;,,,
;;;;;'' ''';;;;;''';,,,,;;;'''; ｀¨i ヽ ,,,;;; '''''';;,,,,
;;;''; / ヽ ''''';;;;,,,,,, ''';;,
/ ヽ
┏─────────────────────────────┓
│それでもハイドはぬけ目がなかったから、強い意志で怒りを抑えた。 │
┗─────────────────────────────┛
3244 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:10:23 ID:S4b0V18w0 [460/511]
┏─────────────────────────────────────┓
│俺はラニョンとプール宛ての二通の重要な手紙を書きあげ、 │
│それが投函されたという実証を受け取る為に、書留郵便にするようにと従業員に命じた。 │
┗─────────────────────────────────────┛
┌──────────────┐
│ │
│ ＝＝＝ |
│ |
│ ＝＝＝＝＝＝ |
│ |
│ ＝＝＝＝＝＝＝＝． |
│ ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ／ ⌒＼ ＿
│ ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝r‐' ／＼ 丶 ｀丶
│ ＝＝＝＝＝＝＝‐＜l三〉‐く三三三三三〔〕 ＼
│ ＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ∧ ﾉ ＼ ﾉ _〕 ヽ
│ ＝＝＝＝＝＝＝＝＝ しﾍ ｀¨¨` |
│ ＝＝＝＝＝． ＼ |
│ ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ヽ -‐ |＿
│ |＼ ／ ＼
│ ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ | 丶 / /￣￣｀
│ ＝＝＝＝＝＝＝＝＝． | ￣〕 ,' ／￣
│ │ ＼| /
└──────────────┘
┏───────────────────────────────┓
│その後は、彼は一日中ホテルの部屋で恐怖に怯えながら腰掛けていた。 │
┗───────────────────────────────┛
＿＿＿
／ ＼::.
／ _ノ ヽ､ _ ＼:: . うう…、怖さのあまりに、
／ oﾟ⌒ ⌒ﾟo ヽ 爪噛みが止まらないお……。
| O （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／ .:.:|
> ﾆﾆ⌒)(⌒ﾆﾉ :|
/ ／ ＾ ヽ ＾ ヽ .:|
（＿＿／＼＿）＿）￣￣￣＼
3245 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:10:37 ID:S4b0V18w0 [461/511]
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ ＼::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::/ :::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::...... ....::::::| |::::::::::::.. ...: ::::::::
:. .::::::::........ . .::::::::::::::::::: | ........... ..:::::
:::: :::::::::... . .... .. . ヽ / . . . ... ..::::: . .. .
＼ ／
－ー
＿＿＿_
／ ＼
／ _ノ ヽ__ ＼
／ （● ） （● ） ＼ 夜も深くなったお。
| （__人__） u | そろそろラニョンとの約束の時間だお。
＼ ｀ ⌒´ ／
/ (__｀ヽ、 u ＼ ラニョンとプールは俺の手紙をちゃんと読んでくれたのか、心配だお。
＼| ｀＼ ＼＿__ﾉ |
| ＼＿＿＿/ |
| {
3246 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:11:01 ID:S4b0V18w0 [462/511]
┏─────────────────────────────────────────┓
│彼はホテルを出て、締め切った辻馬車の片隅に身を置き、ロンドンの街路をあちこち乗り回した。 │
┗─────────────────────────────────────────┛
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
_ ＿＿上ﾆニニニTR
rﾆニニiｦニｺT彡t―.王ニニニニﾆ＝､=┬┬┬-D
├──────''´￣￣￣￣￣||ﾐ:.:.: : ::┴┴┴ｦﾉ
│: : : : : ┌──┐: : : :┌┐: : : :||il───┐li /┬──┐
│┌┐: │┌┐│: : : :││: : : :||: : : : : : ::│:::/:┬┬┬ヲ
ﾌ::││: ││││: : : :││: : : :||:──┬─V:┌───､
/:::││: ││││: : : :││□: :||:──┴ ‐/∧: : : : : : : ＼
＿ /:::::││: │└┘│: : : :││: : : :||: : : : : : : //: : ＼／￣￣￣￣￣/
, ' ´,-i i-｀'､:::::└┘: │ │: : : :└┘: : : :||: : : : : : //: : : : : ／´三三三 ／
../ ハV | | .//ヽ::::: : : : │ │: : : : : : : : : : :ﾉ: : ,､: : //: : : : : /三三三三 / ノ彡ミﾐヾ㌫rﾂ ノ彡ミﾐヾ㌫rﾂ
｛ ﾍ V | |// >',::::::::: :│ │: : : : : : : : : //ノ/∧://＿＿／三三三三 / 彡´ r ﾑ jl 彡´ r ﾑ jl
i.l ＼V..|/ ／／廴､:: :│ │: : : : : : : ／／_ ././//＿_／´￣/￣ヽr――-､ 彡 入 ヶ {l7 彡 入 ヶ {l7
|.|---｛ ヾ／＿｛i|ﾐ: ｰ┴──┴──＜_／ , -''´ ￣ ｀' ､ / //,r ´ ￣ ＝ ｰ イ // ヽ _｣l // ヽ _｣l
|.|_ - ''v/ソ､＿___|.|├─======-==-==-=／／ヽ | /ﾊ 'n二二二二二二二二二⊃ｌ { ハ二㌧ﾘ| { ハ ㌧ﾘ
' , ／/| i ＼￣ | |/i l┴──､ ､ ﾌ ┬─/ /＼ V // >､ ',三三／/{ ﾚ ! !l } ! !l }
.V/ ./ .| .i V//ｦ┘│ ヽ.... │ 7 .ﾄ､＿＞-､／＿ ゝ',三彡ノ t ﾍ ｌ j ｌ j ｌ j ｌ j
V /. . | i ///.. . └─ ｀''---.┤ |＿__it j ｝ﾐ=､ | iﾌ＝. ､ヽ>、 ゝ､、＿ tヘ / ﾉ ﾊ ＿ tヘ / ﾉ ﾊ
＼ﾐー >／／ { ﾊ ／/不/ヽ｀'-i ｝ .｀'{ k 〈 ￣{ V-＜.ハ ￣{ V-＜.ハ
｀ー―''´ ヽ V ./ | ヽ V ./ .l ｢ ㌧こ、 y } ㌧ j y } ㌧ j
＼ソ-.上_＿ｿ／ ﾉｰl ＼ヽ } l ヽ‘、 } l ヽ‘、
｀''ー---'''´ .ゝｰ'’ ヽ＼ ﾉン ｖ`、 ﾉン ｖ`、
辷イ／ yﾍ、／ yﾍ、
し' 辷 ｺ 辷 ｺ
3247 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:11:16 ID:S4b0V18w0 [463/511]
┏──────────────────┓
│俺はこの男を「彼」と呼ぶ。 │
│「俺」とどうしても言うことができないからだ。│
┗──────────────────┛
ヘ´￣￣￣￣￣￣￣丶、
／ .｜ : | ､｜, ﾉ u ＼ ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
／ し J _}i|{ し _ ＼
／ U. ﾉ从 ､ __／´ ＼
／ _,ノ⌒'ー=彡' ｀Tﾆ 彡- ミヽ ＼
／ し' ／ ／⌒ヽ ､こニ八 {/ ． ヽヽ ヽ
| （ ・ } ｀ ｀ﾞ廴＿_,ノ ﾉ |
| | ヽゞｰ=彡 ' | ヾｰ u !
| U し ,／ | ｀ヽ /
ヽ /{ 冫ヽ }ゞ、 /
＼ :人_＿ ,ノェェゝ─―´,､＼ ／
＼ /八 ;ｪｪｪェェｴｴエエｴｪゞ、｀, ／
` ｰ-v'、 ｀¨´ー―――‐―´ ヽ ／
i ＼＿ ）￣|
| 丶 ｀¨¨´ -‐… ／ / |
3248 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:11:38 ID:S4b0V18w0 [464/511]
┏────────────────────────────────────────┓
│この地獄の子は人間らしいところが少しもなかった。彼の中にあるのは恐怖と憎悪だけだった。 │
┗────────────────────────────────────────┛
＼;;;;;;;;;;;;;;;＼ ｀゛ i--.... ..、 ﾞｌ､;;;;;;;;;;; ! ｌ;;;;;.! ./ ;;;;;;;;;;;;;;;;:
: t 、＼;;;;;;;;ﾘｉ,;;; ! .ﾄ、 _..-''ﾞ￣ﾞﾞ'''-､L;;;;;;;;;;｀''-..、 ｀''､;;;;;;ヽ, l;;;;;;;.ｌ/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.ヽ＼.ヽ;;;;;;ﾞV;;;｝ ,!.ｌ ./ ;;;;;;;;;.,..-‐'''''''''''ｰ ､;;;;;;;;;;;;;｀'x .v､`ぃ;;;;ヽ, . ｌ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ｎ．
.ヽ;;ﾞ'' l'､;;;;;;;;.l /;;;.! ./;;;;;;; ／ ,..-‐''ｯ ,,､｀'./ ;;;;;;;;;;ヽ, ﾞ'.ｌ' li.;;;;;;;＼,, .ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ｌ,
!、 .ヽ;;;;;ﾞ!ｺ;;;,iジ;;;;│ ,!;;;;;;/_, .! ｰ゛ .ｌヽ ｌ;;;;;;;;;;;;;;;;.! ｌ;;";;;;;;;;;;;;;＼ ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;"
;;.ｌ. .li.ｌ;;;;;;″;;;;;;;;;;;;;l. !;;;;;;;;;;/, ┐ 、 .i､.iii ﾞ' ! |;;;;;;;;;;;;;;; l .!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼、 ヽ,;;;;;;;;;;;;;;;;;:
;;;;.ｌ l;;;;;;;;;;;;...-､､;;;; ｌ .|;;;;;;;;;;'!ﾞ;./ . |ﾊ､,_.x、 .|;;;;;;;;;;;;;;;;│ .!;;;;;__;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀'-､,,｀''-_;;;;;;;
;;;;; ! .ｌ;;;;;;;;;'~ﾞﾞﾞ＞⊥;.! .し;;;;;;;;;./ ,i";;;;;;;;;;｀ ! l;;;;;;;;;;;;;;;;;;｝ !;;;; ! .!;;;;__,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞゝ､,ﾞ''-．
;;;;;; ! .!;;;;;,./ '´ ｀''i;;;｝ .!;;;;;;;;.! /;ヾﾍ;i､;;; l ./ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;! !;;;; l !;;;;｀'''√''''ｰ､､;;;;;;;;;;;;;~″
;;;;;;; ! .,!;/゛ ,、 i､.!;;lﾞ _,,!;;;;;;;;;;;| .lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;.│ ,!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;│ !;;;;/.,/;;;;;;;;;;;;＼_ ｀''-､;;;;;;;;
;;;;;;;;;! .!;;;|、 〃 |｝.!;;ﾞ''i .!;;;;;;;;;;;;;;;;凵;;;;;;;;;;;;;;;;;; | |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ /;;;/ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￣ヽ ﾞ'､;;;:
;;;;;;;;;! .|;;; ! ‐ｒ .!;;;;;.! !;;;;;;;;;;;;;;;;!.!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.! _.!､;;;;;;;;;;;;;;;;./ /;;;.ゞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ ｀‐
;;;;;;;;| l;;;; ! !'~''"| .!;;;;;;;! .|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ｌ, ﾘ､'│;;;;;; / ./丶;;;;;;;;;;;;;;;;;_,,.........､;;;;;;;;;;;;;;`'､
;;;;;;;lﾞ lﾞ;;;;;;.! |";' l !;;;;;;;!､ヽ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;xv､ _;ヽ.ｌ}、ヽ;;./ ,,/;;;;;;;;;;;;;;,,./ ゛ ,／ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
;;;;;/ .!;;;;;;;;;ヽ,|、;;;;| lﾞ;;;;;;_,,..ゝﾞ''i;;;;;;;;;;;;;;;;;;_;_.;;;;;;;;｀'' |>,ﾞl|/;; ｀゛ ./ﾞ;;;;;;;;;;; ／ ┴￢'ｰ-､;;;;;;;;;;o ｨ″
;;;/ /;;;;;__;;;;;;;ﾞ!ﾐ;;;;,ﾞ,.ｌ;;,ﾞ,, -'''ﾞﾞﾞ";;;;;;;;;;;ﾞﾞｰ ,_｀ﾞ''ー､.;;ﾞ '.ｌ'''''ﾞ ./;,､;;;;;;;;'ﾘ′ __,,,,ゝ;;;;;;;.＼.
;/ / ;;;;;`l.フr;;;;;;;;;;;;;_,,..―'''''''''''''ｰ ..,,;;;;;;;;;;;;;;;｀''-､ ﾞく;;ヽ .!'",/;;;; / _,, -‐'''ﾞ´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
".,./ ;;;;;;;;;;;!ﾞ;;;;;;;;,,./ ´ ,i'､ .,,､ ｀'''､.;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ'､ .ｌ;;; l / ;;;;;;.ｌ ,／ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,r" ./ﾞン′ ヽヽ `ぃ;;;ﾞﾐi.;;;; ｌ .!;;;.! ｌ;;;;;;;;;;;.! .／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,..-''''ﾞﾞﾞ￣￣ﾞﾞ''-
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,i"_， !ヾ 〟 _．｀ﾏ ヽ; l. };;;/│;;;,! .l;;;;;;;;ノ / ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／ iｰ ,,.
;;;;;;;,iﾘ;;;;;;;;,l/ﾞ;i|八〟 .,..,ii''７ﾆ'>i､ _,r､/;;;l/ / . !;./ l;;;;;/ ./;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./ ., ┐ ｀'､;;ﾞ'､
'.!;/./;;;;;;;;;";;;;;;;;;;;;l .,i'ﾞ‐';~丶;｀;;;/ /丶;;;;;;;;;;;lr‐'シﾞ .ｌ; ! .!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./ ./;;;/ .ヽ;/
. ﾞ",!;;;;;;;;;/'l,;;;;;;;;;;,! /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ !;;;;;;;;;;;;;;;;;,／ .‘゛ !;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ '､_./ .．
3249 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:11:52 ID:S4b0V18w0 [465/511]
ｼﾞﾛｼﾞﾛ
∧＿∧
（ ´∀｀ ） …………。
と´ ヽ
(⌒(⌒ _)
＿＿＿
／ ＼
／ノ ＼ u. ＼
（馬車の御者が俺を怪しんでいるみたいだお。 ／ （●） （●） ＼
これ以上は乗り続けるのは危険だお。） | （__人__） u. |
＼ u.｀ ⌒´ ／
ノ ＼
／´ ヽ
3250 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:12:04 ID:S4b0V18w0 [466/511]
,,,,,,-ｰｰ- ､
,,,-'´ .｀ヽ､
. ／ ヽ
/ .ヽ
/ ヽ ｽｯ
. i i
. ヽ /
. ヽ /
ヽ - ､ ノｰ‐--- ､
. `ヽ､ Y Y,,,‐'´ ', おつりはいらねーお！
>‐|i...::::: _ｌ:::｀ヽ 彡 ',
. ／ ｜￣ :| ｀ ､ノ ,
. Y´ { ,,,,... ／ | ,
{ ィ､ |ｰく ',
. ｀,ｰ ´ ﾊ ヽ ノ ヽ
. / ﾉ } ∨ ヽ ／ ',
〈 , ' ヽノ´ }
ｰ‐' ヽ l ｀ヽ / f´￣￣￣ヽ
＼,ノ / | えっ？
. / / ヽ＿＿＿乂_
{ /
3251 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:12:21 ID:S4b0V18w0 [467/511]
＿人人人人人人人＿
＞ ああっ！？ ＜
＞ お客さん！？ ＜
￣Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ￣
i´￣｀i
⊂ニ二⊃
!ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾕr （,,´Д｀)
| ||￣||￣￣||￣|| |l /~つ∞つ､ ＿
| ||＿||＿＿||＿|| |lrｰﾑ.＿,バ､ ￣｀ヽ __ ∧＿
| ￣￣ |l|_／￣､_）､_） ｀ ､彡 ・,＿）
, =＝=､ 、 |l＿＿＿__ﾉｌ _,,--───'ll~ ,／
〃＼| ／ヾヽ._＿＿＿_|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾝﾞ=============＠_）
||―.◎― ||､ヽ───ﾉ 〃 ､! , ヽ ノ 〉/￣￣￣ | |
ヾ／ | ＼〃 ｀￣￣￣´ {l,ｰ◎ｰ } | | | |
`＝=＝' ヾ._ !__,ﾝ ﾋ! ﾋ!
＿＿___
r⌒ヽ､ . ／ ＼ /＼
/ ＼ ＼. ／ （ ●）三（ ●）
_/ / ヽ ／ （__人__） ＼
〈__／ . | | u ｀ ⌒´ |
/ .＼ i⌒＼ /
/ ／ ⌒ヽ, ＿.ヽ .＼／
. _＿ r ／ |／ｰ､＼ ＼
. "ヽ | i, ﾉ .＼＾ i
. | ヽ./ ヽ､_../ / . ヽ､__ノ
. i / ／/ .／
. ヽ､_.／ ./ ／
/ ／
. ノ.＾/ ﾀﾞｯ
|_／
3252 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:12:38 ID:S4b0V18w0 [468/511]
_
（(tｭ)）
＿ ,, ‐,,=＝―=‐,- ､、_
l´ ｌ｀,)）,／ 12 ヽ（ ｀＼
ゝ-‐､ / ヽ│ ' ヽ ヽ
/ ,- '_l 9 ‘' ,3 ｌ l l 深夜１２時までには、
ヽ ／ ﾉ、 ,/ :! l まだ時間があるのかお……。
〈 ｌ´ ノ ､、,,_ 6 _,／ .::/ l
`ヽ ヽ:．,,＿ 二二;;;;;:::．'' ヽ
, ''¨´￣‘―‐' ￣｀¨ 、 ＼
l'、::::.... ..:;ﾉ -―‐- ､
ヽ ,''_－-- --－_'',ノ―:::::::――-､
￣g￣￣ l,／:::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
g l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
g ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
|:::::::::::::|
|:::::::::::::| ﾒ
＿＿＿＿＿＿__ ＿＿＿＿＿＿_ |:::::::::::::|
| .:,i| | .:,i| |:::::::::::::|
||￣||￣|||￣||￣|| ||￣||￣|||￣||￣|| |:::::::::::::|
||￣||￣|||￣||￣|| ||￣||￣|||￣||￣|| |:::::::::::::| ,/二二ヽ
||￣||￣|||￣||￣|| ||￣||￣|||￣||￣|| |:::::::::::::| | |
||￣||￣|||￣||￣|| ||￣||￣|||￣||￣|| |:::::::::::::| |＿＿＿|
|￣￣￣￣￣￣i| :|￣￣￣￣￣￣i| |:::::::::::::|
~￣￣￣￣￣￣ ~￣￣￣￣￣￣ ∧ ∧ .:|:::::::::::::|; ＿n__
∧＿∧ ﾒ /)ﾟ- ﾟ,,) ﾞ;|::::::／ | .:[＿＿;;]
∧＿∧´∀｀ ） ｷ ヽ |） |／ ,;.:|＿＿＿| l￣l :|＿
, ´_ゝ） .と ）￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣| |～ |_l＿l_,l
）'ヽ Ｙ ,; ,。 し｀J
人 Y し'（＿）
_（_＿）＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
: ' . '
|＿＿ ＼_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人／
| ＼ _） （_
| 、＿ ＼ _） ああ、早く１２時になってくれお！ （_
| （○） i|| ＼ _） 俺は人がいる場所にはいたくないんだお！！ （_
|人__） | _） （_
|⌒´ ／ ／⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
(⌒ー─' ）
3253 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:13:01 ID:S4b0V18w0 [469/511]
r┐ ,-､ ＿
「 |_二 レ' / -=' ／!
_ﾉ | r_フ／／
| ィ 「| .| ／／「|「|/7 /|
| | !/ }／ // M/ .|／|＿
ﾚ ´ ／
ヽ Z
ﾍヽ ＼
／ ／ ヽ ′ | i
| ｀ヽ´ ｀ ヽ ﾚ'、 |; ',─‐----、
│ l l、 | | } |｀{ ',
! i l | l. | | ﾍ ',
| |. l │ |. i l ｀ ー'
!､ | | | |. i l
|. ｌ | | | l
, --´ ! l ｀--´
｀--´
──────────────────────────────────────
. | ゝ---=彡 ::::::ヽ
, ::::::::::}
′ ( :::::::::丿
. 丶 ー,＾ー′ ！？
＞ 丶::::＿_ -=彡
. / :::::::i
/ ::::::::|
. / :::::::::|
──────────────────────────────────────
3254 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:13:31 ID:S4b0V18w0 [470/511]
,. :'´￣￣｀ ｰ - ､
／: : : :／: : : :｀ﾄ､: : :＼
,': :∧〉/ l/ }:l:/l,: } ヽ.ﾊ ﾍ
{: /:/ /ゝﾉｲ ﾉ l/─ }_} ! |
|: ﾚ': :|: : {（●） （●）ｌ;小| お兄さん、道に迷ったの？
|: i: :（|⊂⊃ , ゝ ⊂l ! l.! それならこのマッチ箱を買いなよ。
ﾊi : : |: : :| `ｰ=-' ,丿Vﾄ、 暗い夜道も少しは明るくなるわよ。
/ ;ﾙlﾊレVl＞ 、.__, イﾉ{!;人:｀ヽ、
/:⊂⌒ヽ/ ヽ /⌒つ}
,': :,' ＼ ヽ / ヽ /ｉ: :l
ｉ: :l ＼_,,ノ |､＿ノ l: :ｊ
r≦ l . __ __
|／ i| |k_| |k_|
|ｔ_ il＿＿＿__
| V ￣∥＿／
| X /￣ .r＝, i＼i＼
|/ ,i| ＿＿_|i l＿___ V/V/
| i| .Ⅶ ___/ i＿.i＼;i|
＼/ V |iVil .| ,i|
i／ |,／i|
＿_,| __| i＼i＼ ／∥
＿人人人人人人人人人＿ ＼i.._/／ . .V/V/ l//i
＞ きゃああああっ！！ ＜ /／
￣Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ￣ ／
-‐ '´￣￣｀ヽ､
／: :,／/; : :ﾄ､: ヽ: ノ￣￣｀ヽ、―ニ
/: : :/l/ }:l:/l,:} ＼_/ ´｀ヽ _ 三,:三ー三,:
（● ）ｏ {/ /ゝ､ﾉｲ ﾉlｿ ⌒} ノヽ--/￣ , ｀ ｀￣￣￣
ﾟ |l/ _）_） （◎)}、ー‐し'ゝL _
|/:l:l （_人/⌒ (jｒ--‐‐'´} ;ーー------
。 i.ﾍｏ 。/ （ |ヾ---‐'ーｒ‐'"＝＝
／ ;ﾊレ! （__ン イ: : :!;ﾊ人:｀ヽ、
/: : ;'. _r‐' {￣rj {!ﾊl;ハ ヽ: :ヽ
: : ,' / ＼ |ヽ. ／ } / }､ ｉ: : l
3255 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:13:52 ID:S4b0V18w0 [471/511]
┏────────────────────────────────────────────┓
│ラニョンの家でジーキルに戻ったとき、彼の恐怖と非難の声に俺は多少は心を動かされたかもしれない。 │
┗────────────────────────────────────────────┛
,ﾉv'// 三ﾐ
_ｒ'´￣ l ｀ヽ.
//／ ﾉl ＼
l ,ﾊ ﾉﾘ／,/ノィ ﾊ
V （ ヽ 彡ィ ﾉ
/三二 ､_ ﾄ､ _,.,..､ 、 ﾄ-! ' ￣ヽ
＿ ﾚ彡 ヾ ｀ﾝ ﾊﾞ l ﾊﾉ':::l }
/´ ￣¨｀ヽｌ ＼.__,ノi. l | l ﾘ ､ .ｒ'::／、!、 ﾘ
{ | __,. ,ノ ,ﾉ,....ﾉﾑ-::::､ﾐ､ ｨﾀィ´ lﾘ ソ
＼.__ /ヽ ／ ﾉノ,! ─ｒｔッフ´, {｀ヽ ﾊ、＿／￣¨::
__V ￣ i ∧ ,/ {¨ﾞヽ({. ￣ ヽ : ', ヽ. |___:::::::::::::::::::
,.ｲ´ ＼＿ ,ｨ' ＼..ノヽ. ） ｀ヽ ｀ｒt.ﾗ ｌﾚ!::::::｀ヽ::::::::::
,.-‐一' l /} i ハ.ノ l｀¨ ﾍ ', ,._一1 ./!:::::::::::::＼::::
... /（ i ; / ヽ..,＿_,／ ',／l ＼ ｀ｰ_'"_, / |￣＼::::::::ヽ:
_,ノl } :| / ヽ ＼ ＞ 、 /:: :! ヽ:::::::::
/´ .| ｌ / ＼. 丶、 : : : ::::＞-‐':: : :| ,.--､＼::
. | ,ｊ {＿ _,ノヽ i /／ ＼. ＼ 、: : :::::::::::::: : :! ／ __）_/
. ！ {ー‐ ' ＼ ＼ li/ ＼ ＼丶、: :::::＿／ ／
ヽ ヽ ＼ ヽ ／｀ヽ. 〉::::::::＼ ￣ ＼ ヽ
.／￣￣＼
.／ ＼
| ー ‐ i
| （ ○） （ ○）
| （__人__）
| `⌒´i
ヽ. ﾉ
ヽ ノ
／ ＼ ＼
| ＼, -‐- 、-‐- 、
|＼ ＼. （"￣ .入
| ＼ " ￣￣￣ ）
| ／ ＼,,＿＿＿＿＿__人
| ／＼ ＼ ＼
ヽ,_＿＿_／;__＿＼ ＼,,_ ＼,,__
（＿＿＿＿__）＿__）
┏──────────────────────────────────────────────┓
│だが、俺には分からない。 │
│ラニョンの恐怖などは、俺がそれまでの数時間を思い出すときの恐怖に比べたら大海の一滴に過ぎなかった。 │
┗──────────────────────────────────────────────┛
3256 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:14:09 ID:S4b0V18w0 [472/511]
┏───────────────────────────┓
│俺には一つの変化が起こっていた。 │
│俺を苦しみは絞首台ではなく、ハイドに変わることの恐怖だった。 │
┗───────────────────────────┛
,- ───´￣￣￣｀ヽ､
／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ
／ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ､
／ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀､
／ ::::::::::::::::::::::,-‐--::::::::::::::｀ヽ､
| ::::::::::::::／ ´::::::::::::::::::::::::::::::::ﾞ｀r───､-､＿
r´ ::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾞ :::::::::::::::::::::::::｀ヽ､
l ＿ ｀ﾞﾞﾞﾞ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::´:::::::::::::::::::::::::::::::::
lﾞ ,,,===＝=､λ ￣￣￣｀l;:::::::::::::::::.::::::::::::::::::::::::::::::::::
| 〃 _ l}ﾄ､,, l;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ﾞl l|| {◎ ,}| lイ ／/::::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ヽ､ 》､/i |＿,彡ｿ´ﾉ ,r-彡´_ノ::::::::´､ﾞﾞﾞ ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ｀:::::::
ヽ ｀二二三彡´ ﾞ ／／｀￣ ::::ﾞ彡ﾞ :::::
｀､ ｀￣´ |l ノ´/ Γ..::::::ﾞﾞﾞ :::::
〉 ｀‐--＝ﾆ_ノ ＿,::´ﾞ ..::::
｀､ ,-‐ ´ ..:::::::
ヽ､ ,,,彡ﾞ ヽ ..::::::::::::
｀＞ ＿＿ --=ﾞ´ ヽ､, , ...:::::::::::::::
/ r´ ｀l, . ｀￣｀＝´￣｀￣｀ヾ
// , 〈 ﾐ,
| l ｀l i´＿〕) __ ,ﾉｿﾞ ､
r─‐､ | レ l､＿__ノ｀l /⌒､＼ ノ´ﾞ ヽ
丿 -｀‐ ､,/´ , ヽ, .|i ｔ人, _ ヽ,
l,, ｀-､ ﾞ｀ ／ l､,‐へ_ ,rﾞ li
＼ ,- ､｀､ ,／て ｀ り /, ヾ､,
＼j､＿_）ﾉ ＿,､ ´ |l , ﾉ ,ノ,;ﾞ ヽ ,
｀| -┴〈 ｀ヽ ヾ､ ,ノ<´ ﾉ,ﾞ
l ／ヽ ＿＿＿／ﾞ /:;
｀‐┬──´ ﾉ ´ ノ::;ﾞﾞ ﾚ::;
ヽ＿＿_／ ｀─‐ ´ :;i! ヾ､;
|
i!
ﾄ
ヾ､
3257 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:14:32 ID:S4b0V18w0 [473/511]
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::::::::::: :::::::::::::::::: ／／／／／／／" ;ゞ "; ;ゞ ;"
二二二二二二二］］ ／／／／／／／" ;ゞ "ヾゞ; ;ゞ "
┌─┐ |;; | ／／／／／／／;ヾ ;"/" ; ;ヾ ;ヾ ;
~''^'-^ﾞ-､'~''^-^ﾞ-､ | ／／／／／／／; ;ヾ ; " " ヾ ; " ; "
:::::::::::::::::ﾞ-:::::::::::::::ﾞ-|￣"-,,_ ￣￣|￣￣￣￣ヾ ;"; "i "; ;ヾ; ;ヾ; ;ﾒヾ
:::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::i￣"-,,_| | ヽ゛;ゞ ;" "ゝゞ ; ;; ; ゞ゛; ; ゞ
::;;;;;;::::__,,-''~i､;;;;;__,,'':: i,..|"-i.| | ヽ丶 ヾ ;"; "i "; ;ヾ; ;ヾ; ;
:::::::::|.レ／:::::::i |:::::::::,:,i. i"-l.| | ヽ;ゞ ;" "ゝゞ ; ; ; ゞ ; ;ヾ ; ;
,,-''ｿ／::::::::::;/::::::::::;/::.. ... | ,,| ヾ ;"; "i "; ;ヾ; ;ヾ; ;ﾒ
;;;;//::::::::,-'~/:::.::,,-'|::::.. |"-i.|^-､ _,,-'~''^'-^ﾞ-､'~゛ ヾ; ヾ; ;ゞ "＼;;ｉi ;ｉiメｿ
y /_,,-''~y /_ .-''|;; |::::.. |"-i.|:::::ﾞi ノ:::::::::::::::::::::::::::ﾞ-:::::::::::::::ﾞ- :::::::::::::|;l!ｌ| |ｌ|::::::
／￣￣＼
／ ⌒ ⌒ ＼
| （ ●）（●） | さわやかな朝だ……。
. | （__人__） | 昨夜は久しぶりにぐっすり眠れたな……。
| ＼＿) |
. | } 無事に家に帰ってこれたから、安心して力が一気に抜けたんだろうな。
. ヽ }
ヽ ノ
/ く
3258 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:14:54 ID:S4b0V18w0 [474/511]
. ／￣￣＼
. ／ ＼
. | _ノ ヽ､. .|
. !. （一）（ー） ｜ 俺はどうやってこの家に帰ったんだっけ……。
, っ （__人__） |
. / ミ） ｀⌒´ / 昨夜のラニョンのことも、床についたことも、半ば夢心地だったんだ。
. / ノゝ /
i ﾚ'´ ヽ
| |／| | |
／￣￣￣￣｀
／ ＼
/ ヽ
. / ｰ―‐=彡 ‘，
| ｰ┬‐ｔ_圦 ＼＿__/
| ￣￣ r‐ｔ_ミ /
| / | ー一' /
| | （＿___ノ ） / ラニョンか……。
| | ＿ `ｰ‐' / あのおぞましい変身を見たラニョンは大丈夫なんだろうか。
. | Λ; : ｀ヽ /
| i ‘; ;::. .; ; :/ ショックのあまりに、心を病んでしまうかもしれないな……。
. _| ｌ ‘;. :;. ; ;.: .; : ;／
／ | }ﾆ≧=-' ; : ／ |＼
. ／ | | ￣ | ＼
／::| ＼ | | |
￣￣￣￣::::::::| Λ | | Λ＼__
::::::::::::::::::::::::::::::| Λ ＿ / Λ::::::::::::::......__
::::::::::::::::::::::::::::/／＼ Λ￣＼ ／ / ／＼ Λ:::::::::::::::::::::::::........_
::::::::::::::::::::::::::´::::::::::::|＼ Λ /／ |:::::＼Λ::::::::::::::::::::::::::::::::Λ
3259 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:15:09 ID:S4b0V18w0 [475/511]
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ●）（●）
. | u. （__人__）
| ｀ ⌒´ﾉ
. | } それにしても、ハイドはあんなに死刑を恐れているのに、
. ヽ } なぜラニョンに自分の変身を見せたんだ？
ヽ ノ
i⌒＼ ,__(‐- ､
l ＼ 巛ー─;＼
| ｀ヽ-‐ーく＿）
. | l
／´￣￣ ￣￣｀＼.
／: : : : ＼
/: : : : : '.,
|: : : : :|
| : :u : : : : : ., :| 学問上の対立で、忌々しい奴だと思うことは確かにあった。
|:: : : :＿ ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_ :|
|::::;;;（ ●） ﾉヽ （ ● ） ;;:::| だがそれだけだ。
|: : : ´"''", "''"´ :l それだけの理由で古い友人を傷つけたいなど思う筈がないだろ！
',: : . . （ j ） ./
＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′ /ハｰ､＿_ まさか……、大きなショックを受けさせて、
／: : r':| r'￣二ﾕ ./ : ',: :: :: :＼＿_ 二度と起き上がれないようにする為に見せたのか……？
: : : : | .| | / ) ｀) ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
: : : : |.ﾉ. ﾉ / ⌒ヽ＿ ／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
: :: :: :＼ ヽ- ´ .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
: :: :: : l: ｀ー┬-､ ト､. /: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
: : ┐|: :: :: :: :＼） ７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
: : イ .|__/ ,へ/⌒＼ ./iiii〈 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
イノ : : / /: :: :＼＿ ￣＼ii｝ |: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|
3260 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:15:30 ID:S4b0V18w0 [476/511]
|l l|
|l l|
|l l|
|l U l|
|il li|
|il ／ ＼ li|
|il ／ し ＼ li|
|il __／___ U ＿_＼ li|
|il 〃´￣￣｀`ヾ |l|l|l|l|l|l|l|l／´￣￣｀`ヾ li|
|il j{ l|l|l|l|l|l|l|l|l|lll }ｉ li|
|il {{ ＼_|_|_/ |ｌ|l|l|l|l|l|l|l|l|ｌ|ｌ|ｌ|ｌ _|_|_／ }} ll li|
lil 人 二{::::::::} l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|{::::::::}二 ノ li| ！！！
|il し し li|
|il U li|
|il ＼ ／ | ＼ ／ li|
|il i| 〈 人 〉 |i li|
|il ｀ ｰ┬――一'TT｀ー―――┬' li|
|il {{ 凵凵凵凵凵凵凵凵凵凵 }} li|
|il {{ |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| }} li|
|i {{ |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| }} i|
|i {{ |:::::::::／⌒⌒⌒⌒＼::::::::::| }} し li|
. |i 冂冂冂冂冂冂冂冂冂冂 i|
|i ≧================≦ i|
3261 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:15:47 ID:S4b0V18w0 [477/511]
┏────────────────────────────────┓
│必死で書斎に逃げ込んだとき、既に俺はハイドの激情と怒りで震えていた。 │
┗────────────────────────────────┛
{ u ノ／⌒￣￣'￣￣） 三 二
ヽ ／￣¨￣￣
(⌒ヽ､ ／ ヽ く
＼ ヽ ／＼ ＼
＼＿_／ ＼ ＼
／ ﾉ ＼三 二
／ ／＼ ＼
｛ ────ヘ ＼
＼＿＿＿＿ソ ヽ ＼ 三 二
ヽ､_ｿ ＼ ＼
） __〉 三 二
（＿__ノ
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
|┃┃
|┃┃ ＿人人人人人人人人人人人人人人人人＿
三三三 |┃┃ ＞ ゼェゼェ……。 ＜
|┃┃ ＞ なんでまた変身しちまうんだお！？ ＜
／￣￣￣ ＼ |┃┃ ￣Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^￣
／ :::::＼:::／＼三三三|┃┃
_ ／ u <〇>liiil<〇> |┃┃
(((とヽ| u （__人__） .j |┃┃
＼ ＼、 |ｌ!ｉｌ!ｉｌ| .／ |┃┃て
‐=≡ ／ｰ-.l`‐-‐＜￣｀`ヽ( |┃┃ て
‐=≡（ ⌒⌒￣￣`r::＼ヽ |┃┃ そﾊﾞﾀﾝ!
=≡ (´ｰ-､_,. -‐'´／l . ヾ_つ.;. |┃┃ て
(￣￣ ゝゝ ／ |┃┃そ
｀ﾞ´ ＼／ ／ 三三三 |┃┃
( ／ |┃┃
＼ J |┃┃
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
3262 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:16:03 ID:S4b0V18w0 [478/511]
＿＿＿_
／ ＼
／ u ノ ＼
／ u （●） ＼ 薬の効果がどんどん薄くなっていくお。
| （__人__）| もっと多く飲むしかないのかお……？
＼ u .｀ ⌒／
ノ ＼
／´ ヽ
ｨ彡三ﾐヽ /｀ ｨ彡三ﾐヽ
彡'⌒ヾﾐヽ ＿__ ー彡'⌒ヾﾐヽ
ヾ､ |￣ | /
＿ ｀ー―' | | ｀ー―'
彡三ミﾐヽ | | 彡三ミﾐヽ
彡' ヾ､ ＿ノ | | ＼＿ ヾ´ ´ミ
｀ー ' ﾉ ﾊ ｀ー ´
,ｨ彡三ﾆﾐヽ ＿_ノ ／ ＼ ,ｨ彡三ﾆﾐヽ
彡' / .ﾍ ミ'
＿ ＿＿ ノ l─────l ＿
,ｨ彡' . ﾍ / ,ｨミ'
ﾐ三彡' ／⌒ ｀ー--一'´ ﾐ三ミ'
ｨﾆﾆ=- ' ｨﾆﾆ=- '
,ｨ彡' ｀ミｨ,
3263 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:16:18 ID:S4b0V18w0 [479/511]
┏────────────────────────────────────────┓
│だが悲しいことに、六時間後、憂鬱に暖炉の炎を眺めながら腰かけている時に例の発作が戻り、│
│俺は再び薬を飲まなければならなかった。 │
┗────────────────────────────────────────┛
_ノ ヽ､_
((○）) (（○）)
（__人__)
|!il|!|!| /
|ｪｪｪ|
u
| │
| ｌ| ｌ |l
| ｌ| | |l |
| ｌ| | |l |
| ｌ| |
／ ＼
| (::::::::::) (:::::::) |
. | （::::::::::::) |
. |. |::::::::| |
. | |::::::::| }
. ヽ ￣ }
ヽ ノ
/ く
3264 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:16:39 ID:S4b0V18w0 [480/511]
┏───────────────────────────────────────────────────┓
│手短に言うと、その日以降の俺は「体操をするような非常な努力」と「薬の効果」だけでジーキルの姿を維持していたようだ。 │
┗───────────────────────────────────────────────────┛
zzz…
＿＿
／ ＼
| ＼_ .|
| (＿） |
＿_(人__） ＿＿|,二ヽ- 、
∠爪∠!´￣ .｀l ＼
（＿＿＿∨ ヽヽ、/ ∧
∨ ∧ .｀ー ‐ヽ、´ヽ ∧
∨ ∧ ＼ ヽ ﾞ∧
∨ ∧ .∨ | ∧
∨ ∧ ） ｀ヽ |
∨ ∧ /_ .| ﾞ＼|
_∨_, -｀─::´￣::::::＼/. ＼〉
/´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|_ ＼/
|::::::::::::::,:::::::::::::::::::::::::::::::::::,＼＿_ゝ
X/:::::::::::::,!|￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
／:/::::::::::::/ .T'.TT￣￣￣￣￣TT'.T
／::::/ ::::::::: / .| | | | | | 人
. ,- ､＿_／｀ :::::/::::::::::: / | | | | | | て
. ＼ l ｀ヽ､__」::::::::::::/ .| | | | | | ＿＿＿_ 〈
. ＼_＼ ∧:::::::::/ | | | | | | ／ノ ヽ､_＼ r ⌒j
ﾞi__＼_ ∧::::/ .| | | | | | ／（ ○）}liil{（○）＼ / /
ﾞi__∨ | |_ｌ |_| | ／ （__人__） ＼/ / ／ ）
￣. ￣ | |i|||||||i| / / ／ ／
＼ |ｪｪｪｪ| / '` ´ ／
r´ (⌒'ー―- イ′ ´廴
/ ＞ 、 ヽ _ ￣￣￣)
/ -､ } ( ￣¨´
/ ヽ._ __ ＼
｀ --‐'´ ｀ﾞ' 、_.)
┏──────────────────────────────────────────┓
│昼となく夜となく、終始俺はあの変身の前知らせの発作に襲われた。 │
│俺が椅子に腰かけたまま少しウトウト眠ってしまうと、目を覚ましたときには必ずハイドになっていた。 │
┗──────────────────────────────────────────┛
3265 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:17:01 ID:S4b0V18w0 [481/511]
＿＿＿＿＿＿_
／l＿＿＿＿＿＿l＼
／／ ＿＿＿＿＿ ＼＼..
／／ ／11 12 １＼ ＼＼.. ﾁｯﾁｯﾁｯ…
|￣| /10. .２ヽ |￣|::..
| | .| | | |;::::
| | .|９ ,.･――‐ ３| | |;::::
| | .| / | | |;::::
|＿| ヽ８ ４/ |＿|;::::
＼＼ ＼ ７ ６ ５／ ／／;::::
＼＼ ￣￣￣￣￣ ／／;::::
l＼l￣￣￣￣￣￣l／l;;:::
／ ￣￣￣￣￣￣ .＼;;::::
|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__.|;;::::
.＿__
.／ ノヽ＼
;| （○）（○|: 眠ってはいけない……。
:|ヽ (_人_)/;
. :| |. ⌒ .|; ハイドを外に出したら、
:h ／; またダンヴァーズ卿やラニョンのような犠牲者を出してしまう……。
:| /; ’
/ く､ ＼
;| ＼＼_ ＼
;|ミ |`ー＝っ ＼
∠＿
u. ／ /:::::cヾ､､ u.
＿ ､､ .j!/ .{::::::::jiiﾘ ilili
.. ..￣二≧､i!j. `゛'‐''’ // 薬を飲んでも以前のような激痛も少なくなり、
/ {:::c::j u. ヾﾆ‐- 簡単にハイドに変身してしまう！
.. .{. ヾ-'' i!j ヾ
ヾﾆ=‐'' j! i} 俺の身体はどんどんハイドに乗っ取られようとしているのか！？
{! .人 /ilヾ u.
ヾ、 ／. `' = ‐ --‐ .''’圭圭j
ヾ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ｊ
.'!圭圭圭圭圭圭圭圭圭lii
.'!圭圭圭圭圭圭圭圭i／
ヾ三二＝＝二二三/
3266 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:17:21 ID:S4b0V18w0 [482/511]
┏──────────────────────────────┓
│絶えず差し迫ってくる運命に圧迫され、また人間を超えた不眠にも陥り、 │
│俺は自分自身の姿をしていても興奮の為に消耗尽くした人間となった。 │
┗──────────────────────────────┛
､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i |::.:.: ::. :.:.;.... ::::::::::::::::::::i. ::::: i::::::::::::::::
｀ヽ、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i i::.. ::.. ...::: .....:::::::::::::::::::::::::ヽ :: i:::::::::::::::::::
＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i i:: ::. :::::::..:: .:::::::,:::-‐ー- ､:::::::::::ヽ:: i::::::::::::::::::::
｀ ‐- ::::＿:::::::::::::::::::: i /::i::::::::: :.: :::::::::;-´..::::" ＼::::::ヽヽ i::::::::::::::::::::::
:::::＼ ￣ ‐‐-::::::::::::::::::::::: .:: .／:.:.:''''::. ヽ::::::::::ヽi i:|:::::::::;:::::＿::
:::::::::::＼ ＼:::::::::::::: .::.／::" ' : ＼::::::::::::::::／
＿＿＿_ヽ、 ／. :::;:;､:;:;:;:;: ヽ
,-‐ー---＼:ヽ、 /.:.:. _＿,,,...--‐ｧ ヽ
=＝ニﾆ＝=ー‐-､ /.:.:. , ‐=ﾆ､＿ ＿／ヽ, i
´, ｀､´ ＼ /.:.:. ! Υ ' .i
:: 丶 ＼ /.:.:. :: ! 、:;:;:;.. .i
:... 丶 ::::.＼ ./.:.:. ::::. :: :;:;:;:;: :::⌒ i
:: ､ ／⌒ｉ ....::. :::..ヽ i.:.:. ;:::;. ｀;:;:;:;: i
ヽ 、/ ｀ / r⌒i::::: ヽ i.:.:. 、:;:;:;.. :::;:;､: i
::::::::/:::::..../:::::i ｰi..::::::...., ＼ . |.:.:. :::;;;;; ;: :::;:;､:;:;:;:;: |
／/ :::::/ / l::::::::::::::i :::::| |.:.:. :::;:;､:;:;:;:;: |
| / / i::::::::::::::｛ l .i.:.:. _.,_.......;::, ;:;:;_, .-‐ ｧ:: i
ヽ、 .／, ｛ ::::i::: ／⌒i、 i i.:.:. < ○ / ｀ヽ､ ○ノ::::::::: i
｀‐-ヽ､/::: / / ｰ/‐‐く i.:.:. ｀￣ ´ ￣ .i
丶、..../、:::: / ノ ',.:.:. _＿,,,...--‐ --''''´´｀￣ ,'
｀ ‐-‐´｀ｰ´ ｀,.:.:. :: .,´
ヽ.:.:.:.:.. . . . . . . . ::::. :: . . . . . . . . ,r'
＼.:.:.:.:.:.. . . . . . . . ;;;:::. ｀ . . . . . . . . /
｀',_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、:;:;:;.. :.:.:.:.:.:.:.:_,'´
' - ,_;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;⌒ ;:;:;:;:;:_,- '
￣｀':-＿＿＿＿., -:'´
┏─────────────────────────────────────────┓
│身も心も衰弱し、無気力になり、ただハイドに対する恐怖という一つの心だけに心を奪われていた。 │
┗─────────────────────────────────────────┛
3267 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:17:37 ID:S4b0V18w0 [483/511]
┏─────────────────────────────────────┓
│彼は強くなさそうな身体を持ちながら、 │
│想像は恐怖と幻影に満ち、心は理由のない憎悪で沸き立ち、生命力は荒れ狂っていた。 │
┗─────────────────────────────────────┛
┌┴┐┌┴┐┌┴┐ -┼- ￣Ｔフ￣Ｔフ ＿＿ / /
_ノ _ノ _ノ ／| ﾉ ﾉ 。。
＿
イ: : : : : 八,ミ ｘ
: : {{{ i川:ｨ⌒Y',
: : :≧=ィ: : :≧=ｨ:::',
: : : :/: : : : }}: : : : :i::',
: : : :{: : : ｨ´≧=､:::｝ﾊ
: : : :｀￣Y i Y !H{: : :ﾊ
: : : : : ::{;;;;;;;;;;;;;;;;:}: : ::ﾊ
: : : : : :l{;;;;;;;;;;;;;;;;;;!: : : ::',
: : : : : :i!} r､ﾊ人 }: : : : :}
: : : : : :しゝ!辷=ｨ: : : : : !
┏───────────────────────────────┓
│ハイドの力はジーキルが衰弱するにつれて、ますます強くなっていくようだ。 │
┗───────────────────────────────┛
3268 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:17:54 ID:S4b0V18w0 [484/511]
┏─────────────────────────┓
│今や、両者は同等の憎悪でお互い激しく憎しみ合っていた。 │
┗─────────────────────────┛
／￣￣＼ . _,,,,.;;;; ＿＿＿
／ .,;;,. !､_ ＼_,,,,.;;;; _,,,,,, ------;--, ''" `.|ノ .,;;,. ＼
|(O）illi（○）lii .i'" ` 、,,,,,,.---.,,,,,,,,.--.'''''" ' i :○）illi（O)＼
| （__人__） iー. i '' - ,,__ '''''' - ,-.'''' - ,,__::::::..i....i..... i（__人__） ＼
l ||!!ii!!ii| Ｕi . i;':::::.;'. '/- ,,,_`/-.,,_ /`''''""-,>;:::::::::: :_丿ii!!ii!!|| |
{とO0o| Ｕ |;:.....::::::::/┬-'.,,,,,,,,,,,,,__./.... / :`/..、'' ,//:::';:`:>ｰ;;;ノ,: |o0Oつ ／
,r'{ Ｕｪｪｪ| / ----'"::::i:::::/::::::::::::;;＞''''''''.-:;;;;_...../.... :::/ ::ヽ:/:/:＼ i＿ |ｪｪｪＵ ‐'
｜!､ || U ,/ ^''''--,; 〉,-" '''' .'''.-;/-'＞-／//＼'":::: ヽ/
r"::::: ／ /::::::... '''i;;;',:::、 /:::::::::::::::://i- '^￣''i":::::::`.、
i::::::::, ヽ .:i:ヽ::::::::::::::....../::|:::.', /:::::::::::::-.//.. ...::'i :::::'i
. !;:::::::.. ::'' -!;:. `i----┬"; .;ｉ:::::i / :::::::'..,;;; //!::::::::::::::::;/-.''''''''''!
. ';::::::::...:', '.;..i"'''- .!,| |;.':ｉ:::::.', /:.. :::::;::::://y''i,,,,,,,i'''",.-.''''''''''/
'.;::::::::;' .:: ':i::::: .: i| |;.':ｉ::::::::.i / :. ::::;::://::i''ヽ, ;;;;;/i ......:::::/
>:::y::::::: .::i::::. .: .i| | /:::::::::: :', ノ :::::::;;//::i : ::::i,.-.''''''::／
┏───────────────────────────────────────────────┓
│ジーキルの場合は自己保存の本能からくるものだった。 │
│俺は今では、意識の一部を共有し、自分と死を共にしなければいけない男が完全に奇形であることを悟っていた。│
┗───────────────────────────────────────────────┛
3269 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:18:18 ID:S4b0V18w0 [485/511]
┏──────────────────────────────────────────────┓
│そして、この共有関係こそが俺を深く苦しませるものであったが、 │
│俺はハイドが生命力は強いにしても、どこか地獄の悪魔のようなところばかりではなく、無機物のように感じた。 │
┗──────────────────────────────────────────────┛
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ヾ
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭＼
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭＼
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭＼
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭＼
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ヽ
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭l
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭l
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭l
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭" 丶圭圭圭圭圭l
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭l l圭圭圭圭圭|
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭丶_ _ _ﾉ圭圭圭圭圭|
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭/
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭/
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭/圭圭圭l圭圭圭ヽ
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭l圭圭圭 |圭圭圭ｌ
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ヾ圭圭ノ ヾ圭圭ﾉ
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭/￣￣
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭/
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭／
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭／
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭／
3270 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:18:39 ID:S4b0V18w0 [486/511]
┏──────────────┓
│地獄の泥土が叫び、声を立てる。 │
┗──────────────┛
ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニミ､ }ニニニニニニニ（＿＿ノニニ
ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニﾆﾆ }ニニニニニニニニニニニ(⌒
ニニニ／ニニニニニニニニニニニニニニニニﾆ _八ニニニニニニニニニニニ＼
ニﾆ／/ニニニニニニニニニニニニニニニニニﾆ ┏─────────────────────┓
ニ/ /ニニニニニニニニニニニニニニニニニﾆﾆ │定まった形のない土塊が身振りをして罪を犯す。 │
=/ /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ八__ ┗─────────────────────┛
= ∥ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ＼ ｛ニニニニニニニニニﾆ｛
= ∥ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ=- ∨ニニニニニニニニニ乂_
ニ{ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ ∨ニニニニニニニニニニ}
ニニニニニニニニニニニニγ ⌒ヽニニニニニニニニニニ ∨ニニニニニニニニニﾆ}
ニ ﾆニニニニニニニニニニ｛ }ニニニニニニニニニ八 ∨ニニニニニニニニニﾘ
ニﾆ人ニニニニニニニニﾆﾆ乂 ,ﾉニニニニニニ( ⌒＼ﾆﾆ＼ ＼ニニニニニニニニ/
ﾆ／ ＼ニニニニニニニニニニニニﾆﾆ⌒＼ニニ( ＼ﾆﾆ＼ "'' ニニニニニニ{
＼ニニニニニニニニニニニニ{ }ニニ（ }ニニ )ニニニニニニ
＼ﾆﾆ( ）ニニニニニﾆﾆニﾆ乂__ノニニﾆﾊ }ニﾆﾆ〉 ｛ニニニニニニ
)ニニニニニニニﾆﾆ/⌒)ニ=- ''"⌒＼ﾆ| }ニニ/ |ニニニ（ )ニ
/ニニニニニニニニ｛ ｲﾆ/ )八＿ノニニ｛ |ニニニニニニ
｛ニニニニニニ{⌒ヽニﾆﾆ/ ｛ニニニニニニ |ニニニニニニ{
/⌒) ヽニニニニﾆﾆ{ }ニニ/ ﾉニニニﾆ／ ノニニニニニニ{
. /ニ｛ ＼｛⌒ヽニ八 ノニニ{ ｛ニニニニ( ｛ニニニニニニﾆ{
/ニニニ(⌒ ＼ )ニニニ／⌒ ,,..,,_ ｝ニニニﾆﾆ> ｝ニニニニ( )ニ|
｛ニニニﾆ＼ ＿＿ __ノニﾆ乂＿／ニニニﾆﾆ/ {ｈ､ ﾉニニニニニニニ
｝ニニニニﾆ- 〈ニニニ=- -=ニニニニニニニニニニニ｛ ﾉニ} ｢ニニニニニニニﾉ
しﾉニニニニニニ＼ ＼ニニニニニニニニニニニニニニﾆﾆし'ニﾆ} __ﾉニニニニニ( )｛
｝ニ|⌒＼ニニニニﾆ＼ )ニニニニニニニニニニニニニニニニニ人＿＿ノニニニニニニニニニ}
}ﾆﾆ| )ニニニニﾆﾆ) ｛ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニﾆﾆノ
}ニﾉ ｛ニニニニニ（ -=ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ厂
}=( ＼ニニニニニニニニニニニニニ=- ￣￣ -＝ニニニニニニニニニニﾆ/
ノニニ=-__ ｀¨¨ ニニニニニニニ=- -ニニニニニニニ
ニニニニニ=- ＿＿) ┏─────────────────┓ -ニニニニニニ
＼ニニニニニニニニ │死んだ無形のものが生命の働きを奪う。 │ -ニニニニニニノ
＿)ニニニニニニニニ ┗─────────────────┛ -ニニニニニノ⌒
ニニニニニニニニニニニニニニニニ=- ＿ ＿＿ -ニニニニニ-
ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ=―
┏────────────┓
│これは恐ろしいことだった。 │
┗────────────┛
3271 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:18:55 ID:S4b0V18w0 [487/511]
┏────────────────────────────────────────┓
│また、その反逆的な恐ろしいものが妻よりも身近にあり、目よりもピッタリと俺に結び付けられ、 │
│俺の身体の中に閉じ込められていることも恐ろしいことだった。 │
┗────────────────────────────────────────┛
ハイドが外に出ようとする呟きの声が、
まだ聞こえるだろ……。
／ ` __ _＿＿__
,ｲ. 丶､ ＿, ｲ´ ｀ﾞ ﾆ=‐- ､
/ フｲ｀7 / ﾆ=‐-
l ｌ /
､ | | / ―――-- ､
丶 | |/／ ヘ
¨ﾞ .､l ｌ j ／ V
ﾍ! Y .／ / 丶
＼ ＿__ V ii / ,ｲ i! :i!
､ ,ｲ ｀ i |./ / / ji! i / /
ヽ､ .／ rー―- ､ .ﾉ ﾚi / ./ ij/ ,ｲi/ /
￣´Y ￣￣⌒ー. V´/i / ∨ / / ／ /:Yﾞ /
}ｰ（ i// _/ | / / / / }/
{ / _ ＞<ー¨ У _,ノ ∠ / /
｀T ｀ ＞ヘ_ V / ／ ｌ
｀ｰｒ ./ ／￣￣ﾍ j / ／ :|ヽ
ﾞ－＜＞/ / ＼ <∠ ,ｲ／ :| V
ｊ } V ／￣ ハ V
У ＼ ,ｲ | ヽ ゝ､
/ ＼ﾍー ､ / . iヽ､`ー
＼◎ ＼ {_,/ ／L `ー
＼__ ＼ |__／ ,.ノ
＼ / こ¨i
＼ / i
3272 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:19:12 ID:S4b0V18w0 [488/511]
┏────────────────────────┓
│だが、ハイドの俺に対する憎悪は、それとは違っていた。 │
┗────────────────────────┛
| ／| | |::| | |
: : : : : : |／ | | |::| | |
: : :. | | | |::| | ＿＿＿＿|＿
| ／| |＿＿＿＿＿＿＿＿_|::|＿＿＿＿＿____________| |＼
______ ／ :|／: : | |￣￣￣￣￣￣￣￣ |::|￣￣￣￣￣￣￣￣¨ﾞ| ||＼＼
／| ／ :| |: : : : | | |::||￣￣￣￣￣￣￣￣¨| ||: : |＼＼
. ／／|| ／ :| |: : : : | | |::|| | ||: : |: : |＼＼
／／／|||／ :| |: : : : | | |::|| | ||＼|: : | |: :＼＼
. ／／／|i:i:ｉ||| :| |: : : : | |＿＿__,||＿＿＿＿＿|::|| | ||: : |＼| |: : |: :＼＼
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i:i:|i:i:ｉ|j／／||:::::|i:i:ｉ|j／.:.:. ||: : : : : | / ｎ (＿)(＿)|＿__,|ii| ゑ (___）||:'´｀ヽ /∧ : : : :＼.:.:.:.:.:.:.:.:
i:i:|j／／|i:i:ｉ||:::::|j／.:.:.: .:.: |｀~¨¨¨´ ./ 八 ノ 乂 ｢|==i|ii| |__| ||ゝ _ノ ∧
／／|i:i:ｉ|i:i:ｉ||_／.:.:.:.:.:.:. :.: | / (＿) |＿__| γ´｀ヽ |ii| 「|/〉 || /∧
,.:i|i:i:ｉ|i:i:ｉ|j／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／ / ⊂⊃ 乂_,,ノ_|ii| |｀¨¨´| {ΞΞ} /∧
i:i:|i:i:ｉ|j／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／: :. / ЛЛЛ |::::::::| 冂￣ |ii| | | //∧
i:i:|j／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／: : / ｌ二二二二ｌ ｀¨¨´ {ΞΞΞ} ｀¨¨¨´ /∧
f´￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
| ヒックヒック……。 |
丶＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
| ううっ…グスングスン……。 |
丶＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
.
3273 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:19:26 ID:S4b0V18w0 [489/511]
＿＿＿_
／ ＼
ｏ ○ o´ _ノ ヽ､_ `ｏ ○ o 嫌だお……！！
.。ﾟ ／ oﾟ/⌒) (（＜）)ﾟo＼ ﾟ 。 絞首台で見世物のように吊るされるだなんて嫌だお……！！
| 0 / /（__人__）' 0 |
＼ / / `― ' ／
＿＿_＿_
／ ノ' ＾ヽ_＼
. ﾟ ／ ｡;'⌒） （⌒ヽ＼° 俺はもっと生きたいお！！
. ／ o'ﾟ~（___人___）~o°＼゜ 俺は生まれてから、ほんの少ししか生きてないんだお！！
. | ﾟ |/⌒ヽ| ﾟ |
＼ ｀ ⌒ ´ ／
3274 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:19:53 ID:S4b0V18w0 [490/511]
┏──────────────────────────────────────────────┓
│彼が一個の人間ではなく、ジーキルの一部であるという従属的地位に復帰するのは、絞首台への恐怖の為だ。 │
┗──────────────────────────────────────────────┛
＿＿＿＿
,. -'"´ ｀¨ー ､
／::::＼::::::::::::::::::,／:: ヽ、
,.'"::::,.===､":::::::::::::'',===-､ ヽ、
, - ‐'ｰ―ｰ‐っ=γ' , ヽ'===ｧﾆヽ---― 、 ヽ、
ゝ‐─‐"￣:::::::::::丶__人＿ ノ ｀￣￣￣゛ー' ヽ
./::::::::::::::::::::::∧l___!__|_ノ| ヽ
/::::::::::::::::. ,' ｒ‐,ﾉ! i
/:::::::::::::: | ＿ ,.┴ ､」 l
,'. ﾚ／ ! }
i ﾄ､＿＿＿ｨ| /
', └┴┴┴'‐' ／
ヽ、 ／
ヽ､_ ／
｀¨i ヽ
/ ヽ
/ ヽ
.
3275 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:20:13 ID:S4b0V18w0 [491/511]
┏────────────────────┓
│しかし、彼はその復帰をなによりも嫌っていた。 │
┗────────────────────┛
＿＿＿_
／ ＼
／ ＼ ヽ
／ （ 〇） '､ 嫌いだお！！
| （__ﾉ_）
＼ ｀_⌒
／ ＼
, -‐- ､ ＿＿＿_
/ :. ／ ＼
' : ／ ＼ _ノ ＼
| } （○） （○） ＼ ジーキル！！
, --‐‐ﾍ:. .:} （__人__） ｌ 俺はテメーが嫌いだお！！
_＿/ ヽ::. .:::ハ lr┬‐ ｌ ／
/ |.:＼ .:.:://∧ ｀⌒´ ｧ ト､ 無気力なことも、俺を嫌っていることも嫌いなんだお！！
__/ 、 ∨::;::::::::〈 / ｉ | ヽ
/ ヽ ∨:/.:::::::＼ ∧ ｘ个x'^ヽ.j ｊ｜ i
. 〈 ヽ ヽ. ∨.::::::::::::::）ｰ=彡' | ＼ﾌ ゝ、 !
3276 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:20:36 ID:S4b0V18w0 [492/511]
┏────────────────────────────────────┓
│その為、彼は俺に対して猿のような悪戯をし、 │
│俺の書物に冒涜の言葉を殴り書き、俺の父の手紙を焼き捨て、父の肖像画を破った。 │
┗────────────────────────────────────┛
.／ ／ .／ .／ ／ ／＼ .／
.／.／ .／ .／ ／ ／. ＼
,／.／ .／ .／.／ V. ＼
／ ／ .／ .／ ／ . i ＼､__
／ ／ 斗‐''"¨￣￣｀ヽ{ /／、_
.／ . {、 ヽ /' ゝ＞
,／ ／ {ﾐヽ ＼ // ／／ ヽ ┌───────────┐
'" ／ ／ ﾍ: ヽ ＼ ':/／／ ´_彡} │┌─────────┐│
／.／ . ﾍ:. :', ＼ {,//, ／'"´ ││ ／￣￣＼ ││
".／ .／ ﾍ :':, _ -=====ミヽ|./ /' ││ ／ ～～～＼ ││ ／
'" .／ ﾍ :::':,、／´ _,. -====ミゞ斗} ││ | （◎)- i! ） ││ ／ ／
,／ ／ ﾍ ::彡'／´ ｀¨¨¨´ ││. | （（（__ i!_） ││ ／
／ ／ ││ | ｜～ i! ﾉ ││ ／
／ ││. | ＾＾＾ i! ││ ／
.／ ││. ヽ }i! ││ .／
‐゛ ││ ヽ ＿ - i!＝ ││
││ ＿ -=＝ ￣ i! ││ ／
││ | ＼ i! ││ .／.／
r－- ││ | |ヽ、二 i! ││ .／
l ）. ￣ ―--‐┐ │└─────────┘│／
ノ_, イ | └───────────┘ .／
／::::::::::::し! l） / ／ ／ .／ .／.／ .／
/::::::::::::::::::::（ （ ,′ ／ ,／ ／ .／.／ .／ ／
i::::::::::::::;ﾍ､::::ヽ { ／ ／ .／ .／.／ .／ ／
ﾄ、::::ト' ｀i::ﾚ / ／ ,／ ／ .／.／ .／ ／
ヽ:;;ヽ _リ ￣￣￣￣ ／ .／ ／ ／.／ ／ ,／ .／／
￣￣ ／ ,／ ／ .／.／ .／ ／ ／／
3277 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:20:55 ID:S4b0V18w0 [493/511]
┏──────────────────────────────┓
│そして実際のところ、彼が死を恐れていなかったら、 │
│彼は俺を巻き添えにして破滅させる為にとっくに自殺をしていただろう。 │
┗──────────────────────────────┛
＿＿＿_
／ ＼
／ ヽ,,)ii(,,ノ ＼
／ （ ﾟ ）))((（ ﾟ ） l二二￣￣}ゝ
| :::::⌒（__人__）⌒::::: | (三￣〉
＼ ヽ iｌ´|r┬-|｀ｌi ｒ ／ / /
/⌒ヽ .!ｌ ヾｪｪｲ ｌ!ｨヽ. / /
.
3278 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:21:12 ID:S4b0V18w0 [494/511]
┏─────────────────────────────┓
│しかし、死の恐怖を知った彼の生への執着は驚くほどのものだった。 │
┗─────────────────────────────┛
＿＿＿_
／::: ＼
.. ／:::::::::: ＼
／:::::::::: ＼
|::::::::::::::: |
＼:::::::::::::: ／ヽ
/::::::::: くゝ ）
；|:::::::::::: ／ ；
；|:::::::::::::: イ ；
┏────────────────────────┓
│もう一度言おう。 │
│俺は彼のことを思っただけでも胸が悪くなり、ゾッとする。 │
┗────────────────────────┛
3279 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:21:30 ID:S4b0V18w0 [495/511]
┏─────────────────────────────────────┓
│だが、この惨めで激しい執着を思い出すとき、 │
│また、俺が自殺によって彼の生を断ち切ることを彼がどんなに恐れているかを知るとき、 │
┗─────────────────────────────────────┛
-─‐──‐-、
／ ＼
／ ; ヽ.
l U l
| , 、 ; |⌒´⌒｀ヽ、
!、 _ノ" "ヽ、__ ∪ ＼
ヽ (（ー） （ー） ):: /⌒゛` l:
/ヽ∪（_人__）∪__ ,ノ| , |
/ /` ⌒ ´ |. | , !
. / ∪ |∪`-,,,.|" |___,ノ |
/. / | | | ,lー─- 、
, --‐-ー、_/∪ l ∪ ,| | ,／ ） ）
く / / ァ- ,ノ ＿ ＼ノ＾ノ^／⌒ヽj＼ ／＾ー-‐'
`ー' ー´￣ （＿） （＿(_イ_,イ、_,ィ'´__/ ￣
┏────────────────┓
│俺は彼が憐れだと思うようになった。 │
┗────────────────┛
3280 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:21:46 ID:S4b0V18w0 [496/511]
┏──────────────────────────────────────┓
│もうこれ以上告白を書き続けるのは無益であるし、時間も残っていない。 │
│ただ、これほどの苦しみを受けた者はこれまでに誰もいないということだけを述べておこう。 │
┗──────────────────────────────────────┛
へｰ､ヽ､_:. :.:.:.:.:. il:.| : : : ; ;. ｀ i:. :ハ:ヽ､ _
/ .＼:. :.::. ヽ､_.!:l! (＿__.ノ､_): :. :. :. ＼ヽ
ﾊ 彳: : :＼l:.:.. :.:.|:＼: :ヽ､: : : :´ .｀/: : : : : : : : : ﾘ
}ゝ､ _:_: : : . V,､: :ヽ :j: : :＞､ ﾆ=‐‐-ｲ:|: : : : : : : : /ハ
l : : :.＞: : {:.l: :､: i|＞': : :ﾊ...::/.:＞ﾍj: : : : : : : : :/.:リヽ
,:ﾆ:.¨: : :> ｀l:.: : : | : : : : : :|ソ´: : : : : : : : : : : : /'´: :_:_:ゝ､
Y ＞イ:.<:.:: : :!: ヽ:､: :.:i! : : : : : : : : : : : : : /.:. : : : :; :. .ヽ _､
} , ＜: : :＞-ﾍ:. :. : : : ヽ:､:l! : : :: : : : : : : : : :./.:. ≧=--‐=ﾆヽ､//
{/.:＞ .: : : :.ﾊ: : : : : : : :.i! : : : : : : : : : : : :/ヽ､_:. :.ﾆ=‐- :. : //､
Y .≧´ｲ:r'´≧=-､: : :j!:_:_:_ ＿__:_,:ｲ≧=-＜_/.:. : ;'´/'´￣≧
ゝ ,.ｲ /.: :! -‐=ﾆ:.¨:.￣:i : :.i!￣:./.:.: '￣二ヽ ヽ:/´У /´_. ﾍ
ヽ:ﾚ /.: ノ.: : : : : : : : : :,j:.: :i!...j..:i!::::.:.:.:.:....:.ー.､ ｀＼､ﾍﾞY_フ / ／ｌ
￣￣￣｀´｀ー-―――――-ー――ﾞー――-⌒ーｰﾞ ー￣ ー｀ｰﾞ￣￣￣￣
┏─────────────────────────────────────────────┓
│それでも、この苦しみさえ習慣となり慣れとなった。それで苦しみが軽くなるというわけではないのだが……。 │
│俺の心は一種の無感覚と一種の絶望的な諦めが生まれた。 │
┗─────────────────────────────────────────────┛
＿
/´ ,ノ 、
| （〇
{: ＼ （__ﾉ)
'､ │ _7
_,ｒ辷 , -'
／`､ゝ__|/ｌ､__
/ .| ﾍ-| ,∧
.∧ i ∨;;,} ,'
/ / ,.,.ヽ;ｌ/ , -､
/ ' ,{ ,i イ ＼
ﾊ ;',ヾ,`! ／ ＼
/ ∨ }< ／ __ ＼
/ ｔ, ／｀＞ ､´ ／ ｀ ､ ＼
. / < ／ `＜／ ＼ ゝ-,
/ |ｌ / ` ､＿_ ＼ `､_
- _＿_/ } ｲ へ､ ｀ｌ---- ､`､ ／､___
3281 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:22:04 ID:S4b0V18w0 [497/511]
┏────────────────────────────────────────┓
│そして、この懲罰は今私に降りかかった最後の災難がなかったら、まだ何年も続いたことだろう。 │
┗────────────────────────────────────────┛
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
,, -'''" :゛`'丶.､.......
'´ ::::::::::...`.::::::::....
i （ ） .:::::::::: !::::::::::::...
ヽ､ ,: '.:::::::::
`=ｰ--､....,,,,,_＿＿＿＿_,,,,,... --‐=''´..::::::
｀`" '' 'ー───‐―‐' ''' "´
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
,.:｀ヽ ,, -'''" :゛`'丶.､.......
／ .:.:::＼ '´ ::::::::::...`.::::::::....
___,,,... -一,ｨ´: :.:.:'''ｰ- ...,,,,_____ i （ ） .:::::::::: !::::::::::::...
｀ﾞ''ｰ-､.,,__,,..-‐''"´｀ﾞ''ｰ-､.,,__,,..-‐''"´ ヽ､ ,: '.:::::::::
｀ﾞ''ｰ-､.,__,,..-‐''"´ `=ｰ--､....,,,,,_＿＿＿＿_,,,,,... --‐=''´..::::::
｀`" '' 'ー───‐―‐' ''' "´
. ／￣￣＼
. ／ ＼
| ー ‐ i
| （ ●） （ ●） '_ ん…？薬品の調合に必要な塩が足りなくなったぞ……？
| ＼ （__人__） 、 最初の実験から一度も新しく補充してなかったんだっけな。
| │ `⌒´i
ヽ. ﾉ 仕方ない、プールに買い取りに行かせよう。
ヽ ノ
. > <
| |
| |
3282 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:22:23 ID:S4b0V18w0 [498/511]
・
・
・
・
＿__
|￣ |
| |
| |
| |
ﾉ ﾊ
／ ＼
/ .ﾍ
l:::::::::::::::::::::::::::l
ﾍ:::::::::::::::::::::::/
｀ー--一'´
（⊃￣￣＼
（⊃ _ノ ＼
（⊃ u （ 〇）（〇）
| ＼ （__人__） なぜだ！？
| │ ｀ ⌒´ﾉ
| } ＼ いつもなら薬が紫から緑に変色する筈なのに、
／ヽ } ＼ 新品の塩を使ったら、色が紫のまま変わらなくなったぞ！？
／ ヽ､＿＿__ノ ）
／ . | ＿／
| ／￣￣（＿)
＼ ＼ ／| ＪＪＪ （
＼ ／ ／⊂＿）
3283 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:22:40 ID:S4b0V18w0 [499/511]
┏────────────────────────────────┓
│俺はそれを飲んだが、変身の効果はなかった。 │
│俺はどんなにロンドン中を探し回らせたかはプールに聞けば分かるだろう。 │
┗────────────────────────────────┛
┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┤::::::::::::::::| i| ｜ |
.┬┴┌──‐..──┐┬┴┬┴┬┤::::::::::::::::| i| (Q)｜(Q) |
.┴┬∥::::::::::::::::::::::::::∥┴┬┴┬┴┤::::::::::::::::| i| ｜ |
.┬┴∥::::::::::::::::::::::::::∥┬┴┬┴┬┤::::::::::::::::| i| ｜ |
.┴┬∥::::::::::::::::::::::::::∥┴┬┴┬┴┤::::::::::::::::| ＿|＼￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
.┬┴∥::::::::::::::::::::::::::∥┬┴┬┴┬┤＼:::::::::::| ＿|＼＼ ＼┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳
.┴┬∥::::::::::::::::::::::::::∥┴┬┴┬┴┤:::::＼::::｜ ＿|＼＼＼＼|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
.┬┴∥::::::::::::::::::::::::::∥┬┴┬┴┬┤:::::::::::＼| ＿|＼＼＼＼|￣
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ￣ ＼＼＼|￣
＼|￣
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
::; ノ ヽ
ｃ- l::l （● ●
c' @ （__人）
ヽ ノつ
/ 二つ
/ （ ）
（__／ .`´
┏─────────────┓
│だが、それは徒労で終わった。 │
┗─────────────┛
3284 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:23:05 ID:S4b0V18w0 [500/511]
┏─────────────────────────────┓
│もはや俺は薬で変身ができなくなった。 │
│この災難は俺自身の容貌と性質を俺から永久に切り離してしまった。 │
┗─────────────────────────────┛
／￣／￣＼
/ /: : : : : : 〉
､ｼﾞ,: : : : : :/
＜ @〉: :､ ,:/
/ ￣＼ <@)
＼/: : : ::⌒)
八 (￣￣＼/
＿＿／ ＼＿):_:_:_:_:/
／ /: : : : ＼
:/ ／: : : : : : : :＼
/: : : : : : : : : : : :.＼
/: : : : : : : : : : : : : : : ＼
┏────────────────────────────────────┓
│あの薬は最初に手に入れた品に不純物が含まれていて、 │
│薬に効験を与えたのは、その未知の不純性であったのだと今ではそう確信している。 │
┗────────────────────────────────────┛
: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :o : . : . : . : . : . : . : . : . : . ＋: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: . : .+ . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : .O. : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : .
: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :oﾟ: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: . : . : . : . : . : . : . : . : , 。 |i 、. : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : .
: . : . : . : . : . : . : . : . :( ( J し ﾟ ) ) . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: . : . : . : . : . : . : . : . : . 、 ': . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :
.
3285 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:23:24 ID:S4b0V18w0 [501/511]
┏─────────────┓
│それから約一週間が過ぎた。 │
┗─────────────┛
┏──────────────────────────────┓
│俺は残っている最後の薬の効果でこの告白を書き終わろうとしている。 │
┗──────────────────────────────┛
_,.. -‐''"~￣ﾉ
,､‐'''"´_,,.､-‐ｧ''"~)
／ ,ィ孑'´,､-‐'乙-‐ｲ
／ ／ ｊ''_,.ィ_,∠-＜イ
/ ノ-‐づ､'´_ノ-'"_,／
/ , ‐ﾌ´ -ノ´ _>‐'ノ
／ _,. - '´／ ,∠-''"
／ ,jﾉ／´ 'ﾌ_,／ ｱ
/ ／´,っ‐､／´‐'_xく
/ / 人) イ -‐ _ノ
／ /う_,'ぅ 丿- '"ｿ
/ ,ノ､,) -'--┬ '"´
ﾑ､ヾ,-‐'ﾞ,ﾆ-<
,ゝ/＼ヽヽ､ソﾞ
,ﾉ〈､_入_,ト､ﾉ
,ｲﾀ弋 Ｊ´^ﾞ''''ｰ-.._
, ‐',ｲﾀ 、 .． ｀ﾞ'ｰ ,,,
,／ ,ｲﾀ |______l,,..-'゛ .｀'''ｰ ..,,,,、
/ , ‐‐'~´
! （ !
ｌ .//ヽ_＿_ _.ﾉ┬―-､.. ;;ﾝ'
ﾞ // ヽ .,,ﾞ_''く |''ｰ .._
//｀ゝ⊥_,l‐､.( 八. | .￣^ﾞ''''''"゛
〃 `''､ l＿)ー'ーｰ- ..,,＿__, ＿,,..
′ ￣￣
3286 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:23:38 ID:S4b0V18w0 [502/511]
┏────────────────────────────────────────┓
│ヘンリー・ジーキルが自分自身の考えを考え、自分自身の顔を鏡の中に見ることができるのは、 │
│奇跡でも起こらない限り、これが最後だ。 │
┗────────────────────────────────────────┛
_ ,,____
, ‐ ´ ｀`丶､
／ : . ....::::: ヽ
/; .....:: ::.. .....::: ::ヽ
/; .....:: ::.. ...::: ::::|
/ .: :. 丶＿＿_ .:::: :::|
! ,.--､ :: ::..ヾ;ﾆニ､ .:::: ::|
Y ● }〉.:: ::::/● ﾞi_, ::: l
/ヾ=='i´ ::: .:ヽ､＿ノ'´ :::::'
〈 j ::...::: ｀ﾞ " ::::} 俺も酷くやつれ果てたものだろ……。
',:. ..::: ､: .::::ﾄ ::::,.
（ :::j ::::::::::） ..::::::::ﾉ ::/
｀ｰ-´｀ｰ-‐‐′ ::::::: ::, ´ｲ
/ ｀ ⌒ ´ ::::: l::::!
ヽ /: ::::::.. :: _ノ.:::|
｀ー;- ､ __,. -‐ '´ ::::: |
|:: ..:::::: .::::::,ゝ┐
,r;| ::. .:::::: .:／.:.:.:.:７l
,r;=ｲ/::! :::::::::: ／.:.:.:.:.:／: :ヽ、
＿＿,.へ--‐':/.:.:/:::::| ::::::.. ／.:.:.:.:.:.／: : : : : : ヽ__
´: : ／:／ : : : /.:.:/::｀ﾞ` ::::／.:.:.:.:.:.:.:/ : : : : : : : : /: :｀
: : : : /: : : : : : !:.:/::: ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:/: : : : : : : : : ﾊ : : :
3287 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:23:56 ID:S4b0V18w0 [503/511]
┏────────────────────────────────────────────────┓
│それに、この手記を書き終えるのにあまり長く手間取っていることはできないんだ。 │
│なぜなら、この手記が破られもせず、お前の目で読むことができたとしたら、それは大きな分別と幸運によるものだ。 │
┗────────────────────────────────────────────────┛
.‘, ‘, ‘， ノ)
‘, ‘, ‘， / /)
. ‘, ‘, ‘， / _ﾉ
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3288 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:24:13 ID:S4b0V18w0 [504/511]
┏──────────────────────────────────────────────┓
│これを書いている最中に変身の苦しみが俺を襲うとなれば、ハイドがこれを引き裂くことは容易に想像できる。 │
┗──────────────────────────────────────────────┛
＿＿＿_
／ ＼
／ _ノ ヽ、＼
／ （○） （Ｏ) ＼ ヒックヒック……。
| || （__人__） ..| 何度調合しても薬の色が変わらないお……。
＼ ﾉi ! |. ／
/ し' ｀⌒´ .ﾉ
| .／ .／
┏──────────────────────────────────────────────┓
│しかし、もし俺がこれを片付けて、幾らか時間が経っていたのなら、 │
│彼の徹底とした自己中心で現在のことしか考えない性質は、多分、猿のような悪意から救うことができるだろう。│
┗──────────────────────────────────────────────┛
3289 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:24:35 ID:S4b0V18w0 [505/511]
┏──────────────────────────────────────────┓
│それに、今や我々二人に迫っている最後の運命は、既に彼を変え、彼の精神を押し潰してしまった。 │
┗──────────────────────────────────────────┛
＿＿＿＿：
__ - ´. ｀¨ ‐ ､
： , -'"´: ＿＿ ヽ：
／ ＿＿ ヽ： ﾋﾞｸﾝ
/. : : : : /{::::::::ﾉヽ、 丶
：,.'. : : : : / ｀ ´ ｌ ヽ、
/. : : : : : { ! ヽ：
/. : : : : : lｒ‐ ノ ヽ
：/. : : : : : l.T~ー‐ ´ / ヽ
./. : : : : :: | | !、 人ノ
/. : : : : :: | | ｀i｀ ﾆ二-- i
/. : : : : : | | l.T l：
：:,'. : : : : : Ｕ | | l ﾋﾞｸﾝ
i : : : : : : : | | /：
i : : : : : : : | | /
', : : : : : : :: | | ／：
', : : : : : : : | | ／ﾋﾞｸﾝ
ヽ、: : : : : : . | | ／：
：ヽ､:_: : : : . ／
｀¨i : : : : : ヽ ﾋﾞｸﾝ
3290 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:24:50 ID:S4b0V18w0 [506/511]
┏────────────────────────────────────────┓
│今から半時間も経てば、俺は再び、そして永久にあの憎み嫌われる人間に変わっているだろう。 │
┗────────────────────────────────────────┛
ｺﾂｺﾂｺﾂ……
,, -- ‐‐‐ -- ,,
, ´ u u ` ､
. / ＿ ｨ ､＿＿_ ',
/ ￣＿ ＿ ､ ∨
. / ' / 。 i l|i::::::::::::i|l i 。 ) i. ',
, _i_ゝ--' 彡 i ミ.ゝ‐' 厶. ＼
ノ´ ￣` ／ 人 ヽ u ∨
. / u ゝ‐ ':::::::`ｰ‐ ' u ',
' i⌒⌒i i
i. i|￣ ` ﾉ
ゝ. lj U ノ
. ＼ く
/`ｰ ､ , .i
. / ` ー -- ‐ ′ .i
ｺﾂｺﾂｺﾂ……
┏──────────────────────────────────┓
│この世で最後の避難所である書斎で自分の椅子に腰かけて震えながら涙を流し、 │
│または、耳を澄ましながら、恐怖の為に無我夢中で書斎をあちこちと歩き、 │
│自分を脅かす全ての物音に耳を傾けているということを俺は知っている。 │
┗──────────────────────────────────┛
3291 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:25:08 ID:S4b0V18w0 [507/511]
┏────────────────────────────────┓
│――ハイドは絞首台の上で死ぬのだろうか。 │
│それとも、最後の瞬間になって自分を解放する勇気を発見できるだろうか。 │
┗────────────────────────────────┛
・ .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;., ;,::;
;:;;: , .,., .,. ;:;:。 ,.:;,;,:, *:,; ;.,;,::;;。,... .. ;:
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;:;;: , .,., *., . : ,r'´. ｀ヽ: .. : :. .:.::. .:. . . ;:;: ,.: ;,;
＋ .: ..: :' ..:. ﾞ; ::: :. :. .:.:. .::;:;;: , .,., .,. ;: ; ,;,:,:,; ;.,;,::;;,... .. ;:
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;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,;,::;;,... .. ;: ,.,.,
┏──────────────────────┓
│それは神だけがご存じだ。俺はどちらでも構わない。 │
┗──────────────────────┛
3292 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:25:25 ID:S4b0V18w0 [508/511]
┏──────────────────────────────────┓
│これが俺の死の瞬間であり、これから起こることは俺以外の人間に関わることだ。 │
┗──────────────────────────────────┛
┏────────────────────────────┓
│だから、ここで俺がペンを置き、この告白を封をしようとする時、 │
│俺はあの不幸なヘンリー・ジーキルの生涯を終わらせるのである。 │
┗────────────────────────────┛
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Y Y
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(,,, ) ', ',
￣｀ ', ',
Ｙ ',
ヽ ＼
＼_＿ __）
おわり
3293 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:25:50 ID:S4b0V18w0 [509/511]
以上です。長い話を最後まで読んでくれてありがとうございます。
この有名な原作を、同時代と同舞台であるジョジョ１部のイギリス出身キャラクターで再現したかったんです、はい。
ブラフォードはスコットランド人？まぁ、作者のスティーヴンスンもスコットランド出身らしいですが。
原作「ジーキル博士とハイド氏」は、神の摂理に手を出した人間の破滅と、お上品を装うヴィクトリア王朝の偽善を告発した作品だと言われています。
この作品は大筋は原作そのままです。
しかし、あくまでも創作や独自の解釈がありますので、興味を持った人は原作を目を通すことをお勧めします。
補足ですが、ジーキル博士が恥じていた罪とは、原作では「欲望」「快楽」「官能」「破廉恥」とあるだけで、
博士が体裁をとても気にする性格設定のせいか、詳細には説明されていません。
>>3291の「自分を解放する勇気」とは、訳によっては逃げるか自殺とあります。
死んで逃げるではなく命を守る為に逃げるのなら、ドアの向こうはアタスンとプールがいますし、
窓から逃げるなら使用人二人が見張っていますので、かなり難しいですね……。
他に、「ハイドは死刑を恐れているのに、なぜ外に出ようとしたり、ラニョンに変身を見せたんだ？」という疑問が原作では謎のまま残されています。
自分なりに解釈を考えて、この作品に付け加えましたが、自分の読解力ではこの解釈で限界です。
参考文献
ジーキル博士とハイド氏 海保眞夫訳 岩波文庫
ジーキル博士とハイド氏の怪事件 佐々木直次郎訳 青空文庫
3294 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:29:31 ID:OUv1fQnc0
乙
大作お疲れ様です
3295 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:43:57 ID:xg2PNJ7.0
うーん、結局ジーキルも自分の罪から逃げた卑怯者に見えるなあ
3296 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 10:45:09 ID:6o8W6J2.0 [1/2]
乙
ジキルとハイド、こういう話だったのか
とても読み応えがあり、面白かった
3299 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 12:47:55 ID:6o8W6J2.0 [2/2]
しかし、ハイドって悪の化身みたいなイメージだったけれど
最後まで読むと一片の憐れみを感じるなあ
実質、生後一年程度で死んだようなものなワケで
3300 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 13:48:11 ID:Kb9immAM0
なるほどなあ、偽善の告発っていうのはしっくりくる
ジーキルはただの俗物だけど、なまじ優秀で周囲に賞賛される
術を知っているせいで、それを自覚できなかった
大作乙でした
3301 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 14:22:06 ID:JWnruVoc0
乙乙
うーん面白かった
3302 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/15(土) 21:42:04 ID:EAoKMRa20
おつ 名作と言われるモノは面白いな 原作よんでみる
3303 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/16(日) 06:30:42 ID:A/2TSrsQ0
乙
3305 名前：尋常な名無しさん[sage] 投稿日：2018/12/16(日) 09:13:06 ID:8iQ1KylI0
大作乙
引き込まれたわ
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◆rG7rDhiHxM様、ありがとうございます！
RSSやお知らせなど
まとめた各作品の作者様に向けて
まとめ記事本文や周辺について何かご要望等あれば、遠慮せずメールフォームにてご一報ください、よろしくお願いいたします。
8/18 追記
IEやchromeで確認されていたAAズレですが、記事側の
DirectWriteを無効にしたことで、ずれないようになったと思います。
これに関して、ご指摘等ありましたらコメント等よろしくお願いいたします
劇場風やる夫まとめ様のこちらの記事を参考にいたしました。
http://theateryaruo.blog71.fc2.com/blog-entry-302.html
本当にありがとうございます
9/12 追記
patchForAAによる文字滲みの件ですが
こちらのスクリプトで解決したかと思われます。
https://github.com/keage/KGIndirectWriter
スクリプトを提供してくださり、相談にも乗っていただいた
kæge様
本当にありがとうございました。
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実験的に話数ごとではなく作品毎のカテゴリランキングを実装しております
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